今頃ですが24歳
手持ち、残り銀で6109(+12000)枚と銅0枚。
今頃ですが主人公は24年生きてきました。誕生日とかはないです。孤児院に拾われた/預けられた日は書類上記録されていますが、子どもたちには「何月生まれ」とざっくり説明。同じ月の子をまとめてお祝いしています。(そうしないと、拾われた子と預けられた子で差が生じてしまうため)
09/04/2022 ビールもエールの一種だよね、というご指摘有難うございます。というわけで蒸留酒に変更しました。
ほわっとしたものが、手のなかと胸のなか、両方に漂って、どうにも動けなくなったのを。衝立わきから顔を突っ込んできた、テイ=スロールの声が動かした。
「お待たせしました。レーアがどうしてもついて来るといって聞かなくて……。」
「だって絶対、居ないとなの!」
困ったようにすぼむテイの言葉に、甲高い女の子の声が飛び込んできた。おかげで、手の力が緩んで、アタシはさっと手を引っ込めることができた。
従業員を呼んで椅子を足してもらい、すぐ料理もでてくる。
皆で酒はどうする、子どもだっているから、茶を頼もう、ポットでいいかい、とかワイワイやってるうちに。
ちょーんと座ってるままのアタシ(主賓だからって、いいから座ってろって言われた。)。
隣には、鼻すすってるシノビのひと。まだ目元が赤い。
「ごめん。」
て謝られちゃって。意味が分からないから黙ってたら。
「自分が助けた子が、無事なの見たら、いっぱいいっぱいになっちゃって……」
「あの、アタシそんな『子』ってな歳じゃないですよ?」
「えっ……」
「24!」
「「「ええぇっ!?」」」
こら、そこ。
テーブル全体で驚くんじゃない。例外はごく一部、テイ=スロールの横に座る女の子だけにこにこしてるって何よ。
どうせ童顔ですよーだ。
「その歳で≪自由な盗賊≫やれるんだから、大したもんじゃないか、ね!」
ヨアクルンヴァルさんが、すっごく格好よく見えてきたぞ。
振るった料理と、ちょっといい酒(何せエールじゃなくて蒸留酒だ)。オアイーナブスさんは体格いいし結構食べる一方、横のシアバスさんてば小鳥さんみたいな量だったりとか、新発見だった。
あと、シノビさんの名前聞いた。リクミって言うんだって。
テイ=スロールに頼んだら、思った通り繊維紙持ってたので、書いてもらった。
何でって?
忘れたくないからだよ!
アタシはアタシの記憶力を、自分のことだからこそ信用してないのだ! 悔しいけど! ……後で書き写しておこう。失くしたら悲しい。
皆でおなか一杯になるまで飲んで食べて。
償い銀はまだ確定してなかったけど、アタシは≪万神殿≫で発行してもらった銀貨1000枚分の為替を、シアバスさんたちに渡した。恐縮されたし、オアイーナブスさんに至っては「特に働いたわけではなし、受ける訳にはゆかぬ」なんて強面で断られかけたけど。
一人ぶんにしたら333枚しかならないんだ。何か渡さないとアタシが育て親から怒られる。「恩知らずに育てた覚えはありませんよ」って。
ザレナの今後、というか処罰の話もして、そっからアタシにもお金が入ることまで説明したら、ようやく受け取ってもらえた。
その後は、明日以降の打ち合わせも兼ねてたから、シノビのひととはろくに話できなかったけど。(あーもう名前! 紙はポケットに入れてあるんだけど!)
いいんだ……!
ご飯のあと解散する前に、レーアちゃんがアタシの袖を引っ張って教えてくれたのだ。
「ハンカチ、もったまま。」
彼女がにっこり笑って、指さす先にはシノビのひと。そういや、あのまま持ってるはず。どうしよ、返してもらお……、としたら。
にっこり笑いの女の子が、袖をもう一度引っ張った。
「なぁに。」
「また、会えるね?」
あー、そっか!
アタシが理解したのを、レーアちゃんもわかってくれたみたいで。にっこりっていうか、カヴァナッツをひと籠全部ひとり占めしたみたいな笑顔になってた。
これで旅から帰ってきたとき、会う理由ができたってこと。
だからいいんだ!
「縁結びの神としては、見届けておかないといけないと思ったの。」
神学上問題含みな発言は聞かなかったことにした。
手持ち、残り銀で5109(+12000)枚と銅0枚。
為替の発行ができて、自由市民でも利用可能なのは、『冒険者組合(手数料が割高)』や各種職業ギルド、貴族家資本の大店などですが、マーエのように孤児院育ちで、口座も作ってあるひとにとっては≪万神殿≫のほうが手数料安くて便利になります。
お読みいただきありがとうございました。




