表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
139/177

起きた直後の呼吸でこれですよ

手持ち、残り銀で5116(+19000)枚と銅3枚。

ほ、本作はほのぼの冒険譚を目指しておりますの。

 戻って、黙ったまま手サインで『静かに、部屋をでて通路に行こう』と皆に示す。

 立ち込めてる気配にはピリピリしてたから、皆すぐに、相応に静かに(アタシの基準からすると、鎧がうるさいんだけど)立ってくれた。ウォーリアは前回も使ってた、光る盾を構えてて、


「下がりな!」


 立ち上がるなり、アタシと入れ替わるようにドア前に入り込む。理由はすぐわかった。

 ドアは音を立てずに開いて、その間隙がおおきくなる。

 闇の中から、茶色く干からびた手が現れて。

 気迫が湧きたつようなヨアクルンヴァルの背中ごしに、伸びた手がひょいっと盾の縁を掴んだのが見えた。


「その信心ある盾、守りの気迫、まことに善き哉──」

「……!」


 かすれてたけど、不死者アンデッドという存在から想像するような、こう、穴の奥から響く呪詛みたいな感じじゃない。女の人の声だった。

 ウォーリアも、見ていたアタシ含め全員が驚愕したのは、聖なる護りの盾に触ってる手が、煙を立てたりとか弾かれたりとかしてないってこと。

 あっ、不死者だって、邪悪ではない存在が冒険者してたりするって話は、話だけなら聞いたことはある。居るよってことだけ。神様に守られる力、たとえば呪文かけた盾に触って平気だとか、そんなん知らんし!?

 固まってるアタシ達の前で、ドアは完全に開いてしまった。

 盾のふちに手を置いて現れたのは、埃かぶったままのローブ姿。真っ白い髪の上にも、ナッツ粉みたいな埃が積もったままなのがちょっと笑える。けど、それ以外は、骸骨の上に日焼けした羊皮紙を張り付けたような顔とか、黒い炭を張り付けたような目(瞳がない)とか、怖さ抜群。

 そこまで見てとった次の瞬間、いくつかのことが同時に起きた。


 ヨアクルンヴァルは、無意識な反応か、盾を持った手がびくって動いてしまった。盾を不死者の方へ、突き出すような動きになった。

 ボリスは双剣を抜き放つ。ただ位置的に、アタシが邪魔で前に出られないことに気づいて、不味いなって顔をした。

 ウォーリアの持っていた盾から、『パシャッ』て、クッキーが割れるみたいな音がして、清らかな光が消えてしまった。

 後ろでメバルさんが「あっ」とか呟いて。

 アタシは手にしたままの短剣を、投げるかどうか迷った。


 そして不死者は、盾の呪文が消えた(突き出す動きが、攻撃ってことになったんだと思う)のに驚いたのか、大きくのけぞった。その動きで、髪やローブについてた埃が空中に散って、


「ッくしょん!」


 そこからげっほごっほと、くしゃみのあと盛大に咳き込みだして、心配したメバルさんが、


「大丈夫なのだ? 水を飲むか?」


 と介抱する騒ぎになった。なってしまった。

手持ち、残り銀で5116(+19000)枚と銅3枚。

ウン十年単位で「呼吸」してなかったものですからね、実は鼻腔とかカビ生えてやしないかと心配になるレベルです。とはいえ、神様の加護でアンデッド化、というかリッチ化していますので、そういうこと(体内にカビやらゴミやら)は無いです。


お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ