1-2門にて
どうやっても目立つのは仕方ない。
だって空中に蛇浮かせてるし。そもそもこんな田舎だと術師がほとんどいないし。
とはいえ師から仕事をふられては働いている私としては街に知り合いは多い。
門番の人なんかも例に漏れず知り合いだ。
「ケートさんそれどしたの…」
ため息をつきながら聞いてきたのは門番の中でも最古参の偉いさんだ。
なぜか偉いさんなのに門番をしているという変人である。
「いや、山道にいたんで倒しときました」
そう答えると、偉い門番さんは蛇を見上げながら再びため息をついた。
「街中それで入るの?本気?」
心底嫌そうな顔と口調である。凍らしてるから臭いも血もないし大丈夫じゃないかな?と答えると再びため息をつかれた。
「ギルドゲート使ってもらっていいかな?こっちじゃなくて反対側の」
申し訳なさそうにそう言うと街の正反対のほうを指差す。
「…突っ切るのは?」
「できたは勘弁願いたい。人が騒ぐからね…」
街中を突っ切る案は却下された。解せぬ。
まぁ偉い門番さんの言うことも一理あるのでここは言うことを聞いておく。
街の周りを覆う壁伝いに反対側のギルドゲートを目指す。
この街の名前はミノという。川と山を天然の防壁がわりに使いつつ発展してきた西部の中でも割と大きな街だ。
ちなみにゲートのある場所は3ヶ所。なぜ真ん中にギルドゲートが無いのかというと、魔獣や獣が多く発生するのは東側だからである。
西側からきた私は東側まで歩かなければならない。
飛んで行くことも考えたが、焦る旅でもないしやめておいた。
それでも注目を集めたのは仕方ない。
とまぁ道中門の間を往復している馬車に載せてもらったりなどしつつ東側ゲートまで到着した。
「ゲートさんならそれしまえますよね?」
ジトっとした目を向けながら聞いてくるのはギルドゲート職員の男性門番である。
「…なんのことやら?」
知らぬ存ぜぬを貫き通す決意をした私の返事に諦めたのか大きなため息をつく職員。
「買取でよろしいですな?」
横では鑑定用のメガネ型魔道具をかけながら赤紫蛇を鑑定しているおじいちゃんが忙しなくそろばんを弾き、メモに何かを書きつけていく。
「今すぐの支払いだとこれぐらいで、競売後での支払いだともっと増えると思いますがどうされます?」
そう言いながら額面を見せてくる。
「今すぐで大丈夫です」
路銀の足しにするだけなので時間が惜しいのもあり即金を希望する。
「では、こちらになります」
結構な重みの皮袋を渡される。
「ありがとうございます」
御礼をいいながら皮袋を魔法陣の中に放り込む。
「…ほらぁ」
恨めしそうにその様子をみてつっこんでくる男性門番にとびきりの笑顔を向けて門の中へと入っていく。
こういった茶目っ気も旅には必要だと自分に言い聞かせて。




