探索の始まり
手持ち、残り銀で1037枚と銅0枚。
彼らは生存率第一でやってきたパーティなんです。
空気はひんやりしてて、そして淀んだ感じがした。何日、ていうか何年も、ここに風が吹いてきたことがないみたいに。
光が届く範囲で見える床は、埃とかほとんどない。切り出した石を敷き詰めてある。アタシたちが立っているところのまわりだけ、黄色い塗料を塗って四角く囲ってある。そして、ウォーリアがちょん、と指さした壁には、金属の板。
「声をださずにお読みよ」
忠告通り、黙って読むと、転送装置の使用説明だった。古臭い言い回しだけど、交易語だ。
この黄色い枠内にはいったら、『アレとは何か』と大きく声に出す。
転送中はじっとしてること。
外から入ってくるときは、周囲に誰もいないのを確認して、『アレ』とか『ソレ』とかの『しじご』をたくさん言う事。
そのほか、運べるものの大きさ説明とかもあった。
ウィザードが、紐つきの板と、お安い繊維紙に、木炭を渡してくれる。
「お願いします。地図はおまかせしますし、紙の予備もたくさんあります」
「わかった。それより、以前の探索でどこまで見たのかな」
とくに誰むけというわけでもないアタシの質問に、アタッカーが軽く肩をすくめる。
「僕たちは慣れてないので、この明かりの範囲だけ確認して、コレ(説明を指さす)を唱えて帰還しました。」
「へ?」
「未知のダンジョンでは本職が必要です。頼りにしていますよ」
にっこりと笑うアタッカー、そして期待してるよー、という目をするほか3名。
おぅ……責任、重大だ……。
短剣にかけてもらった≪光≫を確かめて、持ち物全部の締め具や位置を確認して。
それと、僧侶から水の入った小さな陶器の瓶を2本もらって。聖水だから、もしアンデッドに遭遇して、発見されてもこれ撒けば追ってこれないとのこと。
発見されないのが一番だし、それが得意なのがアタシ。
いちど深呼吸して、先行偵察にでる。
この場所そのものの広さはそんなにない。幅20フィートの通路の終端だ。明かりの輪のそとにでた途端、右手の壁に扉があった。石でできてて、取っ手も何もない。扉の、アタシの目線よりちょっと上に金属板が埋めてある。
『こ■■■ ■■倉庫』
これも交易語だけど、錆がひどくて読めない。そっと拡音器をあててみたけど、石だし、音は何もしない。
通路はもうすこし先に延びてそうだけど、一度戻って報告しよっと。
手持ち、残り銀で1037枚と銅0枚。
作者はD&D赤箱世代なので、ヤードとストーンで度量衡使っています。フィート描写も当然のこととと、悪しからずご了承ください。
お読みいただきありがとうございました。




