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犬又になりたい!  作者: 石橋渡
猫又への道
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犬又になりたい!

猫又への道⑥

 その夜、アイがどこかに行ってしまった後、敏太郎を除く鶴丸家の全員がリビングのテーブルに集まった。

「お母さん、おじいちゃん大丈夫?」

「うん、お薬で今は落ち着いてるけど背骨を折ったのよ。」

「背、背骨?」

母の返事に皆がのけぞった。

「重子、背骨折っておじいちゃん、もう寝たきりになるんじゃないの?」

「寝たきり…ヤダ!おじいちやーん!」

父親の大輔の言葉にみゆきは大粒の涙を次から次へとこぼした。重子はみゆきの背中をヨシヨシとさすりながら続けた。

「あのね、もう少し落ち着いたらリハビリを始めるのよ。そうしたら歩けるようになるかも。」

「重子、でも前と同じって訳にはいかないだろう。おじいちゃんには1階に移ってもらったほうがいいんじゃないか?」

「そうね、リビングにつながる和室をリフォームしておじいちゃんの部屋にするしかないわね。」

大輔と重子がリフォームの話を一通りしたところで、周太郎がポツリとこぼした。

「ねえ、アイちゃんをうちの子にする話だけどさ…」

アイの言葉を聞くなり重子は眉間にシワを寄せた。

「もう、無理でしょ!おじいちゃんにあんな怪我させたのよ!」

「お母さんの言う通りだろ。第一、おじいちゃんが、もうあの猫を見たくないだろう。」

「でもアイちゃん、野良に戻るの?かわいそうだよ~。」

両親の意見を聞いてみゆきがまた泣き始めた。周太郎はため息を一つ。

「みゆき、仕方ないよ。おじいちゃんの気持ちを考えたら。アイちゃんの分、ザビエルと遊べよ。」

「やだ!ザビちゃん、あたしの宝物、取るんだもん。」

みゆきはますます大きな声で泣き始めた。


ザビエルはハンモックから頭を出して聞き耳を立てていた。チーはソロリソロリと足音を立てないようにしてザビエルの隣に座った。

「言った通りだにょ。アイはもうここには居られないにょ。」

「ねえ、もしアタシがおじいちゃんを怪我させてたら?」

ザビエルはジロリとチーを睨みつけた。

「お前もこの家から叩き出されるにょ。人を怪我させるなんて悪い犬にょ。悪い犬は保健所とかいうところに連れて行かれるってお兄たんが言ってたにょ。」

ほ、保健所!

チーは保健所につれていかれた仲間は二度と帰って来ない、つまり殺されるのだと聞きたことを思い出し、身震いした。

「この家の人はチーを家族にしてくれたにょ。チーは家族を傷つけるのかにょ?」

「そうだった。アタシ、ここんちの子にしてもらったんだった。やっとアタシのお父さん、お母さんを見つけたんだ。」

改めてチーは大輔と重子、周太郎、みゆきを見た。

アタシの家族!

でもリルおばさんや仲間たちをいじめたブリーダーのじいさんには復讐したい。それには犬又になるしかない。でも家族を傷つけるなんてそんな怖いこと…どうしたらいいの?

チーはクゥーンと悲しげに鳴くと床に突っ伏した。


 チーの鳴き声に気づいた重子はチーを抱き上げた。

「チーちゃんはうちの子だからね。何も心配しなくていいの。」

重子は優しくチーの頭を撫でてニッコリ笑った。大輔、周太郎、みゆきも続けてチーを愛情込めて優しく撫でた。チーはなんとも幸せな気分になり、重子の腕に頭をもたげ思い切り甘えた。

アタシのお母さん!アタシの家族!

守りたい。でも…やっぱりどうしたらいいの?

答えは出ないのであった。



 鶴丸家のリビングから光の中に飛び込んだアイは猫又の道を通ってシロガネ達が待つ猫又屋敷へ到着した。猫又屋敷は猫又の道を通らねばたどり着けない大猫又のシロガネがいるところ。

「シロガネ様、審査会の皆様。お呼びでしょうか?」

アイは頭を垂れてレジェンド達の前にひれ伏した。


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