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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
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伝言と変装の巧妙化

手持ち、残り銀で4791枚と銅0枚。

ギーチャンは、整理整頓大好きなので、伝言箱業務の研修を早々に「あ、もう実務任せていいね」と切り上げられています。

 冒険者組合の建物に近づくにつれ、自分がそんなに派手な格好に見えなくなってきた。

 何せ獣人が半分以上。軽い半獣形態だったりほぼ完獣形態に近かったりでそれと分かるだけでも、って意味。それからドワーフやエルフ、ノーム族がちらほら、珍しいところだと龍種ルウォンチョンとか。名前しらない種族もいる。

 『伝言箱受付』の看板の前はそれほど並んでなくて、4人くらい前に居たのもすぐいなくなる。あらかじめ書いてあった伝言の木筒をカウンターに置いて、


「伝言を置いてもらいたいです。宛先のひとは、レンジャーのシジラさん。チーム名が確か、『ゆらゆら』か『ふわふわ』とかいう所です。」


 と言うと、係官が首をひねった。


「……そんなチームあったかな?」

「それは、『ゆるふわ』ではないでしょうか。」


 後ろの棚ところに居た、緑色の肌のノーム族が助け舟を出す……のに、アタシは見覚えがあった。けど、今は変装中。意志の力で見つめないようにして、黙っておく。ここでうっかり「カーチャン!」って声かけたら色々台無しだもん。

 テキパキと処理してもらえて、これでシジラさんへの伝言は託した。


 次は、変装を変えるっていうか、ちょっと整えるべく、衣装屋兼小物屋『昼夜百日』に向かう。

 後頭部を包んでいた布を外して、流しておいた髪を三つ編みにする。服はほどよく古びて、袖口にインクの染みが残ってる(ここ重要)、暗い茶色のローブと、生成りシャツを借りて。靴も脛半ばのハーフブーツにする。こっちは丈こそ短くて、騎乗むきじゃないけど、金属補強のついた丈夫なやつ。程よく中古で、使い込んだ感がでてるのがいい。

 後、メイク用具を使って爪のへりや、手のひらのあちこちを、インク染みのような色にする。

 これで、『農地を歩き回ることもある文書官か、使用人』のできあがり。

 んー、文書官だと、土地の話しに来るのは変かも。使用人ってことにしよう。あとは『手ごろな郊外の小農場』を探す理由、これを何にしようかなぁ。

 考えながら、顎にも髪と同色の髭をつけていく。手入れがちゃんとして見えるよう、上唇と顎先だけ。あと目もとを水と練粉でちょいと変える。皺とかも入れて、年かさに見えるようにする。

 店主に見せると、「女とも男とも遊んでそう」という辛辣なコメントをもらってしまった。


「真面目な使用人より、遊んでそう、で見せるべきかぁ……」


 アタシは腕を組んで考える。けど、どんな触れ込みにしたものか、すぐには思いつかない。

 そしたら店主が、にやっと笑って。


「遊びたい主人のため、"別荘"探しを仰せつかった、といってみてはどうだろう。本人も一緒に楽しむような感じのだ。」

「なるほど。」


 花街にいけば、どんな趣味性癖も満足させるという『一流の名店』がある。

 とはいえそこは、お金も相応に取られる、だからこその一流でもあって。そういうお店に通い詰めるより、郊外の、できれば≪転移の座標石≫でこっそり行き来できるところに、私娼を囲っておくほうが、結果としてはお安くなる。

 ……というのは、聞かない話じゃない。

 さらに銀貨5枚でいくつか細工すると、アタシは『貸店舗』の札に書いてあった連絡先に向かった。

手持ち、残り銀で4776枚と銅0枚。

「やだイケメン!」「遊ばれたいわぁ」にランクアップしました。

おっさんと呼ぶには若いが、若者というにはちょっと歳がいった年頃。いかにも手慣れてそう。全体から受ける線の細い印象のおかげで、あまりギラついた感じがないタイプです。


お読みいただきありがとうございました。

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