表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
52/180

商機が二つやってきた

手持ち、残り銀で3530枚と銅2枚。

51話までの探索済みマップをpixivに投稿しました。


探索済みマップ02

https://www.pixiv.net/artworks/97733014


 ≪豊饒の大地≫で、この間とおなじ会議室をお借りすると、ウィザードと同じ帽子をかぶってる人がもう一人やってきた。錐葉モンマのお茶を配ってから、ウィザードに紙束を2つ渡すと出てゆく。

 ウィザードは、両方を見比べてて。皆がそれぞれお茶を飲んで、素焼きの茶器が鳴る音や、ウィザードがゆっくり紙をめくる音だけがする中。


「兄さまおかえりーーーー!」


 ドアの開く音と同時に、小さい子の声が響いて。テーブルのふちから見える髪と、湾曲した角……(誰だっけ)、前あった子だ。


「やあ、■■■」

「いらっしゃい」


 ウィザードが椅子をひっぱりだして、よじ登るのを助けてあげると、にっこー!ってすごい笑顔。部屋の空気が明るくなるくらいの可愛さ。椅子に膝立ちになって、テーブルを見上げると、


「なに読んでるの?」

「ああ、これはですね……」


 ウィザードが紙を見せるのは、「分からないだろうけど、見せてやらないと駄々をこねる」って分かってるからだろうな。あのくらいの年齢の子はそういう所がある。アタシは孤児院で沢山見て知ってるんだ。

 神妙な顔つきで、子供は一枚ずつめくっている。微笑ましいなぁ……。


「兄さま。こちらの買い取りが、条件はいい。ぜったい、いい。」


 え、と固まったアタシを他所に、ウィザードは渡されたほうの書類にもう一度目を通して、「同意です」とうなずいてる。

 もっと驚いたことに、他のメンバーも「この子がそういうなら」って感じで、文句もでないしコメントも無く。ウィザードが、広い丸テーブルに書類を置いた。


「さきほど■■■が指摘していた件です。ダイア・キンケイの骨を売る先として、2件あります」


 一つは、骨を粉砕して、お金持ち用の園芸資材として売る案。こちらは粉砕する、袋に詰めて小分け売りして、と手間とお金がかかる。それにどれくらい売れるかは、買い手次第。

 もう一つは、これが「ぜったい、いい」の方だけど、3軒の武器工房が合名で、骨ごと買い取りたいというもの。これは一定の大きさ基準(成人の肘から中指の先までより大きいこと)だけ満たしてれば、砕いたりしないでいい。


「これは……、この工房は、遣り手むけの高級素材しか買い取りしないですよ。」

「高級素材!」


 アタッカーのコメントで、アタシはドキリとした。迷宮に何日、何十日と潜る遣り手冒険者たちは、武器ひとつだけで百万単位の銀貨が動く世界だっていうし。

 基準を満たすものだけ武器工房に売り、残りの小さいのや卵の殻とかは、≪豊饒の大地≫で処理して、お金持ち用園芸素材にする。

 そういう話があーだこーだ言われてるのを、お茶をふーふー冷ましながら見ている子が可愛いので。アタシはそっちに向かって、


「アドバイス、有難うね」


 って手を伸ばす。嫌がられずに髪をなで……おお、ふわふわで……温かい……。

 すこし前のめりになって撫でてると、下から、


「マーエ、お金たくさん入るほうがいいの?」


 って問われて。

 こんな小さい子にまで、アタシが貧乏に見えてるの!?って思ったけど。こっちを見る大きな目は、単純に興味で聞いてきたみたいで。


「あ、うん…、手持ちはいっぱいあったほうが安心でしょ」

「安心って、だいじ?」

「大事大事。ちょっと病気、とか怪我、とかしても安心じゃない」


 名残惜しいけど、ふわふわの髪から手をはなしつつ言うと、子供は「んんーー」とすこし唸って。


「神様に頼らないの?ちゃんと待ってるよ、誰でも」

「あー、うん、そうは言うけどさ」


 育て親にも言われたことのある言葉だ。でもアタシはいつもこう答えてきた。


「神様に頼るのは、あんまり……、備えてて、それでもダメだった時だけにしたいなって思って」

「神様のこときらいなの?」

「え、あっ、いや」


 この子、自分が嫌われたみたいに、声が真剣になってる?

 えーと、うーん、純粋に育てられてる子の気持ちを、傷つけるつもりはなかったんだがな、うーん。

 内心で(どーしよどーしよ、メンバーの親類を泣かせたりとか、したくないんだけど、どーしよ)と狼狽えつつも、なんとか絞り出したのは、


「あっと、……そんなことないよ。アタシはまず自分が、自分の面倒をちゃんと見られるんだって、自信をもちたいんだ。もう独立したんだしさ、ね」


 という、しどろもどろな返事だった。幸い、


「んー。じゃあ、マーエ、備えしてもダメだった時は頼ってね!」


 ってにっこり笑顔になってくれた。

 こっそりメンバーを見ると、「それでいいんだ!」って感じに目配せを返してくれた。子供はそれで気が済んだらしく、椅子からすべり降りると部屋を出て行った。誰かが、「ふぅ」って溜息をついて……って、僧侶が?


「マーエ、ありがとうなのだ。」

「あ、いえ、泣かせたらやだなぁって思って、あ、あの、でも本心ですし、嘘とかじゃなくって」

「うん。あの子は、神様の恩寵あって生まれた子だ。嘘、通じない。それに、あの子の直感は当たる」

「なるほど」


 生まれてからずっと、「おまえはね、神様のおかげで生まれたのよ」とかそう言われて育った子だから、あの反応か。それでふと気になって、僧侶にも訊いてみた。


「こういう態度って、やっぱ不味いですかね?」

「うん? そんなことはないのだ。神々の視座はとても大きい。大きいが過ぎて、助けを願ってたり、祈ったり、してない時のひとのこと、見えない。気にしない。」


 神様としてはそれでいいのか。

 僧侶の言葉に許しをもらったというか、アタシはこれでいいんだって気分がむくむく湧いてきて。

 よーし、明日からもしっかり探索して、しっかり稼ぐぞ!


 ウィザードが言うには、昨日分析にだした分と、今日の分が売れたら、銀貨で6000枚くらいになるそうだから、入金が楽しみだったりする!

手持ち、残り銀で4119枚と銅2枚。

本日稼いだぶんが加算されてます。


お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ