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六十八話 異世界の食材をゲットせねばなりません

 さて、シェイドさんたちの件が解決した翌日。ピィアさんも含めた私たち全員は、なんとピィアさんが自作していた亜空間的なあの部屋にやって来ておりました。


 ここなら、キッチンを増設して料理しても問題ないためです。それに砂漠ですから、万が一火事になったとしても消火は簡単なので。砂で埋めてしまえばいいだけですから。


 ただ、ここで問題が一つ。


「集まってから今さらなのですが、食材ってどうしましょう?」


 ここ数千年、食事なんてしてませんでしたからね。すっかり存在を忘れていました。


「あれじゃないッスか? これからハンティングすればいいんスよ!! みんなたいていそうやって食材ゲットしてるじゃないッスか!!」


「あなたの言うみんなはアニメ基準っぽいんですが……まあ、私の基準も大差ないですか。とは言え、普通に買った方が安全で早いのでは?」


「というわけで狩るッス!!」


「いえあのたぶん、あなたが言っているのと私が言っているのは漢字が違うと思いますが」


 料理を作ろうと思って、普通その辺で狩りをしたりしませんよ。


 呆れ半分に言うと、なんと、ルナちゃんからとてもまっとうなツッコミがありました。


「でも近所のお店どこにあるかわからないッスし、そもそもお金どうするッスか?」


「そう言われればそうですねぇ……」


 私たち、人間社会で働いてないですからねぇ……当然お金なんて一銭も持っていません。正確に言えば、お金に換えられそうなものはその辺になくはないです。なので、適当な山を掘ればけっこうお金を手に入れられるでしょう。


 ですが……その場合、どっちが早いのかわからなくなります。換金できるものを探しても、その辺の食べられそうな生き物なり植物なりを狩るとしても、どっちみち時間かかりますからね。


「みなさん、どうしますか? どなたかお金を持っていれば別ですが……」


「あたしは当然ハンティングッス!!」


「ルナちゃんはわかってるのでいいです」


「センパイ、あたしに対してだけ風当たり強くないッスか……!?」


 そんなわけないと思うんですが……おそらく、ルナちゃんがトンチンカンなことばかり言うからだと思いますけどね。


「わたくしといたしましては、狩りをした方が早いかと思われます。この近くであれば、人間の間で美味しいとウワサの魔物がいるようなので」


「そうなんですか?」


「ええ、なんでもスパークホークという名の、巨大な鷹がいるそうなのです。電撃を操るらしいのですが、そのせいかパチパチとした食感が病みつきになるとか」


 そんな魔物いるんですねぇ……まあ究極的なことを言えば、私は食べられないのでどうでもいいのですが。


 そこで手を挙げたのは、どこか目をキラキラさせたクロノスくんでした。


「しょーせーは狩りをしてみたいであります! しょーせー、まだちゃんと戦ったことないでありますし」


「ふむ、そうでしたね。シェイドさんたちも、それで大丈夫ですか?」


「ええ、私は構いません」


「わらわはダー、じゃな、シェ、シェイドさんと一緒にいられるならたとえ火の中氷の中だの!!」


「水の中普通に行けますもんね」


 ピィアさん、本来水辺に棲む生物ですからね。ですが、氷の中って行くの難しそうですよねぇ。動けないですし。


 それはともかく。多数決の結果、食材は狩りをして手に入れることとなりました。とりあえずの目的は、シルフさんの話にあったスパークホークを見つけることです。


「シルフさん、スパークホークの詳しい所在地って知ってますか?」


「さすがに詳しい位置までは……以前、雑談で聞いただけですので……ただ東の方に大量にスパークホークの棲む巣穴があるとか」


「では、おおよそ東を目指しましょうか。空を見ていれば、いずれ見つかるでしょう」


 なんとなく全員で空を見上げながら進んで行くと、明らかにルナちゃんがワクワクした様子でした。


「遠足みたいで楽しいッスね!! どうするッスか、素晴らしきホクホクが現れたら!!」


「原型がないレベルで変化してますけど、正しくはスパークホークです」


「そうそのスパスパッスけど、出て来たらやっぱあれッスか、センパイが一刀両断! って感じでなまこ斬りにするんスよね!?」


「なまこじゃなくてなますですし、一刀両断は真っ二つですね。そしてなます斬りにしてしまったら食材にできませんよね?」


 困りましたねこの子……テンションが上がると、いつも以上にわけのわからないこと言い出します。


「スパークホークについては、私ではなくクロノスくんとルナちゃんにお願いしようと思ってます。ルナちゃんには、実戦形式で魔法を教えようかと思いまして」


「え、センパイ魔法教えてくれるッスか!? うえーいッス!!」


 うれしそうに飛び跳ねるルナちゃんは、これまででもっともウサギっぽかったです。ここで心配なのは、やる気に満ち溢れる様子で胸を張るクロノスくんではなく、飛び跳ねているルナちゃんの方なんですけどね。私の記憶がたしかであれば、タカってウサギ食べたような。


「とにかく、ルナちゃんはムリをせずに魔法の使い方からですね――」

「ミーシャ様、来ました!!」


 シルフさんの警戒に満ちた声にその視線を追えば、空には黒い影が。


「……あのシルフさん」


「なんでしょう?」


「食材にするには、あの魔物は大きすぎませんかね……」


 大空を悠々と飛ぶピィアさんの真の姿並みに巨大な一羽の鳥に、私はため息を吐きたくなったのでした。


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