新しい出会い
「ーーだったんだ。それはーー」
「ーー。これからはどうーー」
「ーーだね。それがいいとーー」
……うーん、騒がしい。
まだ寝ていたいのに、誰だろう? 俺の部屋に勝手に上がり込んできた輩は。
……どうせアイアと覇太郎あたりだろうな。
昨日はもしかすると鍵をかけ忘れて寝てたのかもしれない。
薄く目を開ける。
やっぱり、アイアと覇太郎だ。間にもう1人いるようだけど、誰だろう?
見慣れない銀髪に碧い目、そして色白く綺麗な顔立ち、ハーフ……かな?
それに服装も特徴的で、ビキニアーマーにグレーのマント、胸元に輝かしい黄金のネックレスが光っていてどこかコスプレチックな匂いがする。
もうひとつ気付いたことがある。
ここ、俺ん家じゃない。
俺の部屋は和室で敷布団のはずなのに、今寝ているのはベッドの上だ。シーツは白で、カーテンも白で片側を覆っている。
ここはーー
「あっ。起きたみたいね」
アイアに声を掛けられた。
「おっ、おう……おはよう?」
こういう時なんて言えばいいんだ? わかんねーや。
俺の疑問形の朝の挨拶にアイアは苦笑いして、今の状況を教えてくれた。
「あんた、大学と駅の間の道で頭打って気絶してたのよ。それで救急車で運ばれて、今いるここは病院の1室ってわけ」
「………………マジか?」
道で気絶してたとか全く実感がないのに体は実際に病室あって、なんだか記憶と状況がチグハグしていて思考が追い付かない。
そもそもーー
「……あんた、もしかして覚えてないの?」
「……うん、さっぱり」
道を歩いていたというところからして、全く覚えてなかった。
「起きたばかりで頭が混乱してるんじゃないかな。強く頭も打っていたようだし」
覇太郎がフォローしてくれる。
後頭部に手をやると、デカいたんこぶができているようで、触ると鈍痛がした。
「怪我だけど、その後頭部のコブと鼻血だけだって。鼻も強く打っただけで折れてはいないそうよ」
「打った頭も異状ないそうで、起きたらもう退院できるってさ」
「そっか……それなら良かった」
「あ。あとこの事は私がカズキのお母さんにもう連絡してあるから。心配ないって伝えたら、『アイアちゃんに任せるわっ!!』だって。これだけ付き合いが長いくなると私への信用も厚いものね」
「おう、そうか。色々サンキューな」
こういう時、家族ぐるみの付き合いがあるっていうのは助かるなぁ……
ああ、そうだ、とりあえず今はそれよりもーー
「なぁ。ところで、何で俺は頭打って気絶しちゃってたの?」
俺の疑問に、アイアと覇太郎は顔を見合わせて、それから2人の間で先程からちょこんと大人しく座っていたコスプレ少女(仮)に目線を向けた。
「いーい? カズキ? 今から話す内容を、とりあえず質問は後にして最後まで聞いてね」
「そうだぞ、カズキ。常識的に考えてありえないと思ったとしても、とりあえず最後まで聞くんだぞ」
「え? どいういうこと? そんなに釘刺しとかないと話せない内容なの?」
しかし俺の疑問は無視し、アイアはコスプレ少女(仮)の背中に軽く手を回して俺に彼女を注目するようジェスチャーする。
そして驚きの言葉を口にしたのだった。
「あのね、先に結論から話すと、アンタは空から降ってきた異世界少女と衝突して気絶したのよ」
「はい?」
漫画やラノベのテンプレ設定が事故原因だというアイアの言葉に、早くも質問したくなる秋の昼下がりだった。
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