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8/17

本編:常魔法-微睡み-いぬ:その4:(15)文化祭展示((15)-5:和田能直)120p~ (17):有妃・卒業・消滅~冷黙:~160p

長い私小説です。作者=羽仰が目論む漠然とした副題を、幾度となく…織物でも織るように繰り返しています。細い微々たる…因果の薄い副題の反復を繰り返すのが、贄の要らない常魔法の常道です。…ですので…気楽にご覧ください。

コンテンツ:

(15)文芸部文集-文化祭展示・・<(15)-5(展示)5ナゼバカ-和田能直ー戸波異伝:120p~ (15)-6(展示)6出口董子-過去改変:124p~ (15)-7(展示)7副部長-仲山茅夏ー魔女伝説:127<p~ (15)-8(展示)8部長-有妃史澪-とある神殿騎士団:131p~ (15)-9(展示)9ドラム-陶内則子-ひふみうた・いろはうた:136p~ (15)-10(展示)10ベース-長渡恵美-バックロードホーン制作 :140p~> (16):祭りのあと:147p~ (17):有妃・卒業・消滅~冷黙:152p~

(本文中には(15)-5、(15)-6、(15)-7…⑰の様なナンバリングは有りません…御容赦のほど)


・…“今…?”?…

・…

・…「なぁに?それ。…母さんが昔、こんな暑い日に意識朦

朧で熱中症になって身体が動かなかったことがあったの、そ

れから恐い夢を見るようになったの…。だから、気をつけて

…って話したの…それと殆ど一緒じゃない?…それって、つ

いて行こうとしたのは…?いましがたのナオのハナシ?…?

…」

・…そこまではなんとなく憶えている…いま将に夢を見てい

るような…。

・…書き綴りながら今思う、…文章はどうしても現在形でな

いと駄目なのであった。                 -120p

・…以降、遭難事件程ではなかったが、引っ越し疲れの所為

か熱中症か、足かけ 2 週間弱、意識が無く、入院したことも

憶えがなかった。…それでも二年弱のあいだ、頭は重かった。

・…

・…(以下、改変後の文章、本文を抜粋)

・…凄く変だった…。その時は、でもぼくは金縛りのように

…熱中症のように、身体が重く、頭痛と眩暈と吐き気・不快

な汗を感じながらも、見て・聞いて・嗅いだものには間違え・

見違えなどなかった。少なくともあの時は…今から思うと酷

く変だが…幻として取り扱えない何かが起こっていた。QR

コードが使われ出したのもごく最近で、至る所に違和感があ

る。ナゼ―どうして…。屑―同然のおバカなぼくや、不要な

電子レンジは引き取られていないのだろう…って…ここで初

めてぼくは『…何かがある…違和感がある…引き取られてい

ない』~『何かを渡しそびれているが、それが良いのかも分

からない。』

・また、それをを何故かもと考える様になってきていて、溜

息を吐く、またこれと同時に、黄昏に消えゆこうとしている

老店員と荷台付き自転車は現在形でないと納まりが付かず、

また『何故か?』も思えてこない。同時に…。凄く変なのだ

が…何処が変なのか…何が変なのか、考えても繰り返しの坩

堝の嵌まってしまう…のだった。でもぼくは…間違いない…

何かある、なぜ…。同時に…。凄く変だ…だった、でもぼく

は…黄昏の怪異に辻褄・理筋を付けてしまっている…熱中症

の所為?…。

・…(以上、改変後の文章抜粋)

・改変というか…はじめは二つ並記した、…なんとなく片方

のみ提出した。

・…文章を見て先生は、「不思議がなんだか多すぎてはっき

り解りませんね。」…と。                -121p

・…ぼくの過去の体験を先生は一緒に、丁寧に掘り下げてく

れた…ただ物書きの大先生と過去の小一の夏の体験は一つの

はずだった…。が、追体験は二重に累なっていた。…それで

も、…それだからこそ、ぼくにとっては添削前も双方とも大

事で何故か破棄する気に為れなかった。熱中症で治療を受け

たのはどちらか?母のプライバシーもあったが…どちらも間

違いではなかった。…

・…そんなハナシを添えてもう一つの文章を恥をしのんで先

生に差し出した。

・…「先生すいません…事態はもっと複雑に錯綜…」

・…先生はどちらの陽の目を見る可能性があるのに…『サイ

コロ』でもふるように片方を査証するの明らかによくない…

同意し肯いてくれ、双方並記を強く推された。

・…少し伸びた先生の白髪は“銀色を帯び”はらりと垂れた。

・(添削前の文は…)

・…小一の真夏、ぼくはこの戸波に転校してきた。引っ越し

が片づいたマンションの入り口で夕涼みをしていた、…母さ

んから何かに『…気をつけて…』と言われた様な気がしてい

た。清々しいはずの汗はぼくの気持ちをどんより暗くさせて

いた、頭も痛かったとも思った。             -122p

・眼の前を作業服を着た白髪の人が荷台付き自転車をこいで

きた、荷台には買い取られたリユース・再利用品がつみあげ

られていた。作業服の人はかなりの年の様で年季の入った帽

子から白髪がはみ出ていた。…荷物満載の荷台付き自転車は

通常、軽快な音楽のMCを大きな音量を地元に振りまくもの

であったが、…通常ではなかった。作業服のロゴを近くに見

てぼくは気がついた。仮性近視にもなっていた。

・ただ、この光景は以前にもあって…辺りはとても静かだっ

た、微かな降り斜面に自転車のラチェットが鳴った…その隙

間に低いうなり声が聞こえた、少し遠い声は「ィエ~」と聞

こえていた。「カドウナガイ、カンケイヨシ、フツウ」「デ

モ、クズ、クズイエ~ヘ」繰り返されると、独語と街に響く

エコーとの混声は…離れるとそうも聞こえる。外回りの風変

わりのリサイクル店員がそういっていた。不思議な思いだっ

た…荷物は真新しいものに感じた。店員はぼくをじっとと見

ていた…

・世界はどんどん階層化されてゆく…

・だから、不思議じいさんは邪魔で醜いもののはずだった。

覚醒の論理がぼくにこの老人の追跡と殺傷を声高に要求す

る、『追いつけ追い越せ踏み越え踏み潰せ、そしてその速さ

手際の良さを競うのだ。その者は悪だ。』…と。

・「あ、そう?」ぼんやりと、ぼくは呟いていた。

・はて?、ぼくは外回りの不思議な店員を見送った。…訳も

無くついて行きたかったのに、そこはかとない好奇心を抱え

て、そのまま西に向かっていった。

・…そう、不思議な店員と町並みが唸っていたのはきっと“

クズヤ~クズイェ ”だったのだろう、荷台の後ろは樹脂カ

バーで覆われていて店のロゴがはっきりとみえていた。

・…実は、母の代わりにリサイクル店へ要らなくなった電子

レンジを持って行くところだったのだ…何処か背筋が冷え

た。

・…

・「なぁに?それ。…母さんが昔、こんな暑い日に不思議な

人について行くことがどうしても出来なかったの、日射病に

なった所為でネ…、だから『気をつけて…』って言ったでし

ょ?でも、でも母さん、じきに意識が戻らなくなって…往診

の先生、頚を傾げてた…事実、それってかなり危なかったみ

たいなの、…逝こうととしかけてたのヨ…」…「それから、

本当に小さい子供の時から、母さんね、ナオらしい男の子が

恐いひと…死神に連れて行かれようする…強引に連れ去られ

てしまったり、しっかりと抱き留めておけたり…悪夢のよう

に繰り返し見てきたのよ…」「何度もよ!」と、母に話しか

けられて…頭が痛いながら、そこまではなんとなく憶えてい

た。

・…以降、少しのあいだ、意識が無かったようだ。でも、二

週弱…十二日後、病院で目覚めたらすっきりしていた。…だ

が軽い頭重は二年弱続いた。

・                           -123p

・すこし変~気ががりなのは、…おバカなぼくや不要な電子

レンジは引き取られずにいるのは『何故』だろう…って…そ

れに一体何処が不思議なんだろう?

・…『何処が不思議かも判らない、和田能直の不思議体験』

はここで区切るとする。

文集6―出口董子

◎『過去改変』

・この世界、私の居場所がない。殆ど。

・色あせててゆく…

・ドンドンこの国のが変えられてゆく、過去さえ変えられて

ゆく。

・私が活き活きできる場所はない。色あせ魅力もない。

・それは本当のこと、そうであっても、私は誰にも服従しな

い。

・何事にも妥協しない。世界の行く先は“深淵 ”であって

も私を束縛することはない。

・私が“競うことを拒否するから ”…。ずっと、私は私の

ままだからナノダ。

・何故か、天よりも高く、地にも脚つかない理由で、私を侮

辱するからである。

・私は許しはしない、だが罰しもしない、観ててあげる私の

脚は地に着いているのだから。

・それはこの国を操る大国だけがなし得る大規模黒魔術なの

だから。

・…正しい手続きの時空歪曲。

・だから、それは過去改変もする。今を侵す。だから私の居

場所ではなくなった。

・それは自滅、自然発光、空中崩壊するだけ。

・…さようなら。

・                            -124p

・粛々と過去改変する、神代文字・聖徳太子抹消、国共合作、

ポルポト―南京虐殺連鎖、

・中共発―日本軍が殺傷した人数は南京市民を超えている…

・だから歴史は科学ではない宗教かイデオロギー…そう、駕

籠、うそぶくかご。

・…鳥かごは私の・誰の居場所ではない。誰もが気が付いて

いる、

・だが、天よりも高く、地にも脚つかない、故。私を束縛す

ることはできない。

・そんな理由に私はノ・ラ・ナ・イ 。蘇る…いいえ既に、私

の羽根は死んで蘇っていた。

・私の小羽根は時の鳥かごを通過する。…沢山の羽根羽が透

過している。

・その宙づりの鳥かご・過去改変、その競争の坩堝、

・空中崩壊が観えてくる。未来の私、…変わらない私が誘う。

・私たちの足は地に着いているから、なのだ。

・…さようなら。

◎『イチバンと規定事項』

・…私の居場所がない、私は思う、宇宙はイチバンだけで成

っているわけではない。

・世界の何処をとっても、宇宙の何処を見ても、同じものが

ないからそう思う。

・この多様な命の有様に共通の約束はあるのかもしれない。

・銀河も星も岩も気体・液体・固体の隙間…相転移と言うら

しい、

・その隙間に寄する生物も、環境も、機関も、国も、皆、変

容の末、終わりがある。

                            -125p

・共通の約束はあるのかもしれないそして皆それぞれの終わ

りに怯える。命だから。

・宇宙はイチバンでできてはいない。だが、共通の約束、変

容と進化、終わりは…

・…もしかして一つかも知れない。

・宇宙に、一つとして同じもがないのは素晴らしいと同時に

何処か虚しい。

・同じものがない故にイチバン正しい約束事があるかもしれ

ない。

・同じものがない故、皆美しいのである。これは耽美である。

・同様にイチバン正しい約束は真理である。これらは同時に

有りながら、相容れない。

・相容れないのである。にも拘わらず

・真理は救済を必要としている、一つしかないのは虚しいか

らである。

・そして、一つしか無い真理は限りない事象引く①個の美し

くないものを拵える。

・宇宙を一つの、一つしか無い規定事項を望み、そうする。

・!。これはノッテはいけない!…耽美と救済は同時に有

るが相容れない。

・命と救済も同時に有るが相容れない。

・無理を強行すれば、ヒトは規定事項遂行の機械になる。

・…たとえ、機械・機関カラクリでも命と共にありその

延長で美しさも内包する。…さようなら。

・…さよならの前に、とても居心地の悪い語句がある、私以

上に居場所がない。…小一からの転校生―泥んこ好きの和田

クンと戸波の死滅は規定事項だったかもしれない、それとそ

うさせた『ヒト・機械・機関・物の怪~ヒト依り』の集合体

がそうさせた。

・…機械が非人間的なのではないヒトが非人間的に機械に接

したせい。そもそも人が非人間的なものを太古に刷り込んだ

…憑りこまれた。

・…物の怪が不気味なのではなく、ヒトがそもそも不気味!

・…ヒトそのものがインターフェース ヒトそのものがメ

ディア―媒介存在                    -126p

・でも…。泥んこ好きの和田クンは生還した。恐らく複数の

『女心』が規定事項をあるべき姿に戻したのだこれは小さな

『世界創造』である。これはイチバンと無縁。…無縁だから

こそ成しえた『世界創造』…もしかして時に触ったかも知れ

ない。

文集7―仲山茅夏(ナカヤ・チカ、)

◎『耽美主義の救済―に添えて』

・耽美主義は酷く不完全なものである…耽美に主義が憑くか

らである。そして主義には一つの立場から離れない・出てこ

ないといったものがついて回る、さらに固持する立場から“

誰も出さない―隔離する ”ことにも取り憑かれる…だから

不完全なのである。

・美しいもの・美しい有り様を至上のこととし、これに耽居

る。耽美には主義という言葉を使わなくてもヒトを取り憑く、

ヒトをそこから出さない、と言った“陰り ”を内在してい

る。醜くさえ無ければそれでいいと言った“陰り ”が内在

している。

・したがって、耽美の救済には陰りや不完全さを道徳や真理

で補い、これを理解する必要がある。

・だが、その前に耽美主義が救済に値するか?道徳・真理も

包括した進歩と無縁のはずの耽美主義に救済の手を差し伸べ

ても、耽美がその差し伸べた手を握り返すことをするのか?

『救済に値するか?』の命題の見方の視点を変えてみる。

・確認。…変数は「A―耽美」「B―道徳・真理―進歩」「

C―救済」。変数を取り扱う関数・演算主体は「D―書き手

であるわたしと読者」くらいを設定しておこう。      -127p

・…耽美の救済には、前提として耽美自身の陰り・不完全さ

を補う道徳・真理について理解し直す必要がでてくる。もし、

完全を補償するものが不完全であったり、醜かったり、醜悪

なものが隠されていたりすると、耽美は、美しいものを至上

するが故に、差し伸べられた救済の手を払いのけてしまう、

視点を元に戻すと救済に値しなくなる。ということになる。

・もう、既に小さな結論がでかかっている、中二病の書き手

の私がこれを可能にしているのは、紙と筆記具だけなのであ

るが、私のへやの机の前に大きなコルクボードがあってA4

四隅に「耽美」・「道徳・真理―進歩」・「救済」・「わた

し」。そしてわたしのところには淡い赤系の付箋で“読者

”と書いてありそれが張られていてこれは殆ど移動しない。

他の付箋は頻繁に移動するためここでは公表できないが、彩

り豊かに多色の付箋紙がペタペタ貼られたり・剥がされたり

している。必要に応じて透明のシートを付けて色マジックで

メモることもしている。わたしはそれをじっと見ながらワー

プロに文字を打ち込んでいる。こうすると、頭だけでモヤモ

ヤと考えて打ち込みをするよりどことなく頭の機能が拡がっ

たような気がする。また、変数は有妃部長、コルクボードと

紙・付箋はブレーンと顧問の先生方の智慧によるものでもあ

ること、添えておく。

・…耽美は魅惑的であるが不完全である、不完全を補うのは

道徳・真理―進歩などである、だが、不完全さを補うものが

醜く汚れていたら?これを見た読者は補いの手は払いのけら

れてしまうと考えるであろう。そして、私は考え直してみる、

完全の属性を持つ変数の道徳・真理―進歩を主語に据え変え

てみると、それは耽美が救済に値しない。道徳・真理―進歩

は耽美から拒否されると耽美が救済に値しないと帰結するの

は私のコルクボードの上では矛盾しない。試しに読者もノー

トの切れ端にでもやってみるといい。

・ナカヤ自身の記憶に定着ないし論理修正している美少年ナ

ルキッソスは、神からもらった鏡ないし水面に映った自分の

映の美しさに耽居りその場から離れられなくなっていた。ナ

ルキッソスに恋心を抱いていたエコーはその救済を試みるが

虚しく、エコーはナルキッソスが救済に値しないと帰結する、

エコーは自身にかけられていた呪いも救済できず遂に肉体を

亡くし、木霊―谺―反響だけの精、もちろん男性属性を持つ

霊になってしまう。                   -128p

・ナルキッソスを耽美、エコーを道徳・真理ー進歩、救済は

救済のまま、読み替えてみる。『耽美主義の救済』は叶わな

いばかりか、補うはずの完全性即ち、道徳・真理―進歩とい

った救済主体さえも救済されことが確定してしまう、のであ

る。

・B枠の道徳はさておいて、真理―進歩は現実世界では叶い

がたい仮題である、これを比較的簡単に実行可能するあたり

に論理の不完全・隠しきれなかった醜悪の匂いが常に漏れ出

ている。

◎―休題

・このテーマは常に不鮮明なモチーフがA~Cの“変数 ”

にではなく、Dの“関数・演算主体 ”に取り憑く。

・不完全なものを完全なものとして仮題してゆくうちに、そ

の叶いがたい仮題は何処か陰りがあり不完全さのある対象を

見出す、救済と称し仮題が主体的に率先して対象を壊してゆ

く。これが進歩の本体。「耽美主義の救済」に添えて、明確

化しがたい闇がありそう。

◎『告白-魔女伝説』

・三次元のモヤモヤと頭でかんがえること 紙の上…二次元

で「書き手のわたし」「読者」他の変数と一緒に切り分け整

理すると三次元のモヤモヤの有り様がわずかに変わってく

る。                          -129p

・およそ三年前、区内の小学校で秋期林間学校で想定外の遭

難事件があった。課外ハイキング中に大雪に見舞われ児童2

名丸一晩雪の山で遭難した。翌日救出されたが、一人は軽度

の凍傷、もう一人は昏睡の挿間を含む意識不明の重態となり

2 年弱の間生存が危ぶまれた。学校の想定外には現地事前調

査、前年~当年の間に豪雨による地形変化、登山道の閉鎖と

変更がされていたが引率側の徹底不足、当時の気象情報の把

握不足とハイキング行程の遅延の際は積雪に見舞われること

など、情報共有の不足が明らかにあったが全て想定外で押し

切られた。学校当局は校内外の近代化・進学校化を急ぐあま

りこの種の行事や付随する地元の登山経験者、現地の登山経

験者との接触・交流を疎かにしてきたことは一切認めなかっ

た。この点では全く誠意はなかった。事件後の冬・翌年の春

・夏・秋・冬も一人の意識の回復はなくそろそろ生命そのも

のが危ぶまれた。

・わたし、なかやの親戚には教員が多く、遠縁には事件の学

校関係者がいた。事件翌年の晩秋、私の家で父母と学校関係

者が夜遅くまで飲んでいた。酒席とは言え事件の二人の児童

について夜が深まるにつれ事件の加害者の様な言われ方のよ

うになっていた、階下のことでもあったが怒りのあまり聴き

耳が拡がった、そして鋭く尖った。夜が更けても眠くもなら

なかった、終いには愚者アンポンタンと魔女にまで堕とされ、

夜が白む頃、父母に諭され会はお開きとなった。あまりにも

酷かったのでわたしはしばらく数日の間眠れず、誰とも口が

きかなかった…きけなかった。…私の家は十年程前この地に

引っ越してきた。友達に地元の子とは少なく親しいわけでも

無く、濃厚な交流があったわけでもなかったが、でも、あま

りにも酷かった。それでもこれは絶対口にはしないでおこう

とこころにきめていた。

・年の瀬が近づくと少年は昏睡している時間が増えだして生

還の望みがなくなったと言うような噂が公然と流れるように

なった頃、わたしは決めていた封がつい、…つい緩んでしま

った。

・…酒席で漏れ聞いた「魔女」の単語を二人だけの小声で親

友にこぼした。クリスマスの間近とあってクラスはとても賑

やかで騒がしかった、親友はただ「酷いね」とだけ言い、二

人とも何も言わなくなってしまった。…“誰にもいわないで

…”とはいわなかったが言外ではそう圧力を私はかけていた。

心配だった私は背徳的に二人を密かに追尾していた…もちろ

ん二人は私を裏切らなかった。

・…しかし、その日の夕方には遭難事件で無事だったもう一

人の少女が「魔女」になってしまっていた。…わたしがそう

させてしまった。                    -130p

・わたしは自分の至らなさで無垢の少女に最悪の烙印を押し

当ててしまったことを道義的反省と痛恨もってここに告白し

ます。

文集8―有妃史澪(協力:和田能直・逢友黎一=文芸部ブレ

ーン・顧問)

◎『とある合法手続き―大規模黒魔術』

・…十字軍の中のテンプル騎士団あるいは神殿騎士団とも呼

ばれている集団を紹介する。データーベースの基本はウイキ

ペディアからのものである。初期本部はパレスチナのイスラ

ム教の地、聖地エルサレムの神殿の丘にあり旧い神殿の遺構

の上に建てられ十字軍はこの神殿をソロモン王(3代目古代

イスラエル王)のエルサレムの神殿と呼び慣わしテンプルは

神殿から取られた。

・1096年からの第1回十字軍終了後、1119年エルサ

レムへの巡礼に向かうヨーロッパの人々を保護するためまた

中東に残された少数のキリスト教勢力維持~補強・エルサレ

ム防衛のために設立された。テンプル騎士団の構成員は修道

士であると同時に戦士であり構成員が所属前に所有していた

不動産や有力貴族から寄進された土地を換金しかつその財務

と管理のシステムを発達させ、恐らく最初の国際的財務管理

システムにまで発展させていったこと、入会への意志の固さ

を問うため入会式全容は“秘密儀式”で行われた、伝えられる

秘密儀式は通常の騎士団の様な「誓い」と修道会の様な「清

貧・貞潔・従順」の誓いをたてた、など特別なものでは無か

ったが入会式は秘密とされた。また上級騎士は決して降伏し

ないことを誓い戦死こそ天国の保証と信じられていた。従っ

て戦士として士気の高さ・鍛錬・装備、更に初期本部にある

伝説と相俟って中世最強の騎士団と呼ばれていた。     -131p

・1147年第2回の十字軍に際しフランスのルイ7世を

助け奮闘したためパリ郊外の広大な土地をルイ7世より寄贈

されたことを端に、その居館は教皇、外国君主を迎える宿舎

となり、王室の財産・通貨の保管まで任されるに至った。そ

の後も、1163年教皇選出の際尽力した同騎士団に数々の

特権(教皇以外の君主や司祭への服従免除、国境通過の自由

も含まれる)と課税免除を与えられた。こうしてテンプル騎

士団は東方パレスチナにおける軍事活動と西方フランスにお

ける“国際的財務管理”を担うことになった。…メディチ家

などによる国際銀行の構築が15Cでこれに先立つことおよ

そ三百年である。

・国際財務機関としてのテンプル騎士団の会員の多くは軍事

活動(高々数%)よりこれを支援するため兵站・経済基盤の

構築、巡礼者のリスク回避のために動いた、巡礼者が現金を

持ったままで移動するリスクを防ぐための「自己宛為替手形」

ならびに現在の預金通帳の様なものも、テンプル騎士団の発

明とされている。初期十字軍の活躍や十字軍国家警備、巡礼

者のインフラ整備により、騎士団団員の拡大で所有していた

土地の換金や多くの寄進よって12~13世紀にかけてテン

プル騎士団は莫大な資産を作り、欧州から中東に至る多くの

地で土地を保有し、それぞれに教会と城砦を築き、農園・ブ

ドウ園、更に自前の艦隊まで保有し最盛期には地中海東方に

あるキプロス島全島まで所有していた。また、パリの支部は

フランス王国の“非公式な国庫”と言えるほどの規模にまり

度々フランス王に対して経済援助(金利付き)を行うように

なった。1146年にはルイ7世によってフランス王国の国

庫は正式にテンプル騎士団に預けられることになった。

・西方の繁栄とは裏腹に1187年以降東方情勢は悪化し、

10代騎士団総長ジェラール・ド・リドフォールは宿敵サラ

ーフッディーン(ファーティマ朝宰相サラディン…詳説 163

p)に敗北し捕虜となるなど「誓い」に反する失態、ならび

に1291年最後の十字軍国家が陥落するとキリスト教勢力

は聖地周辺に拠点を失うことになったが、テンプル騎士団の

特権はそのまま守られていた。これらによって他の騎士団や

商人・製造業者からの積年の敵意がつのっていた。     -132p

・…時は流れ、13世紀おわりフランス、カペー朝において

典型的な封建社会が成立し、フランス王は聖職者・貴族・市

民の代表からなる三部会(…フランスの身分制度の始まりと

される)を招集できた。ほかの因子も併存したがフランス王

フィリップ4世に治世で中央集権化が大きく進んだ。他面、

ギュイエンヌ・フランドール地方に支配を拡大しようとして

フィリップ4世はイギリスと戦争 1294~1298 を起こし(最終

的な解決は 1339~1453 の百年戦争まで持ち越した)この戦争

で多額の債務を抱えた、そしてテンプル騎士団は最大の債務

者であった。

・…フランス王フィリップ4世は幻想していたと伝えられて

いる、…もっとも勢力のあったテンプル騎士団と聖ヨハネ騎

士団を合併しその指導者になって聖地エルサレムを再征服

し、その座を継承してゆくことで一族が何世代にわたり欧州

に影響力を及ぼし続けることを幻想していた。

・フィリップ4世の腹心も幻想し献策した、1296年教皇

庁(唯一テンプル騎士団を服従出来る)への献金を禁止し通

貨改鋳を行い、次いで1306年フランス国内のユダヤ人を

逮捕・資産没収することを幻想したばかりか実行した。

・失態が過去に有ったにせよ中世最強・最富・最遇の騎士団

と聖ヨハネ騎士団とを合併させることを幻想し、23代テン

プル騎士団総長ジャック・ド・モレーに提案してみた。すぐ

に拒絶され幻想に終わった。

・時代の変わり目に鬼が出る…積年の敵意がフィリップ4世

を動かした。歴史はフィリップ4世がしたことになっている

…どこからか陰謀が発生した。何も罪のない人々を裁判形式

で有罪にすることは極めて困難であったが、匿名の証言を採

用できる宗教裁判「異端審問方式」であれば立件が可能であ

ることがわかった。…まだ幻想である。

・共時的にフィリップ4世はフランドル戦争の戦費調達のた

め教会に課税をしローマ教皇と対立。1303年腹心フラン

ス王国の法曹官僚ギヨーム・ド・ノガレに命じて「異端者」

として退位を迫りローマ教皇を捕縛を謀り教皇を憤死させ

た、同年、次のローマ教皇が登位したがわずか9ヶ月後“何

故か”急死した、以後教皇庁への圧力を強めフィリップ4世

の後援で、かつ政情不安定なローマ教皇庁を嫌いボルドー出

身のクレメンス5世が教皇に選出されていた。更に教皇庁を

ローマではなく南フランスのアヴィニョンに遷居した(詳説

209 p)。また同教皇により多数のフランス人枢機卿が生ま

れていた。…鬼達が動いた。               -133p

・…従って「異端審問」を行うことは幻想でなく実行可能な

陰謀となっていった。

・…1307年フランス全土にテンプル騎士団の団員に何の

前触れもなく一斉に検挙。入会儀式において男色・反キリス

ト教の誓い悪魔崇拝(バフォメット信仰…赤ん坊を生け贄に

したという裏伝説が匿名で流布されていた。即ちバフォメッ

ト教の信者であることが証明<当時の法手続きでは証言があ

ればそれだけで証拠となった>…がされれば異端として裁く

ことができた。)他100以上の罪名をあげ、「罪を自白す

るまで拷問を行った」、ものの本には拷問中に絶命するもの

もいたと言う。異端審問に立ち会った審問官は“何故か”押

し並べてテンプル騎士団に積年の敵意を持っていた。騎士団

は異端の汚名を着せられ指導者は生きたまま火刑にされ、フ

ランス国内のテンプル騎士団の資産は聖ヨハネ騎士団経由で

フィリップ4世の手に入ったとされ、フランスの債務は帳消

しになった。…歴史を紐解くと欧州に影響力を及ぼし続ける

幻想が事実となってフランスは以後大繁栄にいたった。

・…フランス国外のものは不詳だが一連の審判に異議をたて

る国も多くあった。(…ポルトガルでは国王が騎士団の逮捕

を拒否、カステリーリャ・アラゴンでは弾圧はなく、ドイツ

・キプロスでは裁判で無罪、教皇庁と対立していた“スコッ

トランド”でも騎士団は弾圧されなかった…)

・テンプル騎士団の名誉回復は遠く19世紀フランス革命後

の1813年フランスのレイヌアールが初めて疑義を呈し、

1907年ドイツの歴史学者ハインリヒ・フィンケが「事実

無根でフィリップ4世が資産狙いでテンプル騎士団を壊滅さ

せた」ことを明らかにした。

・…以下有妃史澪の私見がかなり入る。

・因みに、本拠地はエルサレム神殿跡地から聖杯・聖櫃・イ

エスの十字架… etc を発見したなどの伝説があり、このよう

な神秘性から、1347~48 イタリア・南フランスから、ヨーロ

ッパ全土に波及し全人口の1/3~1/5を失ったペストは

その呪いともされてきている。              -134p

・また、騎士団の壊滅を逃れた騎士団の一部前述のようにロ

バート=ブルース支配下のスコットランドで存続し、ここか

らスコットランド儀礼のフリーメーソン団・フランスを中心

とするジャコバイト系フリーメーソン団・他が生まれた。…

フランス革命は同フリーメーソン団の単独で起こったもので

は無いのは明らかであるが、フランス革命の当事者の多くが

それぞれの所属するフリーメーソン団員であったことも事実

(ウィキペディア・フリーメーソン)でテンプル騎士団同様

の入会儀式非公開もあって陰謀組織と誤解されやすい…陰謀

があったのは14Cのフランス王権でスコットランド儀礼の

フリーメーソンがテンプル騎士団の仇を討っただけなのであ

る。フランス王権に限らず、うしろめたい経緯・陰謀で旧体

制を維持する側の人間はこの種の誤解~あるいは投影をつい

しがちなのである。

・…最初の金融(テンプル騎士団)と裏金の発生(スコット

ランド儀礼のフリーメーソン団…もしかすると1308年に

起こったテンプル騎士団事件で資産の殆どが裏金になったか

もしれない。)…また、神秘主義と金融の接近についての私

見は終了とする。

・有妃史澪は世界史家ではないが、世界史家は「鑑」の領

域を避けすぎてはいまいか?一歩譲って「史」として過去の

出来事の善し悪しは語らない前提で或る故、記述して然るべ

きところを書いていない…のではないか?

・…幸にして我が国では、大規模でかつ巧妙な陰謀・戦略は

輸出していない、あっても割と明確化に力を注いでいる。…

が大規模で巧妙で見えにくいのがドンドン輸入されている。

◎-纏め

・                           -135p

・国家内の安全保障、法手続きが現代とは異なっているとは

言え、法手続きに沿って幻想を現実と化してゆく。また責任

の所在不明確であるが故黒魔術の介在があったのかもしれな

いがテンプル騎士団壊滅の際、匿ったスコットランド儀礼の

フリーメーソン団・フランスを中心とするジャコバイト系フ

リーメーソン団が黒魔術の秘密結社の汚名を着せられ、歴史

を下るにしたがってフリーメイソン全体に黒魔術の秘密結社

の濡れ衣が着せられてゆく。我が国ではこの結社のイメージ

を掴みにくいが、江戸時代の「講」…有名なのが富士講、富

士登山ー聖地富嶽への参詣など、多数・多様のお講がフリー

メイソンのイメージに似ているものと考えられる。この多様

性故、近代にはいるとフリーメイソンのロンドンーロッジ《市

内にも幾つもあったと推測されるので…ロンドン某ロッジと

言うのが妥当であろう》…このロッジはシオニズムに基づい

て世界制覇を目論むのを講の主題と置いて活動したため黒魔

術の覇名を着てゆく。よって、フリーメイソン全体に黒魔術

の秘密結社という汚名が着せられてゆくのがフランス王国だ

けとは言いがたいが、法手続きに則りテンプル騎士団の巨大

資金資本をまんまと掠め取り、その暗黒部分をフリーメーソ

ンに着せた、フランス王国は大規模黒魔術を行ったと言い得

る。

・…何故、大規模黒魔術かというと、この種の悪事は当該国

家が革命などで打ち倒されると内秘させていた非道はじきに

…ほぼ同時代に公開されのであるが、この非道が明るみに晒

されたのは20世紀1907年ドイツの歴史学者ハインリヒ

・フィンケがするまで延々と迂遠されたことをもって大規模

黒魔術であったこと強く示唆するのである。古い歴史である

が故に時効が成り立つかもしれない、しかしながら、この可

否をそれぞれが考えてみる必要があると思われる。

・…どうも…無形のカタチで現代まで引き摺るこの事件…事

態の表層を撫でているだけの気がしてならない…で括ってお

こう。

文集9―陶内紀子

◎『ひふみうた』-古歌

・ひふみよいむなこと

・もちろらね                      -136p

・しきる

・…ゆいつわぬ

・そをたはくめが

・うおえにさりへて

・…のます

・あぜえほれけ

・:当て字(漢字)

・一二三四五六七八九十

・百千萬等根

・頻る。

・…喩、曲、和ぬ。

・其を戯く陰賀、

・生毒に去り経て

・…能坐す。

・何故恵惚れけ。

・―現代文

・一二三四五六七八九十(…数秘が潜んでいると、陶内は考

えます)

・と百、千、万、などの数多のその根にあるものは

・頻りと還されるものです。

・…喩えること、曲がり歪むこと、そうして和せず纏まらな

い。

・其の様なことでも、陰陽の戯ける陰の力と賀(寿ぎ、よろ

こぶ真心)は

・生じていた毒や禍も去り経て、

・…新しい能力と徳をもってこの地に坐る。

・そうして、何故かこの恵みに惚けてしまうのです。

・                           -137p

・このヒフミ歌は古来から呪い返し、呪われたときこれを避

ける呪法の歌とされてきています、本来的欠如それにともな

う過剰とその後淘尽を阻止する霊歌です。このひらがなから

思い浮かぶ漢字はあるのか、と考えると浮かび出てくる漢字

の一例です、何ものかを回避する力はありそうです。語調が

硬い分、防御力がありそうです…然したる根拠はありません

し耽美さも不足気味です。なんとなくです。

・…そして言外の呪い返しは、呪いの範疇とする向きもある

ようですが、内実は“祓い”です、したがって贄を必要な高

度の黒マジックではなく…常魔法です。罪責はかけたほうで

…懸けられ・祓う側には一切の責がないことも添えておきま

す…「呪はば、穴二つ」(懸けられた側に一つ、もう一つの

穴は懸けた方です)…この贄を必要とするのは呪い懸ける自

身の足下にも呪いがかかるというものです…我が国では。…

ところが有妃さんの『とある合法手続き―大規模黒魔術』の

御当地ではここが完全に欠如して、ドス黒い歴史のうねり今

でもつづいています。…ご注意を下手な義侠心さえ呑み込む

大規模黒魔術がまだ生きています。

◎『いろは歌』-古歌

・いろはにほへと~ちりぬるを

・わがよたれぞ~つねならむ

・ういのおくやま~けふこえて

・あさきゆめにし~ゑヰもせず

・―現代文

・略、陶内は手抜きをします、無用な限定や解釈を避けまし

た。これが「耽美の救済」なのでもあるのです。この救済は

読者の皆さんが考えてみて下さいネ。…テヘ。

◎『磁鉄鋼・製鉄の詩ーククガネツクリー釣針創り』

・:作:陶内紀子&羽仰史多朗

・Ⅰ)

・お空から 帚星が降ってきた

・~                          -138p

・光る髭引き ドッカンと

・触っちゃいけない 大火傷

・モノによっては 北を指す

・綺麗でも手を出しては 大火傷

・巨きな石は 大津波

・陸を裂いたと オオカミ吠えるよ

・Ⅱ)

・帚星を探しに行こう

・~

・光りは落ちたところを指している

・黒くても触っちゃいけない大火傷

・貝にに封じて焼いてみよう

・三日三晩火を護れ

・火傷もダメだよ絶対に

・貝ごと焼いてククガネツクリ

・Ⅲ)

・落ちた星を焼いてみよう

・三日三晩風を誘って火を守れ

・貝に溝掘り型作り

・触っちゃいけない大火傷

・ジュッと冷やしてできあがり

・曲がったものはククガネで

・マメに研いで永代使え

・墓に埋めずに永代使用

・Ⅳ)

・願いを叶える帚星オヤジ

・地震雷火事帚星

・禍備えよ火事オヤジ

・鍛え上げよ鍛冶帚星

・悲しいな、願いは禍の彼方

・備えよ鍛えよ禍事御焼磁カジオヤジ

・命育め禍事親父

・諍い避けて禍事オヤジ

・                        -139p

・Ⅴ)

・お空から、帚星が降ってきた

・~

・光る髭引き ドッカンと

・触っちゃいけない 大火傷

・モノによっては 北を指す

・綺麗でも手を出しては 大火傷

・巨きな石は、大津波

・陸を裂いたと オオカミ吠えるよ

◎誰もが知っている…『私が大好きな歌―84の 3』

・7 も 4らぬ- 10き 4マ 4り-流 04る- 84の実一つ

・故 30のキ 4を- 87れて- 70はそも 73に- 19月

・モ 10の樹は- 0いや茂 0る-枝は 7お-陰を 87せる

・00 もまた 73を-■-一人 3の浮き根-の旅 3

・3 を 10りて-胸に当つれば-あらた 7り-流離の 101

・13 の 1の沈むを- 3れば-滾り 0つ- 1郷の 73ダ

・… 0モい 8る 88の潮々~何 0の 12か- 92に帰らん

作曲 00中寅2

作詞 40000 崎 10 村

文集10―長渡恵美(協力:叔母・耳鼻科医―長渡雪 兄

長渡京)

◎『バックロードホーン製作記(ベースアンプスピーカのエ

ージング)』…前章マエフリ序文-全文参照…

・                           -140p

・二液混合エポキシ系接着剤で作る、小出力シングル無帰還

真空管アンプ専用バックロードホーンとエージング。

・バックロードホーンとは、音楽再生~電気楽器のスピーカ

ーの背面の音を積極的に活用するスピーカーの形式です、わ

かり易くすると、スピーカーの背面に大きなラッパを密着さ

せることでスピーカー単体の性能を向上させるものなのです

が、①何よりタイトな気密が必要で工作が難しいこと、②凹

凸の激しい周波数特性、③所謂ホーン鳴きの評価が分かれる

(トランジェントが良く端切れの良い低音~一方、ボウボウ

・コーコーなどの不愉快な附帯音)、④ホーンからの時間差、

音の遅れ等々評価などあります。

・しかしマニアの間で強く支持されて続けています。

・(1)故長岡鉄男氏が多くのバックロードホーンを設計・

製作してきたこと、

・(2)基本フルレンジスピーカー(並列で追加のツィータ

ーも含む)を使い、直流抵抗 0.2 Ω前後もするネットワーク

コイルを直列にスピーカーと繋がない。

・(3)バスレフの低音には敵わないがウマクするとトラン

ジェントのよい低音が得られること、また磁気回路を強力に

すると密閉やバスレフではハイあがりで使えない…最低共振

鋭度 Q0の低い強力なものこそが最適であること。

・(4)周波数が低くなるとこれに伴いコーンの振幅が大き

くなるのをウマクすればホーン負荷でコーンの振幅を抑え混

変調歪みを軽減できるなどの可能性が内在しています。

・…これまでのバックロードホーンは②の周波数特性の凹凸

や③のホーン鳴きに対し図Aの様にフワフワと大きく振動し

て音を吸音したり、図C様に巨大な重りを乗せる対処してき

ました。図Aの右側のホーン部の吸音材はともかく左側にあ

る空気室内部の吸音材は生理的にどうしても受けつけられま

せん…もしかするとホーンでなくなってしまうかも知れませ

んし、フワフワの吸音材の量や場所は神業的綱渡りになって

いると思います。また図Cの重りは良い制振方法と思います

が、この国では地震が多く生半可な固定法では反って不安・

危険です。                       -141p

・…図A・Cの対策を思い巡らせ(兄と一緒に、二台の試作

品もつくりました1つはスロート比(ラッパの入り口―一番

狭い部分の面積<スロート面積>÷スピーカーの振動板の面

積)これをを 0.25 と小さく造ってしまい失敗。…2つ目は空

気室(スピーカー背部とラッパの入り口までの密閉空間)を

大きく取りすぎて…失敗しつつもエージング中です)。

・図Bと図Dをイメージを元にバックロードホーンを設計製

作しました。図Aのフワフワ大きく振動する吸音材の代わり

に何も塗装しない木の楔や木片を空気室内に接着します、ホ

ーン内部にも補強を兼ねた塗装しない木の棒を接着します、

設計の段階ではここまでで後は無帰還の小出力シングルアン

プでエージングさせて接着した木片を微小振幅・中高周波数

で振動する吸音材になってもらうのをじっくりの待つ計画で

す。また図Aのフワフワ吸音材の代わりに図D・E・Fの様に

空気室を細く長く取り中高音を出にくくする魂胆です。

・…兄の難しい話を纏めると…小出力シングルは、プレート

電流をたくさん流さず直流磁化…トランスのコイルに流れる

直流電流と磁場を少なくしてトランスの性能劣化する少なく

する方法で、出力はでないのですが良い低音が出せます、ま

た無帰還は出力トランスの旨味を最大限生かすという意味の

ようです。

・この真空管アンプは兄が製作した45と言う古い真空管を

借りて音楽再生~楽器の再生…並びにエージング共鳴や固有

振動ではその周波数でスピーカーのインピーダンスが持ち上

がります、トランスの旨味はスピーカーのインピーダンス=

交流換算抵抗、単位はΩです。これが変動しても概ね同じ出

力を負荷します、“揺れたらもっと揺さぶって熟成(エージ

ング)させる!”小出力シングルアンプは言っているようで

す。…一方、負帰還(内容省略します)をつかいガッチリ~

手堅く無駄に動くスピーカーの起電力を負の方向で戻し無駄

な揺れに制動をかける…、かけてスペックを稼ぐ…かけざる

を得ない半導体アンプの出力はスピーカーのインピーダンス

にほぼ反比例します。(さきにも触れた失敗の兄の試作器二

台は当初半導体アンプでエージングをしていましたが一向に

進みませんでした。…兄の承諾を得て表現します)

・…吸音材の神業的綱渡りをするか?木材のエージングで綱

渡りをするか?…私は後者を選びました。         -142p

・図Cの重りの代案です図Dのように同じスピーカーを同相

で逆向き同軸に設定し双方がカウンターバランサーとして働

かせます。またこれも重りの代案で図Fのように吸音材を兼

ねた無塗装の補強棒をランダムに入れます、…出来るだけ節

と腹を作らずまた出来るだけホーンを作る板面を小さくして

共鳴音・固有振動をへらす魂胆です。…ベニヤ合板の音が好

きなので発案当初はそのように考えていましたが接着・木ね

じ固定の思案の段になり集成材で作ることにしました、また

美しく“コォーン”と響く集成材のほうが“ゴ。”(…濁音)

と鳴るMDFより遙かによいと感じ集成材で決めました。木

の歪みや経年収縮ならびに工作精度をクリアーするためには

木ねじ固定は必須と考えていました概略図面、他の形式のエ

ンクロージャは木工ボンドで事足りますが、ホーンの内部は

とんでもない圧力がかかります、図Fホーン出口もまだホー

ンの内部です、実際の音を聞きながら十二分にエポキシ補強

する予定です。

・…③所謂ホーン鳴きの最終課題…すなわち、ホーンから出

てくる音の評価の分かれは音波が球面波にならず“平面波”

であり続けてしまうようです…。

・どうも開口部からも出てくる音の形は私の経験からも、共

鳴を造りやすく平面波の様です。ここのホーンから自由空間

の中に音が出てくるときに反射が起こり一部がホーンに戻っ

てゆきますが自由空間の中で平面波のままか?球面波になれ

るかどうか?の数学的手続きは全く判りません…ただ出てく

るモノが平面波なら自由空間の中ではせめてVの字に割るこ

とは出来るかもしません、ビンテージのフロントロードホー

ンがVの字に開口面を持つ写真を見てもアリかも知れません

…これが図Fの右側の楔です。形や固定法も実際の音がでて

からにします。

                           -143p

・上記にも触れたように工作精度の問題をクリアーするた

め、また充填剤としても収縮の少ないエポキシ系接着剤(長

時間型)を選択しました、ヤニの様なしなやかな強度

もさることながら美しく響くのもあります、ここは長岡ホー

ンと大きく違うところです。インピーダンスは16Ωか4Ω

ですが実際に鳴らしてみてマッチングトランスの可否を検討

する予定です。図Dの逆向き同軸タンデムは音の要、中音領

域では少しだけ呼吸球に近づきます、設計段階からよい音が

出そうです。

・スピーカーは入手しやすく評価の高く能率も93db/ W(1

m…能率の単位)と高いフォステクスのバックロード用スピ

ーカFE 126 En2つ、バッフル開口φ 104 ㎜二つで振動板

面積は 127 ㎠スロート比 SR 0.62 スロート面積 80 ㎠(12 *

6.7)cm 開口部 228 ㎠(11 * 20.8)cm、④番目の問題の時間

差を考え音道約3m、円錐型のコニカル共鳴管に近いですが

ホーンとして働けばカットオフはだいたい 10Hz 以上から再

生できるはずです、カットオフ以下あるいはその近辺の極低

音では振動板に全く負荷がなくなるのを減らしコーンの振幅

・混変調歪みを軽減を意図してこの値にしました。      -144p

・概略図面の説明-バックロードホーン作成で一番大きな課

題はその製作です、大変場所と時間がかかる作業です、ここ

辺りも兄の経験値を流用しています、作業上エポキシでベト

ベトになるので大きめのシートは必須です。空気室・ホーン

ともかなりの気密性が必要です。スピーカーバッフル面やホ

ーン内部隔壁板の横幅を精度確保のためすべて 12cm に統一

します。また自分で切るのではなく厚め集成材(今回は板厚

dを 1.8cm としました)を東急ハンズやドイトで「出来るだ

け精確に」と必ず職人さんに頭を下げてお願いしてみてくだ

さい誤差1㎜以内で作ってもらえる場合が多いです、色々考

えず早く製作に取りかかってください変形が来ます。またプ

ロが切るので角が 90 度でも手など切れます、箱の側板(高

さ 180cm * 30cm、板厚は 1.4cm)…折り曲げホーンの内のり

計は 30- 1.8 ×3= 24.6cm(1.8 は板厚です)この側板の上に

12 ㎝統一のバッフル板・隔壁板を一つずつエポキシと木ね

じで接着しますが予め下側になる側板にだけ穴を開けます、

金工と同様ではじめに小さな穴を開け少しずつ大きくしま

す、木目は穴の軸が逸れるので金工より丁寧さが必要です、

木ねじは側板の板厚より 2cm くらい長いもので皿ねじで側板

外面は“浅め”のザグリを入れてください…概略図面の下詳

細、ここを深くすると側板とバッフル板・隔壁板に隙間が出

きます。エポキシは接着面の両面やや多めに塗ってください、

(隙間対策にも)外側にはみ出したものは拭き取れば良いだ

けですが足りないと気密性に関わります。…はみ出している

ところは大丈夫でしょう。上下方向からみると“I +≡”で

“ヨ”(上を向いたヨ-概略図面の下・左)になったところ

で“ヨ”の空き部分を下にして木ネジを少し締めますエポキ

シがはみ出してこないところは少し体重をかけます、万一隙

間があるところは1度ネジを緩めてエポキシを表面から擦り

込みます、これで三時間後・六時間後ネジを増し締めします。

…エポキシは硬化中材木の繊維の中に脂のように良く染みこ

みます。

・次の行程です、また“ヨ”の開き口を上にして図F-2の

ランダムな補強をします、その際バチの様なもので軽く叩き

ながら“美しく響くか?聞きたい音楽”を想像しながら補強

してください…ミュージシャンの特権です!、適宜将来の吸

音材をホーンの接着面のみエポキシ接着します。失敗から今

回空気室は小さめにし、駄目なときのため蓋を取ると少し大

きくなる空気室も作りました。…ホーン内部の垂れたエポキ

シは鋭いため痛くもなく大変危険です、長めのヘラを使いエ

ポキシでホーン内部の鏡面仕上げをしてください、板の収縮

割れ対策でもあります。ホーン外部はエージングが終了後コ

ーティングするつもりです。ターミナルは開口部直前にしま

した。

・(概略図面の下詳細)最後の行程です“I +ヨ”ですホー

ンと空気室をとじ込みます図H。 “I+≡”同様ですが“

ヨ”の接着面の周りに 3 ㎜ほど両面テープで“土手”を盛り

ます、この作業の前にホーン内部面にエポキシで鏡面コーテ

ィングをして硬化後、両接着面にたっぷりエポキシを盛りま

す。後から手の回せない隔壁・空気室・はたっぷりエポキシ

し、失敗の無いよう木片等でスペーサーを挟み念入りに位置

を調整し接着します。増し締めもします。…なお製作は自己

責任で、ホーン鳴きは必発覚悟でエージング・図F-3~F

4もそれからです。

・…音出し                       -145p

・以下の殆どは兄・叔母のコメントで私が一応同意したもの

です。…直列16Ωでの再生音は工作室の和室との相性も良

くホーン臭アリ、ですが、元々の音源にはいっていた?…判

りません。普通の再生装置では解らないドラムとベースの駆

け引き・間合い・グルーブが判ります。管と弦と打は綺麗に

表情の鳴らし分けができます。予想外にホーン鳴きもアッサ

リでコシがしっかりあります。…曲によっては喧しい、大雑

把です。その裏返しでマルチスピーカーような細々・くっき

り感はない一方、一つの音楽として歌い上げる力があります、

うるさい側面はありますが、聞いているうちに白けてしまう

スピーカーではありません。肝心のベースの音です、ここだ

けは私のみが言い出したコメントです。…ベースアンプ独特

の…曲によっては極低音の半拍遅れを感じさせません。平面

波の突進力でしょうか…築 50 年の工作室のある旧家屋内外

で音楽が聴けます!。64 分割のリアルタイム-スペアナ(叔

母所有のもの)では予想通り 160・315Hzにピーク、 100Hzに

深いディップがあります 40~80Hz は 10db 弱低いですがフラ

ットです、暗騒音に隠れて-20~30db レベルで 20~30Hz での

再生がチラチラ見えました。工作室は旧い和室のせいでそれ

以外、気になるモノはありません。試しに非密閉式スーパー

ウーファーを追加しました。リアルタイム・スペアナ上は改

善し音楽性・低音らしさは変わりませんがホーン単独より半

拍弱遅れて聞こえます、兄叔母の機材・経験でも現在可視化

困難です。

・…エージング(…間違いなく自宅のタイトな洋室でホーン

鳴きと格闘です!)と調整・評価は数年後なのでしょうか?

・…文中にもコメントしましたが100%私の創作ではなく

多面の技術・経験・資材は叔母・兄の助力を得ました。この

文章入力中もブツブツ兄は言っていますが、スピーカーの製

作と文書の草稿・入力だけは長渡恵美がしました。

・…色々と気になることもあるので、耳鼻科でもある叔母、

長渡雪と一緒に中学生には高度な音の物理学を勉強中です…

なにせ面白いのです。本部誌の刊行には間に合わないと思い

ますので別の形で表したいとも思っています。

・                           -146p

・…出てくる平面波と部屋の相性がいいとトランジェントい

い音になりますが相性が悪いと平面波と四角い部屋は強烈な

固有音~固有振動となってボーボー・コーコーなどの不愉快

な音になります。ホーンの内部では音は平面波の形態をとり

続けます、ホーンが折れ曲がっていようが、滑らかに折れ曲

がり、折れ曲がりの音道差にたいし波長が極めて長いとき、

ホーン表面が鏡面様で振動しない等が担保されると、ホーン

内部を平面波として、また偏微分方程式の解(コニカル・ハ

イパーボリック・エクスポネンシャルなど)として開口部か

ら音が出てこれます、どなたも明言されていない様なので付

言します。音響理論を何となく…ということは判ってないと

同じことですが、重要な前提(=平面波)があることは数学

苦手でも言えます。…ですがとても重要で汎用性の高い前提

のような気もします。

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―――――――以上:文芸部:文集

・―祭りのあと-

・後夜祭の後、能直は母に促された。その日は学習塾の日だ

った、概ね二年学業のブランクは能直が目覚めてから小学校

卒業まで半ば缶詰で詰め込まれた。それでもそれを補う意味

から母の強い意向で学習塾に通わされていた。またその日は

入院中の有妃の病状が回復した日でもあった。

・文化祭前日、力任せに能直が学年主任へ投げた鞄は有妃の

胸にも当たった、衝撃は大したものでは無かったが有妃は原

因不明の高血圧となり意識が濁ってしまいそのまま救急病院

に搬送されてしまった。                 -147p

・何故そうなったかは、文芸部の文集『耽美主義の救済』は

その意図通り表向きの耽美救済と行間に滲ませていた「地元

を破壊する改革主義・社会主義・共産主義に対する敵対表

明」は中津区立二中の同主義を密かに信奉する教職員を刺激

した。行間さえ読まなければ、文芸部ならではの「耽美の擁

護」にしかなり得ずいかにも学生らしい健全なものであった、

世間的体裁では改革主義・社会主義・共産主義に内包された

不穏さが勝っていた。…同時に中津区で密かに且つ大胆に進

められていた近代化運動のグループが封印していた「秋期林

間学校遭難事件」の生存者たちが密かに反旗を翻したのもこ

れら三主義者を酷く苛つかせていた。

・出口の作品で出てくる「過去改変」、仲山の「魔女伝説」

の中の生成の懺悔、有妃の「とある合法手続き―大規模黒魔

術」の中の封印のお手本…一人の人間が用語の統一をはかり

書き綴ったのであれば、<地元を改革し区内の学校を進学校

化を推し進めた、その結果、杜撰な学校行事を執り行い遭難

事故で犠牲者がでた。悪天と指導に従わなかった女生徒を作

り上げてゆくと言う過去改変を行い、偶発的に魔女の名前が

取り憑いた、魔女の呪いは事故を市井の論争の場に乗らない

封印となった。…したがって、遭難事故の原因は区内の進学

校の改革を推し進めた所為でも指導に従わなかった女生徒で

もなく、想定外の悪天のみ。>…明確に言い切れるものであ

った。

・しかし行間さえ読まなければ、個々の作品は一つ一つ完成

したいかにも思春期の学生の文芸作品だけであった。それだ

からこそ、区内の教育関係者、特に中津区二中の改革主義者

たちはいらだち・動揺した。彼らはそれぞれ行間を読み込む

力に厳然たる個体差があったから、動揺ばかりか改革者グル

ープの内部崩壊の危機は明白となっていた。

・改革派を束ねる学年主任は文化祭直前、文芸部に対して出

展文集に「学生らしからぬ不適切な文字がある」という認識

を繰り返し刷り込みを図ってきた。実働の部長である有妃

部長権限保有者一人を生徒指導室に呼び「出展の自粛」を取

り付ける最終段階…即ち文化祭前日。

・半狂乱に陥った和田能直が投げた鞄とその中身が学年主任

と有妃史澪に中り、有妃は救急搬送された。

・この事例化…地元にも、学外にも広がり大事と化した。い

かにも思春期の学生達らしい文芸部の文化祭出展作品を学校

当局は過剰に行間を読み込み、一人の人間が用語の統一をは

かり書き綴ったかのように扱った。…文芸部部長有妃史澪の

入院は部員和田能直一人の所為には絶対的にできなくなって

しまった。                       -148p

・これは同時に、密かに推し進め、地元を破壊する改革主義

・社会主義・共産主義者たちが学校を進学校化を推し進め

た、その結果、杜撰な学校行事を執り行い遭難事故で犠牲者

がでた。悪天と指導に従わなかった女生徒を作り上げてゆく

と言う過去改変を行い、被害者の女生徒に魔女の名前を取り

憑けた、魔女の呪いは事故を市井の論争の場に乗せない封印

を作った。

・…以上のことを校内の進学校化推進派・改革主義者が認め

たことを意味した。

・…以上のことを地元で近代化、進学校化されたために被害

を受け排除されたマイノリティに依って支持されていった。

・中津区二中の動きはそういうことを示唆していた。

・学内的には校内の進学校化推進派・改革主義者は軽微な処

分をうけ、文芸部のブレーン兼副顧問、非常勤清掃員である

元中津区一中校長―逢友黎一が解雇された。…ここは二中の

動きが露骨だった。

・そして文化祭は恙なく開催され、文集は無事、予定どおり

廉価で販売された。事件の熱はじきに冷めていった。そして

裏で流れていた有妃の魔女という陰口は、いつのまにか聖女

に変わっていた。有妃への虐めも解消していった。

・…学習塾の帰り、何時もの様に中一の能直と同学年の甲斐

田麻生かいだあさいは開放感に、詰め込まれた情報酔い

…記憶容量の少ない能直は確実に飲み屋でいっぱいひっかけ

たサラリーマンのようになっていた。人のできた甲斐田はこ

の軽はずみなおふざけに付き合ってくれていた。

・先月から二人の論争のテーマは「社共は世の中のためにな

るのか?」という論争である、二人とも理科系統が好きで将

来は理系の大学にとも思っていた、二人の身体から立ち上る

匂いは社会主義・共産主義とも親和性が全くなかった。…何

処がふざけていたかというと、片方は社共擁護、もう一方は

社共批判という役割分担を交互にして討論し合い最終的に殴

り合い・蹴り合うという設定で帰宅帰りの分かれ道まで続け

る設定のおふざけを楽しんでいた。もちろん議論の終結は“

社共の世のためにならない ”であり、あそびの中心は寸止

めでどれだけリアルに殴られる蹴られるか演出するか?がポ

イントであった。打撃音の擬声もこの中に入る。      -149p

・最初の寸止めのパフォーマンスは形勢不利となってくる社

共擁護の役である…はずなのだがたまに社共擁護が有利にな

ることもあった。能直は文化祭がおわり、文芸部としての裏

テーマである「社共不要」が帰結しても塾帰りの二人の情報

酔いのアタマでは“社共有用 ”に帰結することがあった。

・後夜祭の日の塾帰り二人の討論は“社共有用 ”に傾いて

いた。…能直の腕がブンと唸った右のリストが3/4回転し

宙を舞った、「ゴッ」と能直がうそぶいた、甲斐田の首が傾

いだ、「ウゲッ…」。甲斐田はもんどり打った、「おまえ和田、

酷で~ことしやがる~。有用はホントだろ!富を均等に分け

ることの何処が悪い。」嬉しそうに甲斐田の左脚が、闇に消

える「―ヒュッ。」よろめいた能直の身体が二度三度回る、

持っていた鞄をガードレールに当てて大きな音が響く、能直

は横断歩道の中央まで転がった、大きな音に能直は満足気だ

った、「それは一見、正しいよアサイ、でも階級や利権はそ

の…」能直の脚が甲斐田に伸びてゆく「…ままか?伝統は破

壊していいのか?」脚が甲斐田に触る前に膝と腰が曲がる。

甲斐田は後ろへ跳び尻餅をついた、腹を押さえて…「オ、ッ

エ。」「うっ」しばらく甲斐田は息をしない…「や、やれる、

ところから、やるしかないだろう…違うか、和田」「…そう

だけど、」能直は右肘を甲斐田の頬に当てる「そうじゃない。」

笑顔で甲斐田が派手に跳ぶ。八分に一泊遅れで甲斐田の頬を

能直の肘が後を追う。暗闇が…二人の迫真性を格段にあげて

いた、闇の中、能直の身体が飛んだ!

・…その時、「二人とも!」黒い影がよってきた「やめろ!

大人げない!」凄い剣幕が二人に近づいた、「騒がしい!夜

も遅い!」勘違いの影は二人がそれまで護ってきた寸止めも

せず、殴りあげ・蹴り下ろした。二人が動かなくなるまで…。

「まったく…キミたち、バァカ!」ゆとりのない真顔で「ホ

ント死ぬぞ!」

・二人は踞り、周りは静まりかえった。同じ塾帰りの上級生

天本守弥あまもともりやは暗闇で困り果てた顔で語り

降ろす。

・…

・「キミたちにいっておく、社会主義こそは、キミたちのよ

うな愚かなやつを導く~浄化するためあるのさ。」     -150p

・ゲルマン神話の深淵でも見ている目をして…「くだらない

ことしないでサッサと帰りたまえ。」影は闇の中、目をキラ

キラさせてスーッと去って行ったのだが、闇に紛れ際、天本

は一瞬動きが止まったように見えた。

・…二人とも路肩に吹溜っていた汚れで塗れていた、ふたり

に吸い付いていたかのような路上の汚れをパタパタと拭って

いた。

・「正義漢気取り、本気で殴りやがった。」

・…「本性、出たな…勘違いバカ」どちらともなくニタニタ

笑い出した。「ククッ…」

・「ハッキリ・くっきりオバカさん。」

・「…そうだな」「しゃしゃり出て」

・…「自爆だな、部誌オレもみたよ…学年一位で『皆、勉強

しすぎ』…?…笑っちゃうよ」

・「…ゆとり?和ッ?オマエの部誌…なんであいつが出てき

て、それも冒頭…」

・「…そうなんよ、自爆なんょ…ナンカ丸出し!」

・「秀才にも蟲の居所悪いときもあるさ…」「?」

・「…地元のくせに」…「あンなのが、生徒会?」…

・「ああ。…でもうちの文芸部、ヤリ手のアカ教師達と変に

対立してたから…」

・「部長殿は、重宝してたんだって…さ。ヤリ手教師連中の

受けががイイ、から」

・「有妃さん?…あのバカ、部長さんに最近コクってたみた

い…和田知ってた?」

・「へ~そうなんだ。そっちも自爆?部長のタイプじゃない

ョ全く」

・…「まあ、ムシャクシャしてたんだろう…長身逆三角・甘

いマスク・何でもトップ…好かれないはずがない…信仰。」

・「だが、振られた。」

・「ダガ。フラレタ、」…同音ユニゾン。

・                           -151p

・「判るよ、匂うよ…漏れ出ている」

・「見映え=命が、とある経典にすがった『黙示』と称され

る恨み節に…縋った。自身の信仰が全て裏目に出た予言者の

『喪ノ録』…見映えが陰ってゆく、でも信仰は揺らがない…

ますますハイに這い上がる。」

・…甲斐田は頷き…「文集…『和』の崩しに加担して這い上

がった本人が“和をもっと大事に…。…”然るべき結末は見

えてくる…信仰が裏目に出た予言者は煮えたぎる硫黄の窯を

ひっくりかえし煮え湯を全世界に振りまく…半端でほのかな

ナンチャッテ社会主義者二人に煮え湯と足蹴を見舞う。」

・…「…哀れな“見映え=命”に向かって『観るべきものを

観なさい…』…ぐらい…きっと魔女姉ェは言ったと思う。然

るべき当たり前を煮え湯に感じたのだろぅょ。どれだけ秀で

た理念でも、無闇に布教すると然るべきことになる…信者が

くだらないと…ナンチャッテ信者も育てられず足蹴・暴力の

“贄”にしか…しない。」

・…「ああ…」/「そうだ」…同相異音…二人とも、然るべ

き腑に落ちた。

・―有妃・卒業・消滅~冷黙

・                           -152p

・有妃が魔女といわれないようになった、有妃は有名になっ

た。悪名は消えたが有名は有妃にとってかえって負担の多い

名であった。「聖女」…意味の無い箔が付いてしまっただけ

だった、それでも有妃はしばらくは充分満足だった、妨害を

回避して、文芸部誌も刊行できた。…各々のライターは際疾

い局面を抱えつつも…尖ったりもなく・牙がムキだしになる

こともなく・強かな骨を折ることも曲げることもせず・有能

な爪を隠しそびれることもなかった。共感と一風変わった空

気感とで好評だったからである。…だが、際疾い局面は対峙

する…行間など無縁と言った勢力には届いた。…だから有妃

が襲われた…校内で、職員に。異所性の副腎腫瘍が刺激され

酷い高血圧で二週間の入院した。入院中、史澪は“ここぞ!

”とばかり、まるで冬眠のように昏々と寝た。…退院した

有妃をまっていたのは高校受験であった。バカでない有妃で

も二年半も丸々部活動していたため、史澪が志望した受験は

生やさしいものでは無かった。

・…文芸部の部室も文化祭以来…卒業式のこの日まで入るこ

とはなかった。

・…その日、久しぶりに能直に会った、ワダ。が一人部室に

いた、少しの間に、チビた能直が長身の有妃とほぼ同じ目線

になっていた。

・「ミオネエ…ひさしぶり。卒業おめでとう…それから遭難

事件からも卒業して欲しいんだ、…何処かでボクに死線を彷

徨わせたのは、ミオネエ自身だと自分自身に問い続け責めて

きたんじゃない?…そうでしょ。」

・…史澪は頭を振った、黙ってのNOだった。

・…「何度も繰り返してきても、また言うよ…ミオネエは悪

くない。…ミオネエがいなかったら三度は死んでいたんだ。

…だから、自由になって、ボクに対して何の責任もない。…

見栄えでないミオネエの器量、文芸誌の成功で沢山の先輩…

凄い先輩…同性として羨むような魅力、力量の人たちが、ミ

オネエに熱狂している…分かっているはず。もう、ボクへの

意味の無い責任なんて…」能直の情念が宙に舞った、周りの

大気が暖かくなっていただけの様にも見えた。

・「…」だが、有妃の心臓はどんどん冷え込んでいった、史

澪にとって文芸部誌の成功ははある意味を持っていたこと感

じ始めていた。…ブラコンが遭難事件を切掛に史澪は能直の

魔女になっていた。…能直へのブラコンが魔女になったこと

は不本意であった。部誌の刊行の熱源は擬似であっても、あ

のブラコンに戻りたかった。だが、そのブラコンにも戻れず、

禁欲の聖人に固定化されてしまってゆくことに卒業真際にな

って悟ってしまった。…「聖女なんて…愚者どもの贄…」

・「え?ミオネエ…」

・                           -153p

・有妃史澪は密かに自問する…

・“そうだよ、ボクは…”

・“…ワダ。を独り占めしたかった…独り占めできないのな

ら、いっそ…”

・“…この顔前の莫迦は、オンナの不条理を描いた作品をど

れだけ精読させてきたのか?”

・“ミオネエは悪くない?、なんの責任もない?…自由にな

って?…ガキか?”

・“ワダ。外皮は酷く熱いが、キミの心臓は凍死したままだ

ったんだね。”

・“…駄目だね…アア。”

・…「そう。」

・“凍って落ちた心臓、同士…この魔女が拾ってあげること

にしよう…”

・…

・有妃は能直に黙って、獲物でも狩るように静かに息を殺し

て近づいた、「…ミオネエ?」「…」

・史澪は能直の下顎を両手で優しく捕まえた…史澪の眼は獲

物からブレることはなかった。

・…しっかり捕らえられた能直は狩人の目を見ていた、微か

な息、冷たい呼気の狩人を…それはとても眩しく、能直の眼

は滲み痛み、開き続けるのが辛くなっていった、

・「ワダ。…大好き」「他に何があるって言うの?」

・…能直の汗腺が一気に開いた、狩人は獲物の渇いて冴えな

い唇を奪った。狩人は獲物の匂いを静かに嗅いでいた、卒業

生の胸に付けられた花のリボンが潰れていた、舌と一緒に史

澪は唾液を注いだ…冷めた唾液だった。どちらかの心臓は速

かった…凄く。能直は両手拳をぎゅっと握ったまま、舌が絡

み合い唾液が混ざり合った、能直はされるがまま。能直は史

澪から溢れる冷たい…漿液はペパーミントの味?ミネラルの

香り?がした…その汁を少しだけ吸い呑んだ。       -154p

・…すこし口角からこぼれかけた、…ほんの少し、刻が止ま

った…いいえ。このベクトルの時が静止しそのままにして史

澪は、能直の口の中の混合物を全部、吸い戻した。

・…「ワダ。…またあの遭難のように、飽き足らずキミを潰

しにかかる奴が出てきた。奴らの勝手な思いがキミを潰しに

かかる…魔女の名称を、気まぐれで聖女に暗号コードを読み

替えて…聖女に相応しくないワダ。…キミが排除されようと

している。」「学校は…学校の急進派は魔女の代わりをキミ

に押しつけようとしている。優等生どもがキミに危害を加え

ることが有ったのでないかと思っている。古い町並み・港~

水辺の町を邪悪な烙印を捺して一掃しようとしている。…そ

れは変わりない少し引き潮になっただけだ、じきにまた満ち

始めてくる。キミの側にボクがいること…意図してオバカを

演じるキミがいることが学校の…区内いや、都内の急進派と

優等生どもにとっては極めて邪魔のようだ。」史澪は獲物を

抱きしめたまま…

・「このままでは全てが燃え尽きてしまう、それもいいが…、

ワダ。凍ったままなくなってしまうのは絶対イヤだ。…誘爆

・延焼は絶対。」…「そう。…絶対。」

・…「ミオネエさっきから何を?…凍る?ミオネエが凍る

の?…贄?ミオネエが?」

・…

・「…だから!、ワダ。キミとはお別れだ、真の男になった

ら、ボクを奪いに来い。キミのお母さんから言われたことが

ある10人の敵を払いつつキミを待つ、払っている間はキミ

の被害はほぼ無いようだ…無いはずだ。…ボクは待ってい

る。」

・…

・史澪は能直の頬にキスをした。…し終えた瞬間、遠くで文

芸部の部員達の声が聞こえた、有妃が部室にいることを聞き

つけてたか、押しかけてきた。              -155p

・…部室にドット雪崩入った女子部員どもは大泣きしてい

た。さっきまでの聖女兼、魔女兼、女傑・冷徹戦士の有妃史

澪も一体何処に行ってしまったのか?…モミクチャにされた

有妃部長もかなり前から泣いていたように泣き顔で鼻を垂ら

し目蓋も腫らしていた。

・「先輩、凄いよ。一人で文芸部立て直して。」「東京砂漠推

進派ぶっ潰したし、聖女にもなったし。」「糞食らえバビロ

ン=トキョ。」…「糞食らえ中獄。」…「私、同じ高校行き

たい!文芸部…頑張るね、」「野生が香る和田君は私達で守

りますネ。…穴馬的にモテルし」「…先輩、大好き。」…

・…「…なぁに?…誰ぼ、おめべど…、は…言っ、てくで、

ないォ?…」

・…陶内、長渡、出口…仲山、菅原、御兼は異口同相、

・…「先輩。…卒業…、おめでとう…!」

・…「先輩卒業、おめでとゴザうバス!」

・…「先…卒業…、おめでと~デスゥ!」…などなど。

・すこし~チグハグ~ユニゾン。

・…そうして、有妃は去った。能直は卒業式の日、ピクリと

も泣けなかった訳が日を重ねるしたがって、時を追うにした

がって分かってきた。

・…卒業後も和田家の朱樹や能直は有妃家に出入りしたが、

史澪は帰りが遅く、祝日も家にはいなかった。何処か嘘くさ

く…高校の生徒会や部活を掛け持ちでとんでもなく忙しい…

ということであった。仲山茅夏文芸部はもっと過激になった

が、学校の体勢を揺さぶったり、共感に触ったりする事もな

く、若干2年のブランク…ただ能直にとって文芸部はスパル

タ補修塾であった。

・仲山文芸部は討論部=ディベート部の色彩も強く論争の手

法を叩き込まれた。もちろん能直は極めて不出来のまま仲山

は卒業した。だが部員たちは早熟の異端児が何を幻視してい

たのかは垣間見えていた、…新部の追加軸=ディベートもさ

ることながら早熟の彼女達から、和田の不得手な微積分・宇

宙論を、代数の掛け算・割り算のように肝心なところを叩き

込まれた。                       -156p

・…小学校からの課題でもあった割り算は陶内と長渡に「割

り算のプロセスは歌」と叩き込まれた、126÷5では…〈5

×2=10…126ー100で26、5×5=25…26ー

25で1…答え25アマリ1。〉…などとプロセスにメロデ

ィーをつけることを叩き込まれた。能直が三年の時は正式入

部を果たしていた出口董子と菅原寿椰子が部長・副部長を

し、部の活動は文芸と香道と料理研究…ロックと多彩で、皆

忙しかった。

・これに引き換え能直は勉強の苦手部分の調教を受けた、辛

くはあったが私塾講師達が嫌いなわけワケでもないしそこそ

こ得点のノウハウは獲得できた。不思議なことに通常のM

被虐嗜好者が獲得する活力の前借り―活力の借金をもたらす

ことはなく莫迦騒ぎ・莫迦笑いの笑魔の影は薄らいできてい

た。

・史澪卒業以降、能直は史澪とは殆ど合えず、史澪がストー

キング被害に遭っている風の噂しか聞かなくなってしまって

いた…それも加害者は決まってエリート教員や優等生だと云

う。とても気に障る事象なのだが…、史澪は会ってもくれな

かった、連絡の返事も…家にもいなかった。能直も成熟に必

要な集中力が乏しく勉強でも勉強以外でもとんでもない困難

事象が立ちはだかっていた…成人にも男にもなれなさそうで

絶望し、平均的で健康な男子~ややM属性の者は皆、誰かに

瞞されて馬鹿騒ぎしているとしか見えなかった…命と無関係

の消費活動。中学では重荷でも支えや防壁でもあった部活~

人脈は高校にはなく、能直は酷く孤独であった。…幸い中学

の様な虐めは高校にはなかった。

・…

・…何だろう、この見知らぬ人は…

・                           -157p

・…能直が中二、有妃の卒業から9ヶ月ほど経っていた。

・実時間が空周りしている様な不思議な眩暈があった。三賀

日…確か三日だったか五日だったかも知れない、母朱樹と別

居中の父が中津に来ていた、今だにどういう縁か分からなか

ったが有妃家の3人と和田家の3人が有妃の食卓を囲んでい

た。能直は数ヶ月ぶりに史澪の顔をみるはずになっていた、

…しばらく誰だか分からなかった、史澪は一人っ子のはずだ

が全く史澪らしくない雰囲気の女…大人がいた、とても綺麗

で凜々しい人ではあったが人を寄せ付けない堅さを持った人

がいた。…今まで、感じたことのない微かな息…冷たい呼気、

見たことも感じたこともない…まるで、狩人の様だった。

・有妃の父母もその女性をフミオとかミオちゃんとか呼んで

いたが言葉はその女性を素通りした。

・卒業式の日、能直の成熟を待っていた史澪から出てくるは

ずのオーラとは、全く異なっていた。…史澪がいれば、いる

だけでそこには引力が発生した、これに抗っていれば、ミオ

ネエが甘く髪が靡かせながら近寄って、甘く髪が香って…い

つのまにか能直は首なり頭などをしっかり抱き止められ絡め

とられていた、…その日の有妃家の食卓にはそんなオーラを

出す人物はいなかった。能直の眼の前にいた極めつけの美麗

の人は、ちっとも可愛くも愛くるしくもなかった。短くカッ

トした髪は燦々と光を取り込んだが魅惑的な影を作らなかっ

た…その美人の蔭は重く暗かった。眼に光りなく、ザラザラ

の黒いサンドペーパが張り付いていただけだった。

・二人の父は神官らしくそれまでの年中行事を祓うように…

雄弁に熱く語り合っていた。二人の父の言葉で時が動いては

停まり・動いては止まりしていた…正視できない眼の前の年

齢不詳の美女もその瞳に光りが灯ったようにおもえた。…父

らが何を話しているのかは二の次だった。それでも正月だか

らこそ・神官だからこそ話せるハナシだった…「歳神、…全

知全能、…大晦日、…お帰りになる、…歳神はいつの頃から

か円環しない、…時が直線、…絶望的終末、…気が付くの

か?、…虚空を漂う時間、…抗い続ける生命、…証明。」…

史澪・能直、二人がとても気になる言葉たちが宙を舞ってい

た。二人の母は静かにそれぞれの夫を見守っていた…とても

よく似ていた母同士だったが、何処か…何か決定的に違って

いた。                         -158p

・能直は久しぶりに父と会って、どんな顔をしていいか分か

らなかったし、フトしたことで怒り出すと止まらない父でも

あったので、本当にどうしていいか分からなかった、二人の

母は父たちの話が滞ると、二人で別の話をしだした。だがブ

ラコン・シスコンの姉弟のような距離だった二人の話は一切

しなかった。

・…二つ。能直はこの卓の6人からでている線の中にとても

良く似た線―ビーム放射を二つ、感じていていた…そう、6

人が作るそれぞれの線、その二つに硬く冷たい線があった。

・…能直は突然息を呑んだ。愛と呼べるものだったかも知れ

ない、でも、何処か冷たく、きちんと距離を保っていなけれ

ば粉微塵…跡形もなく消え去ってしまう…あるいは呑み込ま

れてしまう、少年の能直にとってそれは愛と程遠いもの、全

く処理ができないのものでもあった。ひとつのビーム放射あ

覚醒時に冷たい線…それが遭魔を過ぎ夜が更けてくると別の

貌になる、二面性…能直には二面は確認できた。一つ目の線

の発信は朱樹、もう一人は史澪であった。

・…そう、一つ目は能直の母がその夫に、アイスビームを向

けていた。

・…もう一つのビーム放射はうつむいていた女からでてい

た、視線をあげてこない女は眉も眼も何気に吊り上がってい

て、渇いた瞳は硬く、愛くるしい微かな垂れ眉美女…有妃史

澪らしい気配は全くなかった。能直はどう考え・イメージし

・自身に言い聞かせても…そして能直の記憶断片…古い大き

なおもちゃ箱の中身をひっくり返しても…部長・有妃・史澪

・フミオ姉ちゃん・ミオネエ・有妃部長・史澪先輩・聖女・

女傑・冷徹戦士…眼前の美女にどんな名を付しても激しくは

じかれた。

・…だが、中学時代、風に聞いた、魔女・雪女…少し近かっ

た。夢か何処かで拾った…か、誰かのデジャブ、微かな息の

冷たい吐息の狩人…これは遙か遠かった、その凍てつく冷気

はハッキリ能直に向けられていた。            -159p

・朱樹・史澪、二人とも世界が昏くなり陽の覚醒が大地に隠

されるのを忌み嫌った…母朱樹が能直の父に向けていた二様

のビームの中身はハッキリ分からなかった、朱樹は毎夜、父

の名を呼び能直にしがみつくことと絡み合っていたことと薄

っらと関連があるように感じていた。…史澪が能直に吐いて

いた冷気の中身は…自責感、それとと何処に向いているのか

分からない、こころの芯が冷え込んでゆくようなものを能直

は感じていた。能直はあの卒業式の日、史澪に語りかけた言

葉が全部、がっしりと氷山に封じ込められたままになってい

たこと知らされた、能直が乞うた遭難事件からの卒業…それ

が…“全く挿っていなかった…”のだった。

・…五人の視線…特に史澪を見て朱樹は、遭難以降の能直が

最後の死線を彷徨っていたあの時…二月二五日、誕生日どこ

ろではないあの夜…。二人の史澪がいて一人は寝室、一人は

冷たい風呂場にいたことを思い出していた。…“冷たい湯船

に居た史澪がふたたび、立ち顕れている… ”朱樹は合点し

た。

・…

・帰り際、能直は腕を曳かれ史澪の部屋に引きずり込まれた、

その間、能直の手は痛いくらい握られたままであった。

・目は物語っていた。史澪の周囲・環境で彼女を雪女や魔女

といわなくなっただけで、自分の中にある魔性・深淵を有妃

は決して許してはいなかった、…それは史澪自身の思念なの

か、これまで読み重ねてきた物語りの情念からか、それは全

く分からなかったし、大きな弱点だった。

・「ワダ。…ゴメン、卒業式のこと、ボクは変わっていない

し変わらない…この複雑怪奇なボクの振る舞いを許してく

れ、そして頑張ってくれ、ワダ。がもう少し年を重ねないと

分からないもののようだ…特に男子は…ボクも女として座礁

している…だが目指していることは変わっていない、ボクも

頑張る」雪女は語った。史澪の部屋は冷凍庫のように冷たか

った。

・「…ミオネエは死んじゃったの?僕が病室で微睡みと眠り

を繰り返していた時…あの時の別のミオネエ…雪か氷に押し

つぶされた誰か…だよ」

・…史澪は哀しく笑った。「違うよ。」…本当、の寂しさが

辺りに香った…絶望だった。

・遭難以降、能直の異能は遂に回復して来なかった、史澪は

その力を何かに押さえ込まれた様な気がしてならなかった…

同時に…それ以上に、それは史澪自身のから滲み出ていたも

のでもあった。                     -160p

・…

・能直は“あァ…魔女、に嗤われた…が嗤った ”

・…能直の直前の「別のミオネエ」の発言は…“滅びの辞

”…能直は自身でその封を切り戸を開いてしまった。

・…能直はもう取り返しがつかない…そう確信した。絶望。

…“本当に終わった…全てが消え去った ”誰かにかなり大

きなモノがついている、そう、憑依されのだった。

・…父は、干磯に戻り、朱樹と能直はマンションの階下の自

宅に戻った。…母と子は何も語らず深夜を迎えていた。

・「ナオ…何があったの?」

次巻、(17)有妃・卒業・消滅~冷黙の続き160pからです。

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