本編:常魔法-微睡み-いぬ:その7:(24)-3の続き、夢魔・死神も兼ねる 240p~ (33)慈雨・再び湿った風が漏れ出るように流れ込む・逢霊 ~280p
…”トリガーはナゼ?”…。…互いに贄を拒絶する嗅覚特化の…常魔法者たちの長い~ハナシです。
傷心でボッチの能直クンですが…不器用な史澪さんは史澪さんで、彼を贄としないことを貫き・格闘しています。・・・おそらくそんなこんなで天候も不安定で…きっとそれとは無関係なのでしょう。…日常場面の中に不安定な冥界~幽界…あるいは死神・夢魔…そこを行き来できる界賊たち・こころ優しい闘病者が、ミカエリ~贄も取らず…心配し寄り添ってきています…。…余計なお世話というより…、同じ目の高さ~同じ密度での共感が自然発生…<似た羽は寄る>…重力の二次作用が発生しているみたいで、・・・もしかして摂理神や悪戯堕天使が彼らに気がつかないのは、“おなじ-たかさ”の霊格がいないのかもしれません…ボッチとは本質的に違っている孤高・孤独なのでしょう。
コンテンツ:
(29)-3:夢魔・死神も兼ねる…リサイクル店員の深層心象 の続き240p~ (29)-4:時の鬼<トキノカミ>・時の魔…<リサイクル>店員…集合的統合失調症の心象240p~ (29)-5:界賊・境魔…時を超えて集合する複数の心象…みな語りたがる…(ヤサシイヒトハ聴コエテシマウ)242p~ (30):甲斐田麻生・再開…夏なのに夜空は高かった247p~ (31):欲・本智-命の本義、精霊と幽霊(雨後、橋の袂)256p~ (32):荒れた雨足が遠のいた…という慈雨~秋雨のころ261p~ (32)-1:歌(出口に歌)261p~ (32)-2:珠揺ら、時芽く(歌その2)262p~ (33):稲荷橋という橋の袂266p~ (34)慈雨・再び湿った風が漏れ出るように流れ込む・逢霊275p~
本文中には(29)-3、(29)-4、(29)-5、(30)…のようなナンバリングは編集上の都合でありません…御容赦。
・
・
・――――時の鬼・時の魔…店員…集合的統合失調症の心象
・
・
・
・…「彼ら、時の矢の人々は私・いいえ私たちを、カイゾク
と呼びます…海賊と当て字をしています、私たちはカイゾク
です、…どうしても当て字が欲しければ界賊なのでしょう
か?。残り物に福宿る…リサイクルに幸あれ。オリエントの
覇者シュメール人は神々の諍いにうんざりして海オケアノス
に没します、海の民になりその神話を語り継ぎ終わります、
神格返上です、それは陸のモノサシでは滅亡にしか見えてき
ません…。」 -240p
・「でもです。シュメール人は元々海の民でしたから釣り針
と雨壺を抱え漁場を求め漂泊します…海と山が美しくせめぎ
合い漁場の多いこの国で海の民は共存を続けています。モノ
サシが変われば最果てのオケアノスは普通に豊かで多様な漁
場なのです。」
・「私たちは今の居心地の悪さ―競争やら一元性を忌避し中
心から去り、辺縁や境界に寄り添い、時に乗り越えます、最
果てにはゴミ・クズと称されるものが集まります、いつの世
も何処の世界にも…異世界だってそうです―最果てにはゴミ
・クズと称されるものが集まります。それは仮称ごみ―似非
ゴミです。」
・「…似非ゴミは中心を離れます…行きつ戻りつしながら…、
一方、真のゴミは中心からピクリとも離れません。ニライカ
ナイ―常世…即ち、浮世の真逆の神界は中心にはなく辺縁に
こそあり、時も潮のように満ち干するだけです。ものを作る
とき・何かを為そうとするとき、試行錯誤・反復的な行きつ
戻りつの、見た目の非生産性は担保しないと立ち行きません。
また、いざこの試行錯誤の結実があからさまに公開されると、
要請され・必要とされるのは時間軸の一方向性です。競い合
いにルールの行きつ戻りつ・試行錯誤のような、あるいは競
技進行のタイムスケジュールが一方向でないと競技は破局的
大問題です。」
・…「恐らく、何処でも境界~界面の近辺は時と縦横高さ
三次元と時では説明のつかない多元空間です、界面から離れ
た真空・自由空間では時と直交三次元…必要とあらば回転軸
ベクトルで事足ります。…境界~界面付近…喩えると穏やか
な…穏やかにも拘わらず…地球の地表付近では、…地表の制
約ならでは不自由、不自由故に新たな次元を創ります。まず
生物です、分かりやすくすると植物では揺れる枝です、動物
では自在な関節です。小さく、生物の細胞では細胞膜―境界
膜その近辺では、時と直交三次元下で説明される剛体とは異
質の柔構造で構成され、時と直交三次元では完全に説明不能
です。…もっと縮尺を粗くすると個体どうしの相互作用です。
だれもが人間関係や社会組織が三元+時とは思いますまい…
界面の妙なる処です。」
・
・「界賊故…」 -241p
・…「界賊は競いや時の一方向からの斥力に敏感です。…そ
れと漂泊物は何時か何処かの部分で大事な繋がりを担保しま
す。…だから摂理の一方向性が澱む反復的時間からの引力が
発生します。引き寄せられるのが界賊で引き寄せるのが時の
神です。」「時節・世代に亘り・飛び越え、あなたを…幼か
ったお母様を…隠したのです。…似非ゴミは中心を離れます」
「これによって、一方向性の摂理は、迫害対象となりうる和
田母子を見失うわけです、…多元・多様に隠れることです。
…時の神は多面、摂理からの眼差しは死神でもあります…ゴ
メンナサイ、死神はベールを持っています…迫害される対象
が遁走するときは死と隣り合わせ~あるいは死そのものとな
らざるを得ません。…偶々、幼少の母、戸波に引っ越したあ
と数日、並びに小五からおよそ一年半極めて不自然な昏睡を
続けざるを得なかったわけはあるのです。」
・…
・「私たちというのには、私たちが数多の似非ゴミだからで
す、いつの世も何処の異世界にも摂理から弾かれる・疎まれ
るものの集合体です。こうしてあなたに語っている人となり
も実は時を超えています…その記憶も衛星軌道上で人工衛星
のリサイクル・修復を生業にしている人間の夢の記憶です。
…信じる~信じない・人として纏まっている~纏まっていな
い・一つの時空に纏まっている~纏まっていない…故の“私
たち ”です。」
・
・
・――――界賊・境魔…時を超えて集合する複数の心象
・…(ヤサシイヒトハ聴コエテシマウ)
・
・
・…語り部は和田能直の夢の中に、リサイクルのじいさんが
残した異和感から発すると思われる夢を纏めてみる。夢の実
体はもっと複雑で雑多で非言語的な断片の集合体なのである
が、弁別・言葉での表記不能部分は省略するか別の場所で反
復~反芻させて貰う。
・
・ -242p
・…錯綜する夢から…目覚めたばかりの能直の頭は夢~現の
世界にあった。
・「…中一の文化祭前、展示を巡ってミオネエと主任がもめ
て結果、ミオネエが入院するくらいの暴力行為に及んだこと
にされた…でも目撃は誰もしていないとされるがミオネエも
ぶん殴られていた…っけ…人事不省のミオネエは救急車に運
ばれて、…鞄投げたオレをショッ引いてグーで小突いてあら
ん限りの…」
・「あいつ…そう!。あいつ、全部オレが悪いことにしたん
だ、文集自体も。圧倒的な力の差でオレが悪いことになった
展示中止に持ち込んだ…そう呑みこみかけたが…そう、癪だ
から、呑む代わりに『魔女』がどこから来たのか…オレ聞い
たんだった…」「ルートは仲山茅夏先輩の呟きじゃ無かった。
…『創世記だ…』って…。権力酔いのごり押しのつもりで…
やっぱりあれ本性だった。」「最初から分かっていた…だか
らあいつに虫酸が走っていた。」「…謝罪文まで書かされた
が、最後は…おれは全くお咎め無し、事後に介入した文芸部
顧問…元一中校長先生と学年主任の双方の処分で収まった…
んだっけ。」「…なんでオレあの時、異様にものわかりが良
かっただろう?今から考えても分からない。」…「統合失調
症の古守玄機たちは、夢で誰かがオレに超絶的分別を誘導し
ていたと伝えたかった?…」「誰にも…オレ自身にも…誠実
だって?オレが?…エ?…」
・…?
・いまも…。度々幾度となく現れてくる…夢見やそのあとに
忍び寄る…不気味な影、巨きな力で何かが歪められて行くよ
うな…、急な温度低下、形容のしがたい重たい空気は寒さに
似たものをいまも感じている。恐らくこれから何度でも…。
・…ヴオーディンは言う「おまえら、大人しくしていろ。」
黙示録もいう「大人しくしていろ」「そもそも悪魔も魔女も
光りもビックバーンも拵えたもの…初めからエンコード…憑
依あるいは啓示の読み違い、些少されていた…結果がまとも
なわけが無い…酷い終末しかない・来ない。途中のプロセス
では巨きな力を集約するのは成功するのに…そういえば癌の
転移みたいにこのセットを真似する巨きな徒華も居るな…原
発巣より質が悪いのも世の常…」 -243p
・拵えたものバーチャルに生きるのは中二病だけでは無い…
中二病患者はせせら笑う一神の摂理もしつらえられた形而上
構造物。…中二病はあるがままのものを円環的に解読するエ
ンコードで、幸い今のところ終末が見えてこない。…能直は
少しだけさっぱりした。昨晩、週明けの予習もした…という
のもあった。ナゼを考えないと出てくる余力だ…。
・
・
・…
・
・…次の月の休日の朝、
・…近所のディーラーに故障車が運び込まれたキツイ金属臭
は2日経っても拡散してこない…となりのキッチンから、埼
牧ハムとヨード卵のハムエッグ、バターも上等、トーストも
こんがりいい匂いと母の気配と一緒に能直を誘惑した。
・…食卓には、修正すべきテストの答案が母の元に纏められ
ていた…。「ご飯済んだらやるよ!」
・…赤点もあった。
・
・…ぁ~… 。
・
・能直は溜息を吐く。…“また眠くなりそうだ…”
・
・
・朝の食事を済ませた、結構食べた。纏められたテストの答
案を抱え持っている内に、…目蓋が緩んできた。
・…
・
・
・
・…死神らしい―夢の演出家が、浅い微睡みの中に割っては
いってくる。(…自問自答かも知れない。…)
・
・
・
・(手に負えないものを手放してはいけない―でも本当に手
に負えないものは、受け容れるべきでは無い…あるいは強か
に棲み分ける=そう、嫉妬されないため)
・…答案なおせって? -244p
・(…キミの迷滅~明滅は終わる…彼らも、だろう…)
・…なんだい?小難しい…
・(…聞いてみてください。彼らにその主に…)
・…?エッ…
・…「辛うじて勝ち戦をする…でもどうしてキミタチ・ソノ
主は幸せで無いのだろう、ナゼ妬みが発生する?」
・「…戦いを創めることは出来てもどうしてその終結が下手
糞なんだ?」
・「罪を感じることはあるだろう…そこから逃げだしたこと
は責めない…だが殲滅仕切れるものじゃ無い、つけ加えて…
出来なくてもいい、そこに留まり罰と思われることにまみれ、
死に切れなかった人と共に生きる選択肢は思いつかなかった
のか?」
・「呪いをかけるとき呪い返される~呪い返しを受ける選択
肢は思いつかないのか?」
・「うしろめたいと思ったことはないのか?」
・(…と…。)
・(ところで、キミの迷滅も終焉する、その代わり大好きな
人が抱えるキミの記憶が薄れてゆく、その大事な記憶がヤツ
ラの大好物。キミも大好きな人との記憶も亡くなってゆく
解離…死よりも辛い解離。…覚悟はあるか?キミの大切な自
閉的Aの空間が滅ぶことだぞ。)
・…
・(何故かは分かるだろう。巨悪、ならず者大国が仕組んだ
大仕掛けな個人攻撃、キミらの“ナゼ ”は酷く低確率だが
ならず者の根底を潰し壊しかねない。仕組まれたエンブレム
・トラップ・返済~返り討ちが隠されている呪い・燻り出し
・挑発・万人が靡く優秀さの闘争・ドライブ…そこから解離
・離脱するほうがいい…目立つな、と私―死神は提案する。)
・ -245p
・…(一時的記憶の夢散・虚空への撤退は痛いが…、大仕掛
けな策略を躱すために・隠す、それでヤツラは終焉する。そ
れから、キミの資質・備え・保護者~守護者たちの提示する
環境が無ければ夢空間は統合失調症のように荒れる。…内に
秘めた憧れの女性の全喪失―【記憶に加えて、君自身の我執
・香りからの誘惑・虚空からの復活、これらすべてが全損失
する】…私もこんなに穏やかではいられない、キミ自身もヤ
ツラも彼女達も…。こうなると発症が確定だ。…一時の記憶
の夢散は辛いがさしたることではない、…つまらない普通の
日常が戻り・繰り返される。…実時間の中では破局…虚空の
内では月並みな明滅―死滅していない。私とキミは病の床で
往き来する…そう、してきた。引っ越しの日の熱中症のよう
に、凍死し損なって二年弱生死を往き来したように。命ある
故に、この往き来は陰るし辛いが死滅はしない…しばらく居
心地が悪いだけ…しがない実時間が始まる。)
・
・(さて…、)
・(自閉者の多くは豊か、虚空を往き来できる…はず、豊穣
の先のユウレイ~精霊にもになれる・出会える別れも出来る
…周期さえ分かれば自在…そうすると、記憶の再会でもその
実時間の再会・出会いもっと篤い有妃と冷血オンナを解離さ
せることも不可能ではない。)
・(虚空を識らないヤツラは実時間しか分かり得ない、嫉妬
に燃えること無く出来の悪いバカを罵る…深淵の中嫉妬でき
る対象を探し続ける。深淵・黙示録の後半が開く…もう開い
た。若者の純愛を嫉妬してスケープゴートして茶を濁す…意
味が夢散。…察しの通り有妃は解離を選んでヤツラの嫉妬を
躱そうした。…反復周期は彼女の寿命より短いことに“彼女
は賭けている ”そうなんだ、…みんな言い・語りたがって
いる。時の鬼・リサイクル副店長古守・集合的統合失調症人
格…)
・…
・「私たちは無分別、バカの汚名~清貧の中~キミらの言う
ゴミ・クズの中で活き生きる~そんな異世界・無毒・無害・
無芸・自閉A世界―オーティズムがとうに大多数になってい
る。…分からないことは山積み…なんという法悦。どうだい?
摂理?」
・
・
・『…そうよ私よワダ。香気武者。いつか貴方のイヌになっ
て貴方を独占する、占有よ…いつか、イヌの主に…』…『な
って。』…『今、じっと我慢、ヨ…』
・
・ -246p
・…何?…。内に秘めた異性をもう一度支え直すことが出来
れば統合失調症は治る…ってこと?…(内に秘めた異性を諦
め、固着したら治らない…けど、幾つものルートで大方戻っ
ているでは、ないか?…幾つものルートで)…エ~~、?!?
・
・
・
・…そこで目が覚めた。
…!
…初めて…母が傍らに居ない早朝…“漏らしていた”のに
気がついた。
・
・
・
・
・
・ー甲斐田麻生・再会…夏なのに夜空は高かった。ー
・
・
・
・
・
・…「ワダじゃないか?」…「オーゥあさい。久しぶり、元
気か?」…「ああ、元気だが寝不足…かな。少しやりたいこ
とが見えてきてな…きちんと探したいな…って。」「爽やか
でナンカいいじゃん!」「?ン、そのしたいこと…莫迦の俺
に分かることか?」「ああ、バカで好奇心一杯のおまえなら
分かるだろうサ…きっと。」 -247p
・…「ワダ、きっと今でも苦労しているんだろ…あのおまえ
の“ナゼ ”と…」「ワダ、おまえの莫迦とナゼはとても参
考になった。」「おまえのナゼ―WHYとドノヨウニーHO
Wは大元から目指すモノが違っていた…例えば得点だ、おま
えは『ナゼ得点か…』を考える、憎たらしき暴力天本は『ド
ノヨウニ得点か?』をあからさまに考える。…だから天本の
社共の認識も歪む」…「何処の先生も口々に言う『ナゼは大
事』だと。」…「でも、俺はワダの莫迦をみて…学んで、“
ナゼ ”は時々使うことに…いつの頃からかするようになっ
た。」
・「でもな~、ワダ、何かきちんと探したくて…何かとって
も大事なことがチラチラしてくるんだ…ナゼをチョビッとだ
け想うと夜空の星のように瞬くんだ…!」
・?…
・「まあちょっと待てワダ、他人に分かるように整理するか
ら…」
・…
・…「あ、もう無理!」「でも、やりたいこと、きっと莫迦
なおまえの“ナゼ ”の延長だから、整理してなくても、い
いかな?」…「オ~いいぞ、」「…、ワダ、ビッグバーン、
おまえ知っているよな?」…「少しはなアサイ…なんだっけ
高性能の大気圏外の望遠鏡でも…、空気がないから遠くまで
凄く鮮明で、色んな観測をしていたら遠くの星ほど赤く見え
るんだろう?…」「赤方偏移な」「そうだ、だから遠い星ほ
ど速いスピードでここから遠ざかっている…ドップラー効果
―遠ざかるモノは波長がゆっくり・長くなる、音では低くな
り、光りでは赤くなる…さて今の時を遡ってゆくと大昔に宇
宙は一つの点に凝縮されていたことなる。…そこから先~前
は時間はない。…ホントか?あさい?」 -248p
・「…実時間な。」「物が複数以上あると、クッ着くか・離れ
自然と乱雑さが大きくなってゆくしかない、今ある大方のも
のはクッ着いてしまって、残る一つとなる。…ワダの部屋も
散らかってきてるだろ?…実時間はそこの処にからまってい
る。」「なんだい実時間って?あさい。それに世界は“何で
”そこから先―過去がない?…自然ってなんだ?…ものが一
個だったら?マイナス―負の時間ってあるのか?」「それに、
あさい。虚空時間でもあるのか?」「虚時間な。」「まあ焦る
な…ワダ、おまえ、相変わらず面白いな“虚空時間 ”か…
それに、ビッグバーンの“先 ”の刻…ねえ…」「あさい、
虚時間って…数学の虚数?…それを二乗するとマイナス―マ
イナス時間になるとでもいいたいのか?…」「ん、ああ、そ
うだよその虚数。もうすこし言うと4乗すると“元に戻る”」
「夢で知恵者・変わり者・悲鳴・異物どもが謂っていたやつ
か…」「知恵者?」「ゆめ、夢って…ワダ、おまえもやりた
いことみつけたんか?」「…いやそっちの夢でなく夜見る夢
の方…」「ン?…かーちゃんと一緒になって相変わらずそっ
ちも夢か?…ワダのカアチャン変人だけど超美人だもんな
…」「うっせいな。それより実時間…マイナス時間って、あ
さい?…あるのか?」
「分からん…。無いみたいだ。ビックバンのはじめ…取り
敢えず時刻0近辺ではとてつもない質量かエネルギーがほぼ
1ッ点に集まっていたことになり…」「あさい…“…何で
”マイナス時間って無いんだ?何で?」「…そうヨ。可笑し
いよ…でも、そこから大爆発よ…。…あさい、おれに言わせ
ろ。…ビック~ゥ…バァ~ン~!。」
・…?…能直は辺りを見回す。
・「…あれ、あさい…可笑しくないか?そんなに小さいとこ
ろに質量やエネルギーがあったらその自重…その引力…万有
引力で出てこれない…ンじゃないか?」
・「ワダ、相変わらず可笑しなやつだな…で?それから?…」
・「オレ、詳しく知らないけど根本的な四つの力―重力・電
磁気力・α線をだす核崩壊~強い相互作用・β線を出す核崩
壊~弱い相互作用の四つの内、初めに出来たのは重力なっだ
ろう?」
・「そうだ。」
・「重力って質量があるから生まれる力だろ?…質量が重力
場を創るんだろ?で、引力が生まれるんだろ?」
・「そうだよ、ワダ、」
・…「だったら宇宙が生まれる前に引力で出てこられずブラ
ックホールになって萎んで消えてしまうんじゃないのか?」
・「…さあ、な…一つの仮説だ」…「もう少し正確に言うと、
もし…質量が現れると重力場を創って良いという約束が生ま
れた…それを採用するしかなさそう…二つ目の仮説。…でも
…」
・「でも、なんだ!あさい。」
・「俺はなぁ…ワダ、どちらの仮説も正しいような気がする。
莫迦のおまえのナゼと、世間との居心地が悪く。天本の『ド
ノヨウニ稼点スル…か?』とは、世知は辛くも同居する。…
天本のはきっと実時間とも同居する。…おまえの妄説も通説
も…稼点ではともかくどちらも間違っているとは言いきれな
い。」 -249p
・「あさい、おまえ理系―電気だろ?どっちも正しいなんて、
俺や母ぁちゃんみたいなこと言うなよ。」
・
・「おまえだって理系だろ?薬学部…あそうそう、理転がん
ばったな!それに合格おめでとう。私大とは言え一浪ではい
るなんておまえホントの莫迦だったんだ…取り敢えずおめで
とう。」
・
・「あ、有難う…それより…」
・「ああ、続けよう。…そうだろ?可笑しくないか?どうだ?
ワダ、面白くないか?…世界って敢えて面白くできていない
か?」
・「何処ぞのオエライサンが創ったか?ジャナク!ッテ!…。
その有り様を俺たちがどう面白がるか?」
・「ワダ、おまえやっぱり莫迦! バカの微塵もない偉いお
方々や実時間上の稼点がリアリティーの方々は、実時間上で
の思考実験の延長では、この世界の有り様に―ブラックホー
ルに飲み尽くされる―恐ろしい未来しか描けない…か、宇宙
が拡がってしまってエネルギーも粒子も星も存在し得なくな
る―寂しい未来しか描けない。…偉い人はそれに気が付いて
死んでしまう。」
・「ああ、ワダ、俺。少し見えてきた。…俺、何が見たいか!」
・
・
・…「アア、あさい、俺も見えてきた…、狂ってしまいそう
だ、何やら頭の中で幾つもの俺がクルクル回る…異和感・異
物感は…多分無い…孤高の“一人のクルクル”は危ないが、
観察者甲斐田麻生―あさい、がここにいる…少しだけ発病の
危険が少ない…万一変になったら逃げろ…」
・「?…なんだよ大丈夫だよ。ワダ、俺にハナシを続けさせ
てくれ。」
・「ワダ、俺は実時間で見ることの出来る世界の果てが見た
い…あるいは実時間上に垣間見える虚時間~虚空時・あるい
は虚空を持て見たい。」「おれは直観する。それを見たって
自殺などしない…孤高の摂理神など…存在は認めるが俺は八
百万も信じる。…俺は可笑しいが止まらない…。“ゾ!”」
・ -250p
・…甲斐田麻生は能直がきこえるように小声でブツブツと…
ハッキリと独り言をはじめる…実に、可笑しい。
・
・…「ワダ、俺…、亜光速のステーション…もちろん無
人・目指すは北極星がいい…そこから、子供ステーショ
ンを打ち上げ―亜光速にまで上げ北極星を目指す、互い
に出来るだけの情報をヤリトリする、そのヤリトリ情報
を本土(地球)からも観察できるようにするのはどうだ?
…本土から子供ステーションは特殊相対性の時の歪みゆ
え、永遠に赤方偏移を続ける子供ステーションしか見え
ない。子供ステーションから地球本土を見ても同様に永
遠の赤方偏移…だがステーションと子供ステーションと
のヤリトリは本土からでも覗いて見られるかも…それは
永遠の青方偏移ではない世界が見えるかも知れない、…
なにがどんな風に見えるんだろう。」… 「 孫ステーショ
ンでは時間か空間が裏返ってしまうのだってあるかもし
れない…どっちともないかも知れない…一般観察者問題
と考えてもいい…ウンウン~そう、ン。」
・…
・…「分かった、…俺は分かったつもりになってヒートアッ
プしている、あさい。…でも一般観察者問題って?はじめて
聞くぞ」
・「ワダ、ハナシが飛んでしまって、済まない…でもお互い
様ダゾ。…上手く話せないまま、だが、俺は、おまえの所為
…オマエがとなりで傍観していた所為で、ナンカ垣間見えて
しまった。…感謝だ。」
・「また、行き詰まったら現れてくれ~俺からも会いに行く。
感謝だ。…じゃー香気武者。」
・
・
・…イヌの遠吠えが聞こえる、大型犬だ…何処か狼っぽい、
…パトカーのサイレン~悲鳴?にも似てもいる。
・
・ -251p
・…「ちょっと、まま、待った、あさい。…おまえ…何を見
たい?何を夢みているんだ?…『偉い人は…その悲惨な夢を
見て死ンでしまう』…おまえは『見たって自殺などしない、』
って…どうしてだ?おまえの家、たしかクリスチャンじゃな
かったか?…古典物理―熱学の成熟期、熱学に宇宙の終末像
を重ね合わせて自殺したのがいたろ…摂理信仰の終末は熱
死、あるいはブラックホールみたいな…黙示録みたいな…ミ
ンチみたいな圧死、クリスチャンだとすると育った神話って
なんだ?、何処で八百万を曳きこんだ?…おまえの神話、お
まえの神話の神…きっと神々には何が見えている?神々の代
わりに何を見ようとしている?誰が誘導する?…」
…「あさい。…それは俺の香気武者の所為じゃない。俺の
所為でなく…あさい自身が神話…が関わりたい対象へと導
く、大きさの差もない、支配も服従も極めて希薄…パワーの
格差も無い…人と摂理神との圧倒的格差神話じゃない…そう
だ。人と数多の神々=文化英雄達との極めて低格差―ほぼ対
等…つまり宇宙開闢も~時間概念の発動も極めて低エネルギ
ーで…圧倒的ちからジャナイ…。誰が教えるでもない…強制
するでもない…赤子が乳首に吸い付くように…まるで母と子
が互いの関係を対象として遊び・遊ばせながら共に造り成っ
てゆく産土的神話。…知恵の原初。…そうだ、そんな神話・
眼差しで摂理が一方的の創造した宇宙をさりげなく傍らに置
き…オレの莫迦みたいに…密かに抗っている…微かに抗いな
がら宇宙を読み直そうとしているのはないか?」
・
・…「…なんだい?…、ワダ…」「神話という対象~信仰で
ない対等の対象。…ともに歩んでゆく関係?…。宇宙開闢も
対象…物理学者の観察自我ともに歩む…行きつ戻りつ、宇宙
開闢も対象…とでも言わんばかりじゃないか?自由時間~自
由に往き来する虚数時空のように遊ぶ?…共に遊べるのか?
…神ならぬ物理学者の自我が独り遊びし続けるだけではな
い?…くそ真面目に直進しかできない摂理神が規定する実時
間だけが…時間の全てではない?…とでも言うのか?、おま
えは誰だ。ワダ…」
・ -252p
・「…それに宇宙は観るものの神話に合わせて…唯一神の神
話で育った観察者には、それなりの、宇宙は唯一神神話の開
闢と終焉を見せるというのか?…摂理がそれを見ることを強
制するというのか?…だが、ワダ、おまえはそれを見ない、
…それが可能性の全てではないのを既に身体で感じている。
虚時間~実時間はおれ=甲斐田麻生のコトバの“アヤ”とし
よう…だが、その摂理的指定を…傍らに置いて、誰かに見守
られながら…楽しそうに堂々めぐりをしているようにみえ
る。…自殺した物理学者のように運命の~確定のサイコロを
も振らず…堂々めぐりのなかで解決しようとしているように
さえ見える。…自分も周りの対象も観察者もその終末でさえ
も…その中で決着しようとしている…ようにみえるのはオレ
=甲斐田麻生がへんなのか?」…「2 年もの間、“寝ていた
”のはその所為か?」
・
・
・…「おまえは誰だ、本当にワダ、…か?」
・
・
・…「俺はワダ、ヨシナオ・あさいのダチコ~」
・
・…
・「だがアサイ、オレそんな難しいこといってないぞ…。」
・…
・
・
・…「ここの所、正直混乱はしている。だが侵略・蹂躙され
たりにはなっていない、…この国が壊れていないということ
だ。上からの巨きな力にも潰されず、HOWのみの奴隷にな
ることもない。…オレは和田能直、何故なら生来的にその種
の闘争には気を遣っていた…あの変わり者の母を見ていたか
ら…目立たない普通で秀でた人だ、混乱した上で類似・類比
をオレもかなり可笑しがっている。…オレは、だれかの叡智
や眼の前にあることをひらがなで考え解析して柔らかに纏め
る知恵をそのまま流用できる…もちろんだれかの叡智はひら
がなで組み上がっている…きっと、 “ナゼ ”の力が大きい
のだろう…そして“何故 ”の非生産性と…稼点力の無さも
充分学んできた。」「だから変だ…勤勉でもない・闘争にも
無関心だ、故に母は言う『莫迦だから統合失調症にも成れな
い』と、でも俺はオレだ。…ワダだ、だからだ、オレとだれ
か達の叡智は共に、時間をかけてゆっくりと育つ。」
・ -253p
・…「あさい?奇妙に思わないのか?…数千年?ここ十五年
の間でさえも摂理神は変わっていないではないか?…あるい
はどんどん幼く凶暴~先鋭になっていないか?」
・
・「あさい?…摂理が大陸の東西・新大陸でここまで綻ぶと、
客観…一つの方便、客観これも神話…光とか電磁波を受け取
るのはともかく投げての観察…客観?…唯一客観?ホントに
客観?光・電磁波を投げるって言ってみれば投影を前提にし
た観察…もう客観じゃ無く純観察にもなっていない…行為そ
のもの…雷を投げて世界を拵えた多くの摂理神の果てないグ
ランプリ…そして統一されつつある、投射的観察の精度を上
げるなら電磁波の振動数増やしてゆくしかない…増やすため
なら莫大なエネルギーを使って電磁波を創ってゆくしかない
…果てないグランプリをを無碍なことはしないでも純化はも
うできない。」
・…
・…「あさい?」
・「…①~っ。…特殊観察者問題、即ち=観察者がいるから
~観察者がモノ投げるから、観察対象の存在その元々開闢か
ら保存されていた有り様まで変わってしまう~。元々始原の
外観をオレタチは知らない…ただ宇宙が小さかったらしいく
らい…でも邪魔さえなければずっと昔から“ナゼナゼ?”が
身体の至る所で動いている。だが始原の外側から見れない。」
・
・「…②ぁつめ。…観察者が見ない知らない・探さないと~
観察者の参与もないと~面白がらないと~サイコロも振らな
いと…観察対象は存在してもいるし・存在してもいないファ
ントムになってしまう=一般観察者問題ってのもありそう
だ。」
・
・「…③ぃっつめ。…虚時空の回廊~他力本願と自力本願の
彼方で快適に右周り続けていた…そんな昔っからあった選択
肢…そんなサイコロも振らない選択肢もありそうだ。…②ぁ
つ目も…①つ目さえも許せなくって、光りみたいに確たるモ
ノ…造った途端…四方散ってゆくモノだけ創っちまって、崩
壊に恐怖する、…のって、かなしくないか?いるのも・居な
いのも両方認めて面白がるの…可笑しいじゃん。」
・… -254p
・「…天本みたいなHOW-to のリアリストはきっと言うだろ
う…『真空や原子・分子に意志~観察力~観察自我?バカか
オマエ等』…くらいは…真空や原子・分子に自ずと意志はあ
った…意志がなかったとしても…真空には真空の属性~原子
にには原子の属性~分子には分子の属性…言い換えると属性
の保存・記憶は予めあった…だから真空は開闢した…きっと
重力がなくても似たものはあつまる…、“寄る羽”の原理…
分子は繋がることで新しい属性が産まれる可能性があるだろ
うが予め自ずと繋がる属性は持っていた…無機物が寄り集ま
ると無機物の“総意”~“記憶”~“属性”で意志あるモノ
がそこから生じた~<生物学者の今西錦司は“環境の意志化
”ともいう…>~無機物や真空の中に内蔵されていて、有極
の水分子や虚時間を触媒に内蔵から解かれ?…ワダ?オマエ
…そう言いたい?…やっぱりだれだ?」
・…「あさい…おれはそこまで言ってないぞ。」「オレとオ
マエの虚空とでも言うべき“ハザマ”で出てきたことじゃな
いか?…オレもオマエも何かの“ネッコ”~始原の智慧=内
蔵された自ず・然るべき“本智”があったんだろう…ナンデ
だ?“ナゼナゼ?”にワクワクする。」
・
・…
・「遠方の子を街に連れてくると『何でもあるという』・街
の子を遠方に連れてゆくと『何にも無い』という。…?…俺
たちが遠方にいってもホントの“何もない ”…か?」
・…
・「だから、あさい、おまえの神話…摂理神が遠方に行って
しまった…みたいな神話 ?…ブラックホールに落ちてゆく
ものが遠方の我々が怖ず怖ずとしてどう見えるのか…オレで
も知っている。デモ…“一緒に”…同じ座標系で…とある別
の座標系では光速を越えていたとき…何がみえるんだ?辺り
は?果てはどう見えるんだ?…言い換える。光はどんな性質
を維持~記憶しているんだ…或いは光がブラックホールに落
ちてゆくとき一緒に落ちてゆくモノからはどう?見える?~
“果て”は…どんな形~属性なんだどう?変わってゆくんだ?
という疑問形の神話だ。…あさい、おまえの神話の捉え方…
が違う…違うが間違えじゃない。…話せるなら~その断片で
も良い、聞かせてくれよ。」
・… -255p
・「小さなブラックホールでは吸い込まれると重力勾配~潮
汐力でなんでも果てなく引き延ばされるんだろ?…銀河の中
心にある、木星軌道大の大きなブラックホールの極めて緩や
かな潮汐力…ではどうなるんだ?…石・水・生物・測定器も
形・機能…その有り様は保てるんじゃない?」
・
・「…え、」「可笑しくないかい?ワダァ、」…「おれの疑問
を見切って先読みしてないか?」 「…ああ可笑しいよ、お
れ変だ、だってオレ笑魔。」「おれは~おまえワダを見て…
だからナ笑魔~莫迦笑魔が移った…。」
・…
・「オレの神話か?ワダ…?」
・「おまえの神話を聞きたいのだが分からなければ…、観察
という誘惑…神話との共鳴…あるいは共鳴そのもの…あるい
は類比・類似…あるいは方便・喩え…、みたいなの持ったり
感じたりしていないのか?…」…「それとバイオロジー…一
般…おまえの神話、薬学を選ばせた神話…」
・
・…「麻生…あるかもしれない…けど…纏まらないナ、」
・
・…「それでもいい!ワダ…頼むよ…大きく拡がりそぅ…展
開しそうなんだ…」
・
・
・
・
・―欲・本智―命の本義、精霊と幽霊(雨後、橋の袂)ー
・
・
・
・
・ -256p
・… この時代、珍しく音声電話が鳴る、和田の…暇で悶え
死にそうな昼下がり…やるべきことはあったはずなのだが…
そう、沢山。…着信音が。静寂をかき乱す…だれかが守護な
のだろうか…のらりくらりの、だらけた心臓を一度止める。
この見かけの上での酷い暇は何かを誘導していたのかもしれ
ない。
・
・…元、二中の文芸部準部員の出口董子であった。受かった
大学にもゆかず引き籠もっていたという噂だったが、図書館
に入り浸っていたという…それで発火…入院。祖父の体調不
良もあったらしい。つい最近退院したという…。
・出口は、入院初期はそれどころではなかったが退院が近づ
いた慢性期病棟で、ととてつもなく退屈で、交流が続いてい
たバンドの陶内からの作詞依頼を進めていたという。依頼主
陶内紀子からオレにチェックをして欲しいという。…出口は
出口で文芸部文集のリベンジだともいう…“あれは、青臭く
て恥ずかしかった… ”と。…筋を通すと元部長も副部長も
『和田。がOKなら問題無い…』と、二人のこの語調からす
ると何か愉しそうである。ともかくオレはOKした、主観的
な暇を持て余していた所為もある。…出口は、近いうちに作
詞の草稿を持って行くというが、…出口のハナシは続いた。
・
・
・…荒れ模様?実は霧雨が気持ちいい、実はそれだけ…。
・
・
・…「意外ね。ヨシナオくんより私の方が早かったなんて。」
・「出口さん・先輩?何です?急に、」
・「…どうしたの?電話の声は死人みたいだった。でもね、
勉強になったワ、のらりくらり…分からないことはそのまま
で、生かさず殺さずで…それで、よかったなんて。キミもな
んとかやりなさい。…ボクは教師に楯突き、燻り続ける料理
ヲタクだったという訳。不味い毒入り教育なんて…料理家と
して許せなかったんだ、…アレだよ。…林間学校遭難事件。
咀嚼も呑み込む事もできず、汚い!臭い!以来ずっと引き摺
ってきた。とうとう壊れちゃった…だからボクのの方が早か
った。」
・“?…”←和田の疑問符
・「ヨシナオくんの精神が無事で私の方が発症も入院も早か
ったのは、意外…。…ってことよ。」 -257p
・「?ぇ、オレ…。ずっと前から、可笑しいよ…壊れたまま
…」
・…「アハハ、ヨシナオくん。そうかもね、でもあなたには
揺れや不安定さはあったけど、キミの日常―主に睡眠―ソッ
チは微動だにしなかった…ボクは望んで“あっち”にイッタ。
…の、有妃さんの…何だっけ、中学の文集、神殿騎士団を嵌
めたローマ法王とフランス王…最高権力だって人を嵌める…
あとヨブ紀かな…、それさえ知っていれば十分だと、…『ナ
ゼ?』に対しての答えはこれで十分だと…そんな風にボクは
甘く見ていた。」
・「…だからボクは眠れなくなっていたし・食事も通らなか
ったし・喋ることも摂理から憑依され許可されなかった…だ
から入院…法王たちのこと知っていたから…回復も早かった
けど…。発病も速かったね。」
・…「甘いボクは聞き流してしまっていた…周りの人のアド
バイス…例えば、和田のおばさまの『日常―寝る、食べる、
寛ぐ。…』…大事な命の本義、とことん必要な怠惰ね、…寝
る・食べる・寛ぐ…という見かけの上の怠惰に漂い『ボクが
正しい…ボクも正しい、ボクは悪くない。』と念い続ける
日常が回りだす一要件…あの意味は、これだったのね …で
も次の時節にはまた別の意味が見えてくるかも知れないけど
…今はそう理解している。…フトしたことでボクの内部で反
復するし、近いうち誰かの支えになるかも…キミの支えかも
知れない…一見見苦しいが良い言葉だ…嵌まった~嵌められ
た時に意味が見えてくるとボクは思う。」
・…
・「どこから・だれかからも分からない、湧いてでた中二の
文芸部の宿題…解けたと思っていた『なぜ?』…私の“なぜ?
”は。…オジサマの老衰と不治。それも日常なの?何故?、
…それで、いっぺんに…新芽が…芽吹いたの。」
・…新芽、やっぱり木の芽どきの病?…だろうか?
・「…オジサマって言っても、わたしの祖父の長兄ですから
伯父様でもないのですから…」 -258p
・…「オジサマはね、病院のベッドで『そろそろ、お迎えが
来る。…董子さん、強くなりなさい、強くなっても欺される
な、…御自分の命を自身より狡猾な強者にハグラカされない
でください。…強かに、強く…成れ無くても…欺かれないで、
…でも人はまず信じてあげなさい―でも信じている人が、あ
なたを嵌めるなら、…毒杯を呑んでいけないわけじゃ無い』
…」
・「…って。『でも、食われてしまうのであれば喰ってしま
え…まあ、喰らうの含意…馬鹿にしてしまえってことです。
…毒が混じっていれば喰えぬ…不自然に美味いし、直に…腹
が下る。』…」
・「だから、オジサマ…『昔、学生運動が社共に走った不自
然に…美味しい毒だった、摂理を匂わすナニカから選ばれた
という猛毒…内ゲバになった…でも蔓延もせず、社会主義国
にも共産国にも成れなかった…のは、ノンポリがデンと構え
ていたから…ノンポリは腹を下しただけ、ノンポリは運動家
達に散々馬鹿にされてもドンと動かなかった・ずっと前から
ノンポリは白け―シラケていた、その所為で左が過激化して
自滅した。孤独だった。』…ってわかるかな?昔話、ヨシナ
オくん…」
・
・「ええ、まあ大丈夫です、先輩。」
・「…『董子サン…左は摂理・原理・主義にすがった。憑依
だった…集団で…。ノンポリは第二次大戦の死霊・守護霊・
過去の記憶断片たち・未来の私たちに護られていた。…連綿
と続く産土…うぶすなは、周囲からは無気力・無関心・無責
任にも見え、白けてもみえた。…熱いのもイヤ、穢いのも・
汚れるのも嫌…』白けのルートは明治維新からかなぁ…きっ
と、私がいた二中…大多数は白けていたわ。…でもヤツラは
出来の良い子を焚き付けた…でもね…」
・「…『ヤツラは勝手に旧来の民俗社会―産土を銭の亡者に
見定めた…泡銭も間違えなく混在していたのもあった。この
見間違いは摂理から出たモノで、よって訂正出来ない』…」
・「…『でも日銭―命を支える銭・ライフライン・生活の安
全という日銭…もしこの日銭を大事にしなかったら…なかっ
たら、公害なんて泡銭とは無縁の問題に取り組み、諦めもせ
ず…だから、ここまで解決した。あの当時、公害から国土全
体の環境が破壊され、そのまま終末戦争に転げ落ちてしまう
が誰の目にも見えていた。』…『メディアも公害に拘わった
企業を叩いてはいたが、それはメディアの基本路線、どこか
白けた眼差しで破滅的終末像を見据え・見抜くことは出来な
かった。…只、競争と流行を煽っていた。』…」 -259p
・…「そう、とても不思議。オジサマは語り続ける…『白け
もせず泡銭に目が眩んだままだったら、戸波の空は暗い灰色
のままだった、<白けていたからこそ消えそうになる微かな
声・遙かな遠い声を感じ得た、拾えた>。…“地に満てよ!
”の摂理や功利・競争・闘争や共産経済学では説明がつか
ない、日銭を全うに使い、命を育み、古守の言うエンブレム
=信管・火薬を無効化して普通ゴミ・安全ゴミにしたのを科
学的…社会科学的に説明出来ないではないか。…幸い戦争を
しなかったのも国内の矛盾に誠実に~ダラダラ・のらりくら
り…生かさず殺さず向き合ってきたから。…戸波で土を見る
ことはない、でも土はコンクリで埋められていようが、そこ
こに、あって、メッセージを我々におくる。』…再現が微か
で一番小さな神秘現象だったのかも…産土の念い…。」
・「…『競争のさきの戦は、外圧もさることながら国内の矛
盾と生かさず殺さず埋葬し誠実に向き合えるかどうかだ、だ
が土壌はある。 …向き合えないと国体は何処でも簡単に挑
発に嵌まる。けだし産土は穢れない。 …摂理的に完全に解
決しようとすると、じき戦になってしまう、それぞれのココ
ロの中に悪魔が量産されてゆく、でも…産土は決して汚れな
い。・…じいさんの昔話・戯言だ、忘れていいよ、でも董子
さん。強くおなりなさい。』…オジサマは入院中とは言え活
き生きとそう語ったていたの。」
・…
・「だから、オジサマより、若い頃から聞かされていた父は、
数年前、やっと党…社共から離れた。」…「オジサマの真際
に聞かされた私、遺言みたいなモノを、わたしは適当には聞
けなかった、私は快楽主義の美食家だ、美味しく聴く旨みを
味わう、…だから日常も壊れた、混乱して入院した。…でも、
よかった ワ。…色んな人に出会えた・色んな人の側に寄り添
えたから…、側に居るだけで色んなモノが伝わってくる、コ
ッチでもムコウでも。」
・
・
・
・
・―荒れた雨足が遠のいた…という慈雨~秋雨のころ
・ -260p
・
・
・
・
・「ヨシナオくん、気が変わった…いまからいっていい?」
・「出口先輩?…構いませんけど部屋無いし、母…が呑んで
いるんですけど。」
・「うん、問題無いゎ、…出来れば酔ってなかったほうがい
いですけど、いいですか?」
・
・
・…紙切れに如何にも歌詞らしい隙間の文字があった、出口
はなんとも言えない恥じらった表情で歌詞を和田に見せた。
母は出口に挨拶はしていたが誰だったのか、きっと定かでは
なかった…だろう。
・
・――――…出口董子の歌…
・
・
さぁあ、新しい世界、はじめよう、
天然色が いろ褪せ、はじめている
私の色が 競い一色 になってゆく
だから、私は、はじめる。
・
許しはしない でも はじめる、
何もない 虚から はじめる
呪縛 も無いから はじめられる
いいえ、 私が 想っているから
・
今 気付いた 私が
想いが ずっと前 からいた
ずっと 踏み出そうと いた
何度も ずっと 蘇ってきたから
・
今 気付いた 想いが
キミが いた ずっと前から-261p- 261
何度 でも 生まれてきた
この想い キミと 一緒になって
・
さあ こっちへ、くるかい?
(①しがらみ を 超え)(②高鳴る心拍を超えて)
それとも キミの 元へ?
・
・
・
揺れ動く 呼吸が指し、示し継ぐ
満ち退く我執 いざ時の果て
…
繰り返す 心拍が指し、顕し継ぐ
両価の満ち干 時の創めへ
・
・
・――――(歌その2)珠揺ら、時芽く
・
・
・
…ナゼだろう、此所に ここにあるボクとキミ (三時の相)
元まりは異世界のはずのキミとボク
(三時の相)
…閉じた波…揺らぐ、でもナゼ、ボクを許す、 (六時の相)
境界を残しボクを包む…閉じた珠よ、ナゼ (六時の相)
この波の要と縁よ
(九時の相)
廻りはじめる 光と時と境と渡りの始まり (九時の相)
…回り始める ワタシはいったい何?
(十二時の相)
ボクも、キミも、波も、時も…、なに?・なぜ?(無時の相)
・
・
・ -262p
・…「…これね、シュメール話法なの…後ろ盾・精霊たちか
らの叡智―神話知よ…行間を浮かび上げる話法よ、似た述語
を反復させる、主語を複数にしたり汎化させたり、…と、長
く迂遠になってしまうけど、上手くさえ使えれば、繰り返し
てゆく内に、明確化する為に言葉の行間へ隠れこんでしまっ
たテーマも詳らかに出来うる…。あたかも、カタカムナ―形
仮神名のワコク古語で顕せば、神には成れずとも鬼には熟れ
るに似ている。…そう私が鬼に」
・「…『星をみろ。』…ともシュメール神話はいうの、語る
星の動きと地上の出来事は結びついている―コンステレーシ
ョンとか星回りとか…ダカラ遠い星のことを知るため、同時
に微細な素粒子の相互作用も見る・探る…眼の前の出来事と
果ては密接…。」
・「もう一つ…『床病みには神話を。』…ヨシナオくんのお
ばさまの言葉よ、…でも私は文字通り、神話を読誦して癒や
す、のほかにもう一つの意味…、“神話を媒に
我執の彷徨いと宇宙が抱えている淀み―コスモスの行間に隠
されたものとを…同時に識る”を感じるの。」
・
・…「ゴメン、長い2年弱の床病み悪夢かも知れないけど。
…」
・「何故かというと、少なくともボクは、シュメール話法で、
コスモスと摂理がヒトの目を瞑られているのを識っている、
所謂マッチポンプ。摂理と悪魔の蜜月とその無自覚。だから
そのせいでボクは世界や宇宙にうんざりしてきた…だから。
…それにマッチポンプ故、コスモスも摂理も独り孤高になっ
てしまった、から。」
・
・
・…「うん。」
・
・…「オイシクナイ…!…ノ!」
・ -263p
・…「ヨシナオくん? 変だと思いません? 天文・現代物
理みたいな…世界観察のための道具が美味しくないなんて…
ゴメン、ボクは料理が趣味…数学や物理はともかく…宇宙が
食べられないなんて。…勿論…味わうのは量子のトンネル効
果とか虚時空の精霊を介してですけど、きっと話している内
に自明となってくると思うけど、…宇宙と命がこんなに濃密
な関係なのに、どんどん近接してくるのに…、プロトンや電
子は美味しくないです、半導体―シリコンが基調の電磁波な
んて痛辛いだけ、電子レンジの加温なんてその典型だ、その
電磁波が多いと・硬いと致死するし、でもナトリウムや鉄は
中毒が怖いけど美味しいし、匂いはキツいけど硫黄もイケま
す、Nのナイトロゲン・窒素やCのカーボン・炭素は、天文
学的バリエーション…音・香り・味わい色々でワクワクしま
す、決して統一された味では無いのです。できたてで硬い味
のプロトンや電子と違い、美味しいモノはみな前世~前世代
恒星の死骸…賜物なのです。軽いプロトン・電子・中性子・
ヘリウム以外の重たいモノは先代の恒星のコアーの中で核融
合爆縮~爆発が起こらないと恒星外には出てきません。…そ
ういう意味での前世。」
・…「だから…今期の太陽だって恒星外にある複雑高密度原
子が前世の情念みたいなのを背負ったからこそ、太陽系生成
が叶った。…でないと鉄・硫黄・ナトリウム・炭素・窒素が
こんなに美味しい理由の説明がつかないよ。…私は凄く・と
ても大きな異和感を抱えたままです。」
・…
・「そんなココロのトゲトゲは文芸部誌に載せていただいた
頃より…あの頃の詩より、幾分穏やかになりました。快楽原
理に生きる私―この出口董子ですが、…こう言う類いの居心
地の悪い異和感を捨て置けないのです。」
・
・
・…「オジサマより引き継いで来た多くのハタラキがタダで
易々と成し遂げられるなんて。…時が私を洗練してゆきまし
た…私の詩の根幹は変わりませんでしたが…私の詩、見て下
さいますか?出来れば批判…私が決めかねている所を決めて
いだきたい…のですが。」
・
・
・
・…「…怖いですか?。物の怪?…駄目…、ですか?」
・
・
・ -264p
・…“怖い?…”おれは何処を見たらいいんだろう?止まり
かけた心臓?出口が紙に落とした詩?語りながら指の指し示
す先?澄み切った先輩の瞳?右にも左にも動かすことの出来
ない…眩しくって自然に…淡い小麦色に息づく出口董子の胸
骨…凹んでゆく鎖骨窩?どこを見ていたのだろう?何処を見
れば良いのだろう…
・…おれはこの先輩が眩い・眩しい…そして怖い。…ぇ?、
怖いって何だろう。
・…
・「あなたが中一、私が中二の文芸部誌で、私の散文は、世
界にさよならをしました。しがらみを超えて…さよならはそ
のままですが、心拍の異和感は変わらず捨て置けませんでし
た。…だからあの続き…かな?」
・「でも何かを創めたい。…そう思えるようになって頭も身
体もどんどん動き・巡るなってゆきました。…一人の作業で
す…、」
・「誰でも分かる形の…所謂―知識、それは図書館に行けば
分かります、私の過去の散文のような訳も解らず只ただ、遠
ざかりたい…などなどの極めて私的な動機を図書館は答えて
くれません、しかし丁寧に繰りかえし探りを巡らすと、図書
館は何を学ぶべきかを教えてくれます…大きな本屋チェーン
と違い、売れ筋のノウハウ本やらセンセーショナルな問題提
起本以外の図書も図書館にはあります。…気持ちを巡らせる
のも動き回って調べ回ることは…確かに一人です、少し寂し
いです。」
・「でもです。…何もかも…身体・心の一切を静止させるよ
うな絶望的・破滅的孤独とは酷く違うのです、オジサマが病
気で入院したときはそうでしたが、…中二の恥ずかしい私の
散文を二中に所縁のある人は知っています。文芸部員はその
乱文を縦横に吟味した上で『…コレデイイノダ…』と…皆さ
んが後押しして来たことをすっかり忘れていました。ヨシナ
オくんは男性でどんどんだらけて…、敢えてあの時聴きませ
んでしたが、女子部員たちは、背景に脈打つモノを、はっき
りと言葉で賛同してくれました。論争のテーマは憶えてない
けど、小六の時の担任との大喧嘩のヨシミで、部外者に部誌
への投稿を促してくれた有妃さん・仲山はホントに感謝です
…お誘いばかりか、この出口董子の乱文に潜む行間を承認し
てくれました。」
・「…ボク・出口董子は孤独ではなかったのだ!。」 -265p
・
・
・…
・
・
・「ところで…、はじめのお願い、最初の歌の最後の方…『(①
しがらみ、を、超え)(②高鳴る、心拍を、超えて)』…は、
ヨシナオくん。…どっちがいいか…」
・…ヨシナオは即断した。
・「先輩、これ『超える』んだから、どっちかでなく“どっ
ちも ”…おれはそれがいいです。…リズムを壊さずに纏め
られればベスト…」
・
・
・ 出口董子は息を凍らせていた。凍えたような小さな声が
出た。
・…「わたしは、ここの空気を汚してしまうから…外に出ま
せんか?…荒れているようですが、外。気持ちいいです…」
・
・
・
・
・―稲荷橋という橋の袂ー
・
・
・
・
・
・マンションから歩くこと45秒、コンビニを経由して、稲
荷橋の袂まで来た。…橋の下を雨後のうねる流れ…地に足が
付いていないと引き込まれる、流れをみているだけで引きず
り込まれそうな、川の流れだ、…龍神?…出口・和田は二人
とも得体の知れない畏れの念を抱く。
・
・…
・
・…「ワダ …、ワダのバァ~カ? 」 - 266p
・
・…「だぁか~ら。」
・
・…「両方って…ヨシナオくんは…、また、ボクに孤独のま
ま世界をはじめろ、というのか?」
・「…唐突にゴメン…」
・「この想…だけでも、心臓…潰…そう…のに…」
・「…ボクに何になれって?両方は無理。ボクは摂理神じゃ
ないオンナだ…でなければ姫…なのかな?…」
・「…うう、うん。ノーだ、ボクは鬼…マジョ、世間から疎
まれたオンナ。」
・…「魔女。…ヒトリ。」
・…「魔女でも孤独じゃない、しがらみと決別し…それだけ
でなく、世界もはじめろ?それはイヤ、だ。…摂理や悪魔が
抱える坩堝・絶望的孤独とは違う…ヒトリ…ボッチは必ず観
て~見守ってくれる人が居る!」
・…「孤高になりうる孤り・ヒトリ…かな?…難しいよ」
・「私は冷静だ、でも何でボクが怒っているか?ヨシナオく
んに伝える、ボク魔女だから。」…「キミは“ナゼ”をどん
どん食べちゃう悪食…だから。」
・「括りは4つ?5つかな?摂理・悪魔・物の怪・魔女~鬼
・凡人~小市民…それから、オジサマが謂っていた白け~シ
ラケ…6つ?かな…上下なし順不同かな…」…「これら7つ
の主語が絡まり共時進行する怪異!呪い?」
・「悪魔は摂理の被造物 物の怪は人間の被造物、…魔女と
鬼はそのどちらでもないからだ…境界の狭間に潜む怪し、界
賊だ。」
・「ボク-出口は魔女」
・
・…
・
・ -267p
・…「後輩。摂理神の被造物、悪魔のハナシだ。中世、摂理
は布教に酷く執着していて、摂理信仰の布教の際、恐怖装置
として悪魔は濫用された、ホットで憑依されやすい―迷信~
妄信し易い多くの人がそれに乗った。…<悪魔は何が正しい
かを知っている…悪魔は充分な判断力を持っている、にも拘
わらず邪。…摂理神と同様に、正しくない教えを信じる者に
は興味を示さない。…邪ならではで、正しい教えを信じるも
のを堕落させることにのみに執心だ・いつもイタズラを企て
る。…だから正しい教えを信じる者をつけ狙う。>…個々の
内側の恐怖心・執着心を増幅させる恐怖装置、居るか・居無
いか分からない。でも確実にいる…と仮説したとする、拘り
だ。これは恐怖装置だ、確定的だ。…それで布教の効率が格
段に上がっている。…入院前ボクを支配していた。はた迷惑
なハナシだ。」
・「でも…摂理神のモノサシで…もちろん美味しくない。『正
しくない教え』を信じているとされるこの国では、摂理神は
ボクたちに興味を示さない傾向が顕著にある。それに信仰書
のイオブ紀では散々イタズラをしている割に悪魔はお咎めな
し…そんな、美味し過ぎるツールは悪魔=恐怖装置として扱
われがち…でもほんとうにそうだろうか?決して美味しくな
い。 …だから、悪魔は摂理の被造物。…もしかして摂理は
悪魔の被造物…だから両極を揺らぐ、時も揺らぐ。だから鬼
・魔女とは有り様が酷く違う―時は揺らがない。」
・「悪魔…」
・
・
・…
・
・
・「次は物の怪のハナシだ、」
・
・「元々特別な力の無い普通のものだったり・モノ~真空~
生き物だったりしていたものが人間から悪意、敵意、念意、
別のところで発生した恐怖・恨みの贄にされたものが繰り返
されたり、解消しなかったりしたとき特別な力がついてくる
…怪だ、普通のモノにつく怪…物の怪だ、…基本その特別な
能力―即ち呪いが善か悪かは関係ない…容貌・出で立ちも変
わってくる実に多様だー異形だ…出で立ちの変わらないもの
もいる。」
・…
・
・「戻って…」 -268p
・…「その悪魔の対処だが、摂理は、人間が愚かなことを酷
く憂慮している、だから同根の悪魔もその憂慮の為に大変不
自由である。イタズラしていい対象を見かけると飛び憑くが
故、無差別ではない…通常の対処は、静かに悪魔を呪えばい
い、悪魔に飛び憑かれると人は消耗して死ぬかその損傷と引
き換えに“怪 ”を持つ…あるいは狭間の“界 ”にたどり着
く。…悪魔の多くは摂理の陰に隠れている、摂理を呪う覚悟
があれば制御は簡単なのである。…けれども摂理が君臨する
世界の中に居る必要がある…そうでないと摂理は排除・迫害
を躊躇しない。だから、虚仮の身体は摂理の世界にいて、実
体は摂理世界の外側で呪う。難しそうだが、統合失調症の人
たちは簡単に・自ずとやってのけるボクは入院中観てきた…
両極を揺らぐ『両価性』というのがそうだ、半月一緒に側に
居さえすればどういうことを指し・どうすれば出来るように
なるか会得出来る…。それでも彼らの身に不具合が生じたと
きは、実体を摂理世界に置き、呪ったり、クダを巻く・人と
なりがひねくれる…摂理に対して。虚仮の身体を摂理世界の
外に置く…これも『両価性』…じつは“四価性”リョンカセ
イなのだ、だからボクの入院は本当に勉強になった…という
よりいままでボクは学ぶなんて事など、していなかったのだ
…コレデ、イイノダ!」
・…
・「引き続き、物の怪の対処…これは小市民・人間がくだら
ないため負の情念の類い数多。だから、物の怪も類い数多、
したがって公約数的な対処はない、…個別の対処と棲み分け
るしかない。だからやっかいなの。ある時期、粗暴で獰猛で
貧素なサルに摂理が呪いをかけたのだ。この物の怪―小市民
と、凡人の区別は簡単。…物の怪は人間の不幸が唯一のエネ
ルギー源、あるいは凡人を野蛮人とみなし…物の怪同様の不
遇に苛まれている…と根底的に想定してしまい延々余計で過
剰なお世話を繰り返して…それで大きな幸せを感じてしま
う。娑婆にはかなりいる…だから、区別は簡単なのだ。でも
この物の怪は悪魔と同じような対処をすれば良い…放ってお
くと大体内紛~内ゲバ~総力戦しだすのだ。」
・
・
・…「…だから、」 -269p
・
・
・…「魔女…」
・「ボクは悪魔でも物の怪でもない。まして摂理でさえない
…魔女や鬼の類い。…何かを与えられるのではなく、最初か
ら何か…業の様なもの・塊を持って生を授かる…“チイサナ
”その塊は形を変え、分別が付こうとする頃。鬼神…魔女
・鬼の類いのモノであることに、自ずと・独りでに気が付く。
…寄る辺なくヒトリ~ヒトリボッチに生まれつく…摂理・悪
魔・物の怪・凡人と違い、無垢のまま居られない…最初から
ボッチ…という払えない垢を纏ってこの世に降ります。」
・
・「…中世、欧州の魔女狩りの犠牲者は“憎悪を祓えない物
の怪”だ、摂理の無関心から生まれる誤謬だ、加害者は小市
民、普通の人が犠牲になる、魔女は捕まらない…自ずと知る
業は隠し通せはしないが俗世からは簡単に隠せるし、業は邪
でもない、だから捕まらない、…自ずと知っているために邪
と思いがちだが、業自体は邪ではない。」
・「大方、気が付かれないようじっとしている、業は善でも
ない、此所では摂理も酷く気まぐれ…だから。」
・「ある日…」
・「魔女。…ボッチのまま、しがらみと決別し…決別だけで
なく、世界をも創めようとする。どちらか一方でなく双方同
時。そのとき、鬼・魔女は摂理・悪魔・物の怪・凡人のいず
れか~誰かの心臓か魂を喰らい尽くさなければいけない…
の。」
・「孤高…も、引き継ぎ生まれる…繰り返され・ひろがる。
果てがあるのかを…如何なるか・何なのか・何故なのか…を
知りたい“ダケ ”なのだから。」
・
・…風はあったが辺りは血腥い鉄の匂いがしていた…半径一
キロ・その前から俄に、カネミ臭塗れた包丁が匂い発った。
それとなく感じる“怖さ”はこれだった、
・ -270p
・「和田クン。分かるかい?理不尽承知。決別と創めの双方
の選択は、…そう選んだキミを喰らい尽くすことダゾ。」
・「分かっていますよ先輩、…細々したことは分かりません
が。」意外にも和田は臆していなかった、蒼汗も出ていなか
ったが、皮膚は乾燥し紅潮していた。…恐らく、出口を源に
カネミ臭に似た微かなフェロモンが湧き出てていた、…香り
は混ざり物だった、ハッキリしたカネミ臭は何処か遠く別の
所から出はじめていた、雨上がりの生臭さに包まれることの
ない匂いに、能直はそれなりに警戒した。
・…「だから。」
・
・
・「だから、①も②も、無理。」
・「…二つ一緒は絶対無理なんだよ。」
・…
・
・…「無理…」「これは相容れないモノ、」「共に望んで超え
ようとするならどちらも立ち行かなくなってしまう」「心拍
と波打つ波動は、ヒトの一番大事なモノ…差し出すから一緒
に超えようというもの」「しがらみは全てのしがらみだ、世
界・物理法則全てだ」「ボクの命は一つしか無い…だから相
容れない」
・
・「双方、必須、なっ、ら…」…出口の声が潤う、董子の口
に涎が溢れかかる…。
・
・
・「先輩。」 -271p
・「戻ってくればいいのではないですか?戻って来られない
のでですか?オレ悪食だからそう思います…喰いきれなけれ
ばハキ出せばいいじゃないですか?それに喰らうのは純実体
の物理~化学成分ですか?違うでしょ。」「…それに俺、見
かけによらず美味しいみたいで、死神は二年弱、俺をシガん
で吐き捨てました。」「先輩の汗腺から“カネミ”…。いい
え、不快な金属臭はしません、爽やかで芳しい…所為でしょ
う引き寄せられ…だから怖いし不思議ですけど、何処にも永
訣の臭がないのです…」「俺はそこを信じてみようと…どう
せ死に損ないですし、どう転んでも魂みたいなモノに傷が付
くわけでは…」「それにしても、小市民って、いつから嗅覚
が疎くなったんでしょか?」
・…「バカ…。和田のばか…エッチ、匂…ハナシ…ふつう…
死刑…ダゾ…」
・「でも、呼び出しを勘違いするエロオスでもないけど…」
・
・「?…、先輩?…時を造ってください。時を…流れぱなし
の時でなく、摂理の言う深淵に向かうの時でなく、往きつ戻
りつ、満ち干く様な時―融通無碍の時を…造ってください。
流れの先の宇海―ウミ・ウチュウで気化し、終に雨として水
源に降り・戻ります。」
・…
・「…行きもしないで、戻って来られないと決めつけていま
せん?」「確かにそうです、“世界線”という凄まじい潮汐
力のしがらみを超えて戻ってきた人を見たことがありませ
ん。ですが…、夕暮れ、人が変わるとき、…或いは夜明け…
に…世界線が垣間見えたりするモノです、戻れない前提で考
えても…」
・「ヨシナオくん?何です世界線って?」
・「時間は1秒間に1秒だけすすみ、世界と物理法則は時間
の関数、物理定数も時が必ず関与しているという、アンダー
グランドな概念です。」「最近、長渡が部誌経由で、元々長
渡は数学苦手なのですが、音響から数学にすっかり目覚めて
しまい…『世界線は数学の実数で構成されているのではなく、
虚数を組み込んだ複素数?』…ナンテ、難しいのに嵌まって
いるようです…」「実数での物理現象では往ったら戻って来
れない、まるで坩堝…でも極微の世界では虚数部分が主で往
きつ戻りつしています…共鳴とでも言うのか…。こちらのの
方が多く往きぱなしの方が少ないです。物理の剛体とか質点
とかでは運動や振る舞いは実数だけで事足ります。…です
が、」 -272p
・「…ところがそうでないもの―例えば空気・海水…弾性体
~流体とか謂われるやつで、行きつ戻りつ、大概波打ってい
ますが、共振~共鳴もしたり出来ます。それらの振る舞いは
虚数を交えた複素数でないと振る舞いを説明する事が出来な
いのです。電子・陽子・中性などの素粒子のサイズ…極微の
世界では剛体や質点は思案や計算の上で仮想していますが、
極微世界の立ち振る舞いは…殆ど弾性体~流体、共振・共鳴
なのです。…ですから極微世界は複素時間で成り立っていま
す。」
・「所謂トンネル効果というヤツも複素数の世界の住人なの
です。宇宙はこの規模では実数に支配されていますが、もう
少し大きくなるとその辺が怪しくなっています。…というの
は俺たちが想像しがたい大きな数値はその分母が限りなく0
の近い極微の物理量が入っています…もちろん分母の極微の
物理量の時間は複素時間です。大きくとも小さくとも実数だ
けの数値…では先輩が大事にしている“美味しさ”が微塵も
ありませんし…。」
・「ついて行けないよ…」…「でも」…「…ついて行けない
ケド…莫迦のキミが説明すると面白いな…。それに喩えに融
通~莫と迦空が利く、面白い…」
・「ン?美味しさ…微塵も…?ボクがそんなこと?…あぁ、
言ったなぁ。言ってた。」
・…
・「世界の中には自我・自分・我執も与していると考えられ
ないでしょうか?『何かを測る』だけでも宇宙の中に『測り
たい~味わいたい~考えてみたい』と思念するもの~情念を
抱えるものが在るが故…“測ってみたい~味わってみたい~
往きつ戻りつ考えてみたい ”…虚時間的に…だからその欲
動・行為の対象物が生まれた…実時間では唐突に…世界のど
の水準か分かりませんが、そんな世界の何処かに自我・自分
・我執が活きています。いまの太陽系や銀河の宇宙サイズで
は物理法則だけは往きつ戻りつは無理です。」
・「…微塵もあり“ませんし…”の続きです。」
・
・…「この地に引っ越してきた日、前触れの昏睡、そして、
ある時期・あの時から、俺は、寝入りつ、微睡みつつ彷徨っ
ていました。心拍も呼吸も乱れ、停止~仮死、所謂林間学校
遭難事件以降…そして微睡みつつ覚醒~錯乱…しかも…守護
も悪意も戯れ心も無自覚で盲目的正義も多様のせめぎ合い、
数多の思念にも影響され続け安定もしない…林間学校遭難事
件の一極、…宇宙の片隅、和田能直の中心はあとからの想像
を総合してゆくとそんな感じです。」 -273p
・「…文法的にはとても変です…もっとも微睡みの只中です
から、宇宙も我執も相似形なのです、三角とか四角とか六角
とか球とか楕円とか双曲とか、面とか…境界とかメビウスの
輪とか、数に連なる図形、…デスガ、それらには喩えが利き
ます。微睡み…それは怠け者の賜物、それは我執の宝…微睡
みはおれと世界を緩く繋げて…繋げて…。ひしゃげた球の内
側が我執、外側が宇宙…逆かも…、相似はその片隅であるお
れにそう語っていた様でした。…図形の内と外で抱えている
意味が違う…だがそこに言葉を付け振ると意味が夢散してし
まう。」「単調で分かりやすい一方向しかゆかない時のたど
り着いた先は悪意と盲目的正義…微睡んでいたおれの何処か
と守護達の作業がきっとあったのだと…」
・「オレ、林間学校遭難事件から目覚めてもずっとぼんやり
していました…今でもフトしたことでぼんやりしてしまいま
す…微睡んでいた時の体験も残っています。この戸波に引っ
越してきた時も熱中症で死線を彷徨っていた記憶も混ざって
…低層でもありまだ旨く言えませんが、世界線みたいなモノ
が見えていたのかもしれません。…莫迦だけに…」
・
・「…先輩の相容れないモノ…はホントに往きつ戻りつは無
理なのですか?抗ってみなくてもいいのですか?…先輩は既
に、そしてずっと抗ってきているのではないですか?…莫迦
で小さな小五の子供も無自覚ながら抗えてきたのですから
…」
・「実数は分かりやすい・硬いものは料理でも管理も取り扱
いもし易い…物理的測定でも一緒。…標準化し易い」
・…
・「出口先輩…」
・「…標準化:(対):多様…の抗いに与<クミ>してもらえな
いですか?その与することは命二つも消費してしまいモノで
すか?」
・
・… -274p
・「…ボクはいい夢を見たい…うぅん、美味しい夢を見たく
なった…キミを食い尽くすことは猶予してあげる。…ボクは
告白する。…ボクは…ボク“も ”取り憑く喰らい尽くすと
いうレベルでキミを愛してしまった魔女だった。林間学校遭
難事件で回復が遅れ脳死判定されかかったのは、ボクがきっ
と魔女だった所為…いまでも・これからもだ。…そして有妃
さんもそこで悩んでいるかもしれない…間違いないの。ボク
の混乱に有妃さんの姿もあったから…」「大きなモノに取り
巻かれた、それを見逃した…の…きっと。」「以降の林間学
校の規模を縮小できた、遭難は実に美味しい事故だった、見
える業績に集中出来る、困ったヤツラ。生業達がしがらむ、
大手塾・テナント・小市民…が膨らむ・馴れ合う。」「…こ
の洛都の伝統、人を集める秘訣、困った人ーコマッタチャン
でもその困ったを助ける是非…ここに取り込まれたの…その
時、“何故 ”が跳んじゃった…。」
・…
・「…ああ、それでも、おれを守護してくれていたッス…覚醒
水準が淀み微睡み…時に昏睡の時もあったあの時期に…」「俺
が巨きなちからにやられていた時期に、先輩二人たすけてく
れていたのに…先輩も苦しんでいたのですね。」
・
・「…ボクは、ヨシナオくんの役に立っていたのか?」
・
・「…『何故?』が少しでも入ってくれば、どんな困ったち
ゃんでも、その困ったの手助けを、潰し合いの坩堝から取り
解ける。如何に勝つか?という…競闘の意味がゆっくり消え
てゆく…ヨシナオくん?そういうこと?」
・「あの小賢い馬鹿どもはともかく…、少なくとも小五の莫
迦な俺はあの時、微睡みながら・彷徨いながらもこの『何故』
は止まらなかった。」
・
・「…その時。…です、俺か、先輩はどちらか幽霊がみえる
かもしれません…俺も幽霊見たことがないんです、さっきの
ハナシに鬼や物の怪はありましたが、幽霊いませんでしたよ
ね…納まりどころがないから、いないのです。」
・「俺見たことない~見えてないけど…あの時いたようです。
有妃先輩のを、オレの母が見…他にいたり、見えたりした人
は?」
・ -275p
・「…ボクはキミと同じようだ…全く見えない…摂理につい
て回る怨念とか呪いとか、祟りとか…とても良く分かる。で
もね…ずっと精霊や幽霊は見ようと想っていたが、見えてこ
なかった…だから余計に思念やら直観を巡らせてきた、だか
らこそ呪いとか祟りとかを窺い知ることが出来た、多くは恐
怖を纏っているが、その恐怖は本来的な同根のものではなか
った、巨悪が人為的にくっつけただけ、小市民がそれを真似
ただけ。…精霊や幽霊達はきちんと観て欲しくて…隠れてき
た。勉強・学業はさえないがそろそろ、少し大人になって均
衡の取れはじめた莫迦力は、かれらを観る力を曳きだしてく
れる?…のかも…。」
・「…オレもそう思います。」
・
・
・
・
・―慈雨・再び湿った風が漏れ出るように流れ込む・逢霊ー
・
・
・
・
・
・…
・…
・…
・
・…「見たこと無いけど、今急に気になりだしたの。…雰囲
気、変よ!。」
・
…時を違えて場所を越え~時が両価の狭間で揺らぐ…
…若い二人を見守っている。
…稲荷橋から…見えている…袂の…
…眺望出来る戸波のビル街…建物達が、脈絡無く、呟く…。
…何処で・どの順番で見たのかも判らない。
…夢。…あるいはリアルな過去の幻影?記憶?…フラッシュ
バック…?
…守護者らしい物言い…建物の憑依霊…歪んだ窓ガラスの反
射?隣火?…等の呟き。…そう、どこからかの…“呟き”
・
・
・ -276p
“イヌは虚仮(コケ:厩戸皇子初)、仮の姿…依り代ですよ。”
・
・
・
…“姫神が降りて妹背になるための虚の陰・陰の低調がより
安全なのです、”
…“ツレナイ冷ややかな姫を、受け容れて下さい。聞こえる
でしょ谺の声…猫の声”
「…貴方の愛と姫の愛の極まりが濃密に同期する場合は、ア
チラの宗主の思い通り」
「…アチラ…摂理が内藏している破滅の論理に姫が取りこま
れてしまい、…」
…「…それだけで世界が終わってしまう。…孤高が破綻する
のです。」
・
・
~そうだ、摂理の命は孤高~
…「摂理の命は孤高。」
…“守って…あるいは見守って…でないと姫は…”
…“あのう…私、脆弱ビルと揶揄されてきましたが…”
…“過去の震災でも終ぞ倒壊しなかったのですぞ…”
…「競う敵がいないと途端に脆く瓦解し出す…と言うことで
すね?。」
…“いいえちがいます、破滅の核…姫がいなかった…だから
倒壊しなかった。”
…「競う敵がいないと途端に脆く瓦解し出す…と言うことで
すね?。」
…“いいえちがいます、破滅の核…姫がいなかった…だから
倒壊しなかった。”
…「競う敵がいないと途端に脆く瓦解し出す…と言うことで
すね?。」
…“いいえちがいます、破滅の核…姫がいなかった…だから
倒壊しなかった。”
・
・
~何だ、両極を繰り返すのか~
・ -277p
・
…“ところで、その姫…は誰ですか?”
…“姫は宗主の敵…イヌは虚仮・依り代・ネコ、敵がいなく
たって…”
…
“結界が壊れなければ、摂理の宗主霊は穢土に咲く蓮華の祝
福を受け…”
“解脱し悟れます。…敵や姫がいなくたって…本当はいない
方が良いのです。”
・
・
~なんの結界なのだ?~
・
・
“…切羽詰まっているのは向こう、永年、社どうしの繋がり
が… ”
“積み重ねてきたことではないですか …イヌを奪取して結
界で守らせるのです。”
・
・
~なんだい?イヌって~
・
・
「宗主―全知全能とはいえ、嫉妬する特殊な死神が前身…」
「私たちのモノノケ態は、見た目のいかがわしさに…」
「摂理はきっと正確に目視出来ません、」
「その察知も、そのココロ・心裏も知り得ません。」
「…孤高は贄で仕上がり…」
「そのいかがわしい贄で…崩壊を始めます。」
「…独り立てるものに贄は要らない。」
…“イヌとカイヌシがまさかの清浄精進~羞恥悦楽の両価”
「その両価・両極は摂理にはわかり得ないず~っと果てなく」
・
・
~何いってんだ?~
・
・ -278p
…“そろそろ結界が閉じます、そろそろ夢が解けます。”
“冷ややかな愛を守り切ってきたからこそ…、”
“誠の愛の糸口―イヌとの関係を探し…”
“はじめても悪くないでしょ?”
…建築中の施主社が倒産し、店子テナントの中の人影やら…
…古レンガの建物やら…、…その中の隣火…やら…
…黒く風化したコンクリ壁に憑いたものやら…
…強化ガラスの微かな歪みで結んだ不思議な像やら…が。
・
・
…川と海がであうところ…麓から~袂から聞こえる…
…遠き波音・潮風、そして淡い霞の向こうのビルに幻…
…両価…落ち着かず反復するもの
…何らかのワケで寄るもの…その周期も揺らぐ…
・
・
・
「見たことないけど…雰囲気…変…。とても」出口が呟く…
ざわざわ感の引き汐…
・
・
・
・
・…「ぎぃ~ぃ…いゃヤォ…ン」…遠くで―とても遠くで…。
・
・
・
・
・…伝い着いた“遠吠え”?悲鳴?で…二人して我に返る…
・…少しだけ、風が変わった。
・
・
・
・… -279p
・ …だからエコー…“…アィ~オ~ウン…”が「ぎぃ~ぃ…
いゃヤォ…ン」っと累って、伝い拡がり着く“遠吠え”…は、
…リバーブエコーのように障壁で包まれた夜の空間から漏れ
出るような音。…夜の音はよく響くのであるが、冷たい空気
が天空に嵩でも架けたように…酷く響く、古いビルがモノロ
ーグする。猫か…野良化のテンか猫の求愛か?…有妃史澪の
ようなフォルマントにも響いた、でも明らかにヒトの声では
なかった。熱中する二人はこれを異に介さなかったが、…再
び湿気と無縁の乾いたカネミが匂ってきた。「先輩?有妃先
輩も側にいます?でなければ…先輩と似た文脈で有妃先輩も
困って?」「…さっき、そう話したじゃ…ない…。でも変。
…ヨ…ネッ」
・…
・…「先輩の後ろにビルテナントのガラスがあります、先輩
の後姿…もの静かな影がそのガラスに映っている、」
・
・…「…でもそのガラスには少し遠いオレの姿だけは…歪ん
で見える。」「…歪んでいると思いたい…」「オレだけ歪んだ
影像は、オレが動いても動かない、オレが動かないとき像が
動く…そんな歪みはもうオレの像では無い…みたい…」
・…「…ゴメン、ヨシナオくん、ボクは今振り向けれない…
川も勢いよく何もかも流そうと、この種の物の怪は振り向け
ば霧散するのだが…ボクは今振り向けない。」
・…疲れたときにみる一瞬の錯覚とは違った時間軸であっ
た、動きも能直のものでは無かった。能直は嗅覚を研ぎ澄ま
すが、戸波辺りの土と川と海が混じった潮臭さだけで、能直
は出口の言う“雰囲気 ”が分からなかった。
・
・「でも…、匂い…土、川、海…判らないね。雨上がり…気
配は感じる…いいわ。」
・…出口は恐る恐る、硬い頚を振り返って見る。
・…「ウ~ン、確かにヨシナオくんの影だけ変ね…入院患者
さんが言っていた黙霊かな?」 -280p
・「モクレイ?」「騒霊…よく言われているのが壁や扉が…
ドン!、て鳴るのを言うんだけど、古い患者さんたちは、密
かに自分の意志と関係ないしつこい幻聴を騒霊と言うけどそ
の他に、“黙レイ”…何にもしない見えるだけ、優しく見守
るだけの幻影を“黙霊 ”っていっているワ、夜、地域~病
院限定でね、ナースさんやドクターには言わないワ、言うと
退院が遅くなるから…騒霊が御当人の日常―寝る食べる寛ぐ
…薬も入るかも…それを阻害しなかったら退院近いの。」
・
・「…やっぱり黙霊かな」…“ビョウインでもないのに…”
・…
・「…先輩もそんな風に見えるんですね、」「ええ、そうよ。
…悪魔でもないしそんな禍々しい匂いも布教もしてないし
ネ。情念・怨念を塗り込まれた物の怪でもない。…怨恨を抱
えたまま生まれる鬼でもない…男性精ね…これ幽霊て呼んで
いいのかナ…。怖いのは私たちの内側だけ、外から圧力がか
かる憑依や恐怖はないわ、…匂いが無いし。」
・…幻影はしきりに動いていたが出口がそういうと動きを止
めた、像は二重にぶれたまま…まるでそうだとも言う様に…
いや、違うかも知れない。だが、幻影はじっとしていた。
・
・
・
・…そうしてじきに、稲荷橋の袂のビルテナントのもの静か
な影像に歪みはなくなっていた
次巻…(33)慈雨・再び湿った風が漏れ出るように流れ込む・逢霊 の続きからです。
…繰り返し御容赦。 本編-その1の冒頭でも 記しましたが… < 本作品中、個人差はあるものの無意識脳を覗かれているばかりか、喰われてるようにお感じになるかもしれません。ですが著者自身も無意識の神経情報移動や~夢魔~夢の出し入れをされているような…ときに盗みとられている…と、思考の淀みの狭間に…ふと、感じることがあります。…著者側の帳尻はマイナスのような気がします、なぜ著作まで数十年も費やしたか?がその根拠です。ここはお互い様…ということでよろしくお願いいたします。 >…宜しく御願い致します。




