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ルッキングフォードラゴン!  作者: スルメねこ。
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2章-Who are you?-

 昨夜はメルデと飲み尽くし、多くの思い出話を繰り広げた。

 酒はメルデより僕の方が強く、酔ったメルデがマシンガントークをしていた。

呆晀龍(ほうちょうりゅう)】、か…。

 なるほど面白い。確かにあの目は何かに失望したような()だった。昨日酒場で二つ名を付けた壮年は上手い事を言ったものだ。

 さて、早速あの龍が何者か探らねば。あんな龍はこの近辺では見たことがない。牙を見るに食性(しょくせい)は肉食で間違いない。鉤爪もそれを証明している。確か、奴が寝ていた場所には樹木が生えておらず、寝床を囲むように様々な植物が生えていた。

 ところで、生物には二種ある。

 自然に好かれている者と嫌われている者だ。

 人類は当然後者だ。要は他の生物からハブられている訳だ。そりゃあれだけ好き勝手やれば嫌われる。DQNに誰も近寄らないのと同じ原理である。

 あの龍はおそらく……前者だろう。背中には(ちょう)が止まり、周囲では鳥が歌っていた。

 となると厄介だ。自然に誤解されれば僕らでさえなにかしら嫌がらせくらいはされるだろう。かといってあれほど興味深いものもない。

 慎重に行動せねばな。

「ひとまず、奴が飛んでいった方に行ってみるか?」

「あぁ、それが良いかもな。あいつ飛ぶときに1度垂直に跳ねやがった。多分滑空に近い飛び方なんだろ。飛んでいく時もほぼきりもみ回転してやがった。どう見てもあの飛び方は【加速龍(かそくりゅう)】のもんだ。」

「ならば面倒だな…。加速龍は飛び方が読みにくい。」

 加速龍は龍の一種で、翼にジェットスラスターのような構造を持つ。翼自体は滑空程度しか飛行能力は無いが、通称「加速器(かそくき)」と呼ばれるそのスラスターにより時に音速を超えて飛ぶ個体もいるほどだ。

 加速龍は1度垂直に跳躍して高度をとり、きりもみ回転しながら加速していくという独特な飛行手段をとる。戦闘機のような旋回をしたり、加速器を逆噴射、空中で急停止し、別の方向に噴射して方向転換したりと飛行法が多様で移動が読みにくいのも特徴だ。

「だが、あいつはまっすぐに飛んでったぞ?」

「ならば、奴が飛んでいった北西に行ってみるか。」

 加速龍には比較的温厚で体の(あお)い雄個体と気性の荒く体の(あか)い雌個体がいる。体の黒い変異個体だ、という可能性もあるが……いや、あの龍は加速龍以外の特徴も持ち合わせていた。それどころか龍以外の特徴も見られた。まるで自然の総力を合わせたような………。

 とりあえず、今は奴が飛んでいったであろう北西に向かおう。そこに行けば何かわかるかもしれない。

 ここの北西と言えば、確か遺跡砂漠があったはずだ。あの地域は砂漠が広がる上に地形が入り組んでおり、天然の洞窟に加え遺跡も存在する。狩猟者(しゅりょうしゃ)と呼ばれる職の人々に【(すな)迷宮(めいきゅう)】と語られる程だ。

 ふむ、探索は苦労しそうだな。面白くなってきた。






 森から遺跡砂漠までは四半日(しはんにち)とかからなかった。

 砂漠の周囲には主に山岳がそびえ、それ以外は海に面している。そのため主要ルートは南西にある平原との境と、東部の峡谷(きょうこく)程度だ。

 僕らは森を西に向かい、砂漠に隣接する平原に出た後、砂漠の入口である低草地帯を抜けてきた。距離にすればせいぜい20kmといったところか。

 途中にかなり休憩を挟んだが、それほど時間はかかっていない。道中もいろいろあったが、それはまたの機会に話すとしよう。

 砂漠と低草地帯との境目から抜け、岩が外壁のように伸びる砂漠に足を踏み入れる。風化で細かく塵のようになった薄黄色の砂は、足から伝わる重みに耐えかね靴に纏わり付く。軽く沈んで出来た足跡が2人の後ろに繋がっている。

「ここってこんなに閑散(かんさん)としてたか?」

 メルデがふと呟いた。

 確かに動物の姿があまり見当たらない。乾燥帯特有の植物はチラホラと見受けられるが、足元を駆ける虫達の他には動物といえる動物がいない。以前来た時は確かそこかしこに竜がうろついていた気がするが…。

 だが、植物の様子を見るに何か災害があったり、生態系の崩壊があったりという訳でもなさそうだ。まるで、動物達がどこかに集合しているような雰囲気だ。

「どうする?先に中央部の辺りを見るか?」

「いや、とりあえず南西部全体を調べてみる。今日はそこと沿岸部を調べるつもりだ。」

「なるほど、了解した。」

 平原側からの入口であるこの南西部はなだらかな砂丘が広がるため視界はいい。何も無ければすぐに沿岸部を確認しに行けるだろう。

 その後、南西部を東に1度大きく回ったあと、西に向かい沿岸部へ向かうことになった。

 南西部砂丘地帯では結局何も無く、1〜2時間で沿岸部低木地帯にたどり着いた。

「この辺は南西部に比べれば動物達がいるみたいだな。」

「あぁ。だがやはり沿岸部にしては動物は少ない。」

「もしや呆晀龍の奴が原因かぁ?」

「その線が濃いな。」

 普段ならあちこちに居るであろう草食獣や草食竜は数体が確認できる程度。群れも成しておらず、はぐれているといった印象だ。

「まぁ、海沿いを北上していきますか。」

 この遺跡砂漠は北西部を海に面しており、南西部北西側から中央部北西側、北部西側まで海に沿って低木地帯が広がっている。この低木地帯が沿岸部に当たる。

「沿岸部も何も無さそうだがな…。」

 沿岸部を北上し終わったら中央部へ回り、そこで一旦夜を越そうと話し合い、砂地に歩を進める。






「結局何も無かったな。」

 中央部の最北地域━━━沿岸部との境の辺りに設置された第三ベースキャンプ地━━━で、遺跡砂漠北部の洞窟群と沿岸部の奥に見える海原とを眺めながらメルデが溜息を吐く。

 結局、沿岸部にはそれらしきものが何も無く、ただ遠回りをして第三ベースキャンプ地へ来ただけになってしまった。

 日は下がって来たが、まだ暗くはなりそうにない。

「今日の夕食でも調達しよう。」

 僕らは旅に出る時、食料はほとんど用意しない。その場で探すのだ。これでも2人とも知識は多く、何が食べれて何が食べれないのか、ほぼ世界全土の可食物(かしょくもつ)を把握している。

「んじゃ、俺は内陸部で肉とか探してくるわ。ルーメラは沿岸部で魚や調味料探して来てくれ。」

「了解。」

 2人はベースキャンプ地の中でも安全そうな場所にいくつか荷物を残し、二手に散った。


 2章-end-

第2章を読んで頂き、誠にありがとうございます。

メモに残っていたものの手直しですので、比較的早い更新ですが、そろそろ更新頻度がガタ落ちするハズです。(汗)

今回は移動しただけでございます。

はい。

そうです。

移動しただけです。

………。

え?内容が殆ど無いって?

そんなまさかー。(笑)

………。

あ、無いね。

うん。無いね。

………。

とにかく、前章の後書きで言っていた通りクイズを出させて頂きましょう。

何問くらいが丁度良いですかね?1問じゃ物足りないですよね。

では、今回は3問出すことにしましょう。少ないという意見があればまた増やすとします。

さぁ、第1問。

自分用だけでなく、ルーメラ君用の武具まで作っていたメルデ様ですが、実はモチーフとなっているもの(?)があります。さて、なんでしょう?

うむ、第2問。

「死神のよう」という比喩をしたルーメラ君。さて、その目は何色だったでしょう?

これは簡単過ぎましたかね。では、第3問。

1章の後半で登場した「酒場のマスター」ですが、彼はルーメラ君の事を「ルナ」と呼んでいます。さて、何の「ルナ」でしょう?

おっと、正直言うと執筆中よりクイズ作成中の方が楽しいかもしれません。(笑)

あ、答えは言わなくても大丈夫ですよ。

次章、答え合わせをしましょう。何問当たるでしょうか。

ちなみに今章のクイズも次章出そうと思います。今章は内容が少ないですし、簡単そうですね。

では、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

某ダンジョンで女の子を求めるラノベを読んでいて挿絵を入れてみたいな、と思ったスルメねこでした。

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