伝言がきた
手持ち、残り銀で4763枚と銅2枚。
緊急クエストと見せかけて、実は普通に探索だった!
アタシはどうにも涙が止められなかったけど、それでも頭の働きはちゃんとしてた、と思う。
少なくとも、まだだ、って思った。情報がそろってない。
うん。
ヒョウムのお姉さんから、返事をもらってない。ここでアタシが仲間と一緒に探しに出かけたりしたら、行き違いになる可能性が大きいじゃないか。
そこに思い至って、アタシの涙は引っ込んだ。頭の芯が静かになってく。
出かける前に、買った(筈の)農場の位置は正確に知っておかなきゃ。
それを告げると、皆一様に「それもそうだね」の顔になった。
仲間の為に、探しに行こう! って盛り上がったのが、盛り下がって。照れくさいのを誤魔化しついでに、ウォーリア親子と別れた後、夕食で先輩や前のパーティに居た学者との情報交換のことも話して。
「僕たちが考えつく以上の情報収集は、とっくにやってたんですね。」
アタッカーが感嘆するのに、なんとかこわばった笑みを返して。
うん、落ち着いた。
落ち着きました。
「シムラさんからの連絡待ちな間は、探索しよう。」
「確認です……シジラさん、では?」
「あ、それそれ。」
ずっと黙ってたウィザードが、泣き止んでくれて安心した、って感じで、訂正してくれた。
その時、衝立のむこうから従業員が顔を出して、「マーエさん宛に伝言だよ」と渡してきたのが、黒い地に橙色で丸が3つくっついたような紋章つきの木筒。
中の紙はお安い繊維紙だけど、広げてみると。
「シジラさんからだ。」
身内に詐欺をはたらかれた可能性があるということは、チーム全体にとっても由々しき問題である、と『ゆるふわ』トップは考えている。
シジラからも、土地売買契約書を改めて、お互いに情報のすり合わせを行いたいと希望している。
今日のうちが望ましいが、明日の日中のうちでも、いずれの時間帯でも構わないので、『ゆるふわ』チームハウスにご来訪されたし。マーエ殿ご本人だけでなく、現在行動を共にしておられるメンバー全員でのご来訪も歓迎する。
皆に聞こえるよう音読してると、最後の「メンバー全員でのご来訪」のくだりで、アタッカーが苦い顔をした。
「どうしたボリス?」
僧侶が問うと、
「あのチームには、あまり顔を合わせたくないひとが何人か在籍しておりまして。」
「顔合わせたくないなら、仮面するか?」
「そういうので誤魔化せる相手では、ないんですよ。」
絶対会いたくないとまでは言わないけど、面倒くさそう。
見守ってると、「良いこと考えた!」って明るい顔になった僧侶がこっち向いた。
「マーエに変装を細工してもらったらいいのだ。」
「で、できるけど?」
します? って首を傾けてみると、アタッカーは小さく首を振った。
「父が師範をしていた道場の、元は門下生だったひとたちです。お互いいい大人ですし、喧嘩になると決まった訳じゃないし、大丈夫でしょう。」
言い訳っていうか、自分に言い聞かせてるのが分かるだけに、ちょっと可哀想な気もしたけど。
今日は探索に行き、帰ってから『ゆるふわ』チームハウスへ、という話になった。
手持ち、残り銀で4763枚と銅2枚。
ちょっとずつ、主人公が仲間を認識できるようになってきてます。
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