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【三章完結!】勇者パーティーから追放された”元“解体師の、森羅万象バラバラ無双 ~ユニークスキル【解体】は、あらゆる防御を貫通する最強の攻撃スキルでした~  作者: 猫額とまり
第3章 墓守(パンドラガーディアン)

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第98話 vsミノタウロス ②戦場転変

連続更新2話目になります!


(三人称視点)


 迷宮、第20階層。

 この階層は一つの巨大な部屋で成り立っている。


 数百年も前の事、この階層で階層主(エリアキーパー)として立ち塞がり、猛威を振るった魔物が居た。

 【(はらわた)の怪物】と呼ばれたその魔物は、当時の勇者とSランク冒険者達と、七日七晩に渡る戦いを繰り広げ、両者相打ちという形で決着が着いた。

 今でもこの階層には、腸の怪物が残した毒沼がそこら中に残っており、魔物も一切寄り付かない無人のエリアとなっている。




 そんな20階層の天井をぶち抜いて(・・・・・)、降りてくる二つの影が現れた。


 一つはシテン、もう一つはミノタウロス。

 両者共に、先ほどまで一つ上の19階層にて、激戦を繰り広げていた。

 しかし。


(クソッ、岩盤をぶち抜いて(・・・・・・・・)下の階層に落とされた(・・・・・・・・・・)!! めちゃくちゃだコイツ!!)


 空中で瓦礫を足場にし、なんとか20階層の床に着地したシテンは、天井に空いた大穴を見て悪態をついた。


 同時に、豪快な音を立ててミノタウロスが着地する。


「うろたえている暇はないぞ! シテン!!」


 間髪容れずに、ミノタウロスが溜め(・・)の動作に入る。

 その動作(モーション)は、たった今19階層の岩盤を崩壊させた時と同じものだった。


(またさっきのアレがくる!!)


 直後、毒沼の滴る床が、シテンの左右を塞ぐようにせり上がり始める。

 飛び越えられない程の高さ。シテンとミノタウロスを結ぶように、一本道が出来上がる。


「【迷宮操作(ダンジョンマスター)】――【迷宮化(ラビュリントス)】」


 ミノタウロスの派生スキル、【迷宮化】。

 先ほどまでの、押しつぶすための地形操作ではなく、逃げ道を塞ぐための地形操作。

 そして、


「【死の一本道(デス・ロード)】」


 迷宮の壁で作られた直進コースに沿って、ミノタウロスが突進(・・)してきた。


(尋常じゃない速度! 明らかに勇者の超速機動より早い!! まともに食らったら即死だ!)


 常人ならば再生する左右の壁を壊すこともできず、為す術もなく轢き潰されるだろう。

 回避不可能、防御不可能の即死攻撃。


「このっ」


 予備動作を見たシテンは咄嗟に、【三獄堅手(さんごくけんじゅ)】の力で、電撃を地面に放っていた。

 音速を超えるミノタウロスよりなお早く、毒沼を伝って流れた雷撃はミノタウロスの身体を一瞬、麻痺させた。


 一瞬の隙を強引に生み出したシテンは、その間に足元の影に潜む。

 直後、ミノタウロスが頭上を通り過ぎると、衝撃波で辺りの岩盤が根こそぎめくれ上がった。


 遅れてやってくる爆音と、飛散した毒沼が、シャワーのように降り注ぐ。


「奴に隙を与えたらダメだ……迷宮操作には、一瞬の溜めが必要になる。絶え間なく攻撃を浴びせ続けて、迷宮操作を行う暇を与えないようにしないと」


 シテンが地上に戻ると、20階層は毒の雨と瓦礫が降り注ぐ地獄のような光景となっていた。


 ジュウジュウと、音を立てて両者の体表が溶けていく。

 シテンは回復ポーションを口に含み、ミノタウロスは驚異的な再生能力で毒の雨をやり過ごす。


(……腸の怪物が残したという毒沼。もしかしたら、この戦いに活かせるかもしれない)


 新たに切り替わった戦場で、シテンはミノタウロスを倒す戦術を組み立てていく。


(このまま長期戦になれば、僕の方が先に轢き潰される。そうなる前にミノタウロスを殺す。……殺して死なないなら、死ぬまで殺し続けるだけだ)



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