08 出会い、戦い 3
ゲームにおいて、レアモンスターやボスなどによくあるHPに応じての行動パターン変化。
ファンステ周辺西エリアでのレア枠ワイルドホークのそれは【巨大化】というスキルであった。
「ッギャァァァ」
より巨大に、より猛々しく。
当然、蛇による拘束も悠々解く。
「ははは、こりゃ強い」
蛇公が噛み付いた時、首から毒を流し込んでいたおかげか、DoTが若干増えているのが救いか。
振り解かれた蛇がこちらに寄ってくる。構図としては純粋な二対一。すれでもなお優位とはいえない威圧感。
鷹が鳴く、砂塵が舞う。
「同じ手、二度も食らうかよ!」
先ほどの風魔法と判断しての回避行動、故、隙が生まれる。
「は?」
着弾点で巻き上がる竜巻。空間を潰すそれは、威力は同じでも面倒さが桁違い。
こうなるとより回避に思考のリソースを割くしかない。
「進入不可のエリア生成とか、面倒すぎるだろ!」
すると、蛇公が身体をよじのぼって腕から槍に巻き付いてきた。
もう一度さっきの攻撃をするから、回避と接近は任せたってことなのかな。
何か手段があるのだろう。ここは蛇公を信じる。
頭の中でルートを導き、駆け出す。
無論、鷹が攻撃を止めるわけもないので、そこはアドリブでなんとかしよう。
避ける、避ける、一歩一歩近づいていく。
既に後方は竜巻だらけ、距離をとってしまえば再挑戦の成功はあり得ない。
HPもMPもそろそろ限界、だからこそ。
「ここまできたら前進しかねぇよなぁ!」
風の斬撃をギリギリで回避し接近する。
あと少しの距離、危険を察した鷹は空高く舞う。
「チャンスは一回、ここ!」
一点突き、腕を伸ばしてもギリギリ距離が届かない。しかし攻撃を当てるのが本来の目的ではないとすれば。
「いけよ!蛇公!」
器用に槍を伝い、突撃。もちろんリーチは伸びる。不意打ちに近いそれは、空にも届きうる一撃。
飛びついた衝撃、不恰好な落下、地に叩きつけられた衝撃でもダメージは入る。両者、満身創痍。
勝敗を分けたのは、毒による継続ダメージ。
「あっ、待って。テイムが」
HPバーの最後の1ドットを、削る。ワイルドホーク、墜つ。
『レベルアップ ケイナのレベルが9に上昇しました』
『レベルアップ ケイナのレベルが10に上昇しました』
『レベルアップ ケイナのレベルが11に上昇しました』
『【槍術】のスキルレベルが3に上昇しました』
『【槍術】のスキルレベルが4に上昇しました』
『【槍術】のスキルレベルが5に上昇しました』
『【毒属性魔法】のスキルレベルが2に上昇しました』
『【毒属性魔法】のスキルレベルが3に上昇しました』
『ワイルドホークの羽×4 ワイルドホークの嘴 ワイルドホークの魂を獲得しました』
無慈悲なシステムアナウンスが、響く。
3話に跨いでのシーンでしたので、すぐ更新しました。
これからはストックを貯めつつ、ゆっくり更新しようと思います。
これからもよしなに。
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