小麦袋より軽くなりました
手持ち、残り銀で6240(+6000)枚と銅2枚。
マーエの方はなんとか救出中。
夜空と似た色の布を巻きつけてるひとは、前に聞いた『シノベ』というひとなんだろう。
仲間から助けが来た! って、アタシは感動とか、嬉しさとかでいっぱいになりかけてたけど。なんとか冷静に、クールな自分を取り戻そうと頑張った。
だって助けは来たけど、まだ脱出も何もだし、
「首かりゃ下が、感覚なくて、動かせないんだ。」
現状報告してみたけど、うまく舌も回らない。相手には伝わったらしく、小さく頷いてくれた。仮面の動きから、アタシの首から下を見てるみたいで。
「……足に怪我があるけど、解毒や手当は時間が足りない。担いで窓から脱出するから、ちょっとの間我慢しててくれる?」
解毒って言ったな?
そっか毒か、と納得しつつ、アタシにできるのは頷くことだけ。だって肩にさえ力が入らないんだもん。
シノベは、足の方で丸めた毛布をなんかして(見えん)、アタシの手を胸の上で十字に組んで、布を巻いて、後何か外したりしてるらしい(床に何か放ってるのが、落ちる音がした)。
しばらくすると、また視界にあの木彫りの仮面が現れて。
「手首縛っておくよ、抱えていくから。」
「はい。」
手やら足やら、ぶらぶらするのは怖いもんね。ぶつけてしまうこともそうだけど、『感覚がないまま、どこかにひっかけてしまう』のはもっと怖い。
てなことを、背中にクッションやら枕やらを押しこみ整えつつ、上半身をゆっくり起こしてもらいながら考えてると、唐突に。吐き気が。
「あ」
「ッぐえあっ」
ガボッって感じで、胃液が。抱え起こしてくれてたひとの腕にかかって、ああもう染みこんじゃってるよお!?
謝りたいけど、咳が出てきて、申し訳ない。涙がでてくる。
その間、シノビは黙ったまま、じーっと背中を支えてくれて。
「ご、ごめんなさい」
「いいよ。もうちょっと、辛抱な。」
水差しとか、勝手に使ってる物音がして。口の周りを、濡らした布でぬぐってくれた。うう、申し訳ない……。
起き上がって見えるようになったのは、腰から下を毛布で包まれた自分の格好。ほぼ、袋詰めって感じ。腕まわりも、手首を結んでるし。
窓を開け放ったシノビが戻ってきて、服の隠しポケットから小さな板切れを取り出した。
「完全に重さ無しにすると、風で飛ばされるしなぁ。全重じゃなく、半分…のまた半分……くらいにしとくか。」
板切れの端か何かを、パキッと折る音に混じって何か聞こえたけど、アタシは聞かなかったことにする。板切れは、縛った腕と胸の間にしっかり押し込まれた。
実感はないまま、片手でつかみ上げられて、肩に乗せられる。えっ、アタシ本当に軽くなってる?
「小麦袋みたいだね。」
って言ったら、
「冗談言えるうちは大丈夫そうだな。じゃあ、お静かにお願いします。」
って返事したシノビが、窓枠をひょいと飛び越えた。
手持ち、残り銀で6240(+6000)枚と銅2枚。
バッドステータス、毒が判明。
お読みいただきありがとうございました。




