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俺が好きなのどっちなの!? 『生ワキ』それとも『あの娘』だけ!?  作者: カプサイシン
3章 男を突き動かす原動力。それはロマンとエクスタシー
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プランの崩壊

カズキはとうとうニーナちゃんを直接説得しに向かいます・・・・・・が!!

カズキの欲望は叶えられるのか、お楽しみください!


 翌日、講義が終了した後、俺は概要説明書を文化祭実行委員会がいる部室まで提出しに行っていた。


「百人一首研究会です。おにぎりの提供をすることにしました。よろしくお願いしますー」


 概要説明書を文化祭実行委員長であるという、髪を七三分けにして真四角の黒縁眼鏡をかけたいかにも真面目そうな男に渡す。


「うむ。ご苦労。後で拝見させてもらうよ」


 とても芝居がかった口調が鼻につく。その委員長は眼鏡を指で押上げて、尊大な雰囲気を醸し出して資料を受け取った。まあ、実行委員長なんてどうでもいいや。


「しかし、おにぎりなんて売れるのかね? 私も実行委員に3年いるが初めて見る企画だよ、キミ」


 眼鏡をクイクイさせながら尋ねてくる委員長に俺は、


「さあ、どうなんでしょうね?」


 と曖昧な返事をしつつ、内心で売れるんだなーこれが、とほくそ笑んで教室を後にした。




 その後は1階のロビーで待ち合わせがあったので、駆け足で目的地に急ぐ。

 そこは次の講義に行くためだったり外に出るためだったりで使用される経路のため、人の流れは速いのが通常なのだが、今日は人混みができている。

 その中をかき分けて行くと、中心にいたのはニーナちゃんだった。

 半ば予測はしていたが、人の流れを止めていたのはその銀髪美少女なわけだ。

 男どもが『めちゃくちゃカワイイ……』『あんな子うちの大学に居たっけ……? 留学生……?』などと言って立ち止まっている。

 まあ見惚れますよね、俺も初見があの病室であのメンツじゃなければ見惚れてましたよ。

 これ以上の渋滞をかけないためにも、俺は早々に声をかけた。


「ごめんごめん、お待たせ」

「あっ……! カズキさん、よかった。ちょっと不安でした」


 明らかに自分が浮いていて、視線も集めていたから気が張っていたのだろう、とてもホッとした様子になる。


 すると、周りの空気が一瞬凍った。

 ピシィッ!! という擬音まで聞こえた気がする。

 そして男どもが口々に、「な、なんであんな冴えない男があんな美少女と待ち合わせを……!?」「ありえない!! 釣り合わなすぎる!!」「メーデー! メーデー! 我々は攻撃を受けている!!」などとザワつき始めた。


 ニーナちゃんは再びの異常な周囲の反応に不安そうにし、俺といえばなるほどそういうことかと納得した気持ちだ。

 野郎ども、ニーナちゃんが俺の彼女かなんかだと思い込んでいるな?

 俺は舌なめずりをして、思いっきりニーナちゃんを彼女扱いすることに決めた。


「よしっ! それじゃあニーナちゃん、行こうか! 今日もいっぱい楽しもうじゃあないかぁ!!」

「えっ? あっ、はい……今日も?」


 ニーナちゃんの肩に手を回すようにして(実際は触れていない。何故なら俺は女性経験がry)意気揚々と歩く。

 後ろからは悔しそうなうめき声と歯ぎしりの音と呪いの言葉とか聞こえてきたが、あえて聞こえないフリを貫き通して鼻高々に場所を移した。


 余談だが、同月オカルト研究サークルの門を叩く学生が増えたらしい。

 俺を一体どうするつもりだろうか、学生のパッション、侮れない。




「あの、カズキさん。今日はアイアちゃんと覇太郎さんは一緒じゃないんですか?」


 場所を変えて、大学のカフェテリア内の席に落ち着いた俺たちは2人きりだった。

 そう、昨日覇太郎と話した通り、ワキおにぎりの件を個別に説得するためだ。


「今日はアイアは4時限目まで講義があるから、17時まで空いてないんだよ。覇太郎も同じくね」


 というか、その時間帯を狙っていた。

 現在は12時半過ぎ。

 今からアイアが講義に拘束されている間の4時間半以内に、俺はニーナちゃんに『ワキでおにぎりを握りたい!』と言わせるまでにしなくてはならない。


「そうだったんですか……。ちなみにお話があると聞いていたんですが、どういう内容なんでしょう?」

「昨日俺が言ったおにぎりの件なんだ。あれを学園祭の出し物にすることにしたから、ぜひニーナちゃんも一緒にやって欲しいなと思ってさ」

「そうだったんですね! 私としてもその学園祭というのにはとても興味があります! 異世界のお祭りに参加できるなんてとても面白そうです!」


 おお! 大分乗り気なようだ! 後はウマいことエサを使ってこのやる気をワキおにぎりにスライドさせていこう。


「ちなみにおにぎりって文化はニーナちゃんの世界にはあった?」

「いいえ、ありませんでした」


 よっし!! ご都合主義ありがとう!!


「そっかぁ!! じゃあ、おにぎりが何なのか全然わからないんだねっ!? よし、それじゃあどういうものかと、どういった握り方があるのかを俺が教えてーー」


「いえ、その辺りはすでに昨日の時点でアイアさんに聞いたので問題なく知識は揃っています」


「ーーはい?」


「昨日カズキさんが『おにぎりだぁッ!! おにぎりだぁッ!!』と叫びながら、覇太郎さんを引きずって部屋を出て行かれましたから、気になってアイアちゃんに色々教えてもらったんです」


 俺の額から冷や汗が1滴、ツーっと流れた。


「ち、ちなみにどの程度お聞きになられましたのでございましょうか……?」

「日本ならではの家庭料理で、食べやすいサイズに手で米を握るということと、中に色々な具を入れて楽しむということと、『魔法陣グ〇グ〇』という漫画に出てくるようにワキで握ることなど現実ではありえないということを聞きました」


 こっちが隠したかった部分まで全部お聞きになられていらっしゃるッ!!


 というか元ネタまでバレてしまっている!!


「ワキで握るなんて……。例え漫画であったとしても、これを子供が見てしまったらトラウマになってしまいそうですよね」


 そしておにぎりへの正しい常識とワキおにぎりの懸念点まで完璧にご理解なさっている様子だ……。


 これって、もしかすると、詰みじゃね……?




 もうこの流れで『あなたのワキで握って欲しいんです』とか言えなくない……?

ここまで読んでくださりありがとうございました。

果たしてカズキはこの難局をどう乗り超えるのか、次回をぜひお楽しみに!!

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