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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
75/180

これだけの大広間に死霊ぼっち

手持ち、残り銀で4763枚と銅2枚。

戦闘回です。


 気配がアンデッドぽいことを伝えて、打合せして。

 ウォーリアが先頭に、その後ろにアタッカーのボリスさんとアタシ。その後ろで、ウィザードのテイなんとかさんが、メバルさんと並ぶ。ドア開いたら即戦えるよう、光源はアタシの短剣じゃなく、僧侶の杖。

 ウォーリアが指を立てて、軽く手で拍子をとりながら、立てた指を折っていく。

 3本、2本、1本──


「ふん!」


 短い気合いでドアを蹴り開けて、ウォーリアが前進。

 アタシは室内の動くものか、ひとの形したものを探して、そこに聖水の小瓶を投げつける。蓋は開けてあるから


「ジャアアアア!」


 って悲鳴みたいな、怒ったような声が響いた。

 光の中に浮かぶのは、顔を押さえて後じさりする、古びた革鎧の巨漢。その脇腹へと、アタッカーが出て斬りつける。二撃でウォーリアの盾が割って入り。

 ごん、ごん! と殴り返してくる拳を防ぐ。

 ってあれ……?


「腕が4本も!?」


 後ろから、ウィザードが溜めてあった術を使うと、相手の足元が煙のようなものに包まれて、動きが止まった。そして、その停止した瞬間にウォーリアが盾を振り上げる。

 鈍い音がして、頭を押さえていた腕の片方がひしゃげた。そして、盾のあがった隙間から、アタッカーが斬りこんで。アタシの投げようとしてた予備の聖水は、使う必要がなくなった。


 革鎧を着た、半獣化形態らしき毛皮が骨に張り付いたような死霊は、倒れた途端ぼろぼろになってしまって。近づいて調べた僧侶が、


「当たらなくてよかったのだ。」


 と言う通り。どす黒い鉤爪が触れた部分から、体力を吸い取るアンデッドだった。


 倒した後、一度メンバーにはドア枠の所に居てもらって、アタシが部屋を調べてみたのだけど。

 まずめちゃくちゃ広い。さっき開けたドアが東壁の北の隅にあるのは、光の範囲で見て取れるぶんで分かるんだけど。壁はもっと先までつながってる。罠とか、仕掛けのある床とか、無いかもしれないけど、あるかも知れない。

 ていうか、『あると疑って調べる』のがアタシの仕事で。何も手を抜かない。抜いちゃいけない。

 耳を澄ませて、聞こえるのは後方に居る仲間のひそめた話し声とか、携帯カップが床に置かれる音とか、鞘と鎧のこすれる音とか……だけでも。そこに何か異音が混じれば、即応するのが盗賊だから。

 自分で決めた歩数歩くごとに、深呼吸して、首を回して、集中力を途切れさせないように。それでもきついのはきついんで、壁を一面ぶん調べては、戻って報告兼ちょっと休憩させてもらったんだ。


「集中しすぎるは、よくないのだ。水を飲むと良い。」

「はぁい」


 僧侶さまは今日も、水袋にたんまり持ってた。

 何度か休憩して、部屋全体をまわって分かったのは。

 この部屋がとっても広いってことで、東西に140フィートで南北100フィート。そして床が敷石のない土だということ。掘ったら色々出てきそうなので、触らないことにした。

 ウィザードが教えてくれたんだけど、


「記憶してる死霊の情報です。魔力によって、眷属という、死霊やゾンビ、スケルトンを召喚できるのだとか。」


 ということで、絶対掘らないことにした。罠確認はしたけど、触れるものが無いって分かって、ほっとしたよ。

 そして南西の端っこの壁に、隠し扉があるってこと。鍵穴も見つけたし、


「進んでみます?」


 と聞いてみたんだけど。

 メンバー全員が首を横に振る。しかも、


「マーエ。アンタ気づいてないだろうけど、かれこれ2刻は調査してるんだよ?」

「そうですよ。今日はここで切り上げましょう。」


 一番肉体労働してるウォーリアとアタッカーに諭されてしまった。


手持ち、残り銀で4763枚と銅2枚。


死霊「久しぶりの来客を出迎えてみたらボコられたでござる。」


ダンジョン探索はここで切り上げ、次回以降は街に戻ります。

お読みいただきありがとうございました。

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