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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
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お夕飯女子会

手持ち、残り銀で4770枚と銅7枚。

一般人と大差ない冒険者でも、ちょっとずつ事態を動かしていきます。

 下宿で昼飯食べるついでに伝言を受け取って、アタシは返信をスーファン先輩とギーチャンの両方に出して。

 声も戻るまであと2刻くらいある。

 『不動産屋』が、明らかに組合の薬小売店だったって情報が、今日いちばんショックだった。

 部屋掃除してた従業員に、日暮れの鐘まで起こさないよう頼んでから、自分の部屋でベッドに倒れこむ。

 疲れたな……。



 ドア叩く音で目が覚めると、窓のむこうはもう暗かった。冬だからなぁ、日暮れ早いよねー……とかつらつら思ってた脳裏に、思い出す。


「夕飯一緒にしようって約束!」

 

 変装はもう解いてたから、急いで髪を変えて、下宿屋を飛び出す。待ち合わせの店に着いたら、思った通り2人は先に来てた。


「お待たせー。」

「疲れてるねぇ、マーエ。」


 先輩にはお見通しだった。

 2人がオオバスマスのフライに、若ナバナとカマリウの合わせ煮を頼んでたので、アタシも同じのを店員に注文する。

 料理が届くまでの雑談は、主にギーチャンの研修のこと。伝言箱の実務をすぐ任された話をしてたので、


「今日、すごいイケメンが来なかった?」


 と訊いてみると。


「あ、来た来た。チーム名を覚えてなくって、知ってるところだったから教えたんだけど……何よ。ニヤニヤして。」

「実はそのイケメンとは……アタシだったのだ。」

「うぅっそ!」


 とかやってるうちに、ご飯が来て。食べながら、アタシたちは情報共有する。

 ≪転移の座標石≫の作動音の件。

 不動産屋が貸店舗になってた件。

 そして、アタシが見張られてるってことは伏せて、不動産屋がもともとあるはずの所は、『組合』のお薬屋だった、という件を。

 アタシがその辺の話をする間ずっと、スーファン先輩は眉間に縦皺寄せてて。

 ギーチャンは口を挟む代わりに、ふんっ、と鼻を鳴らして。凄くストレス溜めてる顔で、水割りのニアカ種酒をマグから飲む。


「私が直接どうこうできる話じゃないけど。一族に話を伝えていいかしら。」

「一族とか相当な人数じゃない?」

「最低でも6親等までは伝わるわね。」


 前にも言ってたけど、それって最低でも百じゃなかったかな。学者の一族だけに、色々な団体やチームに勤めてるんだっけ。


「いつまでに、は確約できないけどね。≪迷宮の神≫信仰団にも話が行くわ。母方の大伯母の一人が勤めてるのよ。」

「それはいいね。」


 スーファン先輩も賛成してくれた。


「不良品か、それか模造かはさておき、偽の≪転移の座標石≫を使って、売り土地詐欺をやる詐欺師が居るらしい、って内容にしたらどうだい。マーエや、キマル達の名前は出す必要がない。代わりに、何か聞かれたらギーチャンに話をつけてもらうことになるが……。」

「それでいいです。」


 ギーチャンが同意したので、話は自然と『どこに吹っ飛ばされたか分からない新婚さん』のことになる。

 ヒョウムがついてるなら、2人ともまだ生きてる可能性がある、ってのは確かなこと。

 レンジャーは一層≪迷宮≫の中でさえ、ちょっと何か生えてたら漁って採ってくる。ツユキノコとかカヴァナッツとか。呪文が無くても火を起こせるし、水を飲めるようにする方法も知ってるし、アイツ居たら多分、極地や異次元界でも生き残れる。実際には、極地の極っぷりにもよるんだろうけど。

 スーファン先輩は、まだ何か考えてるみたい。


「マーエを尾行してきてる連中、その後どうなんだ?」


 先輩の目が「おまえは何かを隠している」って詰問するときの目になってて。


「っと……えっと、それが。」

「ど・う・な・ん・だぁ?」

手持ち、残り銀で4765枚と銅2枚。

6親等というのは、はとことか、いとこの子供のさらに子供とかになります。


お読みいただきありがとうございました。

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