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見習い魔女の修行生活  作者: tubaki
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○○がない!

「では、実際にサポート悪魔を召喚してみましょう。杖を持って」


 ハリソン先生の言葉に、ツバキは急いで机の引き出しに入れておいた杖を取り出した。

入学式の時に配られた杖は細長い木製のもので、思ったよりも軽い。


(いよいよかあ、緊張するー!)


初魔法。

それは、魔法使いを目指す者が最初に乗り越えなければいけない壁だ。ここで全く魔法が使えないと分かれば、即退学になる可能性だってある。憧れの魔法使いになりたいと闘志をメラメラ燃やすツバキにとって、失敗は許されない。

生徒たちが杖を持ったのを確認して、ハリソン先生が再び話し出した。


「魔法を使うときは、魔力を杖の先に集めるような感覚でやってみてください。最初は難しいかもしれませんが、慣れてくると自然にできるようになりますよ」


では、とハリソン先生が見本用の杖を持つ。見本用なら魔法が作動しないので、無駄に魔力を消費することがない。


「これから私が唱える呪文を繰り返してください。……優しく光る太陽よ、我に悪魔を授けよ」

「優しく光る太陽よ、我に悪魔を授けよ!」


みんなで一斉に唱えるとあちこちで靄が発生した。若干の色の違いはあるけれど、ほとんどが白い靄だ。学校が契約した悪魔しか召喚できないようになっているらしい。

靄の色で悪魔の強さが分かります、とハリソン先生が付け足すのを見てツバキは納得した。恐らく、白に近づくほど弱く、黒になるほど強いのだろう。……それはそうとして。


「あれ……?」


ツバキの前には全く靄が出てこなかった。


(どういうこと?もしかして魔法に失敗した?)


不安になるツバキをよそに、次々と悪魔が召喚されていく。

紫のぷよぷよした丸っこい悪魔。目が四つもある悪魔。はたまた口と鼻の位置が反対の悪魔までいる。ワイワイガヤガヤと教室が騒がしくなってきた。


「わあ、よろしくお願いしまーす!」

「あのー、お名前教えてもらってもいいですか?」

(みんな早すぎるよ~!)


中には、ツバキと同じように悪魔を呼び出せていない人もいる。しかし、成功している人のほうが圧倒的に多い。

あたふたしながらもう一度呪文を唱えてみる。


「優しく光る太陽よ……我に悪魔を授けよ!」


シーン


「なんで……?」


まさに拍子抜けである。ツバキは、うーんと何が間違っているのか探し出そうとした。


(呪文はあってる。魔力の込め方も先生が教えてくれたとおりにやった。……どうすればいいのー?)

「ツバキちゃん」


完全に挫折したツバキに救いの声がかかった。見ると、隣の席の女の子が心配そうにしている。


(たしか、エリナちゃんだよね……?)


ツバキは何とか記憶を手繰り寄せて、女の子の名前を思い出した。


「大丈夫~?まだ呼び出せてないんだよね?」

「うん……全然魔法が成功しなくて……」


どよーんと絶望の表情で答えるツバキ。

対して、水色の髪を二つ結びにしたエリナは唐突にツバキの杖を指差し、


「多分、それが原因じゃないかな~」


と一言。


(えっ?)


ツバキは改めて杖に目を向けてみた。そして、あることに気付く。

茶色い、細長い杖の先。


「な、ない!」


さらに、エリナの杖と見比べてツバキは確信した。

水晶がない、と。

通常、杖の先には小さな丸い水晶がついていて、使う人の魔力を吸収する役割を果たしている。それがないと、そもそも魔力をためて放出することができない。なので、水晶は杖を作るうえで絶対に欠かせないものなのだ。

つまり、ツバキは今まで木の棒で魔法使いごっこをしていたことになる。


(恥ずかしい……!)


さっきまでの自分の姿を想像して、ツバキは頬を赤らめた。


「エリナちゃん。……えっと、教えてくれてありがとう」

「全然~。今気づいてよかったね~」


エリナにお礼を言って、急いでハリソン先生に言いにいく。幸いなことに、予備の杖があったのですぐに交換することができた。


「ツバキさん、ごめんなさい。今の時期職人たちが忙しいみたいで時々付け忘れることがあるみたいなの」

「はあ……職人さんも大変ですね」


ただ単に運が悪かったとしか言いようがない出来事に、ツバキもそう返すしかなかった。


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