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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
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怪我や何かあった時の担当はよくチェックしておこう

いい冒険者パーティとくんで、いい仕事につきたい!

でも焦って決めて、変なとこに入るのは嫌。だから先輩助けてください!

 写しをもらって払いを終えたころには、昼飯どきに近くなった。

 残り財産は銀で479枚と銅6。


 気にしたくない。

 したくはない、が、気にしてないとヤバイ数字ってヤツだ。これから行く"なじみ"の昼定食で、さらに2枚と銅も減る。でも"なじみ"以外に行くのは怖いし、ね。

 飯屋兼下宿、『茶腹熊のふるまい』亭は2年ちょっと前に組んでた、孤児院の先輩が紹介してくれた。運があれば先輩も飯をとってるし、なくても、伝言は頼める。

 大きな屋根の下につるされた看板によると、『昼の上定食/銀4』はアミハリ脚とオオバスマスの煮込み、ファージェンミン(麺)、若ナバナの酢あえ。『昼定食/銀2』はファージェンミンに、若ナバナの酢あえ。

 入口すぐのカウンターで、アタシは銀4枚ではなく、2枚と銅3枚を給仕にだして、『昼定食』とカード(乳清に蜂蜜いれたやつ)を頼んだ。


 オオバスマスの青臭さが消されて、ちょうどいい感じなんだろうなぁ。

 カウンター越しに湯気たててる煮込み鍋を覗いてたら、火の通ったアミハリ脚の香ばしいにおいで、腹が鳴る。麺の乗った深鉢と酢あえの皿を受け取って、薄暗い中へはいると、アタシは運がよかった。

 孤児院の先輩、スーファンさんがテーブルのひとつにいた。

 

「うーむ。この2件ならおすすめだなー」


 アタシより早く居て、上定食を食べ終えてた先輩は、写しを手早く読んで返してきた。あれれ。

 却下されたほうの2件……、特に1つは内心で『本命』と思ってたのになぁ。

 自分の麺をすすりながら、先輩の顔を見ると、


「説明するとなー」


 と一枚の写しを取り上げる。


「こっちのパーティなー。条件は悪くなくー、マップも写していいよーって魅力だけどなー。僧侶の宗派が問題だなー」

「宗派?」


 確か≪黒山羊≫じゃなかった。よく見てなかったけど。


「伝統あるとこじゃないなー。パーティ組んだに全員に入信すすめて、名簿に載せて集会に参加しろって言ってくるから厄介だって話聞いた覚えがある」

「うわぁ」

「怪我や何かあった時の担当はよくチェックしておこうなー」

「ハイ……」


 あれ、でもそういう事ならなおさら?


 先輩が「こっちはお勧めだなー」って手にした写し。そのうち片方のパーティ、僧侶がものすっごいふざけた名前の宗派名だったんだけど。


「そっちの、≪ソラトブスパゲッティモンスター(深淵にて夢見る神)教会≫て僧は信用できるんだ?」

「3年前に有名になったお人じゃなー、≪海の聖者≫とか≪青の聖者≫って、知らんのー?」


 知らない。その頃はまだ神殿の初級訓練で、毎日走ったり罠の構造を習ったりしてたから。


 アタシの顔にでてたのか、スーファン先輩は「ああ、そういやまだ神殿暮らしだった頃やなー」とうなずく。

 神殿暮らしは世間知らず。って言うか、知る必要ないから。衣食住ぜんぶ賄えるしなんなら仕事だって世話してもらえる。

 アタシは、人生相談や医術やらの心得より、指先と目鼻の鋭さで得た心得を活かしたかったから、外にでたのだ。その頃からスーファン先輩にはお世話になっております。


「私も人づてに聞いた程度だけどなー。5年以上続けてるとこだから、ミッション型一時雇いに入る先としてはいい所だと思うよー」

「こっちのおすすめはどうですか?」

「こっちもいい条件だ。ただ、採集品の鑑定がギルド任せだなー。結局、そこから全員に分配すると、さらに手取り悪いなー」

「あー……」


 自前で鑑定ができるところは、高い利益率を誇る。そして、鑑定は主に盗賊の担当だ。長年ダンジョンで経験を積み、得意な採集品目が増えれば自前鑑定ができる。

 なお、アタシにはまだ無理。

 それができれば、求人応募だってもっとやり易かった。

 く、くやしくないもんねっ。


 ダメ出しされたぶんはさておき、先輩おすすめの2件。

 連絡とる前に調べておくことにした。直接会って話す前に、調べられることは調べる。情報収集の基本だし、一日くらいは費やしたっていい。

 夕飯は、求人写しに書いてあった店でとることにしよう。

お読みいただきありがとうございました。

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