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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
26/180

午後のお茶会

手持ち、残り銀で1045枚と銅5枚。

固有名詞が覚えられない、プラスひとの顔も覚えられない主人公がんばれ!

2022/3/13 誤字修正しました。

「テラピアって何ですか」

「ずれてますよ?」


 アタッカーに指摘されて、言いなおす。

 魔術師ギルドの一室、本当は商品の査定とかに使われる、広い円卓がある部屋に、皆で丸く輪になって座りながら。


「テヘペロって」

「指摘しますと、遠くなりました」


 ウィザードが残念そうに小声で。


「テケリリって何」

「何故、その鳴き声知ってるのだ?」


 僧侶が不思議そうに首をひねる。


「えーと……」


 思い出そうにも出てこなくて言いよどんでると、ウォーリアが


「アンタ、本当に名前を覚えられないんだねっ」


 て背中を叩いてきて。それは、怒った言い方じゃなくて、育て親が「君ねぇ」とたしなめるときによく似てた。


 アタシらはここで何してるのかっていうと。

 今日の二層探索でみつけたカヴァナッツが、焼けるのを待ってる。成熟した実は、冒険者組合に売ったけど、半熟の実も採ってたのだ。鑑定した僧侶が言うには、


「冒険者組合が買いとるの、出来の良いものも、良くないものも、同じ値段。すごい良いものは、自分たちで売る、使うのほうが、いいのだ」


 だそうで。半熟の実は、普通ならアタシの手ぐらいの大きさなのに、アタシの手に中指いっぽん足したくらいの大きいやつ。≪豊饒の大地≫に売って、ついでに5つくらいは軽食にいただいちゃおう!ってなったのだ。

 焼いてもらってる間、カヴァナッツの残りやほかの品物を袋に詰めて。

 アタシは、さっき女の子に言われた言葉がが思い出せないで、頭の中ぐるぐるし始めたのだけど。僧侶が「はい、お水」って携帯カップを差し出してくれて。


「テルセラ、というのは、西のほうの言葉で『三番目』のことなのだ」

「三番目?」

「そう。マーエはテルセラ……三番目の性別でしょう。男、女、テルセラ。生まれから、恋をするまでは性別のない体。恋をしたら、相手にあわせて男か、女かに分かれる」


 自分用カップにも水を注いで、ぐーっと飲み干す。


「獣人がひと姿と、獣化のふたつの体、使い分けるのと、一緒。それに、マーエは、他のひとの顔、男女の区別もついてな…」

「え!じゃあ恋人できなかったら? ずっとなんもないってこと?」


 ちょっと焦って聞いてみたら、僧侶はすこし眉を寄せて首をかしげる。


「ごめんなさい。テルセラは少ない。私は聞いたことがない。■■■族も少ないのいっしょだけど」

「■■■族?」

「私の種族。この街では私一人」

「おぅ……そうなんですか」

「そうなのだ」


 とうなずいて、自分のカップからさらに水を飲み干す僧侶。

 口調に、悲しさとかは無かったけど、アタシはかける言葉が見つからなかった。悲しさはないけど、色々あったことは知れたから……、あれ、テーブルの下で隣のアタッカーと手を握りあってる……。


 う、うらやましくなんかないもんねっ!


 その時ドアにノックがあって。ナバナの大きい葉っぱの上に、湯気をたてるカヴァナッツの半熟果が5つ載ってる。

 一緒に、ポット一杯の錐葉モンマの茶も淹れてくれてて。

 アタッカーがナイフを持ち、すたたん!…て感じの早業で全部両断すると、ふわあ……て感じにいい匂いが広がる。発酵だねの麺麭ぱんとも違う、花に似ていてあったかい匂い。完熟カヴァナッツの実は、乾燥させて粉や小さく切ったやつを、料理にとろみつける用に使う。そして半熟のは、温めると、麺麭か蒸し菓子みたいに、ほんのり甘くてふかふかなのだ。

 ほこほこした実にかぶりついて、お茶で口を潤しながら。

 明日も第二層≪夜≫に行くけど、アタシも戦闘に入ってみてはどうか、って話や、≪街の子≫が合言葉使ってたことを話して、このパーティにもそういうのがあるのかとか、色々話をして。

 午後のお茶会はお開きになった。

手持ち、残り銀で1125枚と銅5枚。

魔術師ギルドに売った分がちょっぴり増えてます。

実はこの主人公、男女の違いも認識してないことが判明。

テルセラとは、スペイン語のTerceraのことです。


お読みいただきありがとうございました。

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