表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

顔無

作者: 旅人

 響子はテレビでホラー番組を見て、ここらへんにもそんな噂がないか気になり、祖母に聞くことにした。

「そんな噂訊いたことない?」

 響子は祖母に尋ねると祖母は少し考えた後。

「ああ、そういえば噂話を聞いたことがあったかな」

「もっと詳しく話してよ」

「記憶があいまいだが確か――」


 ある女の子が弟と遊んでいたとき弟が急に洞窟で遊びたいと駄々をこねたのだ。

 その洞窟は村人たちからもあまりいい噂もせず女の子は親から危ないから入るな、と訊かされていた。

 なので、女の子は止めてその日は何もなかった。

 しかし、翌日弟は家のどこにもいなかった。弟の机に紙が置いてあった。

 その紙には――洞窟に行く、と一言書かれていた。

 親は二人とも働きに出ていて、女の子は親にばれたら、「お前がいながら」と怒られると思い一人で洞窟へ向かった。女の子が洞窟の中へ入ると暗くなり不安になった。早く出たい一心で必死に弟の名前を呼んだ。けれども返事は聞こえない。

 ここまでくると大変なことになったと女の子も思った。そして親を呼びに行こうと洞窟を出ようとするが

 出られない。むしろ女の子は光のほうへ走れば走るだけ光は遠ざかって行くように思えた。

 すると誰かが女の子の足をつかんだ。

 女の子がゆっくりと下をのぞくと顔がのっぺらぼうな男だった。

 女の子は声も出ずそのまま見つめていると、

「顔をくれ」

 そう一言男が発すると女の子は倒れてしまった。


 女の子は家にいた。さっきまでのは夢なのかと思うとほっとした。

 とりあえず朝ご飯を食べようと居間に行く。居間にいる親が女の子を見た瞬間

「化け物ー」と大声で叫び、皿やら椅子やら――とにかくいろいろなものを投げられた。

 訳も分からず女の子は家を飛び出した。外は雨が強く降っていた。

 女の子は水溜りを見ると自分の顔がなくなっているのに気づき発狂した。


「なんて噂を聞いたことがあるよ。その洞窟は戦のときに獲った首をしまう場所だったらしい」

「その洞窟は実在するの?」

 こくりと祖母はうなづいた。

「でももう建物の開発とかなんとかでなくなっちまったけどね」

「どこらへんにあったの」

「この家だね」

 祖母は少し笑いながらそう言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 祖母がその場で思いついた作り話なのか、以前からあった怪談なのか。多分前者ですね。孫の為に考えて、驚かせようとしたのでしょうか。 [気になる点] 怪談だというなら、聞き手が今その場面を目の前…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ