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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
15/180

条件は3つ

手持ち、残り銀で656枚と銅0枚。

 このク=タイスの街は、獣人中心でたくさんの種族が居ます。

 ご飯屋さんは、「レシピがばれる危険」より「トンデモねぇ毒物をいれたなと怒られる危険」の方が高いので、基本的に『料理はこまかく素材を列記』し、後付けで味付け・味変更できるときは調味料を別途出す傾向にあります。

 もちろん、それができるのも『それなりに払ってもらった』場合や、それなりのお店だからです。

 貧乏人むけ定食は、味のしない(水で炊いた)燕麦や大麦のキュケオーンと、焼きバスマス(オマケは塩のみ、香辛料なしソースなし)、切って茹でただけの青菜や根菜(ソース類は自前か別料金)、という感じです。

 美味そうな肉に向けた手が止まった。

 アタシの表情も、硬直してたんだと思う。


「じょ……条件、デス、か」


 固まったままの手に、手袋をした僧侶の手がそっと触れた。


「落ち着くのだ、マーエ。今から言うこと、君の安全、護るためなのだ」

「安全……」

「そうです、安全のための条件です。」


 安全ってなんのことでしたっけ。


 と、理解が遅れる程度には、頭の中も固まってたみたいで。

 アタッカーが頭を掻いて、ひとつずつ指をたてながら話しはじめる。


「まず、≪千匹の仔を孕みし黒山羊≫教会の孤児院や、ほかの冒険者に、僕たちの名前やか(ごほん!と咳払い)…は、さておき。とにかく、風体やクラス構成といった情報は伏せておくこと。

 それと、一日限りや単発の仕事を受けているふりをすること。

 それから、≪街の子≫を見かけても、邪険にしないであげてください。詳しくは言えないですが、味方です」


 ご理解いただけましたか?


 まで聞こえてようやく、アタシの硬直は解けた。


「理解しましたっ!」


 そして、僧侶がずっと手を、励ますように、安心して、と言うように握ってたことに気づいて。


「あ、あ、あの、あのあの、手」

「はい」


 するりと手を放して、にっこり笑う僧侶サマ。

 ちょ、あの、と思いながら目玉だけアタッカーに向けると、「ん?なんですか」みたいに軽く首をかしげられてしまった。なんなんだこのお二人は。

 距離近ーい、と思ったのは間違いだったのか……?

 それとも「このくらいはよくあること」なのか……?


 アタシにはよく……ってか全然分からない機微だ。

 だって恋なんてしたことな「わかったら早くお食べっ」


 自分のもの思いに沈みそうだったところを、ウォーリアに背中どやしつけられて我に返った。

 そだ、ジュワジュワの美味しそうな肉に、塩や、乾香草もついてるんだった!


「はい!」


 カヴァナッツのとろみがついた、ゆで卵とアオカブのスープ。

 若ナバナと焼きチーズのサラダ(酢や塩は各自お好み)。

 巻いたり、そのままかじってもいいチャパティ。

 お腹がくちくなるまでもりもり食べて、それでも余ったチャパティと焼き肉を、ナバナの葉で包んでお土産にもらって。

 そうして、腹も懐もあったかくなって、自分の下宿に帰るときまで。

 アタシは≪街の子≫の存在を忘れていたのだった。

手持ち、残り銀で656枚と銅0枚。

今回もでてきたナバナの葉。成長すると大人の胴体ぐらい幅広く、繊維質な大きな葉になります。皿になったり、蒸し焼き料理のガワになったり、お持ち帰り容器になったりします。こっちの世界ではバナナの葉がそっくりです。


次回は、ストリートキッズとの遭遇です!

このお話はほのぼの冒険譚だと言ったでしょう!

お読みいただきありがとうございました。

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