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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
80/180

帰途の接近遭遇

手持ち、残り銀で6248(+6000)枚と銅2枚。

作者はアレルギーが出るまで、エビフライ大好きでした。

 暗くなってからだと、知ってる街でも歩き方は違う。

 アタシは、孤児院を出る前に洗面台を借りて、顔を変えた。手持ちの布を詰めたり、隠し武器の場所変えたりして肩や腕の感じを太くして。髪も後ろになでつけて、頭のてっぺんより少し後ろで紐でくくる。そういやアタッカーはこんな髪型だったな、て思い出して、ちょっと嬉しくなった。

 さすがにねー、十日以上一緒に仕事してたら、顔やら背格好やらも覚えてくるってもんよ!

 鼻先から顎にかけて、イヌ系獣人の半獣化形態に化けて見せると、育て親はうんうん、と頷いてくれる。

 これと、裏返したコートを羽織って変装は完成。ぱっと見た時、コートじゃなく、毛皮を雑にひっかけてる風に見えればいいのだ。

 寒いんで、肌肉健肯ジーロウジァンカン道場へと、のんびり歩いていく。走ったら温まるだろうけど、目立つのは避けたいし。ここは寒くても我慢、我慢だ。

 暗くなると通りの露店も入れ替わってて、食べ物屋が減る代わりに、温かい茶や酒、温石を売る店とかちらほら。お腹とか入れると温かいよね、温石。

 目がついつい、通りの角の温石屋台を見てしまうなぁ。

 通り過ぎざま、屋台の横に居た二人組の会話が耳に入る──その場所は、ちょうど道場の裏口がよく見える。


「うぅ、さみぃなぁ。本当に来るのかよ。顔の良いテルセナってやつ。」

「テルセラやろ。黙れ。あと1刻だ。」


 こういう場所で、テルセラという語で指すような相手を、アタシはアタシしか知らない。

 靴の泥を落とす振りして、近くの石にガリガリ、もう少し時間を稼ぐ。 


「寒ぃもんは寒ぃだろ。」

あねさんに報告さえ済ませりゃ後は酒屋で一杯できら。いいから黙れ。」

「あ、あそこのはテルセラか?」

「バッカ、ありゃ男やし獣人やろ。黙れ。」


 うん、変装してますのでね。

 本当は走りたいのを我慢して、のそのそと道場の裏口から入る。受付カウンターには、あの痩せぎすで被り物したひとが居た。


「おや?」

「割符ならあるよ。(マーエだ、変装中)」


 小声で付け加えると、受付は頷いて、更衣室を使わせてくれた。

 賑やかなサウナですっかり温まったし。マッサージも受けようと思って戻ると、受付さんの横にえらく体格のいいひとももう一人いて。変装落としたアタシがでてくるのを見るなり、かるく手を挙げて手招き。


「何だい?」

「紹介しておくよ、俺の相方。」


 でっかい(背は高い、肩幅はでかい、全体が筋肉でできてるような感じだ)ひとが、小さい椅子の上できっちり会釈してくる。


「■■■ー■■■と言う。無理に覚えてくれずとも結構。貴殿のことは、相方に以前から聞いている。」

「あ、ども。マーエです。≪自由な盗賊(フリーランス)≫やってます。」

「うむ。メバル殿たちと一緒に行動しておられるとも聞いた。」

「僧侶さま知ってるの。」

「ご縁あってな、助けられたのだ。なぁ。」


 真横に座ってる受付で、ここの道場主だって言ってたひとが、話を振られて頷く。


「そ、計算外なことにな。俺ら……とあと2人。おかで冒険者やることになれたのよ。俺が武闘家。こっちは何だと思う?」

「えーと……」


 どっかで聞いたぞ、数は少ないけど魔術と剣技が合わさったような、独自のワザを使うクラス。このひとみたいに、袖がひらっとした衣をつけて、湾曲した片刃の剣を使うって言う……。

 あっ思い出した!


「ハムフライ。」

「……ッ!」


 二人とも顔をそらして肩を震わせてるぞ。

 むー、これは違った? でも、何とかライって言うはずだ、そこは確信がある。


「カキフライだっけ。」


 口元を手で覆ってた大きいほうが、とうとうむせた。


「サムライな、サムライ。」


 笑いをこらえきれなくなった武闘家のほうが、正解教えてくれて。


「そんで、今はまだバイトでてるんだけど、マーエと似たようなクラスの仲間がもう一人居るんだ。■■■っての。」

「似たような? 盗賊じゃなく?」


 盗賊じゃないのに似たようなって何だろ。謎かけにしてはまるでヒントが無い。

 困りかけたけど、サムライがすぐ助け舟を。


「うむ。元はレンジャーの素養もあったのだが、冒険者に復帰した際、シノビの修行を始めてな。」

「シノビ?」


 いかん、逆に訳が分からんくなってきたぞ??

 こんがらがってきたアタシの様子を察してか、武闘家が、


「まぁ、追々会える時に顔合わせしたらいい。そいつのやってるバイトは屋根修理や煙突管理とか、高い所の仕事が多いんだ。身軽で目や耳が良く、手先も器用でないとやれない仕事が向いてるのさ。」


 って。シノビ、という異国風の言葉だけが耳に残る。

 明日にでも、誰かに聞いてみようかな。

 考えてると、サムライは目線を裏口のドアの方に投げながら、とんでもないこと言い出した。


「■■■■から、マーエ殿が今しがた待ち伏せに遭いかけた話を聞いた。どうであろう、ひとつ俺が行って、角にたむろする連中をひっ捕らえて」

「ダメダメダメッ!?」


 アタシが遮ったので、目をぱちくりされたけど。


「そ、それは、待って、待って。別件で調べてもらってるから。ぶん殴って捕まえても、逆効果になったら困る!」

「戦うべきと戦うべからざるとを知る者は勝つ、と云う。ならば俺は手を出さずにおこう。」

「そうしてください。あとね、」


 サウナの熱もだいぶ冷めてきたし、そろそろ帰らなきゃな時間だ。


「あと、アタシの符牒教えておくよ。」

「じゃあ俺らのも教えておこう。」


 武闘家と、サムライの符牒を教えてもらったんだけど。

 アタシの符牒が決まった経緯を話した途端、二人ともテーブルに突っ伏しての大笑いされてしまった。

手持ち、残り銀で6245(+6000)枚と銅2枚。

カキフライは今でも大好きです。


お読みいただきありがとうございました。

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