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呼吸するような自然さで女性に対する口説き言葉をしゃべってしまう「誘惑者」モード

8割くらい書いたつもりでしたが、意外とボリュームあったな…。

これでまだ全体の1/4 くらいかな?

『恋の宙返り・豚男にキスはナシよ?』はグダグダに始まったが、観客のストレスがピークになる寸前でようやくズレヒゲが登場した。


「・・・私は誘惑者ズレヒゲ。今宵を楽しませてくれる、美しい獲物を探しております」


ズレヒゲが語り掛け、ゆっくりとこちらに向かって歩き出すと女性客は全員、「ああ、あたしがズレヒゲ様の獲物にされちゃうんだ。狩られちゃうんだ!」と怯えおののき悦んで、胸を抱えながら座ったまま後ずさりしようとする。


ズレヒゲの3歩にすら耐えられなかった女性客5名がまず失神し、次の5歩でほぼ半数が失神していた。


ズレヒゲは最前列の貴族令嬢3名を目にとめた。こちらは貴族の矜持があるためか、かろうじて意識を保っている。風前の灯火ではあるが。


ズレヒゲはまず右端の令嬢に声をかけた。


「美しい方。お手を」

右端の令嬢は「は、はひ」と答えて右手を半ばまで上げて失神し、座席に崩れ落ちた。


ズレヒゲは次に左端の令嬢に声をかけた。

「素晴らしい方。ぜひ今宵は私と」


左端の令嬢はなんとかズレヒゲの美声に耐え「え、ええ」と答えて右手を上げることはできたが、ズレヒゲの細く長く冷たい指先が触れると「ひっ!」と叫んで同じように失神した。


残る真ん中のシュトハル嬢は、極度の歓喜と緊張から全身ガタガタ歯もガチガチガチとなりながら本能的にイヤイヤと首を振り続けていた。


劇場の照明で過度に強調されたズレヒゲの妖しい魅力が、限界値を3周くらい突破していたからだ。


「もう逃げられないよ」


次の瞬間、シュトハル嬢はズレヒゲの腕の中でお姫様抱っこをされていた。


「「「「「「キャーーーー」」」」」」


それを見て半ば意識が戻った女性客も大きな悲鳴を上げて再び失神する。


悲鳴で目覚めた女性客も、ズレヒゲのお姫様抱っこを見て混濁した意識が「ズレヒゲ様に抱っこされているのは私だ」と妄想スイッチが爆オン状態となり、自らも悲鳴を上げて再度失神する。


シュトハル嬢は「ふわっ」を感じた途端に失神したが絶叫音で意識を取り戻し、ズレヒゲの顔を間近で見て再び失神した。


いっぽう、ズレヒゲことラフラカーンは「これは何事だ?」と困惑していた。

自分がなぜこんなに女性たちにキャーキャー言われるようになったのか、理由が分からなかったからだ。


実はラフラカーンの額に埋められている隷属の水晶はディセリーヌによってイジられたせいで、人格が少し変わっていた。


ラフラカーン自身にはその自覚はなかったが、今は呼吸するような自然さで女性に対する口説き言葉をしゃべってしまう「誘惑者」モードになっていた(通常は「死んでも理不尽に耐える従者」モード)。


ズレヒゲがお姫様抱っこのまま考え続けたためこの絶叫は数分鳴りやまず、後半20分の上演を待たずして衛兵が飛び込んでくる騒ぎとなった。


またのちの床掃除と臭い抜きが大変だったため「勘弁してください」と団長から泣きが入り、ズレヒゲのお姫様抱っこは当面禁止となった(その後、事前トイレ・おむつ・着替え付きの『ズレヒゲ抱っこ祭り』が全席金貨15枚というボッタクリ価格で開催され、さらにそのチケットが高額転売されて大問題となった)。

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