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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
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聞かせるべきじゃないと判断された

手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。

久しぶりの更新です。お昼ごはん後の広場にて。


 ご飯にやってくるひとたちが減ってきて、午後の仕事にそろそろ取り掛かるのかな、と思っているのだけど。ハイ・テーブルのボリス達はお茶をもらいながらだらだら喋ったりしてるばかりで、動き出す気配がない。

 動かずに、何かか、誰かを待ってる?

 そう考えてると、ほかとは格好が違う連中がやってきた。

 2人組か3人一組で、機人が絶対1人はいる。≪機構デバイス≫で体の一部を代替してたり、……目が代替されてるとか、手や足が代替されてるとかが分かるタイプのひともいれば、ゴディ…なんとかさんみたいに、種族のわからないようになってるひともいる。

 彼らはまっすぐやってきて、ハイ・テーブルの前でお辞儀をすると、ボリスが笑顔で頷いて、一言か二言言って。

 グループのなかの、必ず機人とわかるひとが進み出る。

 ボリスは手ずから、テルチワーン肉を切り取って、小皿に入れて渡す。受け取ったがわは、今すぐ食べられるひとはその場で食べ、工夫が要りそうな……顔の部分が目鼻のないお面みたいにおおわれてるひととかは、小皿に向かって恭しく頭を下げて。

 なるほどこれ、見せるための儀式だな。

 機人は便利な存在だ。維持管理にすごくお金がかかるけど、機人じゃない者が何時間もぶっ通しではできない作業ができる、≪付属換装アタッチメント≫次第で色々な作業ができる。伝説の機人は、戦闘用の巨大獣や、天の星の海まで飛べる機鳥になったって、お話が色々あるし。

 それがこんなにたくさん、一度に、ひとつの村にいるのって珍しいと思う。だって、生きてくだけでお金がとんでくんだよ。万とか、十万枚とかそういう銀貨が、一日にっていう噂が本当なら。


 アタシのまじまじ見つめてる視線に気づいたのか、ゴディ……さんが気づいてにっこり笑顔になった。


「機人多いなって思ってる?」

「思ってます」

「まあ、俺を筆頭に、色々引っ張られてきた結果、かなー……おっ」


 お?

 視線の先を辿ってみて、アタシは胃のあたりが冷たくなる。

 3人組の中央には、外装の色こそ白や銀を使ってて清潔感ある機人。けど、大きな樽に6本の脚をくっつけ、樽のてっぺんに顔の部品をてんでに載せたようなあれは。見覚えがありすぎて。ドゥイドゥイ屋を連想するなってほうが無理。

 横にいる二人も、見かけからして機人だ。

 ひとりは凄く背が高い。兜みたいな頭の後ろから、背中に背負った大きな円盤へと、紐がつながってる。

 もうひとりはがっしりした肩?腕?みたいな一体型の≪機構デバイス≫をつけてて、それに見合ったすごい筋肉質のひと。

 ざっくりと観察はしたのだけど、ドゥイドゥイ屋じみた中央のひとりから、視線を外すことができなくて。

 顔をこわばらせてるアタシに、ゴディ……さんが、近づいてきた3人組に向かって何か言った(というのが顎の動きで分かった。声ださずに口だけ動かしたかな、上級者め)。背の高い方がちいさく頷いて、背負った円盤が小さな、高い音を出し始める。

 こぎれいなドゥイドゥイ屋の口が3つとも動いて、甲高い声がそろって響く。


「武勇の徳たかきご領主に、我ら3名『スー・ツィ・ユァン』がご挨拶申し上げる。ただただご支援ありがたく、ここに平伏し奉る」


 他の機人たちが告げた口上とほぼほぼ同じ言葉だから、聞き流してると。その陰、離れた席にいた■■■が、顔を逸らして、口元が動くのが見えた。声はなぜか聞こえない。

 フィイイー……という小さい高い音だけだ。あの背の高い機人の円盤が発生源。

 でも、アタシはプロですんで。唇は読めるもんね!


『あんな不格好な連中に金を』


 そこまで読んだ時、ゴディ……さんがすっと前に立ってしまった。

 見上げると、機人のお兄さんは曖昧に微笑み返してくる。

 むっとしたけど。円盤のだした高音といい、あの根性腐れの言葉をアタシに知らせないようにしたんだろうか?

 数拍の戸惑いのあいだに、ボリスもこれまで通りの礼を返して、切り分けた肉を載せた小皿を渡し終えてた。3人は静々と、音を遮った空間ごとまた広場を去っていく。腐れ■■■の表情は軽蔑とかそういう感じなのが見えるけど、口元は動いてない。

 アタシはつい、ゴディ……さんの袖を引っ張ってしまった。


「ん?」

「今、何か聞かせないようにした?」

「機人に、あまり好意的でないひともいるんだ。けど、それは俺らと彼らの話だから……」


 君は関係ないだろう。


 そこまでは口にしなかったけど、眉尻さげて、少し悲しそうに見える顔で微笑んでるのはそういうことだ。

 違うよ、アタシにはそれを気にする理由があるんだ、っていいたかったけど、周りには関係ないひとが多すぎてできなくって。

 不満を抱えたまま、呼びに来たヨアクルンヴァルに引っ張られてったのだった。

手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。


「あんな不格好な連中に金を使うとか、バカの所業だろ。無駄もいいとこ」

とかそういう感じの言葉が、ゴディアランさんに遮られていました。


お読みいただきありがとうございました。


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