動き出す気持ち-side A-
Side 館林 香澄
初めてのキスだった。
「男女の恋愛なんて、簡単よ」
つい先日酔っ払った勢いで、アイツに恋愛について説教しちゃった自分が思い出され、ひどく滑稽に思えた。
言ってなかったけれど、
生まれてから、男の人と付き合ったことなんてなかった。
そんなこと言ったらひかれそうで、
重い女だなんて思われたくなくて、
アイツにも言ってなかったし、言う必要も感じなかった。
でも私だって夢みてたんだ。
いつか好きな人とキスが出来ることを。
だから、キスが嫌で悲しかったんじゃない。
あのキスに、何にも意味がないことが分かったから、悲しかったんだ。
決して叶わない“思い”
それならば、ただ側にいたかっただけなのに、
女の子としてではなくても、友人でもいい。
一番気の合う友達として、ただ一緒にいたかった。
そう思っていたのに。
あのキスで気付いてしまった。
思わず飛び出してしまったことが少し後ろめたかったが、
仕方ない。
甘い痛みが胸をしめつけて、苦しいんだもの。
怒りも愛しさも悲しみも、全ていり混じった感情は涙とともに雪に混じり
この街に降り注ぐ。
今日はクリスマス。
聖なる夜だ。
そろそろ寒くなってきましたね。
クリスマスまでもう少し・・。