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二百五十四話 囚われのお姫様……になるんでしょうか?

 滝から落っこちて九死に一生を得、ホッとしている時にいきなり思いもよらない話題を振られたらどうなるか。本来であればあり得ないような受け答えをしてしまっても、仕方が……仕方、ないんですかねこれ? どんな勘違いですかコントですか。


 ツッコミたいことは山のようにありますが、まあ人間って正常な状態でない時っていつもなら絶対しないようなことしちゃったり、言っちゃったりしちゃいますもんね。さっき、私もルナちゃんにマジでツッコまれるというあり得ない事態に遭遇したばかりですし。


 いやでも、今思い返してみるとツッコミにしては微妙に論点ズレてたような……まあ、ルナちゃんですしそういうこともありますよね。ていうか今、鳥かごの件の方が先です。


「ミツカミさんの件はわかりましたが、それとこの鳥かごに入れられてる理由との因果関係ってなんですか?」


「それはあれッス。普通に捕まったッス。なんか昔、一緒にいたシンデレラスワンの奥さんに浮気されて逃げられたのがイヤだったって言ってたッス」


「ある意味切実な理由な気もしますけど、だからって監禁するのはやり過ぎですよミツカミさん……」


 まだ見ぬミツカミさんへの評価が、ドンドンがた落ちして行きます。普通に会いたくないレベルの人ですよ。人じゃなくて、鳥らしいですが。大佐よりもヤバそうな存在なんて、そうそういないと思っていたんですが……これは大佐超えも普通にありますね。


 どんな理由で相手に逃げられたかは知りませんが、だからと言って新しい奥さんを監禁するのはヤバイですよどう考えても。ルナちゃんの話もよく聞かずに結婚したと思い込んだことと言い、おっちょこちょいと言うか人の話を聞かないタイプの方なんでしょうか。ルナちゃんも聞きませんけど。


「それで鳥かごの中にいて、今度は魔法でも出られないんですね?」


「というか、どうやって魔法使ってたかわからなくなったッス。超弱いのだったらたまたま一回出たッスけど、傷一つもつかなかったッス」


「あー、まあこれをぶっ壊す魔法ってかなりの威力が必要そうですもんね……私でも、中のルナちゃんにダメージを一切与えずにこの鳥かごだけ壊すの、難しいですから」


 ちょっと触ってみたところ、めっちゃ頑丈なんですもん、これ。そもそも私が普通に触れる時点で普通の素材じゃないですし、おそらくなにかしら魔法で加工されていると思われます。こんなもの、いったいどこで手に入れたのやら……


 素材や入手経路も気になりますが、まず問題になるのはどうやってルナちゃんをここから出すかと、どうやって元の姿に戻すかです。幻術で見た目だけいじるのはとても簡単ですが、根本的な解決になってないですし……


 いつもよりサイズが大きくなっている以上、見た目だけ戻しても問題が出て来るのは目に見えています。となるとやはりここはルナちゃんの中に私が入って、それから変身魔法使うなり鳥かごを壊すなりしないといけませんね。


 と、そこまで考えたところで、一つおかしな点に気がつきました。私今、この鳥かごを普通に開けようとはなぜか全く思わなかったのです。無意識に、その可能性を除外していたわけですが……なぜでしょうか。


 その疑問は、鳥かごをよーく見直して解決しました。


「これ……扉に相当する部分が、どこにもないですね」


 見える範囲を全部見てみましたが、それらしき部分はどこにもありません。さらにはシルフさんとクロノスくんにも頼み、私も魔法を使ってまで調べたのですが、扉は影も形もなかったのです。どう考えても異常ですよ、これ。


「ルナちゃんはこれ、どこから入れられたんですか?」


「それがッスね、なんかミツカミさんが魔法で出したんスよ」


「はい? ミツカミさんって、魔法使えるんですか!?」


 そんな鳥いるんですか!? あ、でもよく考えればピィアさんが使ってたんですから、使える鳥も他にいてもおかしくはない……ですかねぇ……?


 疑問でしたが、ルナちゃんがアッサリ頷いたのでマジみたいです。


「使ってたッスねー。すっごくガンバらないと持続時間が短いとか言ってたッスけど、普通に使ってたッス。そんで最初、寝てる間にここまで連れて来られたッスし」


「拉致監禁の手際がよすぎません!?」


 これ、本気で会いたくなくなって来たんですけど……そこまで拉致監禁に手慣れてるって、もはや犯罪者ですよ。これが地球で相手が人間だったら、問答無用で手が後ろに回りますよ。逮捕一直線ですよ。


 にしても扉がないとは……強引に破壊することは簡単ですが、どこまで威力を抑えればルナちゃんに被害が出ないかが不明です。とすると、あまり派手なことはしない方がいいでしょう。


 つまり現状、ミツカミさんという方に直接話を聞くのがもっとも確実なのですが……うーん、正直会いたいとは微塵も思えないです。拉致監禁の犯人ですし。鳥ですが。


「一応訊きますけど、自力で脱出とかは」


「できたらやってるッスねー」


「ですよねぇ。シルフさん、この鳥かご破壊できますか?」


「すみません、わたくしには少々荷が重いようで……どうもこの金属、風の魔法の効果を軽減させるようなのです。おそらく、ルナ様が風の魔法で空を飛んでいたのを見た、などの理由でしょう。体格からするに、今のルナ様はただ羽ばたくだけで飛ぶのは難しいようですから」


 確かにいつもより大きくなっていると言えど、鳥として飛ぶには翼が小さいです。それに骨密度の関係上鳥よりどうしても重くなりますから、このサイズじゃ飛べないでしょうし。


 骨と言えばダイスさん、今頃大丈夫でしょうか。そろそろ身体の方できてるはずですし……あまり待たせるとまた心配させてしまいますし、早めに片をつけましょう。


 とにかくまずは、この鳥かごを中のルナちゃんにダメージがいかないように破壊するのが最優先ですかね。

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