ちょっとした驚き2つ
手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。
朝ご飯のぶん、ちょっと手持ち銀貨が減ってます。
『上級者向け触手BL』と設定は一緒ですのでこういうことになりました。
牛、馬、といった獣は≪祖獣≫と呼ばれ、獣人たちから特別な信仰を集めています。
雪がちらつく道を、コートしっかり着て歩く。ご飯の屋台やら、冒険者むけの店は小さな灯火で営業してて、薄暗い街路に明かりの小舟が浮かんでるみたいだ。
寒さを追い払うように速足で歩いていくと、『花冠をつけた祖獣の頭』の紋章が、灯りの中に浮かび上がる。三階建ての建物、スロール商会の店舗で、魔術師ギルド≪豊饒の大地≫だ。店舗の入り口は閉まってるけど、脇の戸口から光がもれてて、ノックするとすぐ、魔術師の帽子かぶったひとが開けてくれた。
案内にくっついて通路を通り、真っ暗な中庭を抜けて、奥のほうの倉庫みたいな大きい建物へ。入ると、火とは違う、日の光とも違う真っ白な光でいっぱいの空間だった。
広いんだけど、右の壁際には荷でいっぱいの車が五台寄せてあるし、奥には石造りの≪転移の門≫がどーんと構えてて、圧迫感がある。左手にも、柱と柱の間に布を垂らした間仕切りがいくつもあって、荷物やら空の車や手押し車、箱の類がいっぱいだ。あたりはいい香りがして、花みたいな果物みたいなふわっとした感じの空気に、少しだけ木材や埃っぽさが混じってる。
眩しくはないけど、他の光源が必要ないくらい明るい≪門≫ の前にいた一団から、
「お、来たねっ」
ヨアクルンヴァルが声をかけてきた。
「遅れちゃったかな?」
「いや全然。」
そういやヨアクルンヴァルと、ボリスしか見当たらない。メバルさんは昨日、体調悪そうだったな……、と思ってたら。
「メバルも居るのだー」
何か甲高い感じの声。探すと、≪門≫に一番近い荷車の台から、手袋した手がひらひらしてた。
違和感に引っ張られるように、アタシは荷車に近寄ってみる。
お腹の上に布の包みを抱くようにして座ってる僧侶を目にして、声に感じた違和感が決定的になった。眉の間に縦じわが寄っちゃう。
「んん? んー……」
「あの、あのね、マーエ」
何か言ってるけど、それより速くアタシはボリスを問い詰めた。
「メバルさんの骨格とかが変なんですけど。ていうか肉付き全般が違う。高度な変装にしても、何か、なああああんんか、おかしくなぁいー?」
「えぇっとですねぇ」
とぼけようか迷ってるようなボリスをどうとっちめてくれようか、と思ったらコートの裾を引っ張られちゃった。
「それ。説明すると言ってる! 聞いて!」
「はい。」
「あのね、獣人は、祖獣の加護をたくさんもらったら、≪真獣形態≫になれる。半獣形態、一部とかのや、ほとんど毛皮全部みたいなのもあるけど、もっと本物になるのある。」
「ありますね?」
それとコレがどう関係あるのか、半信半疑で疑問形になっちゃった。けどメバルさんは、アタシが理解したもん、という感じで頷くと続けてくる。
「獣人は、祖獣のからだと、ひと姿のからだ、加護あったら問題なく入れ替える。
メバルの一族も似てる。男のからだと、女のからだ。144日で入れ替える。魔力高いと、周期変わるのこともできる。昨日からの半日かけて、女性形になった。なったら、月のものが来てちょっとキツイのだ……」
「ああ、それ温石なんだ」
お腹に抱えてる布包みに目をやると、僧侶(女僧侶っていうべきかな)はこっくり頷いて、
「向こうに着くまでこうしてる。」
丸くなってしまったので。
「うん。お大事にね」って言うと、ドアのところにひとの気配があった。
やってきたのは、眠そうなレーアちゃんを片手に引いて、もう片手には≪なんでも入る鞄≫を提げたテイ=スロール。それに続いて、スロール商会の紋章入り前掛けをつけた男女が6人。この人たちは荷車に積んだ荷物のチェックを始めたし、アタシ達もなにかしようかな。レーアちゃんの相手とか。決して、ふわふわ巻き毛を撫でたいだけじゃないのだよ? 小さい子だから心配なだけだよ?
逡巡してると、仕切りのひとつから仲間に呼ばれた。近づくうちに、花みたいな果実みたいな、甘い匂いが強まって、中に居るのは騎獣……ていうか、
「お花かぶった幻獣?」
「説明します。こちらは幻獣フローグ、当商会のマスコットにして守護獣です。」
「花冠と背中にも花輪を載せてるのは?」
「そういう幻獣です。」
うん、とひとつ頷いたテイ=スロールが、祖獣『牛』に似た幻獣の耳脇に垂れるツタ植物を持ち上げて、見せてくれる。ツタの根元は、黒い毛の中に埋まってる。っていうか、そこから生えてるのかな。
どれどれ、と近づいてみると、幻獣が大きな黒い目でアタシを見つめて、ぶふん、と鼻を鳴らした。そのとたん、すごい花の香り。
あっ、この幻獣の体臭だったんだ?
ちょっとした驚きは、頭のなかに響いた声にかき消された。
『あなたもげんじゅうですね?』
頭の中に響いた音が、言葉として繋がらなかった一瞬が過ぎて。知的なアタシが活動し始める。
あなたって誰のことだろ。
というか、この声って誰の?
「説明します。フローグは≪心話≫を使って会話する、知的な幻獣です。」
テイ=スロールの声がやたら遠く聞こえた。
『あなたも幻獣ですよね』
繰り返される言葉。
念を押すように。
アタシを凝視する、大きな瞳。
手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。
村にたどり着く前なのに驚くことがでてきました。
私事ながら、キーボードスライダーを装備しましたので、タイピング環境が向上しています。REALFORCE RGB(廃盤の二色形成のやつ)は良いぞ。
お読みいただきありがとうございました。




