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百二十六話 手分けしましょう

 内部に侵入してみると、そこが意外とまともな内装をしていることに驚きました。てっきり、もっと派手で目もくらむような場所かと思っていたのですが。中はごく普通……よりはまあかなり派手ですけど、貴族の屋敷であれば許容範囲だと思われます。


「とりあえず、手分けして探しましょう。三十分後に、成果があってもなくてもここに戻って来ること。何かあれば、必ず連絡をすること。全員が完全にばらけるのは不安なので、そうですね……ルナちゃんは私と。クロノスくんはシルフさんと。大佐がティストアさん、と……で、大丈夫ですか?」


「弟子を守るのも師の務めだからな!!」


 いえあの、私が心配なのは戦闘面ではなく大佐のなにしでかすかわからないところなんですけど。


 でもこれ以外の組み分けって正直厳しいんですよ。ルナちゃんは単体で放っておくのは論外ですし、クロノスくんもたまーに心配ですし。そしてルナちゃんに慣れていないティストアさんには任せられませんし……


 あと可能性がある組み合わせは、私と大佐、ルナちゃんとシルフさん、クロノスくんとティストアさんになるわけですが……これだと、今度は戦闘力が偏りすぎです。特に私と大佐が一緒にいるのは、戦闘力的には確実にオーバーキルです。しかもクロノスくんのことを、ティストアさん目視できないですからね。


 となると、やはり組み分けを変えるのはムリそうですね。


 消去法で出来た組み分けで、私たちは屋敷の中を捜索し始めました。


 最初は興味津々であちこちを見ていたルナちゃんですが、十分ほどで飽きたのか眠そうにあくびをしていました。


「思ったより普通ッスねー。別に床に人皮の敷物が敷いてあったりもしないッスし」


「いやそんな屋敷存在したら困りますって」


 やめてくださいよ怖い言うの。私ホラーは大丈夫ですがグロ系はキライなんですよ。某ゾンビが物理的に弾けるゲームがちょっぴりトラウマなくらいです。そもそもお前十八歳未満だろというツッコミは、ナシの方向で。私がやったわけじゃなく、大昔いた友達らしき人物の親戚がやってるの見たことあるだけなんですから。


 あれ、ムダに画面がべしゃってなるのがイヤなんですよ。普通に怖いです。あれが元々人間だったと思うともうダメですね。


 ルナちゃんのグロイ感想のせいでイヤなことを思い出してしまいましたので、封印の方向で。


「にしても、なんで外だけあんなピッカンピッカンしてるんスかね? はっ、まさかネコ避けとか!?」


「ネコが水入りペットボトルを避けるかどうかは諸説あるというか、それ俗説じゃなかったでしたっけ」


 まぶしがって避けるという話を聞いたことありますけど、うちの庭にペットボトルあっても普通にネコ来てましたし。しかもそのペットボトルにじゃれてましたし。個体によるんじゃないですか?


 そんなことを話しながら屋敷の中を見て回りますが、変わったものを発見することはできません。どれほど探してもなにも出て来ないというのもおかしいと言えばおかしいですが……


「ていうか、それ以前に人がいなさ過ぎじゃないですか?」


 かなり大きな屋敷ですから、維持をするのにそれなりの人手が必要なはずです。ところが、ここにはネコの子一匹いないのです。


「ネコがいないのはやっぱりまぶしいせいで!?」


「ネコがいるかどうかはさておくとして、人間が誰もいないのは異常ですよ」


 でも誰もいない屋敷にしては、手入れはされてるんですよね……床に敷かれた毛足の長い絨毯は洗ったばかりのようにキレイですし、家具の下にもホコリはたまっていません。花が生けてある花瓶の水も、澄んでいて取り替えたばかりに見えます。


「センパイ、そうやって机の上のホコリ指で取ってると、すごい舅っぽいッス」


「それを言うなら姑では。『め』はどこ行ったんですか。それだと義理の母じゃなくて義理の父です」


「姑って漢字、ヒドイッスよねー。古い女で姑って」


「いやまあそうですけども、それ今関係ないですよね?」


「でも嫁って家の女で……新しい女はなんなんッスかね?」


 新しい女って語感だとなんだか愛人っぽいですが、面倒なのでスルーで行きましょう。さっきの話を踏まえると、どちらかと言えばドロボウネコかもしれませんが。


「ねーセンパイ」


「はいはい、次はなにに女ですか? 女偏に台でなんで始まるになるんだとか言い出す気ですか?」


「いや違くてッスね……なんかここ、変じゃないッスか?」


 首をかしげるルナちゃんと同じ方を見れば、そこにあったのは一見なんの変哲もないただの壁でした。ですが、じっくり見た場合は別です。


「……この壁、ここだけ色が違いますね?」


 わずかな差ではありますが、ハッキリと違います。うっすら境界線も見えますし……


 私とルナちゃんは無言でうなずき合うと、その部分を押してもらいました。


 すると。がこんっというなにかが外れるような音がしたかと思うと、みるみるうちに壁が引っ込んでいくではありませんか。


「隠し通路、ですか……」


 また定番なものが……さて、どうしましょうね?


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