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足跡辿ってあちらこちらへ
世界の中に迷宮があるのか、迷宮の中に世界があるのか、どこまでも曖昧でわかりにくいこの世界。
ある日師は言った。行きたいところに行きなさいと。私も好きに生きるからと。
随分前に師から教えることはもうないと言われ、あなたも弟子を取るために独立しなさいと申しつけられた。
でも師との日常が楽しくいつまでも出て行かなかった。
居心地が良過ぎたのだ。学びたいことも師のそばではすぐに色々と見つかった。いつまでも師との日常を続けたかったのだ私は。弟子でずっといたかったのだ。
そんな出ていく気配のない弟子に対して発破をかけるつもりで言っているのだとその時は思っていた。
明日もまた師との研究や問答が待っているんだと信じて疑わなかった。
朝起きたら弟子の部屋以外を消滅させたうえに扉に卒業試験です見つけてみなさいと書かれた手紙が貼り付けられているのを発見するまでは。
このことで昨日の師の発言は本気だったんだと理解しつつも脳が働かず小一時間ぼーっとしたことを覚えている。
その後は私も荷物をまとめ、残された部屋を抹消し師を見つけるための旅に出た。
私の部屋は2階だったのだが謎の技術で空間ごと空中に固定されていたあたりに師の本気度を伺うことができた。
そんな師からの卒業試験を達成するために私は旅に出た。
これは曖昧な世界で師を捜す弟子の物語。




