立っているのが不思議なショック
手持ち、残り銀で4664枚と銅0枚。
10日目で見つける何かのお話です。『タンピン』は『烫餅』と書きますが、正直なイメージはマカロンです。
老人の考えは別にある、というので。アタシは、2番目の塒を監視しているひとたちを、監視している≪街の子≫たちに会いに行く。
「依頼主が言うには、自分の獲物って話になった。」
元々狙われてたのは劇作者であって、≪街の子≫にとっては、自分たちの格好を誰かが勝手に使ったという話だもの。
代わりに、銀貨2枚はきっちりお渡しすると、あっそう、じゃあこっちの監視も解くわ。ってことになった。
春を売る商売のひともそうだけど、≪街の子≫も、都市のどこにでも居る、どこにでも行ける。その風体だけ真似しようとする後ろ暗い連中は多い。アタシの先生が、何度も何度も言ってきかせた教訓は、
「誰が誰の友達か分からないんだから、筋通してから格好を真似しろ」
だった。組合の盗賊は、そういう『筋』を通してない。それが理由で、≪街の子≫たちとは敵対している、という話もしてた。
逆にアタシみたいなフリーランスは、筋さえ通せば、縄張りで変装することもできる。相応の手間はかかるから、普段は別の獣人種の振りをする。そのほうが楽だからね。
≪街の子≫たちが、さりげなく通りのかげへ姿を消すのと同時に。
『歌剣』団からやってきたらしい、武器をもったひとや、あと流しの詩人みたいな人達が、屋台のかげ、建物の出入り階段に現れる。
彼らの技量に興味は、あるっちゃあある。けど、日の傾きからして午後半ばで。アタシはそこまで見届けると切り上げて、甘味屋へ向かうことにした。
約束通り、老人は『歌剣』からの使いに、銀貨200枚を持たせてくれたんだ。ついでに、焼き菓子とジャムが買えるお勧め店も教えてもらった。
そこでは粉末のヒマナッツと蜜結晶、泡立て卵白で焼いたサクサク焼き菓子『タンピン』が買えるんだって! ちょっとしたお祝いに使えるよう、色とりどりで風味づけも色々。
定番のお供だから、小さいベリーから大きな果実まで、何種類ものジャムも扱っている。箱詰めでも売ってくれるから、孤児院に持って帰るのにぴったりじゃん?
もらった地図のとおりに道を歩くうち、「ここは見覚えがあるぞ?」って感覚が強まる。
うん。
前パーティの二人と一緒に。来た事あるわ。
「よもや新居探しにアタシまで連れてくるかあ?」
って、キマルに軽口叩いた覚えがあるわ。キマルは孤児院で、同い年の育ちだから、きょうだいみたいなもんだ。悪い気はしなかった。
確か、蝋燭つくりの店舗付き工房の隣にあった、不動産屋……
の前で、アタシは立ち尽くした。
手足の血の気が抜けてしまって、立ってるのが不思議な、くらい、アレっ……おかしいな、なんでここの扉には、
『貸店舗』
の板切れが紐でぶら下がってるんだろう────。
手持ち、残り銀で4864枚と銅0枚。
この話数で信じられないでしょうが、ご成婚おめでとう!と前PT解散してなんと。
今日が作中で10日目なのですよ!
お読みいただきありがとうございました。




