聖なる夜に-Side B-
Side 柴田 渉
「認めたくなかった。気付かない振りしてた。
この関係で満足してたから、それで良かったの。」
彼女の予期しなかった素直な独白に、驚いてしまった。
まぬけな表情をしていたに違いない。
彼女の口元がへの字に曲がる。
「キスなんかするから悪いのよ。」
拗ねたような困ったようなその表情が、僕の心を揺さぶる。
「でも心配しないで。どうしようとかそういうのじゃないから。」
そういうと、彼女はそっと小さな声で付け足す。
「もうこのままじゃ、いられないかもしれないけれど。」
「いいよ。」
僕は咄嗟に口を挟まずにはいられなかった。
彼女の顔が驚きに歪む。
「このままじゃなくて、いいんだ。」
そうして、彼女の体を抱き寄せた。
冷え切った体に、お互いの体温が心地よく感じられる。
今はまだ何も約束できなくて、
そんな自分が申し訳ないんだけれど、それでもこの胸にひとつだけ
確かなことがある。
「会いたかった。」
僕の腕の中で、彼女が一瞬身じろぎをした。
どんな顔を館林さんがしているのか、非常に気になったけれど
今顔を見られるわけにはいかない。
僕の顔は、真っ赤になっているはずだから。
降りしきる雪もいつしか止み、行き交う人もまばらになる街の片隅で、
僕等はお互い抱き合ったまま、ぬくもりを分け合った。
今宵はクリスマス。恋人達の夜。
耳元でやっと告げた僕の答えに対し、小さな声で、うん、という彼女の頷きが聞こえたのは
当分僕だけのひみつだ。
-The end-
やっと終りました。
最後まで読んでいただき、有難うございます。
メリークリスマス!!