面はゆい出発
手持ち、残り銀で645枚と銅5枚。
夕飯とか火鉢とかで減りました。
「いってらっしゃあああああい!」
「肉!お肉とってきてねー」
「魚も好き!」
「君たち」
「がんばってぇー!」
「お肉のために!」
「しゃかなも!」
「君たちね……」
下の年齢の子たちが、通りにはみださないよう、門のところで手を振る。育て親のツッコミがかすむ、にぎやかなお見送りの声。
というのは昨夕、スーファン先輩の知恵をうけて、一緒に育て親を訪ねていって。
三人で結論づけたのは、
「後ろ盾が何もない、と思われてるからこその状況」
ってこと。あと、スーファン先輩は、
「まだ様子を探ってる段階じゃないかな? 本気で排除しにかかるなら、店に飛び込んだくらいじゃ諦めないだろうし」
とも分析してた。
とにかくそういう事なら、≪千匹の仔を孕みし黒山羊≫孤児院の為に、働いているんだ……っていう体裁を作ることにしたわけ。
早朝に立ち寄って、朝ごはんを食べる子たちのお世話を手伝い(着替えの済んでない子含む、駆け回る14人を椅子に座らせ、座ってる中でもケンカを始める子を仲裁するのは、ちょっと戦闘より疲れる)してから、出てきた。
本当は、≪黒山羊≫さまのご紋がはいった袋なり、布なりも用意したかったけど、今すぐは無かったので。アタシは手ぶらで孤児院の敷地を出た。
それにしても、こう、下の子たちから声援を浴びて出かけるとか。
恥ずかしいっていうか、顔を見て手を振り返すとか無理……。
ついでに、アタシは神殿の事務に行って、手持ち銀貨を半分預けた。前のパーティにいたころからの習慣。
宿に置いておく?
とんでもない。泥棒にいらっしゃいするようなものだ。そんな、盗賊が泥棒に入られた、なんてし、知られたら(宿の人間からばれるに違いない)、そこらじゅうの吟遊詩人が歌にして宣伝するにきまってる!
出かける前、育て親は、「タルイヌの一頭くらい分けてくれたらいいから」って言ってくれた。確約はできないけど、何かしら食べれられるもんが手に入るといいな。
そんなことを考えながら歩くうちは、首筋やら背中やらに嫌な感じもなく。≪街の子≫づてで伝言を送った集合場所に行くと、お茶を飲んでる4人が居た。
お茶もらいながら、事情を話すと、ウィザードが
「提案です。何らかの後ろ盾があると、擬装するのなら、僕の家がやってる商会からも手助けしましょうか」
とか言い出した。
手持ち、残り銀で645枚と銅5枚。
民間銀行というものがないので、何らかの所属がある人は、そこに預けるのが一般的です。冒険者組合にも似たようなサービスはありますが、何をするにも手数料がちょっと高いです(身元保証もなんもとらずに運用してるので)。
お読みいただきありがとうございました。




