その1
光の巫女時々転生者を書き直しました!よろしくお願いします~
それはいつもの朝だった。春から初夏への風が吹き始めて。
うきうきしちゃう季節。それなのに。
なんだか変な感じ。昨日まではなんともなかったのに。
今日は魔力が満ち溢れているのだから。
まあ、取りあえず学校へ行くわけだし。
寝癖を直して起きると、階下では父と母が神妙な顔をしていた。
これはあれだろうか?父の浮気がバレた時とそんな感じ。嫌だな~。大人の事情をこっちに持って来ないでよね。
「おはよう、父さん母さん」
「ミカ。おはよう」
「おはようミカ。今日もかわいいよ」
「お父さん、キモい」
「がーん」
「それよりどうしたの?ピリピリしてるよ?また浮気?」
「ば、馬鹿俺が浮気する訳ないだろう!
綺麗な女性を食事に誘っただけだ!」
冒険者の父が弁明するが聞く耳持たない。
いつも綺麗な人の後をふらふらしてついていってお母さんに後でどやされるのだ。
「……ミカ。落ち着いて聞いて」
「お母さん。ついに離婚するの?」
「それもいいけど違うの」
「いいのかよ!」
父のツッコミはスルーしてと。
「実は魔王が復活しそうなの」
「魔王!?またまた~!あはははははは!」
つい笑ってしまった。母がそんな中二病みたいなこと言うものだから。
そりゃあ歴史で習ったけど。そんなもんいるとも思わないし。
所詮は創作物の中の存在だと思った。
「笑いごとじゃないの。ホントによ」
「ホントに?」
思い当たる節はある。今日、魔力が溢れているから。
学校で偉そうなカーストトップのあいつも倒せそうである。
「そうなの。それでね。えと……その封印を強化して来て欲しいの」
「え~!?そんなの嫌だよ~!」
大体女の子にさせることではない。大人だ。大人が頑張ることではないのか。
小説とかでもそうだ。若者に雀の涙ほどのお金と貧弱な装備で魔王を倒しに行くって。
めちゃくちゃパワハラな展開ではないか。
まさかそれを母が言うことになるとは。
「大丈夫だから、ね?装備もあるし?神器もあるし?」
「なんで、疑問系よ!」
「ミカ。一回だけでいいから、な?」
「お父さん、その言い方キモい」
大体魔王なんて封印しに行ったら私の青春はどうなるのだろうか。
取りあえず学校へ行こうか。そうだ。そうしよう。ご飯を食べつつ親の言うことを受け流しつつご馳走さま。
二階へ行くと玉が浮いていた。それは光輝く玉だった。
「あら。あなたか今回の光の巫女ね?パッとしないわ~」
「え?え?口わるっ!」
光り輝く玉は私の周りをくるくると回って小馬鹿にしたようにそんなこと言う。
なにこいつ。性格悪い。
「あなた誰?魔物?」
「失礼ね!私はともしびちゃん!」
「変な名前!」
「うっさいな!いい?あなたは私とこれから魔王を倒しに行くの!」
「ええ~!?嫌なんだけど?」
「イヤヨイヤヨも好きのうちって言うでしょ?」
「言わないと思うけど」
「いいから行くの。あなたしか出来ないんだから」
なんてパワハラなんだろう。
こういうのは物語だけにしてよね~!
まさか本当に旅に出ることになるとは。
家が光の神殿で代々光の巫女が生まれる家系だから仕方ないのかな?
そんなんで納得できるか~!
つづく