一。畳

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　畳が怖い。子供の頃、畳の縁につまづいて足爪を剥がした。足を抱え泣いていると、畳の隙間から何か出てきた。薄っぺらい、畳と同じ色をした小人だった。そいつは平たい顔で嗤(わら)い、畳に飛んだ血を舐め取ると、落ちた爪を拾って元の隙間に消えた。俺はあれ以来、畳を踏めない。綺麗な畳は見るのも嫌だ。

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