本編:常魔法-微睡み-いぬ:その6:(22)疑問符200p~ (29)-3夢魔・死神も兼ねる…リサイクル店員の心象~240p
繰り返し反復で構成される常魔法のハナシです。…傷心の能直クン…心配する現実界~幽界~不思議が動き出します。もちろんそれぞれが赤心ですので、…贄を企むワケでもなく、傷心~ひとりぼっちの彼にそぉ~っと…寄り添います。…それぞれの“ナゼ?”も連動するようです…。…ひとりぼっちは、贄の被害者・贄の加害者の双方で結果として生じる『孤独』とは本質的に違っていることもそれぞれ…ゆっくり連動・反復します。
コンテンツ:
(22):疑問符の続き 200p~ (23):邂逅・疑問符202p~ (24):風評・風説・風邪・風神(界賊)210p~ (25):もう一つの邂逅【その人死神!】212p~ (26):邪魔・夢魔・時の鬼【トキノカミ】・界賊ー{プレコックス臭<旧概念:観察者の現実界と統合失調症体験界とのすれ違い~異和感を指す言葉だが嗅覚連合野とよく協働するため”ニオイ”の扱い>}218p~ (27):すれ違い~語り部、の独り言【祓えない恐怖はない】221p~ (28):和田宅では母朱樹・史澪・仲山茅夏の話が続いていた<ウンチの夢・呪い返し・”悪魔”というトラップ>226p~ (29):能直・夢見…ゑいもせず232p~ (29)-1リサイクル店員の表層の心象~表象235p~ (29)-2邪魔同士…回収店員と攻撃的能直の心象融合237p~ (29)-3夢魔・死神も兼ねる…リサイクル店員の深層心理238p~
本文中には(22)(23)(24)…などのナンバリングはありません…御容赦のほど…
・「嘘つけ!」森はニヤリと笑う。
・「はい。」能直はニタリとだろうか、微笑んでいたのだろ
う、しばらく頬が緩んでいた、 …久しぶりに笑った気がし
た。
・「ちょうどいい、一番奥に雑草が集めてある、それを焼却
炉に入れてきてくれないか?」
・…頼み…? 「サッサとしろ。」…仕方なく刈り取られた
雑草をかたづけた。 -200p
・「和田、おまえは“庭弄り”解ると言った、何処かで緑に
囲い込まれたことは?」
・「小さい頃周りに小さな山があってそこで…でもあまり記
憶に残っていません、ただ方向音痴が森の中では酷くなるの
で、ほんの子供でしたし、なかなか家の外には出してもらえ
ませんでした。迷子と違い恐くなかったと…方向音痴だけに、
少し楽しかったような、あまり思い出せません。」
・「恐くなかった?そうか、山道が分からなくなったときは
なかったのかな?」
・「街の近くに山はありましたし、人が入っていましたので
庭みたいな感じで、何処でも道。…今から思うと人に踏み荒
らされても森が死なないなんてそちらの方が不思議に思えて
きました。」
・…「先生それとですね…今、当たり前なんですが、ヒトっ
て光合成が出来ませんよね。草食動物とも違い草を食べても
エネルギーに出来ませんよね。…恒星のエネルギーを自分の
生命エネルギーに使えないなんて、とんでもない欠落です。
…でも肉なんか食べなくても生命エネルギーは植物から得ら
れますよね…なぜヒトは生態って言うんですか?その頂点に
いながら何で過剰なんですか?」
・「凄いというかバカと言うか、今気が付いたならバカ、小
さい頃の体験から手繰れたなら凄い。俺の『余計や異物』に
近いものを感じ取っていたんだな。」
・…「それと和田、園芸部に入れ。うちは実世に生きる幽霊
しかいないから困っている。」
・「第一、おまえのナゼ?多すぎる―多様。学業の邪魔だ、
授業中は考えるな、ナゼは園芸部できちんと考えてみろ。」
・「考えるお題は、今、与えてやる。大体三つの言葉からな
るパズル、正解は恐らく10個10種の解。―過剰・淘尽
・欠落―動物・植物・菌~雑と怪―癌・有性生殖対
・免疫―終末・常住・穴(命を担うトンネル効果も穴だ
…古い神道では穴は特別な神聖がある)、取り敢えずそんな
ところだ。」
・「入部考えとけ。手伝ってくれてありがとう。遅いからも
う下校しろ。」「失礼します。」「…ン」教師は肯いた。
・
・ -201p
・帰りの電車で能直はウトウトしながら頭の中を引っかき回
してくる獰猛な教師の像がチラチラしていた。気持ちが疲れ
たときは乗り換えせず下車し、一駅歩くことにしている。今
日も茅野町から、能直はゆっくり・まったりと歩いた。…静
かな黄昏れ時であった。
・
・
・
・
・―邂逅・疑問符ー
・
・
・
・
・
・…「和田クン?」張りのある美声がビルの谷間に木霊して
能直を包んだ。懐かしい響きであったが音の源は能直の頭よ
り低かった、二中文芸部有妃部長の後任、仲山茅夏がいた。
有妃の後の文芸部長は能直にとって全科補習塾の先生~塾
長、そのノリで文芸部を切盛りした。
・能直や史澪と異質のナゼを抱えた女傑であったが、そのナ
ゼは詳らかにしなかった…、大方解決が付いているような…
揺らぎを感じさせないその美声はいった。
・「有妃先輩のアリガトは聞けたの?」…?「なんですか?
先輩、それ?」…「あなたが天本を挫いた―曝いた、香気武
者」「天本が隠密裏にやっていたこと~やろうとしていたこ
と、その警戒フェロモン~謀フェロモンを目印に…私は中津
界隈や私たちの高校の周りに付け回っていたの。」「謀の中
断を余儀なくされた天本は急いてしまったのだわ。」「私ね、
有妃先輩や天本と同じところで風紀委員長しているの、…で
尻尾を掴んだって訳なのです、」「天本はあなた風邪―天然
の敵ですが、女性の敵なのでもあるのよ…」
・…「先輩、警戒フェロモンて?」
・
・?「お母様からきいていない?」
・ -202p
・「カネミ臭じゃなくて?先輩?」?「カネミ・シュウ?」
・…?「あぁそれ、ふぇろもん…みたいなモノです。」それ
に「先輩が二年の時の文化祭の後、バレー部の甲斐田…電気
屋の、とオレの論争に天本守弥が勝手に割って入ってきて『わ
が正義の名の下』かなり酷い暴力を行使してきた…二人の議
論が社共は今のこの国に必要だと、纏まりはじめた頃に割っ
て入ってきて…」
・「それで、天本も、あいつの社会主義は…議論も許さない
…、ヤツのオサトを垣間見ることが出来たのです…細かいマ
ークはしていませんでしたが、オレにも蟲の居所もあって…」
・「…うん、よかったわ、」「先輩は結果無事でしたから…」
「しばらくは大人しいかも…」…「なのに有妃先輩、あなた
にアリガトもないの?」
・「ウーン、先輩、複雑みたいでして…」「そ~なんだ~、
和田クンにはつれないんだ。」
・
・…
・
・「…天本守弥の後継者がいるから気をつけて…遠目でいい
から。」「しっかり支えないとひっくり返りそうで私は心配
です…」…「有妃先輩に代わって言わせて下さい。先輩あり
がとうございます。」「いいえ、私の先輩でもありますから
…」「こちらこそ…ありがとうね」
・
・“…何やっているんだか…ワタシ… ”「…」?「先輩?」
…「なぁに?」…「あれ…先輩の後ろ…」能直はどう形容
していいか困った、結局“あれ ”しか言えなかった。
・…突然点灯した街路灯に照らし出された人物が能直の記憶
を触った…、
・小さい頃…引っ越しの夏に俄に現れた白髪の作業服のリサ
イクルショップの外回りのじいさんだった、…だろう、それ
に、引っ張ってきた荷台と一緒に仲山茅夏へめがけてきた。
能直はなに思うでもなく仲山茅夏を背後に廻し、不思議じい
さんの前に立った。 -203p
・あの時、茜色の黄昏どき、青白く輝いていたのはLEDの
街路燈の灯りだったのか?…能直はそう思った。じいさんの
懐かしい唸り声を聞いた、「…ズェ…。」とも「…エ~…」
とも「…クズイェ」とも聞こえていた。“町の雑音に紛れて
ツトメ…カンケイ…クズモ…イェニ、ッレ…”…能直にとっ
て懐かしい不思議爺さん…。
・…
・
・「てめぇ。」
・…能直の背後で聞いたことも無い男の声がした―発声し損
なったオンナの声だったかも…共鳴でも悲鳴でもあった。…
そしてその背後の音声とともに背後にいた仲山の気配が消え
た。…仲山は重い鞄の側面をその不思議じいさんに浴びせた。
…辺りは異様に静かだった。白髪のリサイクルのじいさんは
歩道に座り込んでいた。…街の雑踏がじきに戻ってきた。茅
夏が正気に戻った、「…ご。めんなさい!」「わたし、ひと
違いをして…」「ホントに申し訳ありません。…」座り込ん
でいた作業服の華奢なじいさんににじり寄って仲山茅夏は土
下座していた。じいさんは、全く何もない…と言うような手
振りをしながら、「…クズ、ォヤ~」とか「ゥ-イエ。」とか
「…ォ-イエ」とか言ってスクリと立ち上がり、何か“ツト
メとかカンケイとか…”モゴモゴ言いつつ二人に会釈をして
たちどころに宵闇に消えていった。…幽霊のように…途切れ
ていた人気も出てきたが、仲山茅夏は腰が抜けてしばらく起
てなかった、顔も酷く青白かった。
・能直は茅夏の肩を抱え上げた、女傑は可愛げにもしっかり
しがみついてくれたのだが、肩は震えていた。…能直にとっ
てもリサイクルのじいさん似の人物は相当不気味だったのか
能直も膝が震えていたのだった。
・誰ぞ彼―たそがれ…
・…「ねぇ…、和田…クン?」「あのおじいさん、どう聞こ
えた?」能直の腕にしがみついたまま額を能直の胸板に当て
たまま言った。「…どうって、オレが小さい頃あのじいさん
に会ったことがあるんです、恐らく三回ともリサイクル=“
屑屋 ”じゃないかと…、あ。変ですねたて続けに三回は…」
…「ねぇ…和田クン、ここではなんだし、もしかして変な頼
み事になってしまうかも知れないので、家まできてくれな
い?」「…きっとすぐ済むと思うし…“チョット思…オモウ
トコロ…ガアッテ”」
・「ええ、…ハイ。」
・
・ -204p
・仲山茅夏の家の向かいは出口の家でそこを通過しようとし
ていた、戸波には古い路地が多く
・出口の父は区議をしていて家は事務所を兼ねていた、党員
やら秘書やらでわさわさしていた『生活相談・でぐち』のポ
スター能直の気をひいた、若手の区議だった以前はグレーだ
ったがそれにも増して白髪が増えている気がした、それに共
産の文字がポスターから消えていた。…本物の区議と党員が
事務所の玄関で何やら話をしていた少し空気が重かった、そ
こに居た本物の髪はもっと白かった。「茅夏ちゃん、お帰り。」
「おじさまただいま帰りました。」仲山茅夏は深々挨拶した、
・…爽やかな声が路地に響いた…、
・
・「…あれ和田君?…大きくなったんだね。背も…」
・…「その節はありがとうございました父も母も大変感謝い
たしております。オレ二年も落第したら…」
・「ごめんなさいね、全くお役にたてなくて…」
・「そんなことはありません大変…ありがとうございまし
た。」
・
・仲山はその間に向かいである自宅にスルリと入った、鍵が
かけてなかった間合いで茅夏は会釈して能直を誘い入れた、
「まあ、狭い家ですがどうぞ。」出口事務所の熱気がそのま
ま仲山家に流れ込んでいた。
・
・…「ただいま」…「お邪魔します」、「お帰りなさい。…
ナオくん?久しぶりね、どうぞ。」
・
・…仲山の部屋に通された、仲山はブラックのアイスを持っ
てきていた、…盆には“台所―発”グレープフルーツもあっ
た…「着替えるからここで待っていて」「…あ、ゴメン、別
の部屋で着替えるから大丈夫」
・部屋の壁は、本棚で囲われていた、女傑ならでは書が並べ
られていたのだが、出口事務所からの風はしっくりと馴染ま
せているようだった、清楚というより無駄なく明るい。仲山
茅夏は普段着になっていた、梅雨もあけ仲山はジーンズに濃
い色のTシャツだった。 -205p
・…
・部屋の扉を閉めると微かに柑橘系の香りがした。“台所
発”には曳き手があった。
・…「ごめんなさい、びっくりされたでしょ。私が…、凄ま
じい声で暴力を振るうなんて。」「先輩、人物誤認て?」「う
ん、誤認というか、私の夢に小さい頃からよく出てくる死神
なの、ほぼ一緒よ灰色の作業着は…もっと白かったかな?自
転車でリアカーみたいなの曳きながら黙って、ゆっくり追い
かけてくる。恐さが死神だから、私に何を渡すか知っている
から死神…要らないもの引き取る。高二になってから死神が
…」
・…「和田クンだし…、男の子のくせにオトコ臭くないし、
私が言いやすいし…変な話だけど我慢して。今までのように
守秘してくれるとありがたいヮ。」
・…「…夢の中よ。」
・…「死神に私襲われるの、願望でも妄想でもないし現実で
もない…夢よ、」「はい。」「私追いかけられ暴力…。」「それ
で香気武者―影武者の背中から勇気…貰って…」「…勇気じ
ゃないね暴力衝動ね…死神と重なったリサイクルのあのおじ
さんとんでもない災難ネ。」「冷静な先輩が夢と現実取り違
えるなんて…それこそ、死ぬ程恐かったんでしょ?」…「ウ
ン…」先輩の声が潤んでいた。
・
・…「それにあのじいさん只者じゃないです、昔…、あのじ
いさんに…に酷く似たリサイクルの老店員に会った後、2日
ほどね、オレ昏睡してしまったんだ。」「それに先輩の鞄あ
の不思議じいさんに当たっていない。…思い返すと、その前
にスッとしゃがみ込んだし、鞄はなんか盾みたいなので弾き
返されたけど、生身の硬さじゃなかった…です。コンクリー
トみたいな…」
・…
・ -206p
・「…もし小 1、オレが引っ越しの日、白髪不思議じいさん
~引くほど気味の悪い爺さんに会わなかったら、小五で遭難
した後、死の淵を彷徨いながら長々昏睡・半覚醒を繰りかえ
さなかったんじゃないかな、それと、戻れなかったって」…
「ナゼ莫迦の俺が何故か引いた」
・…「そして…逢わなければ、きっと戻れなかった。」「…
先輩が“死神 ”って言わなければ気が付かなかった…。」「…
オレ、かなり前、引っ越しの日にあのリサイクル店員のじい
さんに使わなくなった電子レンジを渡しそびれて代わりにオ
レを持っていっ…持って行きかけた…」「オレは、只の駄目
雄とかゴミじゃなく誰かの邪魔…それを知らせに死神は来
た、でも死神の領分は死しかない、曖昧で中途半端な取引を
した。爺さんからもらったメッセージ―『クズ(でも)イエ
(に持ち帰)れ』?…かな。…先輩。…ありがとう。」
・
・
・…「今度は先輩の番、…とにかく現実世界ではともかく、
あのじいさんとてつもなく変です。…ょ。」
・
・「…ところで和田クン?、変えがたい定めに気が付いても
平然としているわね…その不思議おじいさんは、なんて言っ
ていたの?」「屑屋と…」「三回も、たて続けに?」「それな
んですよね、引っかかるのは」…「先輩にはどう聞こえたの
ですか?」
・…「う~ん、屑屋は言っていたかも、でも売る方のリサイ
クルかな…」「…で、和田クンは不思議おじいさんの人質っ
てこと?」「う~ん、そうなりますよね…」「先輩…全く関
係ないことなのですが中二の文芸部の文集のことですが『耽
美主義の救済』書かれた後、気持ちや心情に変化はなかった
のですか?結論が耽美に救済不要みたいな…先輩?御自分の
立ち位置無くなったのでは?」「無いよ。…なくなっていた
よ、部誌編集会議みたいなのが有妃神社の社務所で…ぁ、キ
ミは午前いなかったね…あの時の戦略会議に臨み、自分で急
いていたものを皆で諫められていたことが分かって新しい足
場出来て…皆で共有する足場ね、ずいぶん楽になったよ。…
立ち位置なし壊すような死神を、自分で飼っていた様な…」
・… -207p
・「私は逆説を提示したの、『耽美』を多方面・多方向から
叩き・攻撃してゆき、『実の迫害の根っこは外にありました
…』迫害主体を観察してゆき迫害しているが自壊しかけてい
ることを明らかにすることで『耽美』を救済する…文集では
くっきり書かなかったけど、他の面々が筆力で迫害主体を丸
裸にしてくれたので一五〇%の満足ネ。」
・「先輩の『耽美』って御自身のこと?」「…莫迦ぁ~和田
ぁ…流石だね、顧問や私たちにきっちり仕込まれてきただけ
のものかな…凄いよ莫迦のくせに。」
・「でもね、和田クン、残り半分の『耽美』は有妃先輩なん
だ、少なくともキミたちと出あった当初はそうだった。それ
で当初はその『耽美』を迫害するのが私だった。…だが愛し
き『魔女』は私を耽美に組み込んだ、普通・凡庸に佇み…そ
して埋もれている小柄な少年に耽美を見出し『魔女』の膝の
上で美少年に変えた。私はそれに嫉妬したのに耽美に組み込
まれた。」
・「複雑ですね、でも分かります。…もう恥ずかしい限りで
す」
・「…だから私は、“ね”大丈夫だよ。大丈夫じゃないのは
有妃先輩の方、…“天本の良かれ”の企みと、『魔女』振り
払った、無名・無実となった佳人の先輩は少しずつオス…獣
の目にとまるようになった…耽美の核が揺らいだのだよ。だ
から私の死神も揺らいでエロくなった。…もう大丈夫。…キ
ミと話して大方整理出来たよ。」
・「こっちこそありがとう。」仲山先輩は深く頭を下げた…
ままそのままであった、きれいに通った鼻筋の先が紅くなっ
ていた、垂れた髪も美しく揺れていた。「でも…きっと私、
死神の人質…」
・…
・「だから、死神の人質の身でワガママ言って、済まない。
…香気武者―和田能直。私たちの耽美を守ってくれ…それに
私が部長になってからは私はキミの主だ…口頭契約だが勉強
に限った契約ではなかったはずだ。…」有妃卒業後の部は能
直の補習塾だったが、ここ来て能直に酷く厳しかったのは単
に勉強が出来ないだけではなかったのを合点した。 -208p
・…「私の危機を鼻で感じ取り、居合わせる…莫迦の常能力。
さっきも見せて貰った。有妃先輩のときも」…「主が頼んで
るのだ、異存は許さない。」「…それでだ、死神―警告神は
言った『次は能直』と、私はそれで危機から逃れられるので
あればそれでいい、きっとその時の私は混乱しているのでは
ないだろうか…和田。それでもやってくれ、つまらない女で
はあるがきっと乙女らしい抵抗はする…暴力衝動も…きっ
と、それでも…」
・「…そんな…」刹那、小柄な女傑は圧倒し能直を組み敷い
た。「…だってキミは死神の虜、そこから逃れる数少ないチ
ャンスのはず?、私で良かったら…」「その時はお願い、遠
慮は無用。和田クン…迫害者が死神と組みしても、死神の超
能力より私はキミの莫迦の常能力に賭ける。」バラの香りが
能直を包んだ、茅夏は能直の額にキスをした。
・「それから、有妃先輩やキミのお母様には及ばないが、ボ
クはキミが好きだ。」
・…「莫迦~ぁ、のお陰で大方の謎が解けた。…このままキ
ミを幽閉しておきたいが死神が話に加わってきたことで、主
従のバランスが逆転だ…でも今は私がキミの主人だぞ。」
・
・茅夏はそう言って頬にキスをした。…グレープフルーツが
甘く香った…
・…垂れた髪、その陰で端正なつくりに瞳が光る。梅雨明け
の暑く渇いた風…「それでも、迫害者…たちはきっと動く、
キミの天性の明るさは迫害者たちが執り行う恐怖政治にとっ
て邪魔…おおきな障害になってくるだろう。林間学校遭難事
件のようには上手くはいかないと思う、今でも、キミを消そ
うや道具にしたがる主人たち~“オカミたち”はかなり神経
を尖らせている。」
・「主人~オカミたち?」
・「莫迦のキミも、自分のことになると鈍痴ンなんだね、」
仲山はクスッと笑った。
・…「従たる香気武者が危なければ、主人はなんの躊躇もな
くイヌに成る。」「こっちのイヌ、獒―降魔犬…だよ」
・…「私が補習塾のSだったように、今は、有妃史澪がSだ
と思う…ナゾカケのS。…彼女-有妃さんから何か御題とか、
貰っていない?」…、?能直が首を傾げる?…。 -209p
・…「やっぱり…ネ。」…「今の虚ろな関係は私にとって心
地いいものでは無い、仲がいいほうがいいに決まっている。
急かしはしない、そうなってくれ。」…「私が危機の時、そ
れを嗅ぎ分けてすぐ来てくれ。寂しいときも察知してキスを
してくれ…でもね、…最後の切り札はあげないぞ。」もう一
度能直の唇を吸って能直から離れた。「…恐らく有妃さんの
香気武者宣言を聞いたひとが主人役、出来るんだろうね。…
ありがとう莫迦。」そう言って能直の胸に手を当てながら惜
しげに解き放ってくれた。
・
・
・
・
・―風評・風説・風邪・風神ー
・
・
・
・
・
・…仲山茅夏は深淵から救済されてはいた、恐怖やら宿命の
謎は解けはじめていたが、全て解消したわけではなく、卒業
生たちを出したあの戸波中の職員室の一角は妙に熱かった。
・
・水曜と金曜日たまには木曜の昼休み、能直や有妃を排斥し
ようとした職員が集える日だった。建設的…いい言葉だがこ
のエリートたちにとってこの熱い言葉は何処かべつの意味が
あるようだった、もちろん地位・権力・知力の勝ち負けでい
えば勝ち組、だが地力・財力・人脈ではそう言い切れないと
ころがあった。彼らの言う建設的の背景には競争と勝利、叙
情も行間をなぎ払いただただ勝ち抜く通りの良い言葉に靡く
エリートは競争心のある生徒を選りすぐり指導することは優
れていた…極めて。ゆえに競争力のある中学造りに夢見てい
た。…だが様々なポテンシャルを育む能力はこの勝ち組たち
にとって貧相、出し抜く対象でしかなかった。勝ち負けの象
牙で育まれたエリートにとって子供たちの様々なポテンシャ
ルはノイズのような風にしか映らなかった、それでも“なん
とかしてあげよう ”とはそれとなくは思っていた。 -210p
・だがこの熱い思いは、実に無邪気で無関心で酷く無責任で、
勝ち負け以外には無力なものになっていたがそれでも彼らは
熱かった。結果、様々なポテンシャルには無配慮で冷酷で極
めて無意識的だった。往々にしていつのまにか、ポテンシャ
ルを持つ生徒・考え込む生徒にたいして負の烙印を捺してい
た…やる気のある生徒間での風評を増幅した、場合によって
は虐められていたことの認識も出来なかった。不思議に熱い
教師たちは国語と理科それも生物系が不得手でもあった。
・…金曜日の昼休み…
・不自然でカサついた声が喫煙所から発つ。
・…「へ~あいつが…」「あのおバカなのが新進の受験校に?
続かないでしょ?」「和田クン?うちら駄目な子かわいいん
だよね、」
・「なんか考えてはいたようだがトロ過ぎ。どうしょうもな
い。まさに伝染性、“風邪”ウイルス」「靡かないし・響か
ない…」
・…「でも、あの馬鹿さ…減、邪魔―…染するし。卒業…て
セ…セイ。」
・…「…うん、競争力躍進計画の障害―やっとまともな“風
説”が根付いてきているのに。今の生徒にも影響が続いてい
る」「虐めが減らないのもアイツラの所為」…粗い吐息…「文
芸部は根絶やしにしたのにね」「旧来の地元も構造不況で活
気ないのにね…」
・…「魔女は?」「“風評”の魔女?…戸波小の雪女?」「ホ
ント、“バカ”を殺してくれれば良かったのに…」「今、魔
女は?」「…大人しくしている、“弟子“の天本が懸命に手
なずけているて話さ」「天本ってここの生徒会長だった?」
「そう。」「…あいつ頑張るね…」
・「それより…言わぬが華の…皆さん競争力の件は?」「今
日のよる転職した主任来るよ」「…え?」「主任ねえ、なん
か恐いよ」「あれ知らない?師業やめてないよ」「名門、私
立の慧…」「え?あんな不祥事起こして?魔女殴っていて?
凄い、出世でしょ…」「党本部の意向だよ、もちろん」「そ
れより仲山先生の娘…魔女の次期文芸部長、が、“風神”…
もと一中校長をあぶりだし始めているみたい、本部伝家のト
ラップを使うそうな…さーて、どういう風に曝くかな?…」
・「やめて、なんだか声がいやらしい!」
・… -211p
・「トラップって?」「…魔術さ。」「色んな仕掛けがある…」
「昔っからこの戸波界隈に棲む都市伝説…落ちこぼれどもの
守護者」「封はしてある、…名前―職能で、」「…」?「現代
人は気味悪すぎで使えない」「…なんですそれ?」「ブルジ
アや資本家でもない…でも敵…我々の敵。」「悪魔とか死神
とも」「党本部が認識している敵」「千代大宮の帝じゃなく
て?」「それもそう」「伝承の狭間を風のように飛び回る…
だから風神」「…科学的じゃないゎね」「ここ数年、人物も
特定できなかった…憑依みたいにね…」「憑依って?」「曖
昧な境界を巡る海賊―ファントム―界賊」「…それこそ都市
伝説」「旧来の資本家が常套するのがこの種の都市伝説」「党
本部にも」「都市伝説はあるんだよ…」「いや。…これはテ
ーゼ。」「きちんと潰しておかないと大きな競争力になりう
る…」「旧来の資本家なんて銭持っていない」「銭持ってい
る間に叩いておかないと…」「だから主任」…?…「うっそ
~。」「あなた、本部とのパイプ太いし凄く恐いワ」「ゴメン
冗談!」「ホント?」「本当!」「気味悪いよ、ホントに内の
ひと?」「…すまん、本部って東京や日本じゃないよ。」「大
陸~遠方の西~新大陸?」「これ以上は言えない。」
・…「でもどうして内らの学校って出来が悪いの」「…それ
は伸び代、有望株。都市伝説が付いてくるのも…、本部はそ
うみている」「人材も厚いのを送っている」「そうなの?」「…
なんだよ、励めって?」「ノルマ?…燃えるね。」「…面白い」
「そう…仕事楽しい。」「仕事、つまんないと持て余して自
滅とか内部紛争とか、そいつは恐いね。」「…今晩、主任が
来る…元の…明日休みだから」…「ワカッタ。」「うん。」「…」
・
・
・
・
・―もう一つの邂逅ー
・
・
・
・
・ -212p
・…仲山は万遍なくできた、だが茅夏の内面は数学の苦手感
を振り祓えなかった、解答にスピード感もなかったかったし、
数学の説明表記がデス・マスでなくダ・デアルの男性口調が
いやだった。教科書の表現がそうであるのは問題なかったと
して、仲山自身が解答する場合~です・~でありますと言う
表現を徹底的に強制された…それで仕方なく~だ・~である
と言う風に変えられた。また行間を尊重する文学に対し、数
学は極力行間を排除した…そうさせられた…それがとても嫌
だった。それだけ戸波中の文芸部の水準は高かった。…高い
と言うより異質だった。
・です・ます調で、行間を特に「何故?」の行間を浮き彫り
にすることが数学のロマンを感じていた。それは中津区二中
文芸部に思想研究部~ディベート部ブースを作っていたころ
にも感じていて、…説き伏せるのはデス・マスの方が反って
力があり、ロマンチックだった。
・
・…
・「どうしたの?ナカヤ…」
・
・…「え?ああ…有妃先輩」有妃は微笑んでいた…
・「??…どうしたの、中庭の噴水のまわりを…何かあった
の?」茅夏は一瞬びっくりしたが唐突に有妃から声をかけら
れたことと融合していた、噴水の周りを回っていたのは数学
のロマンだった。「…先輩?文芸部の先輩として、例えば数
学の証明問題、語尾がデス・マスの方が美しくありません?
文芸部として…」…「…ええ。その通り、でもわたし深く考
えたことないし…時間かかりすぎて凄く恐かったし…」「茅
夏さんは私にとって大きいと言うか、とてつもなく時間のか
かりそうな問起てを…小さな噴水一回りで…二回り半で解け
たみたいだったから…」二回半…「それに何処か楽しそうで、
声をかけ辛くも私なかったから…つい…ネ」仲山はこの先輩
が天然であることを思いだし少しドキッとしていた、数日前、
眼の前の先輩の彼みたいな男の子の唇を奪っていたのも思い
出してもいたからだった。…証明問題はデス・マスの方が美
しいのと、香気武者の男子茅夏は半ば共時もしていたからで
もあった。…そうかどちらも楽しい…のか…と茅夏は軌道修
正した。仲山は肯いた。そして、二人ともなにげもなく一緒
に下校できる日を確認しあった。
・
・…
・ -213p
・ふたりが地下鉄の八千代堀駅から出ると、風は凪いで蒸す
黄昏、ふたりとも少し表情が分かりにくくなった来ていた。
地下鉄では音が大きく聞き取りにくかった…大した話はして
いなかった。…途切れ途切れのラチェット音が二人の思念を
ざらつかせていた。
・
・ …「まだ時間にゆとりがあるし、チカさんが自身で考え
るのが一番イイヮ、」
・「?」
・…「わたしも“ナゼ?”で嵌まり込む楽しいトラップがあ
るのだけど、受験が近いと…とっても大きなハンディ。」「…
ワダ。と同じテーマなんだけど、あまりあいつの側で雑音た
てたくないの、同じテーマだし、あいつはあいつで考えて欲
しいの…それに莫迦だからトラップにもならない~嵌められ
ない…いいえ、あるの元々、トラップが小さい時から延々つ
ながっている…だからバッカなの」…
・
・「でも、そのトラップの所為で現代社会の競争~闘争から
距離を置かれているいい意味でも・悪い意味でも普通のバカ
なの。」…そう言いつつ、史澪はまじまじと茅夏の顔を見つ
めていた。
・「チカさん?…は、大方結論が出てきているのでしょ?そ
の結論の出きっていない状況でわたしの答えはネ、形に残る
ようなテストの答案は紋切り型かダ・デアル…。他、音声で
はデス・マスかな…」
・…自転車のラチェット音と、戸波の路地裏から喧噪に隠れ
ていた「クズヤ…」の声が聞こえて…。仲山は、この前のこ
とがあり、件の老人に敬意と謝罪の含意を込めて会釈した。
・
・
・… 史澪の表情がくもった…リアカーを引く白髪のリサイ
クルの老人に対し何かを向けていた。史澪が「テェ」まで言
いかけた瞬間、茅夏は史澪の背後に回りキツく拘束した…史
澪の「テェ!…」は異様に低かった。
・仲山に直近のデジャブが走った。
・
・!「…先輩!。『テメェ』じゃないです!、落ちついて。」
・ -214p
・…「…どうして…」「何故…チカ?、わたしの次の言葉と
行動が判ったの?…予知?」「…ともかく落ち着いて下さ
い。」「ともかく!落っ…」
・
・…
・「すみませんでした!この通りです。」何処かに張りがあ
った。小柄なリサイクルのじいさんは帽子を取り深々頭を下
げしばらくそのままだった。だが、そこで響いた声はとても
澄んでいた…まるで少年、よく見ると硬いLED光に照らさ
れた髪は白と言うより銀色だった。…だかそれまでで少年の
発声は途切れた。美声に打って変わって、街の背景騒音に紛
れてボソボソと…追尾出来ないくらい不鮮明で、聞き取れた
単語も意味の連なりを失い、音声は数秒で二人の記憶から遠
退いていった。
・史澪の混乱は収まらなかった、声も人となりも様変わりし
てゆくリサイクル店員や、先を制した仲山の言葉でますます
動揺した。背後で史澪の両腕を押さえていた茅夏を振りほど
はじめていた…。
・
・「その人死神ょ!先輩。」
・
・…史澪の顔色が変わった。茅夏の顔に焦点があった、「部
長。死神じゃなくても…そんな類いの人よ。生と死の境界に
いるの…界賊、その人は!」
・
・…史澪に宿っていた禍々しい力が薄れていった。
・黄昏と言うより夜の帳…そこに人がいるのかも怪しかっ
た、自転車とリアカー、女子二人の作った陰で、その人は踞
り、辺りはその人の息で様子が変わった、人影は何時か何処
か、…でずっと聞き馴れていた唸りとも声とも言いがたい呼
吸音が息継ぎをしつつもボソボソ溢れていた。 -215p
・…ゆっくりした、とても、リズミカルな反復音、…やはり
息が作った渦流だけなの?…それでも、二人の女学生は声と
いう想定を払えず、黄昏の暗い部分に耳を起てていた。その
人の声が澱んでいたのか、八千代堀辺りの空気が澱んでいた
のかわからない、荷台からは色んな匂いが発っていた、古い
機器は半ば朽ち、塵埃には黴の匂いもしていた。多様で不快
な匂いは二人を更に警戒させた。
・…一人の人間から出た悪臭とは到底思えなかった。声帯か
ら出た乱流も然り。二人の耳の辺りでは…クズヤ、と聞こえ
ることが多かった、雑踏に紛れてしまうのが最も多かった。
他にはクズはワレ…とか、漢字を響かせる音もあった…屑厄
…とか、受け家、受卦、疫病とか聞こえるものもあった。意
味が響く度に二人は互いに目をあわせ…恐いながら口元は復
唱のように震え同調していた。
・…遠くで誰かが叫んでいたように思った、それでも二人は
リサイクルのヒトの網膜からでる青白い反射光~恐さか…ノ
イズに意味を感じた所為か…は分からないが、唇が震えた、
…震えながら。街の唸りから湧き出てくる声も聴いていた。
・…ィエ~…とも、なんとでも聞き取れる物音を…
・…イ・ェ…、…イ・エ…、…カェレェ。走り寄る靴音に紛
れながら…、ィメェイ、デス、…「マッテ、」…ヒメィ…ヒ
メイデス。そんな音が渦巻きながら、二人の視界に、息も絶
え々~アールグレイの匂いの塊が割って入った。
・は、は、ふ~、ハッ。…
・
・「カドウナガイ、カンケイヨシ、フツウ」繰り返される。
・「カドウナガイ、カンケイヨシ、クズウ」繰り返される。
…そう聞こえた。
・「稼動は長い、関係よし、普通。」
・「稼動は長い、関係よし、“ソレデモ”屑?」
・
・…“労働時間は長いですが人間関係は良く職場のストレス
はありません。普通です。”繰り返されると、独語と街のエ
コーと靴音の混声は…そうも聞こえる。
・
・「二人とも」「聞いちゃ駄目…それ…」「悲鳴で…す。」「ヒ。
メ。イ。…」「憑き・取り込んでゆく悲鳴。おれが、聴きま
す!。」
・
・
・…何処かからともなく現れた和田能直がそう言った。
・ -216p
・…「ワダ。」…「香気武者…クン?」…震え同調していた
唇から彼女たちは自分達の声・言葉を取り戻した。
・…「詳しくは、母から、聞いて下さい…おれも、母の指示
できました。詳しくは知りません、母はマンションにいます。
お話したいことがあるそうです。」
・二人は香気武者-能直の唐突なハナシを呑み・信じた。
・…能直は二人を自分の背後に回して、
・「ザックリ母がいうには、唸り声を探るのと、その声の内
容についてリサイクルの翁と競うのは危ないと言っていまし
た。」
・「…以前から大事にしていた『耽美』を探査で放り投げて
はいけません」「ともかく、ここはお二人の香気武者…とし
てこの和田能直に任せて下さい。」
・…呆然としている有妃の手を仲山は引いた。「死神ですよ、
ワダくんに任せていいですわ、先輩、ワダくんのお家に行き
ましょう。」…有妃の手を強く引いた。
・
・
・
・…(和田宅)
・「おばさま?…」
・「おばさま?」…二人は声をそろえた。
・
・…「たいへんでしたね、二人とも挙動不審でお巡りさんに
職質されるなんて、…もしリサイクルのおじさんに暴力振る
っていたらアイツラの思惑通りに…」
・「アイツラ?」
・「あいつら…」
・
・…「能直が中一、史澪ちゃんが三年、チカちゃんが二年の
ときの文芸部文集は憶えていますよね、…能直の作品の中に
自転車で曳くリサイクル店のおじいさんの幻想的お話…」
・「ェェ憶えています?」「はい。でもチカさん?…それと
関係あるの?さっきリサイクルのおじいさんを死神と言…」
「それに私、リサイクルのおじいさんをどうしようと思って
いたか、チカさん判っていましたよね…だから私を羽交い締
めに…」 -217p
・「…恐らく。私も先輩と似た様なこと夢の中でされていた
のだと…」「きっと…。具体的な話は…とても、絶対出来ま
せんが…」
・「…そうよ。能直の作品のリサイクル店のおじいさん・二
人の夢の中に出てきた死神・さっき出くわしたリサイクルの
ヒト、同じ神話素から出てきた同一人物です…。」
・
・「…でもおばさま?何故、死神?ですの?…夢魔でなくて
…」
・
・「いいえ死神です。」
・「いいえ死神です。」母―朱樹と仲山茅夏はハモった。
…「…死神です…ハイ。…」史澪はうつむき顔が紅くなった。
・
・
・
・
・―邪魔・夢魔・時の鬼・界賊―(プレコックス臭)
・
・
・
・
・
・…史澪・茅夏を母の元へと遣ったあと…リサイクル店の銀
髪の人物が曳いてきた自転車と荷物、その軸線に能直は立っ
ていた。
・
・…ふたりの間には色んな異和感が集まってきていた。
・
・…「古守さん、お久しぶりです。」…その人物、動作が異
様に遅かった、…「お元気ですか。お話するのは久しぶりで
す、あれから大分年月が経っていますが変わらないですね、
いいえ、少しお若くなりました?。」
・ -218p
・「お久し、ぶり、です。大きく、なられましたね。」会話
はトツトツ、オドオドぎこちない、異和感。「…あなたは、
和田先生の 息子さん、ですよね。あの時 は、お母様に大
変お世話、にな、りました。入院期間も短くて…古守の本家
に対しても、私の身元責任も、していただいて…」…なんだ
ぃ?この途切れ途切れ…の言葉…年齢不詳
・「労働時間は長いですが人間関係は良く職場のストレスは
ありません。普通です。」
・
・…このスムーズさ、ここだけ、繰り返され言い慣れた常套
句なのだろうか?ここだけ、異様に滑舌が、良い…異和感。
…普通って?でも?…何処か苦しげ、顔も熱っている?。過
労で疲れ果てた中間管理職が酩酊しているようにも感じる、
この地は一応オフィス街…でもこの銀髪の人、母さんは管理
職といっていたが、この人管理職には見えない、見えてこな
い…。
・声にはどこか悲鳴にも似たものがある…声じゃないこの人
との間合いに悲壮な何か…、?異臭?、いや…この古守さん
の顔は他者からの悲鳴を聴いている…そんな顔。母さんの病
院の人と同じ…異和感。能直は直観した。
・…「つとめは、長いです、関係もいいです、ふつうです…」
・
・…やはり、悲鳴だ。空気が硬い…繰り返され、声量やエネ
ルギー枯渇しているが、悲鳴だ。眉間の硬い皺…幻聴は消え
きっていない顔…異和感。…このリサイクルの店員を頑なに
させオドオドもさせている何か。何処かショートディレーの
残響の様…それが、ビルの谷間の響いているかのように錯覚
しだしていた。「…ン?」とだけ能直は呟いた。
・
・残響、ショートディレーが響いた「オレの声?」…「悲鳴
ですって?和田クン?」…“嘘だ、オレそこは声に出してい
ない…悲鳴はオレだけの思念…何故分かる?”
・…「ああ、私も変です、和田クン、私も貴方の悲鳴が聞こ
えます。…まだ実は結びはしていませんが沢山―おびただし
い分野の本、勉強?…乱読!読みあさっていますね…遭難み
たいな…また災難に組み込まれる…そうならない為の努力…
稼点とは無縁の備え、…母君の見守りや誘導があるとは言え、
最早、子供の淺知恵とは別境地…まるで永遠の翁。未熟な鬼。
全知の莫迦。」 -219p
・…「私と同じような崖っぷち…しかけられつつある罠の予
感…だから悲鳴が共鳴するのです…ビル街に…」
・
・…ビルのテナントも酷くざわついていたのも気のせいだろ
うか?
・
・能直も間合いが乱れた。…「これもバカ息子を憂う…母の
仕事ですから、憂う精神科医の叡智かもしれません、…それ
より古守さん、何者か?から…誰かから…理不尽な廃品を引
き受けられたのでしょうか?お荷物の匂いが怪しいです。」
「…善意でなされている仕事に…憑いてくるものでも…それ
も重たいモノでも余儀なくされた…とか?」「悲鳴にも似た
とても重たい何かを、…緊張感を感じます。」
・
・
・「…そうですか、…やはり、悲鳴ですか?…匂いますか、
何か、唐突ですね、大丈夫です、わたしは普通です。では…、
また。」
・…リアカーを自転車で曳く店員は酷く雑多な異和感・残響
を残したまま立ち去ろうする。能直は何もせず…何も聞けず
また見送った。…その口ごもりは夢に出てきそうな異和感を
抱えていた。
・
・
・「つとめ、…ながいです、かんけいも…いいです、ふつう
…です。」
・
・「カドウナガイ、カンケイヨシ、フツウ」
・
・「くずいぇ~ …かいます、なんでも…おうちの、ふよう
…ぶつ」
・
・…異和感には反復するフレーズも組み込まれていた。
・
・「つとめ、…ながいです、かんけいも…いいです、ふつう
…です。」
・ -220p
・「くずいぇ~ …かいます、なんでも…おうちの、ふよう
…カェレェ」
・
・
・
・
…カワサレタ。躱された…。
…オドオド・トツトツの反復は時刻も歪めていた。
…夢にでも出そうな異和感・残響…
…得体の知れない不整合…が至るところにあった。
…何か躱された…、衝突しないように身を翻された…
…かわされた。
・
・
・
・
・…「つとめ、…ながいです、かんけいも…いいです、ふつ
う…です。」
・ 「くずいぇ~ …かいます、なんでも…おうちの、ふよ
う…ぶつ」
・
・…。
・「つとめ、…ながいです、かんけいも…いいです、ふつう
…です。」
・「くずいぇ~ …かいます、なんでも…おうちの、ふよう
…ぶつ」
・
・
・…店員はまた角を曲がって消えた、モゴモゴ言う悲鳴も聞
こえなくなった。その代わり、この現世に何かが残り、それ
が拗れていた。
・
・
・
・
・―すれ違い~語り部の独り言ー
・
・ -221p
・
・
・
・…語り部は思いつ、言う。
・
・…世界・宇宙には単独で存在するものなどない。安定的に
存在し続けられるのは対があるから…。科学や魔法の核であ
る。例外的にアフリカのドゴン神話の独り神-『狐』くらい
で…この『狐』は酷く不安定でトラブルを繰り返し、常に神
々を悩ます。…神はこの身内を擁護するが、破滅的に“つま
ずいた”とされる。…ドゴン族は身近で明るいシリウスが連
星―対の恒星であることを予言した種族として有名だが「安
定的なものは全て対である」と言うこの一般的神話原理に接
触してきたフランスの民俗学者グリオールを介して西欧文明
に伝わっただけなのである。…また対、あるいは双子である
両極の有り様は明確に語られてはいない、天動原理は地動説
を立ち上げたコペルニクスの死を以て否定されたが、天空の
星が全くピクリとも微動にもしないと言うことを証明された
訳ではない。…天と地とは対で、天空の変化に応じて地上に
も然るべき変異が起こっている…これはドゴンの神話原理か
ら導かれることである。一方、恒星は恒星・星の運航が安定
的なのはそれぞれが対を為しているからである…同じような
ものの対ではない。酷く異質なものの対である。…同質の対
は何時か融合し『孤』となる。…天空に張り付いていた天体
は何時か地表に落ちてくる…かも知れない。この大きな神話
的課題は先代霊長種である龍種が、鳥類の進化と明言『祓え
ない恐怖はない』を引き換えに概ね解決したと語り部は考え
ている。
・昼を支配するお空の天道さんも、太陽も太陰という対でバ
ランスしている…太陰は月なのか、大きな引力を持つ穴なの
か、まだ定かではない。…いずれにしても大地が太陽あるい
は太陰に呑み込まれることもない。
・
・…すれ違いも二組の対を作る…それ故、時も相転移させず、
緩やかに動かす。
・ -222p
・…そう…、語り部は繰り返す。…地表の対でも、一組の対
の…すれ違いは能直とリサイクルの店員にもあったが、
・…もう一つの対、競争と革新を原理とする勢力の党本部が
煉ったトラップと、リサイクルの店員―古守との間にもすれ
違っていた。
・
・
・
・『狐』は競争・革新が相転移し破滅を繰り返したきただけ
にトラップには常に慎重なのである。擁護する同質の孤高神
―摂理神の身代も傾いている所為もある、…ここのところの
トラップは、<邪魔・夢魔・時の鬼・界賊>…この四魔のう
ち捉えやすい“邪魔 ”―あるいは風神…を追い詰め燻り出
した辺りで…。トラップの何処かあるいは燻り出そうとした
対象そのものが、人智として苦悩に陥り統合失調症と言う悲
鳴をあげたところで頓挫を繰り返してきた。…とは言え、こ
の贄によって…安定的に競争・革新が成就もしてきてもい
た。
・
・
・
・…過去にリサイクル店員-古守玄機もこのトラップに組み
込まれ統合失調症を患ったが、能直の母たち医師の治療で比
較的早期の社会復帰が出来た…反発する地域をねじ伏せたの
は母朱樹だった。古守の復帰直後、この戸波の地に引っ越し
てきた和田能直と古守玄機はマンション裏路地で遭遇した、
…遭遇直後、能直は数日意識をなくした…重症熱中症にして
おこう…。
・
・統合失調症を患った古守の治療にあたった和田朱樹の元上
司は治療困難な幻聴モチーフが四つあるいは幻声のトーンが
四つあり、古守本人を惑わし統合失調症独特の酷く影響を与
える幻聴は治療開始、またその回復過程によりこの四モチー
フに収斂されていったのだが…この尊大で思い上がった四人
の人格は一向に古守から退散せず担当医である朱樹の元上司
に食い下がってくることさえあった。…この書では出て来な
い…かもしれない、未だ確定しない… -223p
・
・…この四人の分裂人格のことを担当医は、民俗学に詳しい
かつての部下であった母朱樹に話しておいた。また、ドゴン
神話は遭難事件以降、昏睡~意識混濁中に能直は母の気の迷
い~介護の心労から何度も聞かされていた…病床で語られる
神話は北米のナバホ族に限定的ではなく…ドゴンの神話だけ
でもなかった。もちろん母朱樹の知る神話が能直の意識野に
立ち上ることもなく、覚醒時の能直が神話の本を手に取らな
い限り恐らくこれからも起こりえない。
・…能直の場合、現実世界においては全く使えない「睡眠学
習」なのである。
・…では、本当にそれだけかと言うと、これは疑問である。
…遭難事件以降、一向に回復しない我が子能直の昏睡に、精
神科医朱樹は何を思ったか、俗信を信じこむ母になっていた。
無心に昏睡~意識混濁を繰り返す能直に延々ありとあらゆる
神話を話っていた。その不思議な風景と、ナバホ族が時空を
隔絶させた母子が佇む病室を、なんの因果か、当時同級生で
あった仲山茅夏は目撃していた。有妃史澪にいたっては何度
も反復目撃されるあまり、神話を読誦する異空間に引きずり
込まれ同席を強要された。母朱樹はこの読誦は万一の時の悔
いを残さぬ為の作業で、数多の幸運もあり…我が子能直は治
るべくして治った、と母は思ったが、…史澪と茅夏はそうで
はなかった。…使えない能直の「睡眠学習」が目撃されると
全く別の意味が出て来る。
・…同様に、社会復帰したリサイクルの店員古守玄機の中の
四人の分裂人格を、能直・史澪・茅夏は知らないのであるが、
母朱樹は知っていた。 -224p
・上司が四人のうち「夢魔」と呼称していた統合失調症の古
守の中に潜んでいた原初的性衝動を持つ分裂人格が、可愛く
麗しい二人と何らかの相互作用は起こりうること、オフィス
街から不要物が出やすい遭魔の刻にリサイクルが良く回るこ
とも、そして何よりその時、在宅していた能直の居心地の悪
さ、能直が香気武者というコマイヌ―降魔狗如き嗅覚護衛で
あることも朱樹は承知していた。…ムズムズ脚の能直に「ナ
オ…。相変わらず、落ち着かないのね…。」「いつもみたい
に、この御近所だけでも廻って外の風にでも当たってきた
ら?…」と、能直は二人が危機フェロモンを出しているとこ
ろを目指し飛んで出た。
・何より戸波地区なかんずく中津区二中の革新的教育関係者
らが何かを燻り出そうとトラップを仕掛けているような圧力
を和田母子は感じてもいた。…リサイクルの店員古守と史澪
・茅夏二人の遭遇場所に…危機的場面・時刻に香気武者は現
れたのであった。
・
・…使えない能直は、革新派が仕組んだトラップとすれ違っ
た、能直の「何故」は古守の四人の内在人格とも相互作用し
なかった。二人の中に潜んでいたモノが相互作用をさせなか
った。
・…寛解相当までに至った古守は、革新派が仕組んだトラッ
プともすれ違った。…「クズヤ…」等の不明瞭な営業音声を
ハラスメント発言と誤解する若い人が散見された、革新派の
党本部は古守を“伝説の間を跳び歩む風神 ”の一人と断定
し、「いつか血気盛んな文芸部OGと相互作用して風神を燻
り出してくれる…」と目論んでいた、「出来れば彼女らが暴
力事件を起こすか・古守が彼女らに性的な暴行を加えるか…
出来れば邪魔・風邪である和田能直も巻き込んで事件を起こ
す。」…ことを切望した、再び魔女有妃史澪の風説を立ち上
げ革新に刃向い異風を放つ地元の要、有妃社と古守商店に負
の風評を立ち上げれば戸波に革新派の邪魔者が消え失せ産業
も教育も競争力ある街に変わる…党本部のトップは考え多方
面にトラップを仕込んでいた…リサイクルの古守商店が忌み
嫌う廃品・不要品を外回りの古守限定に渡す…ほか語り部に
も憚れる飽くまで合法な仕掛けを設けていた。
・…有妃史澪・仲山茅夏と古守玄機との相互作用は未然で収
束した。
・ -225p
・…だが党本部は風神が「夢魔」であり、その集合体が史澪
や茅夏の夢の中で乱暴を繰り返してきたと言う深刻な事態も
知らず、ましてこのトラップが、古守玄機が統合失調症が再
燃すること含めて、能直・史澪・茅夏が統合失調症となるリ
スクになることも感知さえもしていなかった。有名校への進
学率の数値に酔っていただけだった…辛うじて善悪の判断は
出来ていて際疾いグレーに染まっていた、だがそのトラップ
は美醜の区別はなく、そのグレーが汚く・匂いも酷かった…
数値や実体として表れてこなかった。さらに…前者のすれ違
い―古守の内在人格と和田能直の相互作用は位相の異なる数
値外の領域…能直の不全感は保持されたままで、その相互作
用は彼の夢の中で展開される…。
・
・…実空間・実数値では“使えない能直 ”ではあったが、
トラップは発動しなかった。 能直の超能力―すなわち「何
故」と「嗅覚」を抱え込む「莫迦」ゆえに生じる“常能力”
に他ならなかった。
・…まだ、語り部の中では中津区二中の革新派職員が呟いて
いた、風神の都市伝説・風邪の莫迦・魔女の風説・風評の定
着…などが頭を巡ってしまう。
・
・
・
・
・―和田宅では母朱樹・史澪・仲山茅夏の話が続いていたー
・
・
・
・
・
・…「でも、おばさま、私、夢魔におか…」
・「死神 !」
・「死神 !」朱樹と茅夏が遮った。
・ -226p
・…「あれは死神。」朱樹が語りはじめた…、「私が小さい
頃ここら辺りに一時期引っ越してきたことがあって、ニクロ
ム線が細くなり切れかかっていた要らない電気コンロをリサ
イクル…廃品回収に回ってきた作業員さんに渡そうとした
時、凄い変な匂いがしたの…今だから言えるのだけど、統合
失調症の人が持つ独特の…そうね現実世界を切り裂いてしま
った時の匂いね…プレコックス感…現実世界が密かに抱え持
っている匂い…感覚かな、本来、統合失調症の彼らの匂いじ
ゃ無いですけど―土の匂いじゃないんだもの…金属臭だから
…鑑よ、そんなものを感じる…感じたの。…その匂いを追い
かけ、気が付いたら、遠い街までリサイクルのおじさんにつ
いていったの。」
・「そのあと死んでも不思議ないくらいの凄い高熱がでて、」
・…「おばさま?…時間か・リサイクルの人か・何処かが…」
・「…ヘンです。」
・「…ヘンです。」
・…「ええ、可笑しいわねえリサイクルの人、年取っていな
い…若いときから老け顔?、時の跳躍はありね、夢ではね…
でも、貴女たちがとんでもなく不快な夢を見てしまったのは
私の所為。…あれは私の夢・罪業を感じるなら私の罪業…貴
女たちのものでは無いし、細々したこと詳らかにする必要は
ないの、夢魔を装う死神の出てくる夢は原則に反して言語化
しないの…もう少し言うなら、死神と私の所為…“ウンチ
”を死神に渡さなっかた所為よ。」
・
・「…ウンチ?」
・「ウンチ」…「ですか?」
・
・「…年甲斐にもなく久しぶりに、またあの夢を垣間見て…
フト、思い出し反芻・再構成しなおしていたらね…、突然閃
いてね…“死神が、ナオか貴女たち文芸部に危害…或いは注
意勧告を及ぼしはじめているかも…”って…。匂いかな…」
・
・…「二人を呼びだしに行った少し前に…ネ」
・「帰っていたナオ…あの子、そわそわ、もじもじ、ムズム
ズ脚をしだして…“母さん?死に纏わる夢は見ていない?…
”って『ナオ…。相変わらず、落ち着かないのね…。』『ナ
オ…、いま文芸部の女の子何処にいるか分かる?』…って聴
いたら…」
・…「何を思ったか?一目散に飛んでいたの。」
・
・…「『…母は、唸り声を探るのと、その声についてリサイ
クルの翁と競うのは危ないと…』カゲ…和田クン言っていま
した…けど。」「ぇ?…いって無いわよ…ともかく突然。」
・…
・
・…朱樹は呟くように、「夢よ…」
・ -227p
・「ホントに小さい頃の夢よ、性差も知らない分からないと
きだったかな、お腹が苦しくておトイレで一つだけ大きなウ
ンチをするの…その前にスーツを着た銀髪のおじさんが“大
きなウンチをするときは手伝うから言いなさい…。”と言わ
れる、そのスーツのおじさんが手伝ってくれて古い和便器で
ウンウン唸ると、唸るだけでスルリと大きなウンチがでるの
…、痛くもなくいつもとちょっと違う渋り腹の苦しさから解
放されるの…。」
・「でも、『ウンチは汚いから、持って行く…』と有無を言
わさない、スーツの人はそのウンチを抱えて。…急いたかの
ように持って行こうとする…」
・「…でもわたし、そのウンチはこの世で最も大切なもの。
…で、私は育てることを願うの…スーツの人は『元々このウ
ンチはキミの身体をひき裂いて出てくるもの…キミは魚類、
キミがこれを生殖と思うなら本来死ぬ定めのモノ』…『本来
このウンチはワタシのもの』…『どうしても、この子が欲し
ければキミの元に置いておく。』…『でもその代わり、時・
場所関係なくキミのとても大事な身体を引き裂きに来るけど
良いよね!』…『…時を超え・世界が変わり果ててもキミを
引き裂き破滅させに来る。』…ってね。死神でしょ?…生殖
として考えると夢の時間軸とウンチ出産の因果軸がほぼ真逆
でしょ?」
・…「命は死神に焚き付けられて・炙り出されて…新しい命
を死神から奪取する…もちろん大きなウンチがナオよ。…ナ
オに憑いている死神はほぼ毎夜、スーツを着て…スーツを着
たトラップがナオを奪いに来る~そして来た…でもナオは遂
に奪えなかった。」…「だって…。」
・
・…母の顔が真赤になる、「毎夜、ナオを抱きしめ、しがみ
ついてきた…カラ…。」
・
・息を整え朱樹は「だから…きっといつか、スーツを着たト
ラップは手口を変える…死神への手口を変える、あるいは誰
かの手先になるかも知れない。…そもそも死神も急いていて
自身もあぶり出されているのかもしれない…スーツを表象す
るヤツラも…」 -228p
・
・「死神に焚き付けられた命はワタシの夢のなかだけに収ま
らず…命は夢や象徴や匂いと通じていて貴女たちの夢に現れ
たのだと思う…だからごめんなさい…わたし和田朱樹の所為
なの…」
・
・「おばさま、理筋は通っているようですが、納得できない
ことが沢山有り過ぎます。」「…時間が架け離れ…過ぎてい
ます。」
・…“それにこの母子、二人して影が薄い…”
・…“この母子、影薄く、護ってあげたくなる…”
有妃と仲山は二人してそう想っていた。
・
・…和田。が引っ越してきたとき近所の悪ガキにいじめられ
ていたっけ…だから、ボクは和田。を放さなかったんだ。
・…影の薄いのは…大気に溶け香るアールグレイね…。
・…薄い影なのに…香気武者してる。
・…薄い影なのに…香気武者してる。…と二人
・有妃らの加護に母朱樹は、“アリガトウ…自我ノ強カナ子
にシテクレテ… ”そんな眼差しを二人に贈りかえす。
・
・…「その通りかもしれないワ…」
・「でも、お話を少し戻しましょう?…どれだけトラップが
巨悪・巨費で肥大し続けても…昼のヒトの夢―願望を自在に
誘導できても、個々人の夜見る―夢がどんな酷い~惨い夢を
見ることになってもそれでヒトは死んだ例しがないの、両価
性は覚醒時の統合失調症の人を困らせるワ…夢見も両価的で
言葉にするのは酷く困難でも両価的…惨い体験と同時に夢見
手の何処かをしっかり救済しているはずです…これは大事な
根本戦略―口外しないでね…トラップが窺い知れたら突破で
きてしまうかも知れないから…それはそれで根本的な戦略を
立て直せばいいだけ…、」 -229p
・「…例外があったわ、『人を呪わば穴二つ』と同じことょ
…日本の呪い返し―ヒトを呪うことは出来る…けど例外なく
その呪いはかけた者・呪いを指図した者に帰ってくる…これ
は日本だけの厳格なルール、結果、破滅的な闘争が桁違いに
少ない…これと同じように、夢を呪いのツール・闘争のツー
ルとして使うと…もう、それは夢見ではなくなってしまうか
ら…、外国では“悪魔 ”というトラップをかけると簡単に
呪い返しの原則が外れる…ちょっと見、外れたかのように見
える…。呪いだから、例外には当たらないかもしれないけど。
…何でこんなハナシをしているかというとね、元々私のとこ
ろに出てきた死神で全部私の所為なんだけど…死神が呪いの
ツールなっているのかも?知れない…痛い・恐いの実害はあ
るわ、ゴメンナサイ、でも呪い返しは外れたかのように見え
て外れてないから。…自滅するのはトラップを仕組んだ方よ。
…呪いは私たちを通過するわ、…いえ、通過したわ、あなた
がたはナオが中一の時文芸部廃部の危機・遭難事故からの回
復…そうでしょ?」
・…!「?なあに?二人して見合わせて?」
・「二中の時の学年主任―私たち文芸部と諍いを起こして…
左遷されたんですけど、異例の返り咲き…所属していた本部
のトップが事故死…自殺を疑わせるような不審死でも…」
・「…呪いは単純じゃ無いの、呪い返しの原則が外れても時
差で呪い返しは起こるし原則が外れた分、トバッチリも大き
いワ。…巻き込まれないことね…ともかくネ、アンダーグラ
ンドな世界が動くわ、身ぎれいにして挑発に乗らないことね
…」
・「…私たちは競争・秀でること…抜きん出るトラップに嵌
まらなければ、共存あるいは棲み分けを志していれば心穏や
かで過ごしやすいの…だから、でも。こんな実害になってし
まうことは想像ついていたの…だから、ごめんなさい。」…
・「おばさま。そのことは夢見手の私たちのプライベートな
無意識…」
・「ソウネ、でも。」「…狙われているナオが一目散に出てい
ったのはナオなりの意図があったのだと思うの、あなたがた
のナイトのつもりだから…」「あの子どれだけバカでも、ト
ラップの匂いのしている“スーツ”の手先に成り下がって、
対峙し死神を曝くことはしない。…そんなことをする子なら、
疾うの昔にあっさり死神に身を委ねてしまっていたはず。…
もっとも覗きみることはしちゃうでしょうけど…」 -230p
・「…ごめんなさいね…これは夢や象徴的な過去、私―和田
朱樹の混乱も、心象や表象や直観が混ざり込むの。“曳く”
…とでも言うのかしら…でも、理屈や競闘の坩堝じゃない…
出られないモノじゃなさそう…けど…、見守っていきましょ
う…」
・…「気味悪いわ…何かの“境”…かな因果律では単なる戯
言…でも、匂いで判る大事な“境”…?…“ナゼ”が後ろ盾
にないと怪談よねえ…」
・…
・
・
・…小 1 の能直が“引くほど気味の悪いお爺さん”…古守玄
機に宿る両刃の叡智は和田能直の“何故の矛 ”を躱した、
そして異和感・プレコックス香る玉手箱を預けた。『境』は
何かを曳く…そして、二人の乙女を背に不思議な店員の前に
割って入った能直の前に輻輳する異和感は能直の夢となって
反復されてゆく。
・
・「…ナオはきっと、あのトーンで行ったのだから格闘しに
行ったわけでは無いと思うの、ナゼの矛もナルいし、きっと
トラップには嵌まらずにナオは何か大事なものを仕入れてく
るかもしない。…ターゲットを定めた大掛かりなトラップを
仕組んだ巨悪が一枚板では無く連合国~連邦だから。…そこ
も含めて。…ややこしいのは大陸中華宗主国よ、神も無けれ
ば神話も無いエイリアン。ハナシが通じない。西欧最高政府
等は一人狐や悪魔と最高宗主の区別がつかないエイリアンは
確信的に混合させてくる。似て非なるもの―西欧宗主国も楯
に使っている、問題も転嫁させる、この国の代名詞である黄
禍も元より中華宗主国のもの。」「…賢い子がこのことに気
が付くだけで統合失調症になってしまう、…だから安易に詳
らかにしないこれもトラップの内。周到な準備が必要なの…
競争のドライブに嵌まらない怠け者への修練がいるワ…」
・…
・「怠け者のあの子がする戦争・異世界戦線~挑発に乗らな
い駄線・籠もり路線が始まる~拡がる。力学的・数量的には
敵わないけど…」
・…「けど?」
・…「けど?」
・ -231p
・…「清貧で挑発にも乗らず邪魔にもなってもこない―ノラ
ナイ駄線、闘争をしない闘争…が多くの国・階層でマジョリ
ティーになると…。宗主たちは孤立が顕わになってしまう、
挑発が見抜かれてしまう、邪を隠すエンブレムが利かなくな
ってゆく、その上エンブレムで隠した呪い・トラップが利か
ずに自身に降りかかってくる。…でも敷かれてきた競争のバ
ランスは変わらない、元々孤立に強い種族じゃないし対等が
分ってない…摂理の僕になるか奴隷を所有か、SかMかの二
者択一。SとM以外の“領域A ”―自閉世界同士での対等
なんてのも端っから存在しないと括っている。…バランスが
変わってないので改革・革新のお家芸・伝家の宝刀も使えな
い。…だから、ヒトクサや環境・自然と丁寧に関係修復を誰
にも分からないようにする。孤立神―自然界・人間界の統括
支配存在―摂理神との契約をこの国のように変えざるを得な
い…。あるべき改革派の敵~的は国内の地元や民俗臭香る集
団では無く宗主国自体。…さもなくば中華宗主国はデストピ
アに舵取りをするのか?、かな?」「あの子ホントのバカ、
莫迦だから、任せておけばいいわ。…そこは信頼してあげて
…貴女たち、もう十二分にしてきたからナオは大丈夫よ…」
「…よかったら、もしね、もしもの時は側に居てあげて。…
それ以上は危険よ。無理しちゃだめよ、もう頑張っちゃだめ
よ。…沢山寝て、寛いで、いい夢みてくれればいいわ」
・…
・
・
・
・
・―能直・夢観…ゑゐもせず…ー
・
・
・
・
・
・…その週末…能直の夢の中でリサイクルの店員は語る…能
直の元に置き去りにされた異和感やら異臭やら悲鳴…能直の
アンテナに引っかかった異和感―異物の相互作用。それによ
って能直は夢現の状態で追想・咀嚼を繰り返す…、 -232p
・
・
・…有為の奥山今日超えて、浅き夢見し、…酔いもせず。
・
・
・…「フ~ン、悲鳴ですか?」
・“誰?”このひと?…リサイクルの店員と同じ声、昏くて
判らないが出で立ちが違うような気がします。
・…「やはり、先生の息子さんですね。能直…さん?、まだ
お若いのに、引き継いでおられて…知識も医学経験も不十分
なのに、そんな恐い話を敵意もなく・忌避もなく話されるの
ですね。お母様よりも感度の良いアンテナをお持ち…少々痛
々しいです…アンテナ、お隠しにもなっていないようですね
…私、やはり匂いますか?プレコックス臭―統合失調症患者
が持つ独特の匂い…饐えた古い荷物のような匂いもあります
が、私自身の匂いが雑多なものを曳いているのだと想いま
す。」
・「…ですから、相変わらず、餓鬼…純な好奇心が塊った子
供…幼心…鬼には、不思議がられ、からかわれたり追いかけ
られたりします。…昔っから」
・
・
・…「自分は匂いに敏感ですが、大丈夫です。」「母は引き
継いだつもりになっていませんし…それに私には敵意はなく
ても、充分恐いです…そういう意味では忌避です。古守さん
から滲み出てくるものからは…今にでも自分をあの世につれ
て行ってしまいそうな気配を感じます。」…「私は、また危
ないのですか?…小一の時や遭難事件の時のように辺縁界で
保護されたように…」
・
・ -233p
・…「いえいえ、今は大丈夫ですが、」「そうです、労働時
間は長いですが、人間関係は良く職場のストレスはありませ
ん。普通です。」「言いにくいのですがご子息には言います。
…『エンブレム』…です。」「…私どもが金を貰って引き受
けした数個のエンブレムは『性魔』~場合によっては『夢魔』
です。」「流石にとなりの市で出された『悪魔』は物理的汚
濁・悪臭が酷かったので引き取りを拒否しましたが、今どこ
を巡っているのでしょうか?時間の問題でしょう。…ここに
来るのは…」
・
・…「ああ、そうでした、労働時間は長いですが、人間関係
は良く職場のストレスはありません。普通です。」「…です
が、それは、見た目綺麗で匂いも汚れもない…しかしです、
何かが憑いています。その匂いがしますカネっぽい…キナ臭
いような…何か払うことさえも憚れる、何かです。」…「『性
魔』は対象となる女性たちを夢の中で犯すことです、エンブ
レムは所有者~保持者の無意識的行動を規定します…仕掛け
でしょう。それとエンブレムの外見や取り扱われる記号には
“自身がエンブレムであることを顕したりしません”…カタ
カムナ―形仮ム名―形神名が何処かで剥ぎ取られている…、
“何らかの仕掛けでしょう…”行政が引き取らない有償のゴ
ミのようなものを私…私たちの店は…そう呼び慣わしていま
す。」
・
・「…『誘導する暗号を抱えたエンブレム』はリサイクルの
古守商店で通常のリサイクルのように店がお金を出すのと異
なり、穢れたエンブレムを有償ゴミのように引き受けなけれ
ばいけないのです。そう仕組まれることになります。」「…
少し、労働時間は長いですが人間関係は良く職場のストレス
はありません。普通です。」
・
・「三年は経っていないかと思います」… -234p
・「売主は高額で区内複数の中学校から出されてきました、
“銘のないカップ・トロフィー”とか“鑑定書のない欠片の
ゴールド”は通常と異なり、売主が私たちに金銭を払い、恐
らく学校への恐らく潜入や不正工作の為に使われ、使い古さ
れ悪行と汚濁に充ちたもの…あるいは私たちが想像も付かな
いモノに取り憑かれたエンブレムを私たちに譲り渡すので
す。…ジャンクにもならないゴミにも出来ないものを引き取
る私たちの善意の汚れ仕事ではなく、引き取り証明もない引
き取りで、金で頬はたかれ、引き取り拒否が出来ない、悪意
を含意された契約書さえないものです。」「ほのぼのした都
市伝説とは違います、とんでもない邪気です。」「目立った
匂いではありません・不快な刺激臭もありませんが、…普通
の匂いはないです。」…「私の、労働時間は長いですが、人
間関係は良く職場のストレスはありません。普通です。」
・
・…“何?この反復”
・…「目的は…」
・「私を実時間・実時空の中へ炙り出すことです、虚ろな夢
の中の出来事を物理現象をともなった事実―スキャンダルに
改変しようする白魔術です…語弊があるので黒魔術という言
い方にさせて下さい。」「…変でしょ?でも、どう異議申し
立てしていいのか、通常の廃棄物にするにはあまりにモノモ
ノしい…私が治療されていなかったら失調症再発です。」「そ
れに、労働時間は長いですが、関係は良くその場のストレス
はありません。普通です。」
・
・…「私変です、私なのでしょうが…、高速で回りうねる感
情回路、同じところを巡る論理式、私のものでは無い小さな
記憶断片…遠い精霊みたいな―私自身でもあるような微かな
閃き。…そこで私は形の定かでない何かを掴む・知る・差し
出される…。こころの中の稼働時間は長いみたいですが、各
々の関係は良くその場のストレスはありません…ありました
が馴れました、時にふざけたり恐い状況では声での種明かし
もしたりします。普通と言えば普通です…かもしれません。
…アレッ?」…「変です…」
・
・
・――――リサイクル店員表層の心象~表象
・
・
・
・…「何故…ですか?」「誰ですか?」…「手続き上の依頼
主は、区長ですが違うと思います。明白。」
・…能直はべつの夢場面で呟く…、
・対話している相手はラフなデニム生地だがデザインはネク
タイにスーツ…その日能直はデニム・ジーンズで過ごしてい
た。
・ -235p
・「それより、このモノモノしさの中身です。」
・…「…私たちの社会は自由に競うことを容認されています
が、何時の頃からか必須になってきています。」
・「邪魔者の中には、共存や多様さとかそれに伴う耽美が自
ずと付いてきます」…「私たち…私は、彼らにとって魔物だ
からです。…邪魔という厄介で消え失せて欲しい魔物だから
です。」「良くも悪くも命が持つ多様さを引きつける」「私た
ちに対する莫大な情報量を以て、多面多層の仲違いをするよ
う謀られています。」「邪魔者同士消滅して欲しいようです。」
・「健常の方の多くは、見えるものへの執着が少しでもある
と競争が発生します」「ですから、労働時間は長いですが、
人間関係は良く職場のストレスはありません。普通です。」
・「競争の前提は一つの価値とそれに導かれる勝利より多く
の得点、そこに競争は執着します、一端執着すると修正が入
らず、人が集っているのも前提でしょう…集った人は何故か
外部に背を向けます」「多様さにはその集中が均等です中心
にも・辺縁にも・境界にも…その広がりが美しい。だから私
たちが彼らにとって酷く邪魔なのです。」「戦時・非常時に
は特に必要な執着です」「そんなとき多様さは無駄・邪魔な
のです。」「だからなんとしてでも炙り出して邪魔者同士潰
し合って摂理的価値に向かっての競争に参列させたいので
す。」「近代化という競争、もちろん、実時空なので、善悪
の二面の練り混ぜです」…「競争が時を追う毎に…実時間的
に・実時空的に、汚い覇道を増長させてゆきます。」「邪魔
にはこの練り混ぜが乏しく虚時間~反復的に消長するだけで
逐次時間経過と共に増えません。…汚濁はありますが散逸・
散発的で集い集まり巨大化はなり得ません、醜いからです…
摂理と競争となるような塊にもなりません。」
・「誰かは、摂理的価値に向かっての競争です。多様や耽美
が邪魔なのです。」
・表情の乏しい銀髪の人物の口元が微かに綻んだ。…ニタリ
とにこりの狭間の微笑。
・
・
・… -236p
・「…それと“ナゼ?”を抱え込むバカも邪魔なのです、“
ナゼ?と言うヒトリボッチ”…最も正統な手段で競争を白け
させてゆくからです…しかも底辺に近いところで勤勉に競争
に参加しているのですから…排除できない最大の脅威です。」
「したがって、時間は長いですが、人間関係は良く職場のス
トレスはありません。普通です。」
・
・…「バカという方がバカ…邪魔は往々鏡面構造なのです、
凶人と語呂似の狂人、その狂人の私とコンタクトしようとす
る勇気の人には、伝えておきたいのです…邪魔者をどう罵る
か?で、罵る言葉はその人自身を・その集団自体を言い顕し
ています。当たり前と言えば当たり前ですが、別の作業をし
ているとツイ忘れてしまう事柄です。…この相互作用は重力
のよって似たものが集まっている為の圧力~斥力だからで
す。…私のナゼはここまでしか遡れません。」「私を気味悪
がらずに回りくどい私の話を聞いてくれるのは、お母様とあ
なただけです、この御説明も労働で時間は長いですが、人間
関係は良く職場のストレスはありません。普通です。」
・
・…「普通です。」
・
・
・――――邪魔同士…回収店員と攻撃的能直の心象融合
・
・
・
・…夢の場面設定が変わったような気がした…もしかして大
分前に見た夢の反復かも知れない。
・ -237p
・…何かが別け入ってくる!!…「先ほどの能直クンの『何
故』は、自分が担当する。…我は、死神とも言われている夢
魔だ~夢魔である。…和田クンのお母様はそう呼んで居られ
る。自分の感情が動くと類似の葛藤を抱えている人は死に纏
わる夢を見る。そして、夢の中の破滅的恐怖・絶望・死は葛
藤の様な両面性…恐いながらもを何処か魅惑的な側面があ
る、被暴力的な性夢が典型である。夢見た人間の多くは、通
常その恐怖と葛藤的が故に、反動の方向に情緒を舵取りする。
…舵取りは現実に存在する葛藤に多面で備えるが夢見手はそ
れを意識出来ない、だが葛藤や克服難しい困難事象の解決の
糸口が綻んでくると、再び恐く酷く不快な夢が出てくる。…
その夢は魅惑的側面はない、それ故かは分からないが、夢の
記憶はより鮮明になってくる、言語の本来的機能に因る。」
…「しかし…」
・「夢の記憶をつなぎ止められない人間・夢の中で死を許容
できない者は往々、葛藤を避ける、怯えて競争や排除に転嫁
する。夢を見ながら克服しても最後に絶望的死を見ない向き
合わない…そして転嫁する、邪魔や界賊にエンブレムを与え
る。」
・「自分の打算、と大事な舵取り本能を識別できない人間も
そうだ。元来欲望はこの二つが葛藤的に混在している…夢見
をしながら行きつ戻りつしながら識別してゆくのだが…情緒
も消耗するし効率が悪くこの作業を端折る者は打算と舵取り
本能をいつまで経っても識別できない。」「エンブレムが発
生する、」「…そしてエンブレムは夢の無い人・葛藤できな
い人・許容出来ないひとの排除や転嫁を引き受ける…。」
・
・
・――――夢魔・死神も兼ねる…リサイクル店員深層心象
・
・
・
・…?、「古守さん…、本当に古守さんですか。また声が…」
・…
・「違い分かります?、でも、等しく、古守を名乗っていま
す」 -238p
・「私は統合失調症 分類不能型―創造の病です、治療され
て、現在寛解…小康安定期です」「古守玄機に入っている
引き寄せられた人格部分です…そういう分裂部分です…そう
しないと古守の人となり・閃き・記憶・古守が抱えもつ時間
軸、四つとも崩壊させてしまいます。」「古守は長い期間の
労働あるいは治療によって、クスリ・寝る・飲食・寛ぐ~垂
れるをしっかり守りましたし護っています。故。…人格相互
の関係は良く甘言しながら侵入してくるモノを結果無害なも
のや情緒と結果有害なモノと声をほぼ峻別…殆ど超能力の様
…その場のストレスはありません極めて普通なことができる
ようになって寛解―安定してきました。お母様の功績です。
今は甥っ子と一緒にリサイクル店を経営しています…仕事人
としての古守はお荷物です、なにもできませんしポカ休も多
いのですが、体調のいいときは職場のムードメーカーをした
り出来ます…」「…少し、勤め―治療期間は長かったのです
が、人間関係は良く職場のストレスはありません。普通で
す。」「他にも私のような人が何人か古守のなかいます、私
のようなパターンや古守と同化して古守に叡智を与えたり遭
遇できるように誘導したり…と色々です。…分裂しているの
ですが互いに支えています。…この種支えですが…」
・
・
・…
・…「実時間で見ると病人古守が治療されて社会復帰した。
…ですがもう少し長い目…時刻よりも時~時勢~時代と言っ
た長い目…寄せては返す波のような時勢というような緩やか
なうねるような時間成分も“トキ”のなかに組み込み直して
欲しいです。」
・「また対称的にスケールを小さくします、…実時間の歯車
を動かす振り子の反復・水晶の共振も“トキ”です、人がや
命が考える…考え直そうとしてい刹那…も振り子のように揺
れています。水溶液の中では粒子は乱雑なブラウン運動をし
ます…粒子がもっと小さいと乱雑さが減り反復性や周期性が
増えてきます…生物の神経は電線みたいな部分と興奮を司る
鍵穴と鍵となる特別な粒子があり粒子である以上こう言う性
質を持ちます…鍵穴も中空の粒子とみることも出来そうです
し、素粒子のトンネル効果は実時間では無いようです。…考
えると言うことは実時間上のように幻想しがちですが、揺ら
ぐ刹那を命とか人が緩く束ねているだけです。時…を時刻の
ように澱みや反復なく一方向しか進まないと考えることはキ
ワモノです。同時に時こそ反復と思うことも、キワモノで
す。」
・…
・
・「なにせ。」
・「時の鬼―トキノカミですから…」 -239p
・
・…「すこし先のことを想像して下さい。」「私は死神と共
に先読みとして、ご子息のあなたにお伝えしたいのです、あ
なたの『何故』が…、彼らは―時が一方向進行であることを
確信している人物が多いようです―彼らは、停止や死が極端
に恐いのと似たように潜在的にあなたの『何故』が恐いので
す。彼らは、あなたが将来競争―原理の無化を実行されるこ
とが邪魔なのです、辛うじて保たれているバランスが崩れそ
うなとき、あなたを抹殺しようとしています、殺さないまで
も徹底的な無効化を手段を問わず仕掛け続けてきます、彼ら
は、競争というドライブを外せず修正も出来ず、ただただ、
将来のあなたに恐怖しています。」
・…「あなたは、緩いですがここぞと決めたこと決めた人を
護り続けます、…緩く取りこぼしがあっても必ず修復します、
…例えば有妃さんだったり、仲山さんだったり…そこに、彼
らは恐怖します。…競争に火も憑かず、ただただ駄。彼らを
敵視したり対抗もせず…守るべき人を守る、戦いも挑まずに
全く異質の進化をしてしまいかねない懸念はありますが、何
せ馬鹿者・非力・影響力劣勢として今のところ耳障りなノイ
ズ程度です、『ナゼ?』が周囲を白けさせてしまう程度…今
のところは…。」
・
・
・――――時の鬼・時の魔…店員…集合的統合失調症の心象
・
・
・
・…「彼ら、時の矢の人々は私・いいえ私たちを、カイゾク
と呼びます…海賊と当て字をしています、私たちはカイゾク
です、…どうしても当て字が欲しければ界賊なのでしょう
か?。残り物に福宿る…リサイクルに幸あれ。オリエントの
覇者シュメール人は神々の諍いにうんざりして海オケアノス
に没します、海の民になりその神話を語り継ぎ終わります、
神格返上です、それは陸のモノサシでは滅亡にしか見えてき
ません…。」 -240p
・「でもです。シュメール人は元々海の民でしたから釣り針
と雨壺を抱え漁場を求め漂泊します…海と山が美しくせめぎ
合い漁場の多いこの国で海の民は共存を続けています。モノ
サシが変われば最果てのオケアノスは普通に豊かで多様な漁
場なのです。」
・「私たちは今の居心地の悪さ―競争やら一元性を忌避し中
心から去り、辺縁や境界に寄り添い、時に乗り越えます、最
果てにはゴミ・クズと称されるものが集まります、いつの世
も何処の世界にも…異世界だってそうです―最果てにはゴミ
・クズと称されるものが集まります。それは仮称ごみ―似非
ゴミです。」
・「…似非ゴミは中心を離れます…行きつ戻りつしながら…、
一方、真のゴミは中心からピクリとも離れません。ニライカ
ナイ―常世…即ち、浮世の真逆の神界は中心にはなく辺縁に
こそあり、時も潮のように満ち干するだけです。ものを作る
とき・何かを為そうとするとき、試行錯誤・反復的な行きつ
戻りつの、見た目の非生産性は担保しないと立ち行きません。
また、いざこの試行錯誤の結実があからさまに公開されると、
要請され・必要とされるのは時間軸の一方向性です。競い合
いにルールの行きつ戻りつ・試行錯誤のような、あるいは競
技進行のタイムスケジュールが一方向でないと競技は破局的
大問題です。
次巻は(29)-3の夢魔・死神も兼ねる…リサイクル店員の深層心理 の続きからです。




