雪鎖
詩を作ったことを許してください
夜がくるたび、
名前を置いていく。
肩にかかる言葉も、
くちびるの形も、
知らない誰かのものになる。
指が触れるたび、
少しずつ剥がれていく。
皮膚は柔らかい紙みたいに、
折られ、数えられ、
手の中で薄くなっていく。
「ここにいるよ」と言ってみる。
でも声は乾いていて、
風に流されて、
どこにも届かない。
朝になれば、
体は少し足りなくなっていて、
鏡に映る顔も、
どこか欠けていた。
最後の夜、
まぶたを閉じたら、
指先がふっと消えて、
空気の中に溶けた。
朝がくると、
部屋にはただ、
小さな紙切れが落ちていた。
その街の娼婦は、夜ごと名前を変え、触れるたびに自分を失っていくと言われている。朝には、君の存在を示すのは小さな紙切れだけだった。