この感情の正体は
作品をご覧いただきありがとうございます!!
この度連載をします、この作品のテーマは「『恋』とは何か」。
『恋』って『下心』と何の違いがあるの? というところを、作者の固定観念バリバリで掘り下げ書いていきます。
前半はそれほどでもないと思いますが、後半にかけて間接的な性描写が出てきますので、苦手な方はご遠慮ください。
「ちょっぴり、苦かったんだ」
「はぁ?」
「さすがにしょっぱいかなと考えていたんだけどさ、実はちょっと違ったんだ」
開いた教室の窓から一陣の風が吹いてカーテンを揺らしたので、俺はそこで言葉を区切った。
残暑の日差しに熱せられた生暖かい空気が運ばれてきて、代わりとばかりに冷房で冷やされた心地よい空気が去っていく。
講義の終わった大学の空き教室で、俺と友人の覇太郎は向かい合って座っていた。
『風』にではなく俺の唐突な『告白』に、呆気にとられた顔で覇太郎は固まっているが、構わずに言葉を続ける。
「確かに塩っぽさはあったんだけど、そうやって想像してたからなおさら苦味が際立ったんだ」
「はぁ」
「鼻先に感じる湿っぽさが生々しくて、挟まれた瞬間にフワって香る花の甘い匂いはいつまでも側で嗅いでいたかった。時折感じた塩っ気のある海のような香りも、実際に自分がソコに密着してるんだっていう事実を浮き彫りにしてくれてむしろ良かった」
ありありと思い出される至福の一時に、俺の口の滑りも次第に良くなっていく。
「次第にキツく締められーー」
「待て、待て待て待てま。カズキ。待て」
しかしやっと自分を取り戻したのか、覇太郎は普段の冷静ぶりからは考えられない慌てた様子で俺の話を止める。
「まてま?」
「待て。どこからそんな話になったんだ? 僕、『恋』の相談を受けたんじゃなかったっけ?」
そう。カズキと呼ばれたこの俺は、今日は誰もが認めるイケメン恋愛スペシャリストの友人『覇太郎』くんに『恋』の相談に乗ってもらっているのだ。
そして何を覇太郎が慌てているのかは知らないが、俺は『恋』から話題を脱線させたつもりなんてサラサラ無い。
「だからこれが『恋』なのかどうか教えて欲しいんだよ」
「どれが?」
「ワキだよ」
「ワキ?」
「俺は、女性のワキに『恋』をしてるんじゃないか?」
「--------ほ?」
「生ワキに『恋』してるんじゃないか!?」
再び風が吹き、俺と覇太郎の間を抜けていった。俺の放った問いは、流されずに届いただろうか。
人によって重さは異なるだろうこの問題、『恋』に関する問題。初めて夜も眠れなくなるほど悩んだこの気持ちの正体は何なのか。
俺がこの問題に直面したのは昨日のこと。
時間は少し、遡る。
導入はなるべく衝撃的に、とこだわってみてはいるのですが・・・・・・どうでしたか?
毎日1話の更新を最後までノンストップで続けていきますので、少しでもご興味をお持ちいただけたらブクマしていただけると嬉しいです!
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