01 プロローグ
本作は完全に見切り発車なので、
どうなるのか作者自身も予想がついておりません。
楽しくこの世界を形作っていきたいと思っております。
よろしくどうぞ!
『あなたを新たな世界に接続しています。しばらくお待ちください』
ゲーム業界の主流が没入感溢れるフルダイブ型になってから早数年。それまでの人気タイトルのリメイクや、VRという特徴を生かした新しい作品群、それらの裏に積み上げられたおびただしい量のクソゲーたちが、我々の生活の中に夢物語のような技術を定着させていった。
そんな中、初のフルダイブ型RPGである『異世界手記』やVRアクションゲームの名作である『Dragon and Sword Master』などを生み出してきた大手ゲーム会社が新作VRMMOを発表した。
『Connect』と名付けられたその作品は、自由性やプロモーション映像のクオリティの高さ、そしてゲームのタイトルにもなっている『接続』というシステムの注目度から、販売前にもかかわらず大きな話題を呼んでいた。
初回生産数をはるかに超える応募量や当落発表日にショックを受けた大量の人々が会社や学校を休んだという社会現象などからも、その期待の高さが窺える。
「にしてもよく手に入れられたな俺。これ本当に本物か? なんか騙されてんじゃねえの?」
そして、その超高倍率の抽選を見事通過した男子大学生である直井圭人はサービス開始時までその現実を受け入れられないでいた。
「お、そろそろ正午か、ようやく始められるな。事前にやりたいこともなんとなく考えてきたし、アバター作成と行きますか」
ヘルメット型の機械を装着し、あらかじめダウンロードしていたソフトを起動。ベッドに横たわって本人認証をパスすると圭人の視界は暗転し、真っ白な神殿のような空間が現れた。
『ようこそ、まずは名前を入力してください』
「ケイナで」
『同名のプレイヤーがいないかどうか確認しています。少々お待ちください』
「圭人のケイに直井のナ、我ながら安直だとは思うが意外と気に入ってるんだよなぁ。ほとんどのゲームこの名前だし」
『承認。プレイヤー名、ケイナを登録しました。次にアバター作成に移行します』
『現実との身体感覚のズレを防止するため、体格を大きく変更することはできません。現在あなたの身体をモデリング中です』
アナウンスを聞きながらしばらく待っていると目の前に俺が、手元には操作パネルが現れた。
「顔なんかは別にいじらなくていいし、身バレ防止のために髪の色だけ変えてっと。……よし、身長は限界まで大きくしよう。そう、これは対人戦で有利にするためだ。断じてコンプレックスなどではない」
髪の色はホワイトアッシュ。現実で何度もブリーチするのは抵抗があったし、何より派手な髪色は大学で恥ずかしいしな。ただ、一度はやってみたかったからちょうどいいだろ。
『次に種族の選択です。詳細は項目をタップするとご覧になれます』
「ほう、どれどれ」
・人族
《ノーマルな種族。ステータス上方補正なし。下方補正なし。スキル習得に関しても、種族専用スキルは存在しないが、多くのスキルの適正値が高い》
・獣人族
《獣の身体的特徴を持つ種族。ステータス上方補正はSTRとAGIとSP。下方補正はMNDとDEX。獣人専用スキルがある。魔法攻撃系統スキルの適正値が低い》
・魔人族
《魔素を多く取り込んだ種族。ステータス上方補正はINTとDEXとMP。下方補正はVITとAGI。魔人専用スキルがある。身体攻撃系統スキルの適正値が低い》
・機人族
《身体が機械化した種族。ステータス上方補正はVITとDEX。下方補正はINT。機人専用スキルがある。精神干渉系統スキルの適正値が低い》
・森人族
《自然と調和した耳の尖った種族。ステータス上方補正はINTとAGI。下方補正はVIT。森人専用スキルがある。狂気系統スキルの適正値が低い》
・屍人族
《彷徨う魂を持つ種族。ステータス上方補正はVITとMND。下方補正はSTR。屍人専用スキルがある。浄化系統スキルの適正値が低い》
「ランダムでレア種族を狙うっていうのもロマンだけどな」
ギャンブルという心の中の悪魔を追い払いながら、無難な人族を選択する。露骨なマイナス補正は受けたくないしな。
『次にスキルの選択です。アバター作成時にリストの中から5種類まで選んで習得することができます。ここでスキルを最大数習得しなくてもゲームの進行は可能ですが、後からアバター作成時のスキル習得権利を行使することは不可能なのでご注意ください。なお、ここで選ばなかったスキルも、ゲーム内で習得可能なものとなっております』
初期スキルこんなにあるのかよ……。武器術や体術、初級属性魔術、強化に弱体化、パッシブスキルや生産スキルにネタスキル、おいこれ全部確認するのにどれだけ時間かかるんだ?
ステータスの略語は
HP ヒットポイント
MP マナポイント
SP スタミナポイント
STR 物理攻撃力
VIT 物理防御力
INT 魔法攻撃力
MND 魔法防御力
AGI 移動速度
DEX 器用さ
POW 精神力
となっております。
MPが魔法系スキルのコストで、SPが物理系スキルのコストです。