表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
452/471

四百五十二話 のんびりするのは意外と難しいのかもしれません

 さて、大佐とシンシアちゃんの十年越しの大ゲンカをどうにかこうにか収めたり、私の枝や根っこを勝手に採っていた三人組のことも力技で片付けて、ようやく静かな時間が訪れた――はずだったのですが。そんな時間は瞬きする間もなく過ぎ去りました。大佐たちが仲良く帰った翌々日に、ルナちゃんがいつも通り元気よくやって来て謎のポーズを決めながら言ったのが原因です。


「今日こそ、ちゃんとどっか遊びに行こうッス!!」


 目を爛々と輝かせ、いつも通り――いや、いつにも増してハイテンションで私にはついて行けそうもない感じです。私がここまでハイテンションになることなんて、ほぼありません。ちょくちょくこのテンションになれるだなんて、ルナちゃんってホント元気ですね……ちょっぴりうらやましいです。


 まあ高すぎるテンションに若干引きましたが、要求そのものはものすごく真っ当なものです。そもそも、先払いで対価もらってますし。なので

「ええ、いいですよ」

と普通に答えたところ、なぜかキョトンとした顔をされました。


「なんでそんな不思議そうなんです?」


「え、だってセンパイのことだから面倒がるかと思ったんスよ」


「そりゃまあ積極的に行きたくはないですけども、先に対価をもらっているのに断るわけにはいかないじゃないですか。そういうのキライなので」


 面倒っちゃ面倒ですよ? ついさっき……ええと、一昨日? 問題が片付いたばかりですぐに出かけるの、正直ダルいですよ、ええ。ですがさっきも言った通り先に報酬をもらっているうえに、特に用事もないですからね。報酬をもらうだけもらっておいてゴネるだなんてこと絶対しませんよ。


 それにまあ、問題が片付いた翌日速攻で言い出さなかっただけまだマシです。一応は気を使ってくれたんでしょう、たぶん。私の感覚で言えば、休んだうちに入らないレベルではありますけど。私基準だと学校の授業と授業の間の休み時間くらいですし。


 その辺はいいとして、行くとしたらどこ行きましょうかね。一昨日は西に行って面倒ごとに巻き込まれたので逆方向……は、ミツカミさんが里帰りする時とかに通ってるみたいですからそこまで新鮮味はないかもしれませんね。とりあえず、私からオススメできるような旅行先はなさそうです。


「ルナちゃんはどこに行きたいですか? 目的地があるなら具体的に教えてくれると一番ありがたいのですが」


「具体的……行きたい場所はあるッスけど、だいたいの距離と方角しかわからないッス」


「それだけわかればなんとかなるでしょうけど……珍しいですね、距離と方角わかる場所に行きたいだなんて。行ったことあるところですか?」


 ルナちゃんも地理には明るくないので、どの辺りにあるかわかるだけでもレアです。なので地名を忘れただけで行ったことある場所なのかと思いきや、ルナちゃんは首を横に振りました。


「行ったは全然ないッス!! でもなんか、みっさんがウワサで聞いたんスよ!! めっちゃ本がある場所があるって!!」


「本がたくさんある場所、ですって……!?」


 そんな場所が、この世界にあっただなんて……!! いくらなんでもマンガやラノベが並んでいるような場所ではないでしょうけども、本があるならかなり気になります。ないならないでしょうがないけれど、あるなら読みたい!! 感じでしょうか。


「よし、じゃあ行きましょうか! 私も久しぶりに本が読めるなら読みたいですし!! よほどのことがない限り、ベースは日本語なので読めないこともないでしょう。ナノさんたちがノリで書いたようなやつは別ですが……」


 以前行くハメになったショッピングモールダンジョンには、本屋さんも存在していました。ナノさんたちが私やルナちゃんの記憶から作り出した曖昧なやつなので読めたもんじゃありませんでしたが。


 行くと決まればすぐに動き出しましょうか。メンバーはいつもの私、ルナちゃん、シルフさん、クロノスくん、ミツカミさんです。


 ミツカミさんに話を聞いてみたところ、以前里帰りした際にウワサを聞いたのだとか。かなりフワッとしたウワサなうえミツカミさんの説明もふんわりしていたため心配でしたが、おおよその場所はなんとか理解しました。ここからだと、南東に三百キロくらいのところのようです。


 そこから先は足で探すしかないですかね……聞き込みって、私だと難易度高いんですよね。まず向こうが私のことを認識できるかどうかからして問題ですし。ルナちゃんが今から張り切ってますから、たぶん着いたら速攻で聞き込みしてくれるでしょうから任せましょう。


 ナノさんたちに訊くという手段もあるにはありますが、ナノさんたちはそういう細かいことは知らない可能性が高いです。それに、そのぐらいで頼るのも悪いですからね。ただでさえ一昨日の連中のこと頼んじゃいましたし、しばらくは自力でガンバりましょう。


 というわけで、本がたくさんあるという場所――通称『迷宮図書館』にレッツゴーです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ