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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
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街道宿での商談

手持ち、残り銀で4970(+12000)枚と銅5枚。

前回更新から間があいてしまいました。

「児童向けコーナー紙芝居に『曽根崎心中』がある」

 実際に見に行ったら、『大人向け紙芝居』と区切られたところにありました。話を短く編集し、現代語で分かり易くしてある以外、脚色なしの『曽根崎心中』でした。

 街道は、泥が凍り付きかけたり泥濘ぬかるみあったりと嫌な地面だったけど。

 ウィザードがすっごい頑張ってくれたおかげで、荷車の車輪を泥濘にとられることもなく進むことができた。

 ただ何回も魔術使った反動ってあるもので。街道沿いの宿に転がりこんだら、そのまま眠りこみそうな感じだったのだ。


「寝る前にメシを食いな!」


 薄焼きチャパティと、煮込んだデンチャ芋と干し肉のこってりスープという夕飯を、ウォーリアがお勧めしたんだ。けど、暖炉の前って暖かいでしょ。


「分かってます、よ……。」


 何か言いそうなのも、ほとんど口の中で何か言ってるだけんなっちゃってて。ヨアクルンヴァルに支えてもらい、横からアタシがスプーンでスープと、千切ったチャパティをねじ込むという感じで。何とかご飯食べさせたうえ、引きずるようにして寝室に放り込んだのだった。

 宿の食堂は、ほかにも行商人や、護衛を連れた学者か魔術師か、って体のひとたちが居る。魔術師が眠りそうなのも


『おやおや、お若い方は無理しがちですな』


 みたいな優しい目で見られてて。

 そんな感じだったから、ウィザード寝かしつけて以降、話もし易くて助かった。変装も解いてたし。

 んで、手がすいた料理人と、ご飯運んでた下働きが3人、アタシたちの持ってきたリボンを気に入ってくれて、お買い上げとなった。

 さらに嬉しいことに、ヨアクルンヴァルが持ってきた『ドラゴン系の爪痕がある盾』。行商人が2つとも欲しい! と即金で話を持ち掛けてくれたのだ。一枚あたり銀で160を提示し、合わせて買うんだから300にして、等々交渉した結果、2枚で銀貨310枚に売り渡すことに。

 元値はすごくお安いんだから、300でもいいんじゃ?

 とは思ったけど。


「鉄色の角とツメを持ったドラゴン相手。我々が如何に戦い、かつ盾を持って仲間を守り、勇敢に生き残ったか」


 を得々と話すヨアクルンヴァルは、交渉を楽しんでる風だったので邪魔しないでおいた。行商人も、アレは分かってて聞いてると思う。

 アタシも似顔絵見せてみたけど、誰も知らなかった。ちょっぴり残念。

 似顔絵見せてちょっと話をした、学者か魔術師か、って感じの人は、珍しい仕事のひとだった。


書籍の狩人(リベル・ヴィネイトル)、と言えば恰好良いですがな。依頼人がまだ読んだことのない書を探して、写本を持ち帰るのを生業としております。」


 なんでも、「明日読む本が無いことは、明日着る服が無いも同然」という金持ちに雇われてて。しかもその辺の書肆しょしで売ってるような本じゃダメで。街道旅して、同じような蔵書家に写本させて、ってお願いしたりしながら、ずっと北東にある街までゆくのだそうな。

 月じゃなく年くらいかかるぶんの路銀出してくれて、かつ、引き連れてる護衛やらお世話する下男やらも給金出してくれるなんて。凄い金持ちも居たもんだ。

 冒険者ですっ! て風体のアタシたちにまで、「何か本持ってません?」とまで尋ねるんだから、本の狩人って目配りすごい。


「珍しい本を見かけましたら、こちらにご連絡ください。同業者同士の連絡箱が、ク=タイスにもございますでな。」


 と、私書箱……冒険者組合のだ……の番号と名前を書いた名刺をもらってしまった。


「冒険者登録してるんすか?」

「もちろんでございます。」


 街に書物がなければ、迷宮に潜ってでも古書(たしかに、第一層『迷宮』でもごくまれに出るって聞く。アタシは見つけたことないけど。)を狩り集めるのだそうで。気配りと執念でできた職業だなあ。



 宿で秣やお弁当用の食料を補給して、寒々しいけど晴れた空の下。

 葉の落ちた樹木が寄り添ってる目印から、踏み固められた細い道へと入っていく。荷車一台分という幅の狭さよ。

 アタシは特に変装せず、ビヌトゥアで先頭にたつ。枯草色の放牧地と、掘り起こしてある畑……あっ、ビヌガンヤで犂ひっぱってるひとがいる!


「おーい! こーんにーちはー!」


 大きく手を振ると、こっちに気づいた。ビヌガンヤを止まらせて、ひとが歩いてきた。

手持ち、残り銀で4890(+12000)枚と銅0枚。

ビヌガンヤは、毛足の長い四足獣です。

今回の頑張った点:鋤(人間が手に持って使う)のと犂(牛馬に牽かせて使う)どっちだっけ?って調べてから書きました。


お読みいただきありがとうございました。


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