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七十五話 使い道に困るんですけど

 ごぽり、という音が聞こえたのと、すぐ横でバタバタと慌てた様子でもがくルナちゃんを見つけたのは、同時でした。


「ルナちゃん!? 大丈夫ですか!?」


 大急ぎでルナちゃんの周囲にバリアを張り、水面まで急浮上させました。バリアの中は圧力も一定になるように調整したので、減圧症にはなっていないはずです。


 私自身も急いで上がると、先に自力で上がっていたクロノスくんと、心配そうな顔でオロオロするウンディーネさんの姿が目に飛び込んで来ました。


「ミーシャさま!? ご無事ですか!?」


「お二人とも、なにがあったんです!?」


「事情を説明するのはあとです。先にルナちゃんをどうにかしないと……!!」


 最速で地上に上げたルナちゃんはと言えば、びしょ濡れで咳き込んでいました。見たところ、ケガはないように思いますが……


「ルナちゃん、大丈夫ですか? ケガとか、なにか具合が悪いとかないですか?」


「うえぅ……だ、大丈夫ッス……ちょっと水飲んじゃったッスけど、ピンピンしてるッス」


「ならよかったですが……なにかおかしなところがあったら、すぐに言ってくださいね」


 とりあえず服を乾かさないとですよね。でも火の魔法は色々問題あるんですよね……私のトラウマの件もありますが、それ以前に調整が難しいのです。弱い火だとなかなか乾かないですし、強いとルナちゃんがヤケドしてしまいますし。


 ならばと服についた水の分子そのものを操り、全て泉へと還元しておきました。これなら一瞬で乾かすことが可能ですし、安全です。


「うわわ……!? 毎度のことッスけど、センパイの魔法ってすごいッスよね……!! なんで今一瞬で服乾いたんッスか!?」


「え? それはただ、水の分子を操っただけですが……」


「なんスかそれ、分子操るとか超頭よさそうッスね!? なんか二つくっついてるというウワサのあれッスよね!?」


 ルナちゃんの言い方は頭悪そうですが、さておき。水分子は確か水素二つに酸素一つのなので、二つくっついてるは若干不適切ですかね。


「原子ってすごいッスよね……水素と酸素で水ができて、酸素が三つで超合金的な……なんでしたっけ、コロンゾンに進化するんスよね!?」


「それはもしや、オゾンのことを言ってるんですかね……?」


「そうそれッス!!」


 コロンゾンって……なんでしたっけ、どっかで聞き覚えありますけど。偉人とかなにかのキャラ関係のやつでしょうか。ルナちゃんと私の知識が一致するということは、後者の確率の方が高いですかね。


「まあなんにせよ、無事でよかったです」


「いったい今度はなにがあったんです? 突然泡が弾けた思うたら、十秒くらいでクロノスだけ戻って来るし、そしたら三十秒もせんとミーシャ様たちが戻って来はるし」


「じゅ、十秒ですか?」


「ええ、計っとったわけやないですけど、だいたいそれくらいやったと思います」


 私の感覚では、数時間は経過してるはずなのですが……時空がゆがんでいたせいか、時間の感覚までメチャクチャになっていたんですね。


 と、そこで思い出したのは泉をただの水にするためにやった、マナ圧縮の件です。


 振り返れば、そこにデンッと鎮座するマナのカタマリが。


「あのう、ウンディーネさん。この泉って、昔からマナが濃かったりします?」


「いえ、そんなことあらへんかったですけど……どないしはりました?」


「ああいえ、突然変異だって言うならいいんですよ」


 ならこれは、正常な状態になったというわけですから。


 ただ、問題はこれをどうするか、なんですよね……


「ミーシャさま、このマナのカタマリはいったいどうされたのですか?」


 気付いたクロノスくんが、興味津々でマナのカタマリを眺めていました。こうしてみると、本当に小さい子なのでかわいいです。ていうか和みます。


「ええとですね、まとめるとこれだけのマナが泉の底に沈んでいまして、時空をゆがめていたんです」


「なるほど、それでルナさまのおすがたがきえたのでありますね」


「え、あたしが消えたんスか!? むしろ、あたし以外の二人がいきなりいなくなったんスけど!?」


「ルナちゃんから見ればそうなりますよね。それもこれも、マナの濃度が高すぎたせいなんです」


「はえー……すごいんスね、マナって」


 形を持った生命力なわけですから。そりゃあすごいですよ。


「にしても、これどうしましょうね……」


 大きさは二メートル四方ほど。ちなみにこれだけあれば、普通の人間が不老不死になってもおかしくないです。というわけで、人間に渡すわけにはいきません。確実に戦争が起きます。


 私、争いとかってキライなんですよ。競争とかも、あまり好きじゃないですし。なのでできれば、これを悪用しない方に渡したいのですが……ムリですよねぇ。フィーマさんに渡しても、他の人が知ればこれ目当てで戦争まっしぐらです。


 我ながら、なんて厄介なシロモノ作ってしまったんでしょう……でもこうする以外に、泉の時空を戻す方法が思いつかなかったんですよね。


「ウンディーネさん、なにかいい案はないですか?」


「そないなこと言われましても……うーん、魔法を撃ちまくって消費するくらいしかないんとちゃいます?」


「でもマナって少量あれば、かなり大規模の魔法撃てますよね。これを精神力で変質させて魔法を使うみたいですけど、魔力にすると相当の量になりますし」


 マナが一あれば、魔力が一万はできます。そして一の魔力があればだいたい初級魔法が一回使えます。これくらいの変換効率でもなければ、魔法なんて乱発できないですからね。


 とすると、この量のマナを消費するには、よほどのことをしないといけません。この世界丸ごと造り替えても、お釣りが来ちゃうレベルなんですが。


「まだ前の問題が解決してないのに、次なる厄介事とか勘弁してくださいよ……」


 ルナちゃんが手に入れた草を懐に入れていたので素材は手に入りましたが、余計な素材まで手に入れるハメになったのでした。ホントどうしましょうこれ……


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