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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
54/180

塩漬け肉

手持ち、残り銀で4677枚と銅0枚。

この間パンチェッタを自作しましてね。

今回はご飯回です。

 街に戻って昼ごはんを囲みながら、アタッカーがまた、家の掃除を気にし始めて。明日はお休みにしようって話になった。


「■■■は綺麗好きだからねぇ」


 ウォーリアがやれやれ、って風に肩をすくめる。アタッカーは、


「3日も4日も放ってたら、埃が入りこむじゃないですか。毛皮は湿気るし。」


 真面目だった。


「アンタがダンジョン作ったら、絶対に床はピカピカだねっ」

「僕なら、立て付けが悪くなる前に、ドア修理しますね。」


 いや、冗談だったぽい。


 ウィザードが帳簿を書くのを終えてようやく、皆のカップに錐葉モンマのお茶がいきわたった。

 持ち帰ったアミハリ脚の焼肉と、アラカチャにナバナ葉の煮込みがテーブルにでーん! と乗ってて。

 それとは別に、塩漬けが出来上がったダイア・キンケイの肉の薄切り。これは炙りにしてあって、お皿に山になってて、香ばしい良い匂いがたちのぼる。付け合わせにって、塩や酢、サワークリームや刻んだエシュ菜、ほろ苦いナマンナッツのぺースト。薄切り肉を付け合わせと一緒にでも、そのままでも、チャパティに巻いて食べるようにって、チャパティもお皿にうず高く積んであって。

 炙り肉のいい香りに、アタシはごくり、と唾を飲み込む。


「ダイア・キンケイってまだ一回も食べたことない……」

「断言します。美味しいですよ」


 ウィザードの指南で、まずはチャパティに薄切り肉乗せて、その上にサワークリーム。これは塩をスプーンで混ぜる。それから、青臭いけどそれがまたいい、ってんで刻みエシュ菜もパラっと散らして、チャパティをくるっと巻きまして。

 ひと口。


「……おいひーーーー! 何これ!」


 アタシの反応に、それぞれ薬味をつけてかぶりついてた仲間も、目でにこにこ頷く。


 だって本っっ当に美味しいんだ。


 脂身が全然嫌な臭いじゃない。獣臭さがすっかり抜けてる。それが口に入れて噛むうちに、舌の上でとろけてきて。塩味にしたサワークリームの爽やかさと、脂身のこってりさが一緒になる。んで、噛んでるうちに肉が、薄切りなのにしっかり肉!って味で混じってきて。

 あ、ちょっと肉がガッツリしてるのかなー、と思ったところに、刻みエシュ菜の香りが爽やかに和らげてくれて、焼き目のついたチャパティの香ばしさがちょっと残るかな、って思ったらもうひと口が終わってて。


 何今の?!


 ってなるくらい衝撃的な美味しさだった。あっという間に1枚目を平らげてしまった。

 アミハリ脚も美味しいっちゃ美味しいけど、これ食べた後だと、大味でパサついて感じられるくらい。

 ウォーリアに教えてもらって、酢とナマンナッツのペーストを合わせると、こっちはお酒に合う感じ。(というか、ウォーリアはジョッキにエールを頼んでたわ)

 脂身がたっぷりあるんだけど、全然気にならないや。

 これはお高いんじゃないの?

 と思ってたら、『ダイア・キンケイの漬け肉炙り 一皿銀50枚』って張り紙が衝立にしてあった。


 おぉう……アタシの家賃より高いんかい……。


 ダイア・キンケイは二層や三層くらいでないと遭遇しないし、遭遇する頻度はめったにない。アタシたちも一度であったけど、今日は出会わなかったし。

 明日はなにしよーかな、って思いながら店を出て、小物屋『昼夜百日』に寄る。


「できてるよー」


 店主が見せてくれた『変装マスク』は、見事な出来だった。

 アタシは早速、貸衣裳のほうの服も借りてみた。今日も、色は違うけど毛皮の分厚いコートと、スカートに見えるけど股がちゃんと分かれてるふんわりズボン、そして肩からずらっと垂れて、脇だけ紐編みにするタイプの裾長上着。刺繍がはいった上物の生地だけど、古びてるから金持ちには見えないってヤツ。首まわりをリボンで締めるシャツ。

 上着の下と、ベルトで色々吊るしてから、『変装マスク』も着けていく。皮革処理が上手いから、匂いも気になるほどじゃない。練り粉で顔と顎下にくっつけて、あとはメイクで完成。


「じゃじゃーん!どうかな?」


 試着室からでて、店主にも見てもらう。


「イヌ系獣人のシャン、だな」

「しゃん?」

「美人ってことだ」

「ありがと(うっふん)」


 店主にボソッと、


「ウィンクはもっと練習しとけ」


 って、言われちゃった。そんなに下手っぴかなぁ。

手持ち、残り銀で4669枚と銅5枚。

貸衣裳でちょっと減りました。

エシュ菜は刻み葱で、ナマンナッツのペーストは炒りゴマペーストで代用できるお味です。


お読みいただきありがとうございました。

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