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第51話 ケルベロス討伐作戦

本日連続更新の一話目になります。


(三人称視点)


 ジェイコス率いる冒険者達と、Aランクモンスター、ケルベロスの戦いは熾烈を極めた。


 ジェイコスの優れた指揮能力によって、冒険者たちは統率された動きでケルベロスを攻め立てた。

 彼のスキル【衝撃】は、衝撃波を生み出し物体に伝播させるスキル。

 それを応用すれば、拡声器を使ったかのように音を拡散させ、効率的に指示を伝えることが出来た。



 既にこれまでの戦いでかなり消耗していたにもかかわらず、冒険者たちは限界以上の力を発揮した。

 ソフィアの魔術、ジェイコスの槍術とスキル、ケルベロスの注意を引き付ける前衛。リリスの感情探知。

 各々が役割を十全に果たし、実力以上の戦いを繰り広げた。





 だが、そこまでだった。

 どれだけ力を尽くしても、決定打にはなり得ない。



 ケルベロスに与えたダメージは、【自然回復力向上】のスキルによりすぐに元通りになった。

 【炎の刻印】、【氷の刻印】、【雷の刻印】。三種の属性での魔法攻撃は、冒険者達の防御を貫き、甚大な被害を生み出した。

 冒険者達が負傷し、その血を口にする度に、【吸血】のスキルによって身体能力と魔力が向上した。

 それに比例して辺りに広がる毒炎は勢いを増し、その熱と毒をもって冒険者達の体力を徐々に奪っていった。



 (これが、Aランクモンスターか……これまで戦ってきた魔物とは、雲泥の差だ)


 Bランク冒険者であるジェイコスは、ケルベロスとの実力差をその身で痛感していた。

 ジェイコスを含め、冒険者たちはもう限界が近い。ギリギリの所で粘ってはいるが、それもあと数分が限度だろう。

 戦線が崩壊すれば、勝敗は決定的なものになる。


 既に四方は炎で囲まれている。ケルベロスを倒さない限り、逃走することは不可能だ。

 残された道は、援軍の到着を待つか、死力を尽くしてケルベロスを打破することのみ。


「最後の賭けに出る」


 ジェイコスは、ソフィアを含め高い攻撃力を有する冒険者に指示を出した。


「このままではジリ貧だ。今この指示を聞いているメンバー全員で、一点に火力を集中させる。狙いは真ん中の頭、その口内だ」


 ケルベロスの三つ首が獰猛に唸りながら、冒険者達を見据えている。

 冒険者達の攻撃の大半は、その表皮を貫けずダメージを与えることが出来ない。

 ソフィアなど火力に優れた者の攻撃は幾らかのダメージを与えることは出来たが、すぐに回復してしまう。既に傷跡も残っていない。


「……素直に口内を狙わせてくれる相手じゃないわよ。対策はあるの?」


「足元を崩す。奴の義足は氷で出来ている。未だに溶ける気配が無いのは恐らく、魔力で保護しているからだろう。魔力による保護なら、俺のスキルで拡散させることが出来る」


「義足を壊して、体勢を崩すってわけね」


 ソフィアが作戦に同意を示すかのように、杖に魔力を集中させる。

 彼女も限界はとっくに超えている。自家製の回復ポーションで無理矢理誤魔化している状況だ。


「奴が口を開けた瞬間、つまりブレスを吐く直前にこちらも仕掛ける必要がある。そこでリリス、君の能力でケルベロスの攻撃のタイミングを予測してもらう。プレッシャーを掛けるようですまないが、この作戦の可否は君の働きにかかっている」


「……! はい、任されました!」


 リリスは少し驚いた表情をしたが、すぐに了承してみせた。

 これまでの戦いで、リリスは十分に冒険者達のサポートとして働いていた。

 最初は悪魔であるリリスから距離をおく冒険者も居たが、今や彼女の事を疑う者は誰も居なかった。

 信頼できる人物とジェイコスが判断したからこそ、大役をリリスに任せたのだ。


「俺が前に出て、奴のブレス攻撃を誘う。リリスの合図があり次第、各々の最大火力で奴を攻撃しろ!」

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