四百六十二話 ついに図書館に突入です!!
大佐に売りつける適当な魔法をどうしようか考えているうちに、図書館に到着しました。いい感じに派手で無害な魔法ってなかなか難しいので、すぐには思いつきませんでした。これは別に急ぎではないですし、あとで考えましょう。今はそれよりも図書館です!!
入口横でルナちゃんとミツカミさんに人数分の登録料を支払ってもらい、ようやく中へと入ることができました。
わくわくしながら中へ入ると、入ってすぐにズラリと並んだ本が目に入ります。しかも、さすがファンタジー。普通に並ぶ本棚だけでなく、空中にも大量の本棚があるじゃないですか!
「すごいッスよ先輩!! 本棚が浮いてるッス!! 本も浮いてるッス!!」
ルナちゃんも空飛ぶ本棚までは予想していなかったのか、大興奮で空中にある本棚を見ています。私もこれは予想していませんでした。いやもうホント、テンション上がりますよね!! ファンタジーな図書館とか、考えるだけでわくわくなのに実際この目で見ることができているわけですから!!
と、見るからにファンタジーな本棚にテンションを上げていたのは私たち二人だけで、他の三人はあまりピンと来ていないようでした。
「空中に棚を置く意味はあるのでしょうか……? 取るのに苦労するだけのような気がするのですが……」
「置くのもたいへんそうなのであります」
「ぼくみたいに飛べる子が作ったところなのかなー? 羽ないと取れないし」
いやまあ、現実的に考えるとそうなんですけど。空中にあったら大変だなって思いますけども、こう、ロマン的なあれですよ!! ただまあ、確かにどうやって空中の本を取るんだって話になって来るんですけどね? ミツカミさんが言うように翼がないと取れないってことはないと思うんですよ、公共の施設で。
もしかしたら羽のある種族が造った図書館なら、他の種族には知識が漏れないように翼がないと取れないような仕組みの図書館を造るかもしれません。ですが、見たところここは普通の人たちが暮らしている場所ですから、そんな不便なことするわけないんですよ。
と言っても、その方法知らなくてもいいっちゃいいんですけどね。私、飛べますし。飛ぶと言うか、空中浮遊の方が近いですけど結果は同じです。このメンバーだと自力で飛べないのはクロノスくんくらいでしょうか。シルフさんは風を操れば飛べますし、ルナちゃんは変身して羽を生やすことができます。ミツカミさんは逆に変更を解けばいいだけですからね。
まあ正規の方法があるには越したことがないので、できれば正攻法で行きたいところです。
というわけで辺りを見回すと、部屋の角に四角くて銀色の板のようなものが置かれているのが目に入りました。大きさは一メートル四方くらいで、厚みは一センチといったところでしょうか。それがいくつも積まれていて、その横にはなにか書かれた立札がありました。近付いて読んでみると、
『こちらの浮遊板は、ご自由にご利用いただけます。魔力はこまめに補充されていますが、万が一残量が少なくなっていた場合は入口スタッフにお申し付けいただくか、別の浮遊板をご利用ください』
と、書かれていました。
「字からして、これに乗って上の方の本を取ってくださいってことでしょうね」
とりあえず、乗ればいいんでしょうか……? と悩んでいると、浮遊板をつつきまわしていたルナちゃんに手招きされました。
「センパイセンパイ、こっちにこの板の説明書いてあるの見つけたッス」
「ナイスですよルナちゃん」
ルナちゃんが見つけた説明書によると、この浮遊板には安全装置が組み込まれていて魔力がある限り落ちることはないそうです。起動させると取っ手が現れるので、浮遊中はその取っ手を掴んでいること。浮遊中は視界の右端にゲージが浮かび、それが魔力残量を表していてオレンジ色になったら危ないので直ちに魔力を補充するか最寄りのステーションに降りてください、だそうです。
「なんかすっごいハイテクッスね」
「ですね……安全装置までついているみたいですし。まあ、それがなかったら怖くておちおち乗ってられませんけど」
一メートル四方じゃ、少しよろけただけで落っこちかねないですからね……でもまあ、これがあればどれだけ高いところの本でも取れるってわけですね。ただここから見上げて思ったのは、どう見ても外観から想定できる高さより全然高いんですよねぇ……空間が歪んでたりするんでしょうか。
まあこれまで普通に運営していたんですから、問題はないでしょう。強いて言えば、うっかり飛び過ぎて迷子にならないようにすることですかね。
「とりあえず、好きに見て回りましょうか。幸い写本も専用の部屋でならしてもいいみたいですし、まずはそれ用の本を見つけましょう。写本室であれば、魔法でのコピーも大丈夫みたいですし。なんなら、それ用の紙も売ってましたしね」
ただしそれ専用の魔法を使わなくちゃいけないらしいですけど。でないと、本が傷む恐れがあるそうです。その魔法が地味に高度らしく、あんまり使う人はいないようですが。
さて、せっかくですから私もなにか写本して持ち帰る本を探しましょうかね。