商機かも知れない
手持ち、残り銀で1498枚と銅5枚。
貴族家であっても、のんべんだらりとしてたらあっという間に商売は廃れます。
商機を嗅ぎつける嗅覚は大事ですね。
4/12/2022 現時点探索済みマップをpixivに投稿しました。 https://www.pixiv.net/artworks/97578496
解体するには手間がかかりそうだったので、巨大アンデッド化したダイア・キンケイはかぎ爪だけ外して持ち帰ることにした。それも、室内は足の踏み場が無いから、飛び出してる前脚の6本だけ。大きさが大きさだから、一本あたり銀で1500くらいいくんじゃないかな、とは鑑定した僧侶の言。
「ここまで骨が沢山あると、これ売れたらいいのにって思うんだよなぁ」
「同意です。」
「ひゃあ?!」
脇からウィザードがぬっとでてきて、変な声出た。
考えを口に出してたのは、アタシの油断だけど。びっくりしたなもう。
「落ち着いてください、マーエさん。売れるかどうかなのですが」
「お、落ち着いてるけど?」
いつも冷静に落ち着いてるし、なんなら今のは例外だって言い張りたかったけど。余計に落ち着きがないって思われそうで、それは止めておいた。
幸い、ウィザードがじっと見てるのは、床にたくさん積もってる骨のほう。顎に置いた指で、拍子をとるように顎先を叩きながら、半分独り言みたいにつぶやいてる。
「ダイア・キンケイの骨自体には、加工用素材として価値はあるにはありますが、価格が低いのです。遭遇自体が珍しいため、安定供給には程遠く、品質評価も定まっていません。かといって、農業用の土壌改良材としては、スケルトンのほうが安定供給と言って良い状態です。」
「スケルトンは安値でも、持って行けるときは銀貨のたしになるからねっ」
これは、お茶を片付けたウォーリアの言葉。
アタシは床の骨の山を見た。見える範囲の頭骨の数だけでも、20はある。
「見えるだけでも20はあるんだし、安定供給のとっかかりにできないかな……それか、お金持ちに売るとか」
ウィザードの指が止まって、ウォーリアの名前を呼んだ。
「提案です。2体、いえ、3体分持ち帰りましょう。2体分は冒険者組合に売り込み、残り1体分は当家で預かります。これは……商機かも知れません。」
1体分研究する手間と時間くらい惜しくない、必要な投資です、とウィザード。
「アンタがいいなら、持って帰ろうかねっ」
「有難うございます」
深々と頭を下げるウィザードに、アタシはこの骨の山が売れることを祈った。
帰途、足跡をたどる途中で本物の(生きてる)ダイア・キンケイに遭遇した。早期発見(アタシが!)したおかげで、
『餌だと思って突進したら、泥沼に首まで浸かっちゃったダイア・キンケイ』
という珍しいものが見られた。
ソイツは、魔力の矢で頭部を潰してから、アタッカーが首を切断。ウォーリアが切り口をざっくり焼いて、ウィザードが、泥にした部分を今度は砂に変えてから掘り出す。僧侶が「いくらでも出せるから」というので、遠慮なく肉やら内臓やらを水洗いして、血抜きもできた。嘴や肉、骨は、できるだけ解体して、『なんでも入る袋』に入れ、とやってたら。
さすがに残り容量が厳しくなったらしい。骨だけとはいえ、ダイア・キンケイ3体分に、さらに1体追加だもんね。
第一層では、スケルトン7体ほど倒したり、そいつらの持ってた匣の罠解除したり(そこはプロの盗賊がしっかり解除したよ!)もしたので、戦利品は手分けして持つようにした。流石にこの荷物量だったから、骨は放置することに。
さすがに今日は、足の裏が火照った感じがするなぁ……。
肉の一部をもらったので、現金の分け前は銀2044枚と銅で2枚。
いつも打合せしてる酒場の店主が、大きな本を出してきて調べてたところによると。ダイア・キンケイの肉は塩をして、2日ほど乾いた場所で置いてたら美味しく食べられるらしい。アタシもメモさせてもらうことにした。
それはいいんだけど、ぬぉお、ちょっ…、と重いぞ!?
手持ち、残り銀で3542枚と銅7枚。
ダイア・キンケイ「泥パックってこんな感じ?」
(違うと思う)
(泥沼は、ウィザード謹製です)
お読みいただきありがとうございました。




