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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
40/180

悪意ないのが逆に凄い

手持ち、残り銀で1512枚と銅0枚。

前PTの学者さん、登場です。

 昼をまわっていたけど、待ち合わせた店の客は7割くらい。ナバナの葉に包んだ焼き肉と、お好み具材の薄焼き包みをお持ち帰りする客も、外のベンチに座ってるし、中を覗けば冒険者のグループもいる。以前アタシが組んでたパーティもこの店を使ってた。

 名前を憶えてなくても、道が分かるなじみの店って便利だよね!

 カウンターより奥のテーブルを探していると、


「こっち!こっちよー!」


 と手を振って、呼ばれた。


「あっ、バーチャン!お久し」

「ギーチャンよっっ!! わざとじゃないのが腹立つわね!」


 めっちゃ大声で遮ってきた。

 穏やかな緑色の肌と、頭の脇におおきな楕円形の耳をひろげたのが、バ…ギーチャン。以前のパーティにいたノーム族の学者。今日も、袖なしで詰襟のローブと、生成りのシャツに、歩きやすい伸縮編みのタイツとブーツって格好。

 大声はだすけど、内容ほどは怒ってないのだ。「早く座ったら」って向かいの椅子を顎で示すので、アタシはカウンターで受け取った乳飲料カードのカップを手に座らせてもらった。


「ったく、八日会わないくらいで忘れるとか、ったく……分かってたけど」

「ゴメンって」


 ギーチャンは、パーティ解散の宴会にはちょっと来たんだけど、お別れの日は面接があるとかで、いなかったのだ。アタシとしては、その面接の詳細が知りたい。


「で、面接はどうだったの?」

「上手くいったわよ」

「ってことは今働いてるの?」

「見習いだけどね。鑑定ができるから、午後からの講習を免除してもらえたし」

「凄いなぁ、ミーチャン」

「ギーチャンよ」


 諦め混じりに訂正された。


「どこのパーティを受けたんだっけ」

「パーティじゃなくって」


 バ…ギーチャンはちょっと周囲に目をやってから、前かがみになって声を潜める。


「『冒険者組合』よ」

「え」

「声!小さく!」


 急いで咳ばらいして、アタシはクールな表情を保つ。びっくり仰天ニュースなんか聞いてませんよー、って顔で。

 ……間に合ってなかった気がするけど。

 それはそれとして。


「本当にすごい所じゃん!」


 音を立てないように拍手すると、「まぁね」と胸を張るギーチャン。


「以前から、又いとこ経由で私にも話は来てたのよ。現場を知ってて、鑑定ができる学者は居ないかという」

「おおー、バ…ギーチャンにぴったりじゃない」

「まぁね。だから、アンタも新しいところと組んだら、私に一言いいなさいよ。」


 一瞬だけ、今のパーティのことを言いかけて。飲み物と一緒に飲み込んでから、曖昧に返事する。


「あー、ねー、うん、その時はよろしくー」

「私もまだ研修の身だし、担当部署ははっきりしないんだ。こっちも決まったら、マーエの下宿に伝言したらいいかな」

「うん、それか≪黒山羊≫さまの孤児院でもいいよ」


 そこから単発の仕事してるって話や、孤児院のために採集物を分けたりしていることとか話して。

 ネ…ギーチャンと、


「お互い元気にやってこーね!」


 って別れたのは、だいたい午後半ばのことだった。

手持ち、残り銀で1510枚と銅5枚。

ギーチャン「悪意がないのが逆にすごいわ」

マーエ「えへへ」

ギーチャン「ったく、これだから顔の良いテルセラは……!」


これにてインターバルは終了。明日からまた探索です。


お読みいただきありがとうございました。

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