チーム『ゆるふわ』へ行ってみた
手持ち、残り銀で6248(+6000)枚と銅2枚。
「鼻と尻尾の先を揃えて」は、こちらの世界でいう「耳を揃えて」のような意味です。
街の子に伝言を持ってってもらったから、食事のあと歩いていけばちょうどいい頃だろう、ってことで。
歩いていくと見えてきたチーム『ふるこわ』……じゃなかった、『ゆるふわ』のチームハウスは、通りに面してる部分はほぼ壁。二階三階への階段、通路がついてるだけ。
交差する別の通りに入った先が庭になってて、通りとの境は果樹らしいのが植えられてる。中は騎獣たちの獣舎、井戸があって、倉庫のそばには荷車がきちんと並んでる。
二棟が直角に組み合わさった形のハウスは、一階がご飯炊くところと、工房らしい続き間。二階より上が、事務やら宿舎兼ねてるっぽい。
アタシたちが近づいていくと、井戸のところに居たひとが駆けてきて、
「マーエさんとお仲間ですな。お待ちしておりました、二階へどうぞ。」
って案内してくれた。二階は中にも廊下があって、食堂を兼ねた大きい部屋と、向かい側にいくつかある小部屋を分けてる。アタシたちが通されたのは小部屋のひとつで、中には先客が2人いた。
一人はシジミ……じゃないや、シジラさん。平服で、黒髪の間から猫の耳がぴょんと飛び出してる半獣形態だ。
もう一人は赤茶色の髪を短く刈り込んだ、ちょっと猫背のひと。入っていくと、丸テーブルの向こう側の椅子から立ち上がって、
「サブリーダーの■■■です。ウィザードです。よろしく。」
と頭を下げて、アタシ達にも椅子に掛けるよう勧めてくれる。全員が椅子に座ったところで、お茶も出されて。
最初に、シジラさんが契約書写しの木簡と、ざっくり地図も一緒に広げた。
「実在する農場だというのは、ヒョウムが出かけて行った時の話で明らかなの。所在それ自体はたしかだし、小作人が居るのも確かめてる。」
シジラさんの言葉に、アタシもひとつひとつ頷く。
「そこまではいいんだ、でも、売り買いを仲介したネンホウ不動産という店は10日足らずの間に貸店舗になっていた。そして、元の店舗があるはずの所は、≪叫星組≫の薬物屋だった。」
「うちのチームでも調べましたが、その通りです。」
サブリーダーを名乗ったウィザードさんが補足してくれる。
人数の多いチームだと、こういう事にもすぐ人が動くから強いなぁ。
シジラさんは眉の間に皺が入ってるけど、声は平静だ。
「≪叫星組≫の詐欺を暴き立てるには、この契約書だけでは不足。少なくともネンホウ不動産を名乗った詐欺師を一人、できれば全員を捕まえたい。そこで……。」
こっちを意味ありげに見つめられて、アタシは慌てて手を振って否定。
「アタシは顔知りませんよ。キマルとヒョウムの二人しか知らないはず。」
「そうか。やはりそういうことになるのだな。」
予想はしていた、って感じでシジラさんは頷く。
そういうこと……つまり、
「二人を探しにゆくんですか?」
サブリーダーさんも、シジラさんも、頷く。横を見ると、ウォーリアたちも何も言わないけど、すっごいいい笑顔。
アタシはというと、笑顔よりも目元にじんわり浮かんできそうだったんで、必死でクールな表情を保って。
そっからの話は、詳細を詰める形だったんだけど。シジラさんが何かとアタシ達に付いて行こうか、って言うのを、サブリーダーさんがいやそれは困るから、って代わりに案を出して止める感じに話が進んでって。
結局、旅にかかる費用の半分は後から請求で『ゆるふわ』が出す、あと荷物運ぶ騎獣を人数分無料で貸してくれることになった。
それと、行った先でも近所にでも、キマルとヒョウムが居るなら、連れ帰る可能性もあるから。
って、荷馬車一台にそれを曳く騎獣も2匹、これも無料貸し。良いのかなってくらいの振舞いな気がしてきたけど。
どうしてもシジラさんに行って欲しくないから、シジラさんの稼ぎより安い資材や騎獣を貸すくらいいいだろう、ってことかなぁ。
「有難うございます。ちゃんと鼻と尻尾の先を揃えてお返しします。」
アタシが頭を下げると。
サブリーダーさんはニカッと歯を見せて笑い、小さい声で、
「今シーズンは、私にもチャンスが欲しいのでな。」
と、お茶を飲んでるシジラさんのほうを、そっと横目で見るのだった。
あー……そーゆー……。
頑張れ、サブリーダーさん。
心の中で恋の季節を応援していると、ドアを叩く音がして。
「話は終わりましたか。ボリス師範代がいらしてるって話ですよね!」
気配からして殺気に近い気迫のひとたちがドカドカやってきて。
アタッカーのボリスさんが「チッ」て小さく舌打ちしてた。
手持ち、残り銀で6248(+6000)枚と銅2枚。
次はちょっとしたバトル回です。
お読みいただきありがとうございました。




